6 / 9
06 とあるゲーマスの苦悩
しおりを挟む
「まさかなぁ…こんな事になるとは…」
古代ローマのトーガ風衣装を着込み髪を高く結い上げ南国のリゾート地でちょっと年配のおば様たちが年甲斐も無く思わずハイビスカスを飾りに使っちゃって痛いイメージを振りまいてそうなオブジェを盛り沢山状態で装着している女…
まぁ、そこそこ可愛い女が溜息吐きつつ左のモニターを見ている。
右手には5ボタンワイヤレス光学マウスを持ち左手の下にはキータッチがとても良いと評判のREALFORCEシリーズのキーボード、それとモニターの下の辺りに液晶ペンタブレットやスマホ用ゲームコントローラーとPC用のコントローラー…
どっぷり頭までゲーム浸かった完全依存している廃課金ゲーマーのような装備品が山盛りになっていた。
左に顔を向けると3個並んだ一番左のモニターに男が1人無菌室の様な場所に寝させられ…体中に器具が取り付けられている。
「ログイン状態のまま意識が無くなると戻れないのかぁ…これってあいつら理解してるのかなぁ…」
今度は右のモニターに目を向けると、そこに映っているのはどこかの家の中の部屋らしい。
テーブルとソファーのセットが設置してあり、アイランドキッチンが見え…テーブルを挟んで反対側には50インチ位のテレビが置いてあった。
室内は空調が効いているらしくそこそこ涼しい環境の様でプリントTシャツを着た腕に包帯を巻いた青年と少しやつれた雰囲気の40代位の女性がテーブルに着いて各々の手元にあるアイスコーヒーが注がれたグラスに視線を向けている。
「なんかごめんね宮元君。時間取らせちゃったみたいで…」
「えっ?…あぁ…それはまぁ…」
宮元と呼ばれた男の顔にはガーゼが貼られていて左のまゆ毛が無くなっている。
「それで…あの子がゲームしながらお湯をこぼしたのが原因だったって話だから今のところ保険がどんな感じになるかがまだ分からなくってね。」
「あ、いや…俺も一緒にあの部屋に居たのにあいつが食べながらゲームしてたの止めなかったんで…俺の事は気にしなくてもいいですから。」
「本当にごめんね宮本君。」
女の方が涙ぐみながら頭を下げているのを苦いものでも飲み込んだ様な顔で見ている宮元。
モニターの前で溜息を吐く古代ローマ風な女。
「この宮元って奴、地獄行き決定ね。」
女がキーボードとマウスを動かし真ん中のモニターに表示してあったなにやら幾何学模様の映像の中に座標系が回転している。
座標系から伸びたラインの先にはタブが表示されていて『MIYAMOTO』と表記があり、座標系のそばに『心理モニター』と書いてあるラベルがあり✔ボタンが表示されている。
女がマウスカーソルを映像の下のシークバーに合わせてゆっくり戻して行くと、モニターの中で謝っていた女と宮元と呼ばれていた男の画像が止まり急速巻き戻しがしばらく表示され…別の映像が映る。
場所は左のモニターの中の男が寝ている部屋の中とガラスで仕切られた控え室の様な場所で、宮元と女とその女の旦那さんと医者が椅子に座って話をしていた。
そして皆を見下ろす様に立って話を聞いているスーツ姿の男が二人。
1人は年配のかなりくたびれた中年で、もう1人はそこそこ若い男。
はぁー…やっべぇよ…なんでカップ麺こぼしたら火が出ちゃうの?
これって俺のせいじゃないよな?
あいつが掃除してなかったせいだから…
医者が手元のタブレット画面を見ながら説明をしている。
「…今のところ生体反応はあるので意識が戻る可能性はありますが…強い火の中にいたのが原因だと思いますが…肺の機能が著しく落ちている状態です。一応人工呼吸器で補っていますが…まだまだ予断を許さない状態です。」
医者が容態の説明をしてくれて分かったのだが…あいつ…死ぬかもしれないって…
じゃぁさぁ…火を出した責任って俺が背負わなくても良いよな?
宮元の顔が小さく笑みを浮かべた。
部屋の中に重たい沈黙の空気が漂う中、立っていた男が声を出した。
「君は同じ部屋に居たんだったよね?なんで彼は奥の部屋に逃げて行ったんだと思う?」
「えっ?!」
あっ…やべっ…声が変な感じになった…
このおっさんずっと俺の事見てるけど…嘘ついたのがばれてるって事…無いよな?
「彼が…春樹君が自分の部屋のリビングでゲーム機を使って遊んでいる時君はトイレに行っていたってって言っていたと思うが…なぜ君が驚いてトイレから出るほどに火の勢いが強い状態で春樹君は奥の部屋に逃げたんだと思う?」
…あぁ…そうか、間取りから考えたら逃げるならそっちに行かないはずって思ってるって訳だな。
「実は…これ春樹がナイショにしてくれって言ってたから…言えなかったんだけど…あいつちょっとその…アレなフィギュアを集める趣味持ってたんだ。それをどうしても助けたかったんだと思うんだけど…奥の部屋から一回荷物を持って出てきて…もう一回戻って行ったんだ…」
春樹のお母さんとその旦那さんがすごく残念な息子を見る目でガラスでの先で寝ている春樹を見ている。
「そうか…君が持って逃げたバッグに入っていたのが春樹君が持ってきた物だった訳か。」
なんかこのおっさんの顔…すごく腹が立つなぁ…
ちなみに俺が持って出た物は俺が家に置いておいて家族にでも見られたら…非常~~に危険な物で…春樹の部屋に預けておいた物だったんだけど…
一応回収したのは良いけどどう言って誤魔化したらいいのか分からなかったんだよな。
だけど…春樹がこのまま死ぬなら…
「あぁ、あいつがどうしても…死んでも守りたいって言ってたお宝だから…グズッ…」
なんか俺…役者の素質とかあるんじゃね?
頭の中でこんなストーリーって想像しながら話をしてたら春樹が火に包まれた奥の部屋からバッグを投げて『俺の宝をたのむぅ~~!』みたいに言ってきたシーンで思わず涙が出てきたし♡
「…辛い事を思い出させたようだな、悪かったね。」
「グズッ…いいえ。」
なんかおっさんと若い男が耳打ちして話をしてるけど…これで大丈夫かな?
「この宮元って奴…クズね。」
さて…さすがにこのまま春樹君を死なせるのは目覚めが悪いんだけど…一応説明ぐらいしないといけないわよね…
「まったく…」
古代ローマのトーガ風衣装を着込み髪を高く結い上げ南国のリゾート地でちょっと年配のおば様たちが年甲斐も無く思わずハイビスカスを飾りに使っちゃって痛いイメージを振りまいてそうなオブジェを盛り沢山状態で装着している女…
まぁ、そこそこ可愛い女が溜息吐きつつ左のモニターを見ている。
右手には5ボタンワイヤレス光学マウスを持ち左手の下にはキータッチがとても良いと評判のREALFORCEシリーズのキーボード、それとモニターの下の辺りに液晶ペンタブレットやスマホ用ゲームコントローラーとPC用のコントローラー…
どっぷり頭までゲーム浸かった完全依存している廃課金ゲーマーのような装備品が山盛りになっていた。
左に顔を向けると3個並んだ一番左のモニターに男が1人無菌室の様な場所に寝させられ…体中に器具が取り付けられている。
「ログイン状態のまま意識が無くなると戻れないのかぁ…これってあいつら理解してるのかなぁ…」
今度は右のモニターに目を向けると、そこに映っているのはどこかの家の中の部屋らしい。
テーブルとソファーのセットが設置してあり、アイランドキッチンが見え…テーブルを挟んで反対側には50インチ位のテレビが置いてあった。
室内は空調が効いているらしくそこそこ涼しい環境の様でプリントTシャツを着た腕に包帯を巻いた青年と少しやつれた雰囲気の40代位の女性がテーブルに着いて各々の手元にあるアイスコーヒーが注がれたグラスに視線を向けている。
「なんかごめんね宮元君。時間取らせちゃったみたいで…」
「えっ?…あぁ…それはまぁ…」
宮元と呼ばれた男の顔にはガーゼが貼られていて左のまゆ毛が無くなっている。
「それで…あの子がゲームしながらお湯をこぼしたのが原因だったって話だから今のところ保険がどんな感じになるかがまだ分からなくってね。」
「あ、いや…俺も一緒にあの部屋に居たのにあいつが食べながらゲームしてたの止めなかったんで…俺の事は気にしなくてもいいですから。」
「本当にごめんね宮本君。」
女の方が涙ぐみながら頭を下げているのを苦いものでも飲み込んだ様な顔で見ている宮元。
モニターの前で溜息を吐く古代ローマ風な女。
「この宮元って奴、地獄行き決定ね。」
女がキーボードとマウスを動かし真ん中のモニターに表示してあったなにやら幾何学模様の映像の中に座標系が回転している。
座標系から伸びたラインの先にはタブが表示されていて『MIYAMOTO』と表記があり、座標系のそばに『心理モニター』と書いてあるラベルがあり✔ボタンが表示されている。
女がマウスカーソルを映像の下のシークバーに合わせてゆっくり戻して行くと、モニターの中で謝っていた女と宮元と呼ばれていた男の画像が止まり急速巻き戻しがしばらく表示され…別の映像が映る。
場所は左のモニターの中の男が寝ている部屋の中とガラスで仕切られた控え室の様な場所で、宮元と女とその女の旦那さんと医者が椅子に座って話をしていた。
そして皆を見下ろす様に立って話を聞いているスーツ姿の男が二人。
1人は年配のかなりくたびれた中年で、もう1人はそこそこ若い男。
はぁー…やっべぇよ…なんでカップ麺こぼしたら火が出ちゃうの?
これって俺のせいじゃないよな?
あいつが掃除してなかったせいだから…
医者が手元のタブレット画面を見ながら説明をしている。
「…今のところ生体反応はあるので意識が戻る可能性はありますが…強い火の中にいたのが原因だと思いますが…肺の機能が著しく落ちている状態です。一応人工呼吸器で補っていますが…まだまだ予断を許さない状態です。」
医者が容態の説明をしてくれて分かったのだが…あいつ…死ぬかもしれないって…
じゃぁさぁ…火を出した責任って俺が背負わなくても良いよな?
宮元の顔が小さく笑みを浮かべた。
部屋の中に重たい沈黙の空気が漂う中、立っていた男が声を出した。
「君は同じ部屋に居たんだったよね?なんで彼は奥の部屋に逃げて行ったんだと思う?」
「えっ?!」
あっ…やべっ…声が変な感じになった…
このおっさんずっと俺の事見てるけど…嘘ついたのがばれてるって事…無いよな?
「彼が…春樹君が自分の部屋のリビングでゲーム機を使って遊んでいる時君はトイレに行っていたってって言っていたと思うが…なぜ君が驚いてトイレから出るほどに火の勢いが強い状態で春樹君は奥の部屋に逃げたんだと思う?」
…あぁ…そうか、間取りから考えたら逃げるならそっちに行かないはずって思ってるって訳だな。
「実は…これ春樹がナイショにしてくれって言ってたから…言えなかったんだけど…あいつちょっとその…アレなフィギュアを集める趣味持ってたんだ。それをどうしても助けたかったんだと思うんだけど…奥の部屋から一回荷物を持って出てきて…もう一回戻って行ったんだ…」
春樹のお母さんとその旦那さんがすごく残念な息子を見る目でガラスでの先で寝ている春樹を見ている。
「そうか…君が持って逃げたバッグに入っていたのが春樹君が持ってきた物だった訳か。」
なんかこのおっさんの顔…すごく腹が立つなぁ…
ちなみに俺が持って出た物は俺が家に置いておいて家族にでも見られたら…非常~~に危険な物で…春樹の部屋に預けておいた物だったんだけど…
一応回収したのは良いけどどう言って誤魔化したらいいのか分からなかったんだよな。
だけど…春樹がこのまま死ぬなら…
「あぁ、あいつがどうしても…死んでも守りたいって言ってたお宝だから…グズッ…」
なんか俺…役者の素質とかあるんじゃね?
頭の中でこんなストーリーって想像しながら話をしてたら春樹が火に包まれた奥の部屋からバッグを投げて『俺の宝をたのむぅ~~!』みたいに言ってきたシーンで思わず涙が出てきたし♡
「…辛い事を思い出させたようだな、悪かったね。」
「グズッ…いいえ。」
なんかおっさんと若い男が耳打ちして話をしてるけど…これで大丈夫かな?
「この宮元って奴…クズね。」
さて…さすがにこのまま春樹君を死なせるのは目覚めが悪いんだけど…一応説明ぐらいしないといけないわよね…
「まったく…」
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
Go to the Frontier(new)
鼓太朗
ファンタジー
「Go to the Frontier」改訂版
運命の渦に導かれて、さぁ行こう。
神秘の世界へ♪
第一章~ アラベスク王国編
第三章~ ラプラドル島編

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる