私の娘という少女

marks

文字の大きさ
上 下
21 / 58

21 あの時起きていた事

しおりを挟む
明日香あすかさんを視界に収めているだけであの頃の毎日が思い出されてくる。
一緒に下校した時の景色、休日に一緒に映画を見に行った時の食い入るようにしてみている横顔、ちょっとした冗談で頬を膨らますほどに怒った時のそっぽを向いて「知らないっ!もう!」と言っていた時の顔…
初めての時の終わって嬉し涙を流してくれた時の笑顔の様な泣き顔…
卒業して少しして忙しくなり、「あまり頻繁には会えなくなりそう。」と言って来た時の寂しそうな顔…

「最後に会ったのって…」
「卒業式が終わって何度かお互いの家に行った時でしたね…」
「そっか…あの時が最後だったのか…」

少しの間昔話で懐かしんでいると、思い出した様に明日香さんが聞いてきた。
「そう言えば最近京香きょうか達があなたの事を詳しく聞きたがってたんだけど…もしかしてその事で何かあったの?」
「ん?最近聞いてきた?」
「えぇ。いつかしら…たぶん今学期に入った頃だったかしら?親戚の眞子まこちゃんとか他にも友人と一緒にあきら君の事を詳しく聞きたがってたのよ。」
少し懐かしそうな顔でそんな事を言う明日香さん…

最近の話なのか?ずいぶん昔から眞子達は話を聞いてたみたいな事を言ってたよな…
「その時にはどんな話を?」
「…ふふっ。少し男の人には言えないような事。」
微笑むような顔になりそんな事を言うか?

とりあえず眞子と秋穂あきほが泊まりに着ていた事を教えてその後2人が帰ったら京香ちゃんが来て話をしてくれた事を説明すると顔が辛そうな感じになった。

「そう…京香はそんな事をあなたに言ったの…」
「明日香さんは…こんな事を聞くのは失礼かもしれないですが…あまり夫婦仲は良く無いのですか?」
明日香さんは眉を少し寄せ、少し考えて、答えてくれた。
「そうね…そもそも結婚した経緯はもう知ってるのよね…今更隠してもしょうがないわよね…」

それから明日香さんの夫婦の事や、私の前から急に姿を消した理由を説明をしてくれた。

大学に入りカリキュラムなどを決めサークル等も色々見て周り新歓コンパなどに誘われて友人と一緒に色々見て回ってた頃の話らしい。
そのコンパの席で今の旦那さんと知り合ったそうだ。
「明日香ちゃんって言うの?よろしくねっ。」
最初馴れ馴れしいと思いつつも先輩になる人だし年齢的にも大人の男性にしか見えなかった事から言われるままに飲んで、ずっと一緒に居たらしい。そして2次会などにもそのまま参加させられて、途中から記憶が曖昧になって行くのを感じ、「そろそろ帰らないといけない。」という話をしたら、家まで送って行くと言う話になり、そこらで記憶が無くなったそうだ。

そして気づいたらその現在の旦那さんが一緒のベッドで裸で寝ていたらしい。
その後の言い訳で、「家まで送って行こうとしたら明日香ちゃんがまだ帰りたくないって言い出してしょうがなく俺のアパートまで連れてきた」と…
記憶にまったく無い状態だったので、それが本当か嘘かも追及出来ずに帰ろうとしたら、そのまままた組み伏せられて犯されたと…

目に涙を溜めながら話してくれた。

そして、1週間後ぐらいにやっと開放されて家に戻って大学の事を色々処理してたら毎日のように付き纏われ強引にアパートまで連れて行かれ…
そんな状況で私を裏切ったという強い後ろめたさがあり、どうしても電話をすることが出来なくてずるずるとそんな付き合いを続けていたそうだ。

そんな生活が2ヶ月ほど続いた頃に体の異常を感じたそうだ。
生理が来てない。

ただ、1ヶ月2ヶ月の生理不順は環境の変化や長時間の運動の後などで来ない事も結構あったので、大学に通う様になって環境が大きく変わった事からのストレスから遅れているだけじゃないかと考えたらしい。
本当はそうかもしれないと思いつつも、確定させる事がとても怖かったと泣きながら話してくれた。

そして4ヶ月が過ぎる頃にさすがにおかしいと言うことになり、検査薬で確認した所、懐妊していた。
その話を旦那さんにすると、最初「降ろせ」という話になっていたらしいのだが、周囲の人との話し合いの結果、「結婚するなら生む」と言う話になって行ったらしい。
どうもその頃に旦那さんのおばあちゃんがかなり危険な状況だったらしく、そこらが「ひ孫が見たい」とか言って来たのが話が変わっていった原因のようだ。

そして明日香さんと旦那さんはそろって大学を辞めて明日香さんは子供を生む準備と旦那さんは仕事を探すと言う状態になったらしい。

その後次の年の1月に京香が生まれたそうだ。

その後は京香に聞いてた事とほとんど同じで、最初はそれでも良い夫婦になろうとお互い励ましあいながら生活していたが、不景気で仕事が無くなり実家に生活拠点を移動した頃から夫婦の仲が一気に冷めて行ったそうだ。
そして旦那さんの親が揃って事故死した事で決定的に不仲になったと。
旦那さん曰く、家に戻って来なくなったのは、明日香さんが自分を騙したからだそうだ。
京香ちゃんの容姿が自分に似てないと。

京香ちゃんはどっちかと言えば明日香さんに似ているだけでそれを自分に似てないからといちゃもんを付けてくるとかどうにも信じられない。
そもそも家に戻らないと言うことは泊まれる所が有るって事だから…単なるいい訳だな。

「自分が流された結果だから誰にも文句は言えないのだけれど…明君にだけは謝りたかったの…本当にごめんなさい。」
そう言って深く頭を下げてくれた。
下げた顔からテーブルに雫が2個3個…

そうか…嫌われて連絡を取らなくなった訳ではなかったのか…
私も、明日香さんが大学に行くようになって急に連絡が途絶えた事で、色々考えていたのだが…
大人の男が周囲に多く居る状態になって私との関係が子供のままごとにでも感じて消えたんじゃないか?とか、もっと良い男が現れて完全に忘れられたんじゃないか?などとずいぶんと考えたものだが…

「私は勘違いしていたんだな。明日香さん、気づけなくて悪かったね。もしの話になるんだけど、今の旦那さんと別れる事になったら私の所に来る気は無いか?」
明日香さんには、私の提案は理解するまでに少し時間が掛かった様だった。
最初聞いた時の顔は「はっ?」という感じで、段々驚いた顔になり、その後諦めた様な顔になった。
「勝手に消えておいて…辛いからって、じゃぁ明君に養ってもらう…みたいにはさすがに考えられないわ…提案自体はとても嬉しいけど…」

私が知ってる明日香さんなら、そう言うだろうな。
そして自分だけで京香ちゃんを育てようとするだろう。

ただ…私は彼女達に少しだけ鍛えられたので、こういう状況でどうすれば良いかはもう判っている。
席を立ちゆっくりとテーブルを回るように明日香さんに近づいていく。
戸惑うような顔で私を見上げる明日香さん。
「あの…明君?どうしたの?急に喋らなくなって…近づいてきて…」
たぶん明日香さんも今から私がしようとしている事がうっすらとだが判っているのだろうな。
席を立ち両手を私の方に突き出すようにして、
「それ以上近づいてきてはだめよ。私はあなたに相応しくないわ。」
そう言って部屋から走って逃げようとするので腕を掴みそのまま抱きしめるように胸の所に抱き止める。
少しの間腕を私の胸に押し当て逃げようともがいていたが、片腕で腰を抱き首を持ってキスしたらすぐに抵抗が無くなって行った。
最初背中を殴って抵抗していたが、口の中を蹂躙されていったらそのまま私の背中を抱くようにしてキスを受け入れてくれた。

「明日香さんの味だな…」
私はたぶん笑っていたと思う。

そんな私を見上げるようにして少しだけ頬を赤く染め眉間にしわを作りながら、
「こんな事して知らないんだからね?私自分のものだって思ったら付きまとうんだから責任とってもらうわよ?」
そう言ってきた時の明日香産の顔は笑顔だった。

その言葉はお互いが初体験の時に私の家の私の部屋で私が焦りながら明日香さんを押し倒して、事が終わった時に私の体の下で明日香さんが言った言葉だった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

女豹の恩讐『死闘!兄と妹。禁断のシュートマッチ』

コバひろ
大衆娯楽
前作 “雌蛇の罠『異性異種格闘技戦』男と女、宿命のシュートマッチ” (全20話)の続編。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/329235482/129667563/episode/6150211 男子キックボクサーを倒したNOZOMIのその後は? そんな女子格闘家NOZOMIに敗れ命まで落とした父の仇を討つべく、兄と娘の青春、家族愛。 格闘技を通して、ジェンダーフリー、ジェンダーレスとは?を描きたいと思います。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

処理中です...