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ここは…?
俺達が今居る部屋は、たぶんどこかの安いラブホテルか何かではないかと、思われるが…だって部屋の中に冷蔵庫もテレビも無いし。
「テレビが無いのはそこまで気にならないけど、パソコン端末ぐらいはあってもいい気がするんだけどなぁ…」
なんとなくレトロな雰囲気のコンセプトに沿って作られた部屋なのかもしれないけど、燭台とオイルランプしか灯りが無いってのは、さすがにやりすぎじゃないか?
昨今非常時案内のフットライトぐらいはあって当然だと思うんだが、そこも全て排除するぐらいに気合が入ってるラブホ…なんて訳ないよなぁ。
建築基準法で決まってる非常用照明装置なんかは設置義務があるはずだから、絶対無いといけないし、建物の大きさによってはスプリンクラーなども設置してないとまずいはず。にもかかわらずその様な保安設備が無いって事は、想定よりもずっと昔って事になりそうだが…
俺は、部屋に一か所だけある窓に掛かっている光が透けて見えるカーテンをそっと開いて見た。
「モダンな街並みって奴?」
目の前には2車線のアスファルトの道路が左右に走っていて、けっこうそこら中にひび割れて水溜りになった場所が見える。
歩道には石レンガの様な素材が敷き詰められていて、等間隔に電信柱が建っていて縦横無尽に近くの建物に電線が繋がっている。
なんとなくどこかの都会になりつつある田舎の街並みって感じだろうか?
ベッドタウンとかって言葉が似合いそうな民家が集まってる少し大きな集落って感じに見える
「そう言えばあんなポリバケツみたいなのが電信柱にくっついてるの見た事あるなぁ。確か子供の頃に田舎にあった気がするなぁ…」
おそらく変圧器らしき物が、そこらじゅうの電信柱に付いてるのがちょっと懐かしい気がする大吾だった。
「んっ…あれっ?パパ?」
窓の外を見てると後ろから朱美の声が聞こえてきた。
大吾が振り返ると、そこにはさきほどまで胸元がはち切れそうな具合の女性が着ていたパジャマを着て、目元を擦りながらアヒル座りであくびをしてる朱美が居た。
「あれっ?!…お前…朱美…だよね?」
俺の問いかけに少しだけ眉の辺りにしわを寄せつつ見上げる様に睨む朱美。
「あんただれよ?…大樹お兄ちゃんじゃなくて…?だれ?」
なんとなく朱美の視線が俺の体の顔の辺りから足の辺りまでをじっくり見てため息を吐いた感じがした。
「そのため息の意味はあえて聞かないけど、あーまぁそうだな。俺は大樹じゃないけど…」
どうも朱美は今の俺が真吾や蒼大、大和辺りとは似てないって言いたいみたいだな。真琴と朱里とユカちゃんのDNAが有るのと無いのではかなり美形レベルが違うみたいだ。
「あなたが誰でもいいわ。パパは?大吾パパはどこにいるの?」
朱美に聞かれて自分の体を見下ろしてみれば、昨日朱美が寝てからメイドさんが持って来てくれた黒いスエットの上下が見えた。ちなみにずいぶんとダブついてる感じだった。
脚のあたりとか昔流行ったルーズソックスレベルで皺が寄ってる。
上のスエットは尻まで完全に隠れるブカブカサイズになっていた。
「さすがにこれではパパに見えないか…」
「はぁ?あなたがパパな訳がないでしょ?バカなの?死ぬの?死ぬなら見えない所でやってね?」
おっと、朱美は俺の居ない所では、そこそこ毒舌さんなんだね。突き放し方がいっそ清々しい♪
「まぁそうだな。俺が大吾だって証明するのは、母さん達の事とか、家の事とかを説明したら、理解してもらえると思うが、それより朱美だよ。おまえさっきまであんなに大きなオッパイだったのに、今はなんでそんななの?」
あっ、聞き方間違えたかもしれない。朱美が胸元を両手で隠して小動物なら視線だけで殺れそうな感じに睨んできた。
「っと、質問を変えるね。お前さっきまでたぶん大人の女みたいな体になってたはずだけど何したの?」
今度は大丈夫そうかな?なんとなく『えっ?大人の女って私の事?』みたいなちょっと喜んでる感じの顔になった。
「私が…大人の女だったの?」
こいつ今俺の事を知らん奴と思ってるのにこんな言葉を鵜吞みにするとか大丈夫か?
朱美が俺をまだ信じられてない感じの視線でチラチラ見つつも、自分のパジャマの胸元を引っ張って凹凸のまったくなくなった、今まで通りの自分の胸元を見てる。
「あぁ、胸とか鞠子…さんまでじゃないけど、喜美華さんぐらいのサイズで下もボー…コホン。お尻の辺りも朱里さんみたいなすごい体になってたよ?」
『私のお母さん達を呼び捨てとかどういうつもり?さんを付けろよこのチンカスが!』なんて考えてそうな朱美の視線を受け取った俺は即対応した。
「え~私って、喜美華母さんの胸と朱里母さんのお尻になってたのぉ~♡」
目がキラキラだなぁ…朱里のヒップラインはモデル体型だから嬉しいのは分かるが、喜美華さんの胸は普通の人からすれば大きすぎるって感じにみられる事が多かったと思うが、なんで朱美は喜んだのだろうか?
「これで大きくなったらパパがもっと私の事を好きになってくれる~♡」
どうも俺の好みをそこはかとなく理解してる感じ?
「まぁあれだ、俺が好きな体形の話は今は置いておくとして、朱美は自分が大人の体になってた事に気付いてなかったのか?」
「目がさめたら自分の事を『パパだよ』って言ってるこどもがいたのよ?もしかしたらまだ夢をみてるのかもしれないなって思ってるし」
なるほど。確かに夢の可能性があるのか…ちなみに俺の夢なら…
「バカ!アホ!死ね!」
朱美のパジャマの胸元を引っ張って中を見たら、流れる様なグーパン1発と往復ビンタ2発をくらった。
「今度同じ事したらあんたの股間を同じ目に遇わせてやるんだから!」ガチャッ!バン!!
朱美はすごい捨てセリフを吐いて部屋のドアを開けて出て行った。
「おっふぅ…朱美はなかなかいい腕を持ってるみたいだ、そこらのチカン程度なら十分に殺れる。それにしても股間に攻撃するって宣言は一応優しさなんだろうか?俺の育った元の世界でなら宣言無しで玉潰されてもおかしくないもんなぁ…おっと…」
ヒザがガクガクするのを騙しつつ、なんとかベッドに両手をかけて立ち上がると、朱美がついさっき出て行ったドアが勢い良く開いた。
「ちょっとぉ!ここどこなの?!パパはどこに行ったの?!」
朱美がドアを勢いよく締めながら目に涙を溜めつつドアに背を預けて聞いて来た。
「とりあえずそこらも含めて今分かってる事を説明するからちょっとこっちに来て座らない?」
「…まさか私をりょーじゅ…りょーじょくする気?」
「そういう事は俺の下半身をその気にさせられる体を持ってから言ってくれ」
俺はなんとか立ち上がり、サイドボードの横に置いてあったちょっと猫脚ラインの椅子を引っ張ってきて座りつつベッドを指さした。
とりあえず室内には小さなテーブルとセットのイスが2脚。ちなみにテーブルの上には何に使うのか分からないが、小さなハンドベルの様なモノが置いてある。
「ねぇ、小吾君、ミネラルウォーターかグリーンティー買って来て」
「お前今、ナチュラルに人を使おうとしたか?って言うか小悟君って誰だよ?」
朱美はベッドにお姉さん座り?って言うのか?そんな座り方しつつ室内を見回しながらお願いしてきた。
なんか朱美が俺にお願いする時って、いつもはもっとこう…パパ大好きっ♡って感情がたわわに感じられるんだけど、今はそんな大好きがまったく感じられない。
「なぁいつもみたいに『パパぁ~朱美ね、パパと一緒にジュース飲みたいなぁ~だめ~?』って感じにお願いしなおしてくれない?」
「はぁ?!なんで私があなたにそんな…………ねぇ、あなたどこでその話を聞いたの?」
おっと、朱美の目がなんとなくだけど、ヒットマンか鉄砲玉かゴルーゴさん辺りに連絡とりそうな感じに座ってきた気がする。
「待てって、そんな怖い目をするなってば。朱美がパパの事を好きなのはみんな知ってるだろ?」
「まぁ…知ってると思うけど…」
ちょっと嬉し恥ずかしいって感じか?
「とりあえず今から俺の知ってる朱美の事を洗いざらいしゃべってもいいけど、たぶんそんな事をしゃべったらお前俺を殺るよね?」
「どんな探偵を使ったのか知らないけどそいつもろともぶっつぶす」
「だから怖いってば!まぁそんな訳で、朱美と大吾パパだけしか知らない事を答えたら信じてくれるか?」
けっこうギリギリな攻防と言うか質疑応答と言うか。
10歳未満の女の子ってこんなに怖い事言うのか?
一応うちって庶民というか、ちょっと裕福な感じの家になったかも?って感じに俺は思ってたんだけど、俺の子の人数が10人を超えた辺りから、メイドさんが色々武器を携帯する様になった。そこらでそこそこ裕福な家庭になったのかもしれないなぁなんて思ってたんだが…
どうも俺の知らない所で探偵とかヒットマンなんてのがこっそり裏で動く程度にやべぇ家になってたらしい。
どこまで朱美が本気で言ってるのかまだ分からないけどね。
「私と大吾パパしか知らない事?…まぁそれなら…」
「じゃぁ朱美が俺に聞いた事に答えるのでいいか?」
「…まぁいいけど」
「じゃぁ二人だけが知ってる事を聞いてくれ♪俺は朱美の事ならだれよりも知ってるぞ♪なんならオムツも何度も換えて来たんだ。知らない事など何もない!どうぞ♪」
ん?なんで朱美、ちょっと引いてる感じの顔になった?俺そこまで変な事は言ってないよね?
「まぁそれじゃぁ…私と大吾パパがさいごにいっしょにお風呂に入ったのっていつ?」
「ふっ、そんなのスマホの写真を見れば全部確認できるぞ♪えーっと……………俺のスマホどこ?」
「………………」
「あっ、ちょっとタイム!そんなスマホを片時も手放さない状態のおっさんに日付を聞くとか無茶だぞ?!もっとこう、朱美がお風呂でオシッコ漏らした日とか、ウンチ漏らした日なら、衝撃的だったからさすがに…覚え…ア、ゴメンナサイ。シツレイシマシタ。もう言いません。ハイ」
振りかぶった握り拳と目で会話するのってちょっと卑怯じゃないか?
って言うか朱美って感情に直結してるみたいに手が出てる気がするけど、これって幼女の振る舞いとしては普通なんだろうか?
俺の知ってる幼女の怒り方って、ほっぺたを膨らまして『怒ってるんだからね!プンプン!』みたいな感じで腰に手を当ててる姿がデフォなんだけど…?
これはもう古いイメージなんだろうか?令和の時代は腕力に訴える系が主流なのか?
「まったく…じゃぁ…あーこれならパパならおぼえてると思う。私がいちばんさいしょにキスしたお兄ちゃんはだれ?そしてその次は?これならパパなら答えられるよね?」
確か昨日、朱美の部屋に来る時に抱っこしながら聞いた話だったな…
「えーっと確か最初が大樹で……次が、真吾じゃなかった…?」
「ブー!残念でした~♪君はこれから小悟君ね♪」
なんとなく嬉しそうな顔を見せる朱美…?
「あれっ?合ってなかった?でも朱美から聞いたのでは…うちの男の子連中全員とキスしてて最初は大樹だったって……えっ?次が違ってたって事か?大?それとも大臣?ってか真吾って言ってなかった??」
「ざんね~ん♡まちがってます~♪さぁ、君がパパかどうかなんてもういいわ。それで?ここどこなの?なんでこんなドいなかに私たちが来てるの?」
気付いたらうやむやにされた感じだけど…なんかちょっとだけ距離感が近くなった気がする様な?
まいっか。
俺達が今居る部屋は、たぶんどこかの安いラブホテルか何かではないかと、思われるが…だって部屋の中に冷蔵庫もテレビも無いし。
「テレビが無いのはそこまで気にならないけど、パソコン端末ぐらいはあってもいい気がするんだけどなぁ…」
なんとなくレトロな雰囲気のコンセプトに沿って作られた部屋なのかもしれないけど、燭台とオイルランプしか灯りが無いってのは、さすがにやりすぎじゃないか?
昨今非常時案内のフットライトぐらいはあって当然だと思うんだが、そこも全て排除するぐらいに気合が入ってるラブホ…なんて訳ないよなぁ。
建築基準法で決まってる非常用照明装置なんかは設置義務があるはずだから、絶対無いといけないし、建物の大きさによってはスプリンクラーなども設置してないとまずいはず。にもかかわらずその様な保安設備が無いって事は、想定よりもずっと昔って事になりそうだが…
俺は、部屋に一か所だけある窓に掛かっている光が透けて見えるカーテンをそっと開いて見た。
「モダンな街並みって奴?」
目の前には2車線のアスファルトの道路が左右に走っていて、けっこうそこら中にひび割れて水溜りになった場所が見える。
歩道には石レンガの様な素材が敷き詰められていて、等間隔に電信柱が建っていて縦横無尽に近くの建物に電線が繋がっている。
なんとなくどこかの都会になりつつある田舎の街並みって感じだろうか?
ベッドタウンとかって言葉が似合いそうな民家が集まってる少し大きな集落って感じに見える
「そう言えばあんなポリバケツみたいなのが電信柱にくっついてるの見た事あるなぁ。確か子供の頃に田舎にあった気がするなぁ…」
おそらく変圧器らしき物が、そこらじゅうの電信柱に付いてるのがちょっと懐かしい気がする大吾だった。
「んっ…あれっ?パパ?」
窓の外を見てると後ろから朱美の声が聞こえてきた。
大吾が振り返ると、そこにはさきほどまで胸元がはち切れそうな具合の女性が着ていたパジャマを着て、目元を擦りながらアヒル座りであくびをしてる朱美が居た。
「あれっ?!…お前…朱美…だよね?」
俺の問いかけに少しだけ眉の辺りにしわを寄せつつ見上げる様に睨む朱美。
「あんただれよ?…大樹お兄ちゃんじゃなくて…?だれ?」
なんとなく朱美の視線が俺の体の顔の辺りから足の辺りまでをじっくり見てため息を吐いた感じがした。
「そのため息の意味はあえて聞かないけど、あーまぁそうだな。俺は大樹じゃないけど…」
どうも朱美は今の俺が真吾や蒼大、大和辺りとは似てないって言いたいみたいだな。真琴と朱里とユカちゃんのDNAが有るのと無いのではかなり美形レベルが違うみたいだ。
「あなたが誰でもいいわ。パパは?大吾パパはどこにいるの?」
朱美に聞かれて自分の体を見下ろしてみれば、昨日朱美が寝てからメイドさんが持って来てくれた黒いスエットの上下が見えた。ちなみにずいぶんとダブついてる感じだった。
脚のあたりとか昔流行ったルーズソックスレベルで皺が寄ってる。
上のスエットは尻まで完全に隠れるブカブカサイズになっていた。
「さすがにこれではパパに見えないか…」
「はぁ?あなたがパパな訳がないでしょ?バカなの?死ぬの?死ぬなら見えない所でやってね?」
おっと、朱美は俺の居ない所では、そこそこ毒舌さんなんだね。突き放し方がいっそ清々しい♪
「まぁそうだな。俺が大吾だって証明するのは、母さん達の事とか、家の事とかを説明したら、理解してもらえると思うが、それより朱美だよ。おまえさっきまであんなに大きなオッパイだったのに、今はなんでそんななの?」
あっ、聞き方間違えたかもしれない。朱美が胸元を両手で隠して小動物なら視線だけで殺れそうな感じに睨んできた。
「っと、質問を変えるね。お前さっきまでたぶん大人の女みたいな体になってたはずだけど何したの?」
今度は大丈夫そうかな?なんとなく『えっ?大人の女って私の事?』みたいなちょっと喜んでる感じの顔になった。
「私が…大人の女だったの?」
こいつ今俺の事を知らん奴と思ってるのにこんな言葉を鵜吞みにするとか大丈夫か?
朱美が俺をまだ信じられてない感じの視線でチラチラ見つつも、自分のパジャマの胸元を引っ張って凹凸のまったくなくなった、今まで通りの自分の胸元を見てる。
「あぁ、胸とか鞠子…さんまでじゃないけど、喜美華さんぐらいのサイズで下もボー…コホン。お尻の辺りも朱里さんみたいなすごい体になってたよ?」
『私のお母さん達を呼び捨てとかどういうつもり?さんを付けろよこのチンカスが!』なんて考えてそうな朱美の視線を受け取った俺は即対応した。
「え~私って、喜美華母さんの胸と朱里母さんのお尻になってたのぉ~♡」
目がキラキラだなぁ…朱里のヒップラインはモデル体型だから嬉しいのは分かるが、喜美華さんの胸は普通の人からすれば大きすぎるって感じにみられる事が多かったと思うが、なんで朱美は喜んだのだろうか?
「これで大きくなったらパパがもっと私の事を好きになってくれる~♡」
どうも俺の好みをそこはかとなく理解してる感じ?
「まぁあれだ、俺が好きな体形の話は今は置いておくとして、朱美は自分が大人の体になってた事に気付いてなかったのか?」
「目がさめたら自分の事を『パパだよ』って言ってるこどもがいたのよ?もしかしたらまだ夢をみてるのかもしれないなって思ってるし」
なるほど。確かに夢の可能性があるのか…ちなみに俺の夢なら…
「バカ!アホ!死ね!」
朱美のパジャマの胸元を引っ張って中を見たら、流れる様なグーパン1発と往復ビンタ2発をくらった。
「今度同じ事したらあんたの股間を同じ目に遇わせてやるんだから!」ガチャッ!バン!!
朱美はすごい捨てセリフを吐いて部屋のドアを開けて出て行った。
「おっふぅ…朱美はなかなかいい腕を持ってるみたいだ、そこらのチカン程度なら十分に殺れる。それにしても股間に攻撃するって宣言は一応優しさなんだろうか?俺の育った元の世界でなら宣言無しで玉潰されてもおかしくないもんなぁ…おっと…」
ヒザがガクガクするのを騙しつつ、なんとかベッドに両手をかけて立ち上がると、朱美がついさっき出て行ったドアが勢い良く開いた。
「ちょっとぉ!ここどこなの?!パパはどこに行ったの?!」
朱美がドアを勢いよく締めながら目に涙を溜めつつドアに背を預けて聞いて来た。
「とりあえずそこらも含めて今分かってる事を説明するからちょっとこっちに来て座らない?」
「…まさか私をりょーじゅ…りょーじょくする気?」
「そういう事は俺の下半身をその気にさせられる体を持ってから言ってくれ」
俺はなんとか立ち上がり、サイドボードの横に置いてあったちょっと猫脚ラインの椅子を引っ張ってきて座りつつベッドを指さした。
とりあえず室内には小さなテーブルとセットのイスが2脚。ちなみにテーブルの上には何に使うのか分からないが、小さなハンドベルの様なモノが置いてある。
「ねぇ、小吾君、ミネラルウォーターかグリーンティー買って来て」
「お前今、ナチュラルに人を使おうとしたか?って言うか小悟君って誰だよ?」
朱美はベッドにお姉さん座り?って言うのか?そんな座り方しつつ室内を見回しながらお願いしてきた。
なんか朱美が俺にお願いする時って、いつもはもっとこう…パパ大好きっ♡って感情がたわわに感じられるんだけど、今はそんな大好きがまったく感じられない。
「なぁいつもみたいに『パパぁ~朱美ね、パパと一緒にジュース飲みたいなぁ~だめ~?』って感じにお願いしなおしてくれない?」
「はぁ?!なんで私があなたにそんな…………ねぇ、あなたどこでその話を聞いたの?」
おっと、朱美の目がなんとなくだけど、ヒットマンか鉄砲玉かゴルーゴさん辺りに連絡とりそうな感じに座ってきた気がする。
「待てって、そんな怖い目をするなってば。朱美がパパの事を好きなのはみんな知ってるだろ?」
「まぁ…知ってると思うけど…」
ちょっと嬉し恥ずかしいって感じか?
「とりあえず今から俺の知ってる朱美の事を洗いざらいしゃべってもいいけど、たぶんそんな事をしゃべったらお前俺を殺るよね?」
「どんな探偵を使ったのか知らないけどそいつもろともぶっつぶす」
「だから怖いってば!まぁそんな訳で、朱美と大吾パパだけしか知らない事を答えたら信じてくれるか?」
けっこうギリギリな攻防と言うか質疑応答と言うか。
10歳未満の女の子ってこんなに怖い事言うのか?
一応うちって庶民というか、ちょっと裕福な感じの家になったかも?って感じに俺は思ってたんだけど、俺の子の人数が10人を超えた辺りから、メイドさんが色々武器を携帯する様になった。そこらでそこそこ裕福な家庭になったのかもしれないなぁなんて思ってたんだが…
どうも俺の知らない所で探偵とかヒットマンなんてのがこっそり裏で動く程度にやべぇ家になってたらしい。
どこまで朱美が本気で言ってるのかまだ分からないけどね。
「私と大吾パパしか知らない事?…まぁそれなら…」
「じゃぁ朱美が俺に聞いた事に答えるのでいいか?」
「…まぁいいけど」
「じゃぁ二人だけが知ってる事を聞いてくれ♪俺は朱美の事ならだれよりも知ってるぞ♪なんならオムツも何度も換えて来たんだ。知らない事など何もない!どうぞ♪」
ん?なんで朱美、ちょっと引いてる感じの顔になった?俺そこまで変な事は言ってないよね?
「まぁそれじゃぁ…私と大吾パパがさいごにいっしょにお風呂に入ったのっていつ?」
「ふっ、そんなのスマホの写真を見れば全部確認できるぞ♪えーっと……………俺のスマホどこ?」
「………………」
「あっ、ちょっとタイム!そんなスマホを片時も手放さない状態のおっさんに日付を聞くとか無茶だぞ?!もっとこう、朱美がお風呂でオシッコ漏らした日とか、ウンチ漏らした日なら、衝撃的だったからさすがに…覚え…ア、ゴメンナサイ。シツレイシマシタ。もう言いません。ハイ」
振りかぶった握り拳と目で会話するのってちょっと卑怯じゃないか?
って言うか朱美って感情に直結してるみたいに手が出てる気がするけど、これって幼女の振る舞いとしては普通なんだろうか?
俺の知ってる幼女の怒り方って、ほっぺたを膨らまして『怒ってるんだからね!プンプン!』みたいな感じで腰に手を当ててる姿がデフォなんだけど…?
これはもう古いイメージなんだろうか?令和の時代は腕力に訴える系が主流なのか?
「まったく…じゃぁ…あーこれならパパならおぼえてると思う。私がいちばんさいしょにキスしたお兄ちゃんはだれ?そしてその次は?これならパパなら答えられるよね?」
確か昨日、朱美の部屋に来る時に抱っこしながら聞いた話だったな…
「えーっと確か最初が大樹で……次が、真吾じゃなかった…?」
「ブー!残念でした~♪君はこれから小悟君ね♪」
なんとなく嬉しそうな顔を見せる朱美…?
「あれっ?合ってなかった?でも朱美から聞いたのでは…うちの男の子連中全員とキスしてて最初は大樹だったって……えっ?次が違ってたって事か?大?それとも大臣?ってか真吾って言ってなかった??」
「ざんね~ん♡まちがってます~♪さぁ、君がパパかどうかなんてもういいわ。それで?ここどこなの?なんでこんなドいなかに私たちが来てるの?」
気付いたらうやむやにされた感じだけど…なんかちょっとだけ距離感が近くなった気がする様な?
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