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第四章 死んだ原因?
100 黒田のやろうとしている事1/2
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「お前…黒田、なんでお前がここに居る?」
俺はつかさちゃんを背に庇う位置に移動してから、一先ずこの場の主導権を取る為に声をかけた。
「この部屋は私が用意して管理している部屋だからだよ。つかさ、私と佐藤は少し話があるから君は隣の部屋に行って診てもらいなさい。」
黒田はこの部屋に入る時に使ったらしい鍵を指で摘まんで揺らして見せている。
さっきつかさちゃんが部屋に入る時に使っていた鍵と良く似たタイプのギザギザがまったく無いタイプの鍵だった。
たぶんスペアキーか何かなんだろうな。…もしかしたらだが、この建物全てがこいつの管理下に在るって事は…さすがに無いか?
「…ハイ。じゃぁキヨシ…またね。」
お気に入りのオモチャでも取り上げられた子供のような顔で俺を見て部屋からつかさちゃんが出て行った。
黒田がこの部屋に居る事で、少し前から自分がいつの間にか妙な渦中に放り込まれていた様な気がした。
…詳しく言うと、あのトイレからの黒田との会話のあれこれが全て伏線だった様に感じた。
「なぁ黒田、お前ってどっち側の人間なんだ?ちなみにここで言うどっち側って言うのはつかさちゃんを使って何か悪い事をしてる方なのかどうかって意味だ。妙な言い回しとかはいらんぞ?」
俺と黒田の距離は大体4mほど…たぶん俺の脚力なら瞬きする間に近付いて一撃入れられる。
「佐藤は昔から自分の感情をうまく抑制する事が出来る奴だと思っていたが、つかさはお前の庇護欲をかなり強く沸き立たせることに成功した様だな。」
…黒か?さすがにまだ確定して無いか…
今の黒田の会話から分かるのは俺の行動を詳しく知っていると言う事…だろう。それとさっき、この部屋は自分が管理しているって言ったか?
だとすればどこかにカメラでも設置されていたかも…まさか俺がつかさちゃんにフェラされている時の顔とかこいつ見たのか?!まさか…あのベッドルームでモースタイルで尻を舐められながら手でしてもらった姿も?!?!
いや、あの姿はどこから見られていたかが一番重要だ!後ろからの映像ならまだ俺の株が上がるチャンスがあるが…顔側から映されていたとすれば…こいつを亡き者にする算段をつけなければならなくなるが…それ以上にまずいのが…
首筋に冷や汗を感じた…さすがにトイレの中でしたあの行為は…見られて無いよ…な?
何にしても、黒田に対して少なくない殺意が湧き上がってきた俺は普通だよな?
もしかしたら黒田以外にも観察者が居たとすれば…そいつらもどうにかして口を…俺の痴態を見られたかもしれない事に関してはとりあえず後で確認するとして、話を戻そう。
今回の黒田が俺をここに連れてきてからの一連の企みに、会社の相当上の方までが関与している事は確定だ。
今朝方つかさちゃんと一緒に食事をしている時に電話で1回会社に連絡を入れたのだが、黒田とつかさちゃんの話の通り、俺が今日休む事は連絡が入っていた。
そして…湯島部長…俺の部署の長は、急遽今朝になって予定に無かった出張に行く事が決まったらしく、連絡が取れない状態になっていた。
これって部署として何か大きな問題でもあったのか?と、なんとなく思っていたのだが…
「とりあえず私がどっち側かと言う問いに答える前に一つだけ佐藤に確認しておくぞ。お前は湯島部長達と一緒になって、つかさ達を食い物にしていた訳じゃないな?」
断定する様に確認してきた黒田。
…つかさ達?
「俺はその事をついさっきお前に聞いたつもりでいたが?」
どういう意味だ?俺がつかさちゃんを搾取している側の人間だって誤解されていたのか?
「ふっ…それは無いな。私がつかさの事を知ったのは今から1年ぐらい前の事だ。その時のつかさは薬漬けにされて何も考えられない状態で奴隷の様に扱われていたよ。」
気になるワードが出てきたな、つかさちゃんの体から感じた嫌な臭いの元は俺の想像通り、精神的にやられてしまうタイプの薬によるものだったと…だが、それを証明するのは今は黒田の証言のみ…さすがにこいつの言う言葉を鵜呑みには出来ないが…
「色々考えているな。まぁ当然だな、俺は今日まで高円寺専務と2人だけで内定を進めてきたが…他の連中と違って佐藤だけは心の内をまったく見せずに居たからなぁ。お前よぉ、ちょっと怖いぞ?」
さっきまでの仕事場的フィールドでの会話のイメージを黒田は脱ぎ捨てた様に口調が少し変わった。
「一応会社には俺が休む事は連絡が行っていたし湯島部長はなぜか今朝から出張に行ってるみたいだし…お前が裏で動いたって事だよな?」
黒田はネクタイを緩めながらソファーの背もたれに体を投げ出す様に座り俺にも座る様に促してきた。
「まぁそうだな。高円寺専務が主導になって会社のクズ共を一掃する様に動いてる所だ。お前は湯島部長の影響下には入ってなかったと一応判断できたから、これからいきさつを説明する。だからそんな所に立ってないで座れって。」
とりあえず安易に黒田の言葉を信じた訳ではないが、一応こいつからの情報だけでも手に入れておかないと俺自身の身の振り様が無いので促されるまま黒田の正面のソファーに座り話を聞く事にした。
そして黒田が話してくれた内容に俺は正直驚いた。
どうも俺の部署の湯島部長と社長が中心になった集団が、つかさちゃんの様な少女を、社内社外、色々な場所でハニートラップだったり報酬としてだったりに使い、裏で勢力を広げる様な事をしていたらしい。
そしてそんな行為を社長と湯島部長が行っている事は上層部ではある程度周知されていたそうだが、…と言うか、社長が社長になった理由につかさちゃん達の様な少女達がいた事が大きなウェイトを占めていたらしく、少し前までの会社のほとんどの首脳陣が関与していた様な状態だったらしい。
そして高円寺専務は身内に警察関係の権力者が居る事から、社長達から情報を限定された状態で居たらしい。
どこまでが本当なのか、俺には今調べ様が無いが、黒田が言うには高円寺専務は外部につかさちゃん達の様な少女を斡旋する場所に伝があるといった感じに説明されていたそうだ。
だが、高円寺専務の元に社長側から届いていた情報と、独自の情報網から届く情報に少なからず差異が有った事から、腹心の黒田を使い調査してみた結果、つかさちゃん達の様な家畜の様に扱われていた少女達の存在を見つける事が出来たらしい。
そして…黒田から聞かされた話によると、つかさちゃんが寝物語に話をしてくれた生い立ちの記憶は彼女の心を守る為に作り上げられた虚構の話であったらしい。
つかさちゃんは少し前からこの部屋に連れて来られて男の相手をさせられる様になったと言っていたが、黒田が自分で確認した話では、つかさちゃんは5歳になる前から性的に搾取され続けていたらしい。
そんな生活を続けていて最後の頃には薬漬けにされた状態で廃人一歩前と言った状態で運良く黒田に救出されたらしい。
「つかさと同じ様な状態だったのが3人。他の子達はまだ幼かったので薬などは使われてなかったから、そのまま遠くの孤児院などに入れて里親を探してもらった。一応何人かが引き取られてそれ以外の子達も今では普通に生活できる様になってきているそうだが…つかさはその中でもかなり危ない状態だった。だから最初、薬を抜く為にこの部屋を用意して幻覚を見て自傷行為をしない様に人をずっと傍に置いて居たんだが、つかさは男を見ると相手をしなければならないと刷り込まれていたので正気に戻る前に暗示をかけてここに連れて来られて男の相手をさせられていると思わせた。…ちょっと長くなったが、まぁざっとこんな感じか?他に聞きたい事はあるか?」
話の途中で黒田がローテーブルの下から出してきたペットボトルのお茶を受け取っていたのでそれを口に含んで少し考えてみた。
…ここで問題になるのは、高円寺専務と黒田が湯島部長と社長のやっていた事をどの様に収めるかだ。
話の内容に関してはもう疑ってもしょうがないだろう。
黒田の話が本当であれば俺がどう動いても勝手になる様になるだろう。
もし俺が邪魔をする様な動きをしたとしても、確実に対処できると確証が持てたから黒田は動いたはずだ。
それにこの話が嘘であったとしても今の俺にはそれを調べる術が無い。
腕力にモノを言わせて聞きだす事が…今の俺になら出来るかもしれないが…それはあの男みたいな奴が裏に居た場合に色々面倒になる可能性が高い。
出来るならば慎重に動きたい。
こいつらが、社長と湯島部長の後釜に座ってウッハウハ♡…は、さすがに無いだろうな。
俺の知っている高円寺専務はその手の悪事をとても嫌う人だ。
それと、黒田の話を元につかさちゃんを1日…半日か?見てきた事を思い返すと、違和感のアレやコレがある程度納得できてしまう気がする。
「そう言えばつかさちゃん…生みの親を知らないって言ってたけど…」
この辺りの事はもしかしたら聞かない方が良いかと思ったが、黒田がどっち側で動く気なのかの判断材料になるかもしれないと思い聞いてみた。
「あぁ、これは…あまり言いたくないが、俺が調べた中では湯島部長と社長が人を外部から調達していたのは20年ぐらい前までだった。だから…これは俺の想像になるが、つかさ達は調達された女が生んだ子だと思われる。」
「だとすれば…つかさちゃんって…もしかしなくても戸籍とかは?」
「当然今は無い。だが、会社の掃除が終わったら俺か、高円寺専務か…まぁつかさが気に入った男の下で戸籍を手に入れて生活する事になると考えているが…」
…あっ、こいつ今俺をその保護者枠に入れたな。
「とりあえずつかさを保護してくれると言うのであれば、今回運悪く湯島部長がお亡くなりになってしまった結果空いた部長の席が佐藤の元に転がり込んでくるかもしれないが…」
…こいつ今の話を規定路線で動く気でいるな。
「それにしてもよぉ、会社で面倒な事をしていたそろそろ亡き者になる部長の後釜って…けっこうな罰ゲームじゃないか?」
「そうか?でもこれからは高円寺社長の下で俺とお前が会社を動かす事になるんだぞ?今まで羽振りの良かった甘い汁を吸っていた様な奴らはみんな地方の営業所とか下請け会社に移動させられるから、かなり良い思いが出来ると思うが?」
黒田の言う事は今までの話に嘘が無いならばその通りになるだろう。
だが…もう一つ気になる事がある。
「今日外で、俺か、つかさちゃんを刺そうとして来た男は何だったんだ?あれはお前の元で動いた何かか?それとも想定外か?」
「…そう言えば男が1人二人に近付いていたのは映像で見たが…刺そうとしていたって言うのはどういう事だ?」
黒田の顔が急に真剣味を帯びた。
「あの男は懐からナイフを出そうとしていたからちょっとだけ痛い目に遭ってもらったが…お前が用意した奴じゃなかったのか?」
「…そんな奴が…いや…でも…あいつらは…」
急に俺を放置して思考状態に入り小さな声でブツブツ言いながら動かなくなった黒田だが…もう1個聞きたい事があったのだが、どうしよう…
俺にとってはこの部屋のどこにカメラが設置されているのかの方がもっと重要なんだが…
もしトイレにカメラが置いてあるならその映像はどうあっても破棄させなければならない。
俺の人生を賭けても。
俺はつかさちゃんを背に庇う位置に移動してから、一先ずこの場の主導権を取る為に声をかけた。
「この部屋は私が用意して管理している部屋だからだよ。つかさ、私と佐藤は少し話があるから君は隣の部屋に行って診てもらいなさい。」
黒田はこの部屋に入る時に使ったらしい鍵を指で摘まんで揺らして見せている。
さっきつかさちゃんが部屋に入る時に使っていた鍵と良く似たタイプのギザギザがまったく無いタイプの鍵だった。
たぶんスペアキーか何かなんだろうな。…もしかしたらだが、この建物全てがこいつの管理下に在るって事は…さすがに無いか?
「…ハイ。じゃぁキヨシ…またね。」
お気に入りのオモチャでも取り上げられた子供のような顔で俺を見て部屋からつかさちゃんが出て行った。
黒田がこの部屋に居る事で、少し前から自分がいつの間にか妙な渦中に放り込まれていた様な気がした。
…詳しく言うと、あのトイレからの黒田との会話のあれこれが全て伏線だった様に感じた。
「なぁ黒田、お前ってどっち側の人間なんだ?ちなみにここで言うどっち側って言うのはつかさちゃんを使って何か悪い事をしてる方なのかどうかって意味だ。妙な言い回しとかはいらんぞ?」
俺と黒田の距離は大体4mほど…たぶん俺の脚力なら瞬きする間に近付いて一撃入れられる。
「佐藤は昔から自分の感情をうまく抑制する事が出来る奴だと思っていたが、つかさはお前の庇護欲をかなり強く沸き立たせることに成功した様だな。」
…黒か?さすがにまだ確定して無いか…
今の黒田の会話から分かるのは俺の行動を詳しく知っていると言う事…だろう。それとさっき、この部屋は自分が管理しているって言ったか?
だとすればどこかにカメラでも設置されていたかも…まさか俺がつかさちゃんにフェラされている時の顔とかこいつ見たのか?!まさか…あのベッドルームでモースタイルで尻を舐められながら手でしてもらった姿も?!?!
いや、あの姿はどこから見られていたかが一番重要だ!後ろからの映像ならまだ俺の株が上がるチャンスがあるが…顔側から映されていたとすれば…こいつを亡き者にする算段をつけなければならなくなるが…それ以上にまずいのが…
首筋に冷や汗を感じた…さすがにトイレの中でしたあの行為は…見られて無いよ…な?
何にしても、黒田に対して少なくない殺意が湧き上がってきた俺は普通だよな?
もしかしたら黒田以外にも観察者が居たとすれば…そいつらもどうにかして口を…俺の痴態を見られたかもしれない事に関してはとりあえず後で確認するとして、話を戻そう。
今回の黒田が俺をここに連れてきてからの一連の企みに、会社の相当上の方までが関与している事は確定だ。
今朝方つかさちゃんと一緒に食事をしている時に電話で1回会社に連絡を入れたのだが、黒田とつかさちゃんの話の通り、俺が今日休む事は連絡が入っていた。
そして…湯島部長…俺の部署の長は、急遽今朝になって予定に無かった出張に行く事が決まったらしく、連絡が取れない状態になっていた。
これって部署として何か大きな問題でもあったのか?と、なんとなく思っていたのだが…
「とりあえず私がどっち側かと言う問いに答える前に一つだけ佐藤に確認しておくぞ。お前は湯島部長達と一緒になって、つかさ達を食い物にしていた訳じゃないな?」
断定する様に確認してきた黒田。
…つかさ達?
「俺はその事をついさっきお前に聞いたつもりでいたが?」
どういう意味だ?俺がつかさちゃんを搾取している側の人間だって誤解されていたのか?
「ふっ…それは無いな。私がつかさの事を知ったのは今から1年ぐらい前の事だ。その時のつかさは薬漬けにされて何も考えられない状態で奴隷の様に扱われていたよ。」
気になるワードが出てきたな、つかさちゃんの体から感じた嫌な臭いの元は俺の想像通り、精神的にやられてしまうタイプの薬によるものだったと…だが、それを証明するのは今は黒田の証言のみ…さすがにこいつの言う言葉を鵜呑みには出来ないが…
「色々考えているな。まぁ当然だな、俺は今日まで高円寺専務と2人だけで内定を進めてきたが…他の連中と違って佐藤だけは心の内をまったく見せずに居たからなぁ。お前よぉ、ちょっと怖いぞ?」
さっきまでの仕事場的フィールドでの会話のイメージを黒田は脱ぎ捨てた様に口調が少し変わった。
「一応会社には俺が休む事は連絡が行っていたし湯島部長はなぜか今朝から出張に行ってるみたいだし…お前が裏で動いたって事だよな?」
黒田はネクタイを緩めながらソファーの背もたれに体を投げ出す様に座り俺にも座る様に促してきた。
「まぁそうだな。高円寺専務が主導になって会社のクズ共を一掃する様に動いてる所だ。お前は湯島部長の影響下には入ってなかったと一応判断できたから、これからいきさつを説明する。だからそんな所に立ってないで座れって。」
とりあえず安易に黒田の言葉を信じた訳ではないが、一応こいつからの情報だけでも手に入れておかないと俺自身の身の振り様が無いので促されるまま黒田の正面のソファーに座り話を聞く事にした。
そして黒田が話してくれた内容に俺は正直驚いた。
どうも俺の部署の湯島部長と社長が中心になった集団が、つかさちゃんの様な少女を、社内社外、色々な場所でハニートラップだったり報酬としてだったりに使い、裏で勢力を広げる様な事をしていたらしい。
そしてそんな行為を社長と湯島部長が行っている事は上層部ではある程度周知されていたそうだが、…と言うか、社長が社長になった理由につかさちゃん達の様な少女達がいた事が大きなウェイトを占めていたらしく、少し前までの会社のほとんどの首脳陣が関与していた様な状態だったらしい。
そして高円寺専務は身内に警察関係の権力者が居る事から、社長達から情報を限定された状態で居たらしい。
どこまでが本当なのか、俺には今調べ様が無いが、黒田が言うには高円寺専務は外部につかさちゃん達の様な少女を斡旋する場所に伝があるといった感じに説明されていたそうだ。
だが、高円寺専務の元に社長側から届いていた情報と、独自の情報網から届く情報に少なからず差異が有った事から、腹心の黒田を使い調査してみた結果、つかさちゃん達の様な家畜の様に扱われていた少女達の存在を見つける事が出来たらしい。
そして…黒田から聞かされた話によると、つかさちゃんが寝物語に話をしてくれた生い立ちの記憶は彼女の心を守る為に作り上げられた虚構の話であったらしい。
つかさちゃんは少し前からこの部屋に連れて来られて男の相手をさせられる様になったと言っていたが、黒田が自分で確認した話では、つかさちゃんは5歳になる前から性的に搾取され続けていたらしい。
そんな生活を続けていて最後の頃には薬漬けにされた状態で廃人一歩前と言った状態で運良く黒田に救出されたらしい。
「つかさと同じ様な状態だったのが3人。他の子達はまだ幼かったので薬などは使われてなかったから、そのまま遠くの孤児院などに入れて里親を探してもらった。一応何人かが引き取られてそれ以外の子達も今では普通に生活できる様になってきているそうだが…つかさはその中でもかなり危ない状態だった。だから最初、薬を抜く為にこの部屋を用意して幻覚を見て自傷行為をしない様に人をずっと傍に置いて居たんだが、つかさは男を見ると相手をしなければならないと刷り込まれていたので正気に戻る前に暗示をかけてここに連れて来られて男の相手をさせられていると思わせた。…ちょっと長くなったが、まぁざっとこんな感じか?他に聞きたい事はあるか?」
話の途中で黒田がローテーブルの下から出してきたペットボトルのお茶を受け取っていたのでそれを口に含んで少し考えてみた。
…ここで問題になるのは、高円寺専務と黒田が湯島部長と社長のやっていた事をどの様に収めるかだ。
話の内容に関してはもう疑ってもしょうがないだろう。
黒田の話が本当であれば俺がどう動いても勝手になる様になるだろう。
もし俺が邪魔をする様な動きをしたとしても、確実に対処できると確証が持てたから黒田は動いたはずだ。
それにこの話が嘘であったとしても今の俺にはそれを調べる術が無い。
腕力にモノを言わせて聞きだす事が…今の俺になら出来るかもしれないが…それはあの男みたいな奴が裏に居た場合に色々面倒になる可能性が高い。
出来るならば慎重に動きたい。
こいつらが、社長と湯島部長の後釜に座ってウッハウハ♡…は、さすがに無いだろうな。
俺の知っている高円寺専務はその手の悪事をとても嫌う人だ。
それと、黒田の話を元につかさちゃんを1日…半日か?見てきた事を思い返すと、違和感のアレやコレがある程度納得できてしまう気がする。
「そう言えばつかさちゃん…生みの親を知らないって言ってたけど…」
この辺りの事はもしかしたら聞かない方が良いかと思ったが、黒田がどっち側で動く気なのかの判断材料になるかもしれないと思い聞いてみた。
「あぁ、これは…あまり言いたくないが、俺が調べた中では湯島部長と社長が人を外部から調達していたのは20年ぐらい前までだった。だから…これは俺の想像になるが、つかさ達は調達された女が生んだ子だと思われる。」
「だとすれば…つかさちゃんって…もしかしなくても戸籍とかは?」
「当然今は無い。だが、会社の掃除が終わったら俺か、高円寺専務か…まぁつかさが気に入った男の下で戸籍を手に入れて生活する事になると考えているが…」
…あっ、こいつ今俺をその保護者枠に入れたな。
「とりあえずつかさを保護してくれると言うのであれば、今回運悪く湯島部長がお亡くなりになってしまった結果空いた部長の席が佐藤の元に転がり込んでくるかもしれないが…」
…こいつ今の話を規定路線で動く気でいるな。
「それにしてもよぉ、会社で面倒な事をしていたそろそろ亡き者になる部長の後釜って…けっこうな罰ゲームじゃないか?」
「そうか?でもこれからは高円寺社長の下で俺とお前が会社を動かす事になるんだぞ?今まで羽振りの良かった甘い汁を吸っていた様な奴らはみんな地方の営業所とか下請け会社に移動させられるから、かなり良い思いが出来ると思うが?」
黒田の言う事は今までの話に嘘が無いならばその通りになるだろう。
だが…もう一つ気になる事がある。
「今日外で、俺か、つかさちゃんを刺そうとして来た男は何だったんだ?あれはお前の元で動いた何かか?それとも想定外か?」
「…そう言えば男が1人二人に近付いていたのは映像で見たが…刺そうとしていたって言うのはどういう事だ?」
黒田の顔が急に真剣味を帯びた。
「あの男は懐からナイフを出そうとしていたからちょっとだけ痛い目に遭ってもらったが…お前が用意した奴じゃなかったのか?」
「…そんな奴が…いや…でも…あいつらは…」
急に俺を放置して思考状態に入り小さな声でブツブツ言いながら動かなくなった黒田だが…もう1個聞きたい事があったのだが、どうしよう…
俺にとってはこの部屋のどこにカメラが設置されているのかの方がもっと重要なんだが…
もしトイレにカメラが置いてあるならその映像はどうあっても破棄させなければならない。
俺の人生を賭けても。
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