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58 一応おしまい
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冬が来る前に小春が美春さんに連れられて我が家を出て行った。
小春はギリギリまで抵抗したが、生活の収入のほとんどが姉の美春さん経由でもたらせられているという理由から逃げ道が存在しなかった。
「私はまだこの別館で楽しい人生を送る気だったのよぉ~~~~……」
車の窓から小春の悲痛な叫び声がいつまでも聞こえていた。
美春さんはあの後病院で検査してもらった結果見事妊娠していて、そのまま出産に向けて行動を開始した。
その結果別館を一度出て居を構える事になった。
ただ、美春さんは二人の子供を作る事を約束してるので、明日香が妊娠して無事出産した後か、年齢的にも35歳を越えない位にはもう一度戻ってきて二人目を作ると言う話になってる。
「二人居なくなっただけとは言っても少し寂しくなりましたね。」
相変わらず隷子は家の家事全般を担ってくれてる。
私がリビングでボーっとしてると豆から抽出する方法でコーヒーを入れてくれてそっと出してくれる。
「そういえば隷子はこのままで居る気なのか?そろそろ卒業も本決まりになったんだろ?」
隷子は私の座ってるソファーの近くに立ったまま少し悩んでるみたいな顔で居る。
「一応単位と卒論に関してはもう目処が立ってます。ただ…」
「就職先が決まってないのか?」
「あ、それも幾つか内定はもらって居ますが…」
「…やっぱりここに居たいのか?」
「…はい。今までこんなに優しく身内として遇して下さったご主人様は居ませんでした。だからもし適うならばずっと居たいのですが…」
そんな事を願っていたのだが、冬が過ぎて暖かくなる頃に隷子は薬学部を無事卒業して薬剤師としての資格も手に入れて地元に戻る事になった。
実家が医師の家系らしく実は婚約者まで居ると言う話を最近になって話してくれたんだが…
「なぁ隷子?その乳首のピアスと体の改造に関してはその…大丈夫なのか?」
「…実家に居られ無くなったらこっちに戻ってきても良いですか?」
なんとなく戻る為の布石として色々自分の体の改造をしてきたみたいな感じがした。
そして春が感じられ始めた頃に隷子は涙を目にいっぱい溜めながら飛行機で実家に帰って行った。
そして隷子が家から去りすぐに明日香の妊娠が判り、そのお祝いに集まった美春さんはこの辺りが梅雨に入るかどうかと言う頃に無事男の子を出産。そして次の年の京香の誕生日に近い頃に明日香も無事女の子を出産した。
新生児室をガラス越しに見ながら明日香と二人で新しく生まれてきた娘を見てると、明日香がこんな事を話してきた。
「京香を生んだ時と同じぐらい大変だったわ。」
私の腰に手を回してガラス越しに娘を見ながらなんとなく嬉しそうな顔をしてる。
「お疲れ様。私と明日香の子が無事に誕生して一安心って感じだな。」
「それにしても眞子ちゃんも秋穂ちゃんも出て行って少し寂しくなっちゃったわね。」
「確かにな。ずっと居続けるとはさすがに思ってなかったけど卒業前に二人とも出て行くとはな。」
眞子は同じ大学に通う男と付き合いだしてその男と同棲をするとか言って別館から出て行った。
秋穂は何か思う事が有るようで眞子が別館を出た辺りで一人暮らしをすると言って出て行った。
それが去年の9月頃だった。
夏の間は明日香がつわりでかなり辛そうにしてたので家事とかを頑張ってくれてたんだが、それがある程度収まって体調が戻ったらいきなりそんな話になって驚いた。
もしかしたら私と明日香に配慮してくれたのかもしれない。
そして私と明日香と京香と新しく我が家の家族になった邑香の4人での生活が始まったのだが…
年に1回位なのだが隷子も遊びに来るようになったし、眞子も秋穂も出て行った割には部屋はそのまま維持されてたりして、
「ちょっと喧嘩したから明さん抱いて!」
などと言って泊まりに来る。
さすがに言われるまま抱く事は無いのだが、彼女達の頭の中では私との体の関係はまだ続くのが普通だったらしい。
それとあの夏の日に京香と夏輝ちゃんを抱いたのだが、明日香が妊娠した辺りで体の関係をあまり欲しがらなくなった。
京香は自分の下に妹か弟が出来るのが楽しみだったようでそれまで週に1回程度体の関係を持っていたのが、完全に無くなった。たぶん私との関係を持った事でそれまでの疎外感を払拭できたみたいでいつでも私に甘えられる関係なのが心地よいらしくそれ以上を必要としなくなったって感じだろうか?
それと夏輝ちゃんは思った通りにクララ君と付き合うようになった。
そして最近クララ君は自分でアルバイトで稼いだお金で中古車を買ってそれで夏輝ちゃんとドライブを楽しんでるらしい。軽自動車に乗るかっこいい外人さんなので少しの間うちの近くでも話題に上がる事が多かったと明日香が井戸端会議で仕入れてきた情報を教えてくれた。
そして京香と夏輝ちゃんが高校にエスカレートで上がって通いはじめる頃にあの3人がうちに下宿する事になった。
実は別館を使う人がまったく居なくなった事でもったいないと言う話になった事から美春さんに相談した所、
「それなら設備としては十分に揃ってるんだから明日香が管理する形にして学生でも受け入れたら良いんじゃない?」
と提案してくれてそのまま必要な許可の取得などを全部やってくれた。
「今日からお世話になる日菜華です。」
「同じくお世話になる莉華子です。すごく勉強頑張ったんだよ!明さん♡」
「私も今日からよろしくです♪覚えてるよね?」
あの電車の中で出会って色々とあったあの高校生だった子が最初の下宿生としてうちに越してきた。
「忘れる訳が無いだろ?百恵ちゃん。二人もさっそく自分の部屋を確認してくれ。」
「「「は~~い♡」」」
大学生になった少女達が今度は押し掛けてきた。
眞子達も近くに住んでるし。美春さんも最近次の子を作る為にたまに泊まりに来るようになってまだまだ楽しい時間が過ぎて行きそうな気がする。
おしまい。
小春はギリギリまで抵抗したが、生活の収入のほとんどが姉の美春さん経由でもたらせられているという理由から逃げ道が存在しなかった。
「私はまだこの別館で楽しい人生を送る気だったのよぉ~~~~……」
車の窓から小春の悲痛な叫び声がいつまでも聞こえていた。
美春さんはあの後病院で検査してもらった結果見事妊娠していて、そのまま出産に向けて行動を開始した。
その結果別館を一度出て居を構える事になった。
ただ、美春さんは二人の子供を作る事を約束してるので、明日香が妊娠して無事出産した後か、年齢的にも35歳を越えない位にはもう一度戻ってきて二人目を作ると言う話になってる。
「二人居なくなっただけとは言っても少し寂しくなりましたね。」
相変わらず隷子は家の家事全般を担ってくれてる。
私がリビングでボーっとしてると豆から抽出する方法でコーヒーを入れてくれてそっと出してくれる。
「そういえば隷子はこのままで居る気なのか?そろそろ卒業も本決まりになったんだろ?」
隷子は私の座ってるソファーの近くに立ったまま少し悩んでるみたいな顔で居る。
「一応単位と卒論に関してはもう目処が立ってます。ただ…」
「就職先が決まってないのか?」
「あ、それも幾つか内定はもらって居ますが…」
「…やっぱりここに居たいのか?」
「…はい。今までこんなに優しく身内として遇して下さったご主人様は居ませんでした。だからもし適うならばずっと居たいのですが…」
そんな事を願っていたのだが、冬が過ぎて暖かくなる頃に隷子は薬学部を無事卒業して薬剤師としての資格も手に入れて地元に戻る事になった。
実家が医師の家系らしく実は婚約者まで居ると言う話を最近になって話してくれたんだが…
「なぁ隷子?その乳首のピアスと体の改造に関してはその…大丈夫なのか?」
「…実家に居られ無くなったらこっちに戻ってきても良いですか?」
なんとなく戻る為の布石として色々自分の体の改造をしてきたみたいな感じがした。
そして春が感じられ始めた頃に隷子は涙を目にいっぱい溜めながら飛行機で実家に帰って行った。
そして隷子が家から去りすぐに明日香の妊娠が判り、そのお祝いに集まった美春さんはこの辺りが梅雨に入るかどうかと言う頃に無事男の子を出産。そして次の年の京香の誕生日に近い頃に明日香も無事女の子を出産した。
新生児室をガラス越しに見ながら明日香と二人で新しく生まれてきた娘を見てると、明日香がこんな事を話してきた。
「京香を生んだ時と同じぐらい大変だったわ。」
私の腰に手を回してガラス越しに娘を見ながらなんとなく嬉しそうな顔をしてる。
「お疲れ様。私と明日香の子が無事に誕生して一安心って感じだな。」
「それにしても眞子ちゃんも秋穂ちゃんも出て行って少し寂しくなっちゃったわね。」
「確かにな。ずっと居続けるとはさすがに思ってなかったけど卒業前に二人とも出て行くとはな。」
眞子は同じ大学に通う男と付き合いだしてその男と同棲をするとか言って別館から出て行った。
秋穂は何か思う事が有るようで眞子が別館を出た辺りで一人暮らしをすると言って出て行った。
それが去年の9月頃だった。
夏の間は明日香がつわりでかなり辛そうにしてたので家事とかを頑張ってくれてたんだが、それがある程度収まって体調が戻ったらいきなりそんな話になって驚いた。
もしかしたら私と明日香に配慮してくれたのかもしれない。
そして私と明日香と京香と新しく我が家の家族になった邑香の4人での生活が始まったのだが…
年に1回位なのだが隷子も遊びに来るようになったし、眞子も秋穂も出て行った割には部屋はそのまま維持されてたりして、
「ちょっと喧嘩したから明さん抱いて!」
などと言って泊まりに来る。
さすがに言われるまま抱く事は無いのだが、彼女達の頭の中では私との体の関係はまだ続くのが普通だったらしい。
それとあの夏の日に京香と夏輝ちゃんを抱いたのだが、明日香が妊娠した辺りで体の関係をあまり欲しがらなくなった。
京香は自分の下に妹か弟が出来るのが楽しみだったようでそれまで週に1回程度体の関係を持っていたのが、完全に無くなった。たぶん私との関係を持った事でそれまでの疎外感を払拭できたみたいでいつでも私に甘えられる関係なのが心地よいらしくそれ以上を必要としなくなったって感じだろうか?
それと夏輝ちゃんは思った通りにクララ君と付き合うようになった。
そして最近クララ君は自分でアルバイトで稼いだお金で中古車を買ってそれで夏輝ちゃんとドライブを楽しんでるらしい。軽自動車に乗るかっこいい外人さんなので少しの間うちの近くでも話題に上がる事が多かったと明日香が井戸端会議で仕入れてきた情報を教えてくれた。
そして京香と夏輝ちゃんが高校にエスカレートで上がって通いはじめる頃にあの3人がうちに下宿する事になった。
実は別館を使う人がまったく居なくなった事でもったいないと言う話になった事から美春さんに相談した所、
「それなら設備としては十分に揃ってるんだから明日香が管理する形にして学生でも受け入れたら良いんじゃない?」
と提案してくれてそのまま必要な許可の取得などを全部やってくれた。
「今日からお世話になる日菜華です。」
「同じくお世話になる莉華子です。すごく勉強頑張ったんだよ!明さん♡」
「私も今日からよろしくです♪覚えてるよね?」
あの電車の中で出会って色々とあったあの高校生だった子が最初の下宿生としてうちに越してきた。
「忘れる訳が無いだろ?百恵ちゃん。二人もさっそく自分の部屋を確認してくれ。」
「「「は~~い♡」」」
大学生になった少女達が今度は押し掛けてきた。
眞子達も近くに住んでるし。美春さんも最近次の子を作る為にたまに泊まりに来るようになってまだまだ楽しい時間が過ぎて行きそうな気がする。
おしまい。
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