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20 勇人が学校に行ってる間に色々♡2/2
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出雲大社の第2の鳥居になる勢溜の鳥居を右に見ながら原付バイクで走っていると突き当たりに海が見えてきた。
赤信号で止まると正面の海から強い風が吹きつけてくる。
12月に入ってるとは言えど、午前10時を少し過ぎる時間で太陽もしっかり雲から出て見えているにも拘らず手が凍えそうな寒さを感じる。
一応コートとヘルメットと手袋はしっかり着けているけど…ちょっとだけこの辺りの寒さを舐めていたかもしれない。
高校に通っていた頃はもう少し薄手の服で自転車で走り回っていたって言うのに…ちょっとスピード出しすぎかなぁ…
あっ信号変わった。
T字の交差点を右に曲がり走り続けていると『うみねこ街道』と描いてある看板を見つけ道なりに走っていくと5kmほど走った辺りで大悟さんの言っていた灯台が見えてきた。
これが見えてきたら確かそろそろ近いって言ってたと思うんだけど…?
とりあえずぐぐマップを開いて大悟さんにマークをつけてもらった辺りを目指して移動すると最後の目印の右手の沖に防波堤が見えてきて入り江になった海沿いに民家が肩を寄せ合う様に20件ぐらいかな?建っていた。
確かこの辺りの神社が大悟さんの実家だって聞いたと思うんだけど…
かなり近くまで来ている気がしたので原付バイクのエンジンを切って最後マップを出して確認しようとしていると大悟さんから電話がかかった。
「はーい大悟さん。」
『はいはーい。もうこっちからは見えてるよ。』
大悟さんに言われて周囲を見渡すと道沿いに左手の森に沿う感じに作られている石垣の上に朱色の塀と建物があり、その神社らしき建物の少し先に見える平屋の建物の入り口から大悟さんが顔を出して手を振ってる姿を見つけた。
「あ、見つけた♡そっちに行きますね~♪」
『はーい。』
建物の傍の駐輪場みたいな場所にバイクを停めてヘルメットを外しながら歩いて近付くと大悟さんがそのまま建物の中に招き入れてくれた。
「お待たせしました。」
「大丈夫だよ、俺も少し前にここら辺に戻ってきた所だから。」
「ここが大悟さんの実家?」
なんとなくだけどここって社務所か地域の集会所みたいな建物に見えるけど…?
「うちの実家はこの建物の正面の白い塀の所だよ。ここは俺の父が宮司をしていて姉が巫女さんの仕事をしてる所なんだ。とりあえず打合せも兼ねてここで話をするって言われたから俺もそのまま来たんだよ。」
実は今回大悟さんが年末休暇1ヶ月前にもかかわらず里帰りした理由は、妹さんの結婚に関する顔合わせをするかららしいの。
結婚する2人がお互いの家族にお互いのパートナーを紹介する場合には一緒に住んでいる家族の内で親等数の低い人の内で若い年齢の人から始めるという決まり事みたいなのがあるらしく、大悟さんの妹さんの場合自分の家族を紹介するなら大悟さんが最初に会う事になるのでこうして呼び出されたらしい。
それにしても…男の数が減ってる今のご時勢に大悟さんの妹さんに結婚する相手が居るって事がどうにも羨ましい。
もし叶うなら私も誰かと結婚して周囲の人から『あいつ完全に勝者エリアの住人になりやがった…くやしぃ~~!!!』みたいに思われたい。
…まぁ…その可能性ってかなり高い状態になってきてるんだけどねぇ~~♡
「それでさぁ、美香ちゃんも今回の顔合わせには参加する事になってるんだよね?」
8畳ぐらいの広さの和室に案内されてコートを脱いでハンガーに掛けていたら座卓に四点置かれた座椅子の内の1つに座った大悟さんが聞いてきた。
「えっ?…あ、そうでしたね。妹さんの相手の男が私の親戚だったので一応付き添いって訳じゃないんだけど『席に一緒に居られるなら居て欲しい』って親経由でお願いされました。」
おっと危ない危ない♡
勇人との幸せな新婚生活(妄想)が頭の中で展開されていて最初何を聞かれたのか理解できなかった♡
「確かこの間うちに来た苺が言ってたけど相手の男って美香ちゃんと同い年なんだって?」
掛けたコートの近くにヘルメットとマフラーと手袋を置いてセーターとジーンズ姿になった私も座椅子に座りつつ大悟さんの入れてくれたお茶を一口♡
「ふぅ~♡えぇ。確かあの子って今年地元の大学に行く事になってたはずなんだけど…私も会うのが…3年ぶりぐらいかな?だから正直な所どんな感じに育ってるのか分からなくて…」
たしか従兄弟の誠司君とは中学に通っていた頃に正月に1回程度は会っていたはずなんだけど…それ以降ほとんど会う事がなかったからなぁ…
一応覚えてるあの子の感じは確か…薄幸の美青年って感じでかなり線の細い子だった気がするけど…
でも確か…大悟さんの妹さんって少し前まで大悟さんしか見てなかったとか聞いた事があったんだけど…大悟さんとはまったく違う感じだったと思うんだけどなぁ…二人ってどこで知り合ったんだろ?
少しの間大悟さんと地元が思った以上に変わっていたって話をして盛り上がっていたら襖の辺りから声がかかった。
『失礼します』
そして音を立てずに襖が開くと和装の男女が襖の先の部屋に座ってこっちを向いて頭を下げていた。
わ~…なんか時代劇みたいな感じ♡
楚々とした立ち振る舞いの女性とこれまた楚々とした感じの男が続いて部屋に入ってきた。
あぁ、なんとなく面影がある気がする。たぶんこいつが私の従兄弟の誠司君だ。
軽くウェーブした髪が肩の辺りまでの長さでダークブラウンに染められていて、なんとなくなれて無い感じの和装で少しギクシャクした動きをしている誠司君が視線を上げたら私を見つけたのか笑顔になった。
「お久しぶりです美香さん。今回は僕のお願いを聞いてくれて本当にありがとう。」
確か男の人をエスコートするのはパートナーの女性だけって決まりがあったと思うのだが、誠司君1人で初対面の人と会うのが恥ずかしいのか大悟さんと面会するまで色々ごねたらしい。
そして私をすごく攻撃力の高そうな目で威嚇する大悟さんの妹の苺さん…
やめてよぉ…私の好みは大悟さんとか…その…私の婚約者の勇人なんだからさぁ~♡
そんなナヨンナヨンなフニャフニャオチンチンの男とかではもう…気持ちよくなれない体になってしまってるんだからさぁ~♡
…あっ、私はこの誠司君とはセックスした事は無いからね?
小さい頃に何度かお医者さんごっこで遊んだから柔らかいのを知ってるだけなんだからね?
とりあえず『その男にはまったく興味無いから安心していいからネッ?』と視線会話で念を押すと苺さんがやっと威嚇行為をやめてくれた。
まぁねぇ、彼女が自分の男を取られない様に気を張ってるのって正直理解できるんだよね。
だって、どっちの親族と先に顔合わせをするみたいな決まり事は無いけど、そもそも結婚に関する事での決定では、結婚する当事者の男の人か、お互いの家族の内のお父さんか、その次あたりに兄弟辺りが決定権を持っていたりする。
そして女は男の決定を受け入れるしか無いって状態だから…苺さんにとっては大悟さんと誠司君の顔合わせってすっごく大きな意味を持つ事なのよね。
だってここで大悟さんが、『こいつとの結婚とかダメだ!』みたいな事を言い出したら揉め事を嫌う男がこの縁談をやめる可能性が高い訳でさぁ、そもそも男からすれば女は選び放題だから少しでも面倒事がある様ならすぐ逃げるみたいだし…
それにもしそんな状態になったら親も自分の息子の意見なら無碍にはしないから『じゃぁ今回の縁談は無い方向で…』とかって考える事が多いらしくて、婚約者として親族に受け入れられて認知されるまではすごいプレッシャーがあるって話が『ハンター24』って結婚情報誌に書いてあった。
とりあえず当事者が揃ったので顔合わせ会が始まったのだけど…
なぜか私と大悟さんと苺さんしか話をしないのは…誠司君ってこんなにしゃべらない子だったかしら?
大悟さんに何か聞かれたら『あっ…はい』だとか『えぇ…そうです』とかって応えるだけでず~っとうつむいてるんだけど…
『ねぇ…苺さん?本当にこんなに何も言えない様な男で…本当に良いの?』
一応目で苺さんに問いかけてみたのだが彼女はかなり緊張しているみたいでまったく気付かない。
どうしよう…私そう言えば…今年の春頃から大悟さんと体の関係を持つ様になってから他の男とかまったく気にならなくなってたのと、それ以前にあの橋の下での出来事以来大悟さん以外をまったく見てなかったってのもあったんだけど…男の基準が変になってたりするのかなぁ…?
なんとなくだけどさぁ?
男の人ってこう…『ほら、触ってみても良いぞ?』とか言って勃起したおちんちんを顔の前に出す様な人が普通だって感じ…
ナルホド…そうか、やっと分かった。
私の考えてる普通の男って、大悟さんと勇人みたいなあっちの世界から来た男が標準になってるわぁ…
だから私って中学3年の正月辺りから誠司君とも会ってなかったんだ…
私にとっては男って何事にも動じない大昔に絶滅したって言われてる服を人の前で脱がされてもまったく隠さずに仁王立ちでおちんちんを曝せる様な『大和魂を持つ漢』ってのがデフォになってる…
※注釈
ここで言う男の価値感に関してですが、美香ちゃんの個人的な感覚を元にした考察であり、世の中の一般女性のそれでは無い事にご注意ください。
ずいぶん前から男の価値観が大きく変わっていた事に気づいてちょっとした動揺を感じつつも顔合わせは進み…
「では、今日はお時間をいただきありがとうございました。」
「いいえ。誠司君も苺の事を思ってくれている事がよく分かったし、正直ほっとしたよ。」
「あっ…ハイ…♡」
笑顔で声をかける大悟さんと頬を染めてうつむいてほとんど話せない誠司君…
なんだかこう…『お前ちんちん着いてるのか?!』って股間を鷲づかみしてやりたい気分になるんだけど…
私がここで何か言う必要は無いとなぜか勝手に荒ぶり始めた心を落ち着ける為に深呼吸をしていると苺さんが近づいてきた。
「今日はわざわざ来ていただいて申し訳ありません。」
柔らかい物腰で少しだけ険の取れた笑顔で苺さんが手を出してきた。
「いいえ。誠司君あんなだけど…本当に結婚する…のは分かったからその顔は止めてよ。」
私が苺さんに結婚を諦めさせようとでも考えてるとでも思ったのかまた苺さんの顔に般若が宿りながらこぶしが握られていたけど、スマホを取り出して自分の婚約者の勇人の画像を見せたらやっと理解してくれたらしく普通?の苺さんに戻ってくれた。
「また何かお願いする事があるかもしれませんが…その時はよろしくお願いします。」
「はい。よろしくお願いします。」
一応社交辞令を済ませて大悟さんに一言声をかけて私は速攻で原付バイクに乗り、愛しの勇人の家に戻る事にした♡
赤信号で止まると正面の海から強い風が吹きつけてくる。
12月に入ってるとは言えど、午前10時を少し過ぎる時間で太陽もしっかり雲から出て見えているにも拘らず手が凍えそうな寒さを感じる。
一応コートとヘルメットと手袋はしっかり着けているけど…ちょっとだけこの辺りの寒さを舐めていたかもしれない。
高校に通っていた頃はもう少し薄手の服で自転車で走り回っていたって言うのに…ちょっとスピード出しすぎかなぁ…
あっ信号変わった。
T字の交差点を右に曲がり走り続けていると『うみねこ街道』と描いてある看板を見つけ道なりに走っていくと5kmほど走った辺りで大悟さんの言っていた灯台が見えてきた。
これが見えてきたら確かそろそろ近いって言ってたと思うんだけど…?
とりあえずぐぐマップを開いて大悟さんにマークをつけてもらった辺りを目指して移動すると最後の目印の右手の沖に防波堤が見えてきて入り江になった海沿いに民家が肩を寄せ合う様に20件ぐらいかな?建っていた。
確かこの辺りの神社が大悟さんの実家だって聞いたと思うんだけど…
かなり近くまで来ている気がしたので原付バイクのエンジンを切って最後マップを出して確認しようとしていると大悟さんから電話がかかった。
「はーい大悟さん。」
『はいはーい。もうこっちからは見えてるよ。』
大悟さんに言われて周囲を見渡すと道沿いに左手の森に沿う感じに作られている石垣の上に朱色の塀と建物があり、その神社らしき建物の少し先に見える平屋の建物の入り口から大悟さんが顔を出して手を振ってる姿を見つけた。
「あ、見つけた♡そっちに行きますね~♪」
『はーい。』
建物の傍の駐輪場みたいな場所にバイクを停めてヘルメットを外しながら歩いて近付くと大悟さんがそのまま建物の中に招き入れてくれた。
「お待たせしました。」
「大丈夫だよ、俺も少し前にここら辺に戻ってきた所だから。」
「ここが大悟さんの実家?」
なんとなくだけどここって社務所か地域の集会所みたいな建物に見えるけど…?
「うちの実家はこの建物の正面の白い塀の所だよ。ここは俺の父が宮司をしていて姉が巫女さんの仕事をしてる所なんだ。とりあえず打合せも兼ねてここで話をするって言われたから俺もそのまま来たんだよ。」
実は今回大悟さんが年末休暇1ヶ月前にもかかわらず里帰りした理由は、妹さんの結婚に関する顔合わせをするかららしいの。
結婚する2人がお互いの家族にお互いのパートナーを紹介する場合には一緒に住んでいる家族の内で親等数の低い人の内で若い年齢の人から始めるという決まり事みたいなのがあるらしく、大悟さんの妹さんの場合自分の家族を紹介するなら大悟さんが最初に会う事になるのでこうして呼び出されたらしい。
それにしても…男の数が減ってる今のご時勢に大悟さんの妹さんに結婚する相手が居るって事がどうにも羨ましい。
もし叶うなら私も誰かと結婚して周囲の人から『あいつ完全に勝者エリアの住人になりやがった…くやしぃ~~!!!』みたいに思われたい。
…まぁ…その可能性ってかなり高い状態になってきてるんだけどねぇ~~♡
「それでさぁ、美香ちゃんも今回の顔合わせには参加する事になってるんだよね?」
8畳ぐらいの広さの和室に案内されてコートを脱いでハンガーに掛けていたら座卓に四点置かれた座椅子の内の1つに座った大悟さんが聞いてきた。
「えっ?…あ、そうでしたね。妹さんの相手の男が私の親戚だったので一応付き添いって訳じゃないんだけど『席に一緒に居られるなら居て欲しい』って親経由でお願いされました。」
おっと危ない危ない♡
勇人との幸せな新婚生活(妄想)が頭の中で展開されていて最初何を聞かれたのか理解できなかった♡
「確かこの間うちに来た苺が言ってたけど相手の男って美香ちゃんと同い年なんだって?」
掛けたコートの近くにヘルメットとマフラーと手袋を置いてセーターとジーンズ姿になった私も座椅子に座りつつ大悟さんの入れてくれたお茶を一口♡
「ふぅ~♡えぇ。確かあの子って今年地元の大学に行く事になってたはずなんだけど…私も会うのが…3年ぶりぐらいかな?だから正直な所どんな感じに育ってるのか分からなくて…」
たしか従兄弟の誠司君とは中学に通っていた頃に正月に1回程度は会っていたはずなんだけど…それ以降ほとんど会う事がなかったからなぁ…
一応覚えてるあの子の感じは確か…薄幸の美青年って感じでかなり線の細い子だった気がするけど…
でも確か…大悟さんの妹さんって少し前まで大悟さんしか見てなかったとか聞いた事があったんだけど…大悟さんとはまったく違う感じだったと思うんだけどなぁ…二人ってどこで知り合ったんだろ?
少しの間大悟さんと地元が思った以上に変わっていたって話をして盛り上がっていたら襖の辺りから声がかかった。
『失礼します』
そして音を立てずに襖が開くと和装の男女が襖の先の部屋に座ってこっちを向いて頭を下げていた。
わ~…なんか時代劇みたいな感じ♡
楚々とした立ち振る舞いの女性とこれまた楚々とした感じの男が続いて部屋に入ってきた。
あぁ、なんとなく面影がある気がする。たぶんこいつが私の従兄弟の誠司君だ。
軽くウェーブした髪が肩の辺りまでの長さでダークブラウンに染められていて、なんとなくなれて無い感じの和装で少しギクシャクした動きをしている誠司君が視線を上げたら私を見つけたのか笑顔になった。
「お久しぶりです美香さん。今回は僕のお願いを聞いてくれて本当にありがとう。」
確か男の人をエスコートするのはパートナーの女性だけって決まりがあったと思うのだが、誠司君1人で初対面の人と会うのが恥ずかしいのか大悟さんと面会するまで色々ごねたらしい。
そして私をすごく攻撃力の高そうな目で威嚇する大悟さんの妹の苺さん…
やめてよぉ…私の好みは大悟さんとか…その…私の婚約者の勇人なんだからさぁ~♡
そんなナヨンナヨンなフニャフニャオチンチンの男とかではもう…気持ちよくなれない体になってしまってるんだからさぁ~♡
…あっ、私はこの誠司君とはセックスした事は無いからね?
小さい頃に何度かお医者さんごっこで遊んだから柔らかいのを知ってるだけなんだからね?
とりあえず『その男にはまったく興味無いから安心していいからネッ?』と視線会話で念を押すと苺さんがやっと威嚇行為をやめてくれた。
まぁねぇ、彼女が自分の男を取られない様に気を張ってるのって正直理解できるんだよね。
だって、どっちの親族と先に顔合わせをするみたいな決まり事は無いけど、そもそも結婚に関する事での決定では、結婚する当事者の男の人か、お互いの家族の内のお父さんか、その次あたりに兄弟辺りが決定権を持っていたりする。
そして女は男の決定を受け入れるしか無いって状態だから…苺さんにとっては大悟さんと誠司君の顔合わせってすっごく大きな意味を持つ事なのよね。
だってここで大悟さんが、『こいつとの結婚とかダメだ!』みたいな事を言い出したら揉め事を嫌う男がこの縁談をやめる可能性が高い訳でさぁ、そもそも男からすれば女は選び放題だから少しでも面倒事がある様ならすぐ逃げるみたいだし…
それにもしそんな状態になったら親も自分の息子の意見なら無碍にはしないから『じゃぁ今回の縁談は無い方向で…』とかって考える事が多いらしくて、婚約者として親族に受け入れられて認知されるまではすごいプレッシャーがあるって話が『ハンター24』って結婚情報誌に書いてあった。
とりあえず当事者が揃ったので顔合わせ会が始まったのだけど…
なぜか私と大悟さんと苺さんしか話をしないのは…誠司君ってこんなにしゃべらない子だったかしら?
大悟さんに何か聞かれたら『あっ…はい』だとか『えぇ…そうです』とかって応えるだけでず~っとうつむいてるんだけど…
『ねぇ…苺さん?本当にこんなに何も言えない様な男で…本当に良いの?』
一応目で苺さんに問いかけてみたのだが彼女はかなり緊張しているみたいでまったく気付かない。
どうしよう…私そう言えば…今年の春頃から大悟さんと体の関係を持つ様になってから他の男とかまったく気にならなくなってたのと、それ以前にあの橋の下での出来事以来大悟さん以外をまったく見てなかったってのもあったんだけど…男の基準が変になってたりするのかなぁ…?
なんとなくだけどさぁ?
男の人ってこう…『ほら、触ってみても良いぞ?』とか言って勃起したおちんちんを顔の前に出す様な人が普通だって感じ…
ナルホド…そうか、やっと分かった。
私の考えてる普通の男って、大悟さんと勇人みたいなあっちの世界から来た男が標準になってるわぁ…
だから私って中学3年の正月辺りから誠司君とも会ってなかったんだ…
私にとっては男って何事にも動じない大昔に絶滅したって言われてる服を人の前で脱がされてもまったく隠さずに仁王立ちでおちんちんを曝せる様な『大和魂を持つ漢』ってのがデフォになってる…
※注釈
ここで言う男の価値感に関してですが、美香ちゃんの個人的な感覚を元にした考察であり、世の中の一般女性のそれでは無い事にご注意ください。
ずいぶん前から男の価値観が大きく変わっていた事に気づいてちょっとした動揺を感じつつも顔合わせは進み…
「では、今日はお時間をいただきありがとうございました。」
「いいえ。誠司君も苺の事を思ってくれている事がよく分かったし、正直ほっとしたよ。」
「あっ…ハイ…♡」
笑顔で声をかける大悟さんと頬を染めてうつむいてほとんど話せない誠司君…
なんだかこう…『お前ちんちん着いてるのか?!』って股間を鷲づかみしてやりたい気分になるんだけど…
私がここで何か言う必要は無いとなぜか勝手に荒ぶり始めた心を落ち着ける為に深呼吸をしていると苺さんが近づいてきた。
「今日はわざわざ来ていただいて申し訳ありません。」
柔らかい物腰で少しだけ険の取れた笑顔で苺さんが手を出してきた。
「いいえ。誠司君あんなだけど…本当に結婚する…のは分かったからその顔は止めてよ。」
私が苺さんに結婚を諦めさせようとでも考えてるとでも思ったのかまた苺さんの顔に般若が宿りながらこぶしが握られていたけど、スマホを取り出して自分の婚約者の勇人の画像を見せたらやっと理解してくれたらしく普通?の苺さんに戻ってくれた。
「また何かお願いする事があるかもしれませんが…その時はよろしくお願いします。」
「はい。よろしくお願いします。」
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