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第三章 フベルト?

50 交渉と理由2/3

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「とりあえずフベルトの一番したい事が、この村からレーヌさんを合法的に放逐する事だと受け取ったが…あってる?」
「まぁそうだな。大まかな部分では間違ってない。できればレーヌの救出と言って欲しいがな。」
そこらの言葉のチョイスに関する部分は、自分達の立ち位置と今ここに居る人間の関係の差に寄る部分が多いので理解できる。
「了解した。レーヌさんの村からの救出な。方法に関してはまだ受けられるのかも達成できるのかも正直まったく分からないがね。ちなみにフベルトってどれぐらいの強さなの?」
そこらが分からないと現実味の有るお願いなのか『お前現実見て言えよな?』って話なのかの判断も出来ない。

「そうだなぁ…お前の認識で言うなら…んー…説明が難しいな…とりあえず武器を持たない状態であれば俺はニシローランドゴリラに勝てる程度だろうな。」
この世界にはニシローランドゴリラ居んの?
「ちなみにゴリラの情報は俺の頭の中にはあるが、見た事は無い。」
なるほど、テラスちゃんの俺情報フィードバックのおかげね。
「ちょっと待て、それって俺達人族の最強とか言われてるケインだとかヒョードルより確実に強いって意味になるんだぞ?分かって言ってる…のね。…ハイ。」
マジカー…

「ちなみにフベルトのいつも持ってる武器を持ったらどんな感じなの?」
「あれを持てば、そうだなぁ…TNT換算で20kg程度のエネルギーを発生させられるはずだ。」
俺の世界の基準で教えてもらえているので、本来であればとても分かりやすいのだろうが、正直な所TNT換算されたエネルギーを言われてもどんな力になるのかが分からない。
そもそもTNT換算って原爆とかのエネルギー量を理解しやすくする為に考案された規格だよね?
まぁどこどこの星いくつ破壊できる程度だとか地球をいくつ壊せるようなみたいな説明ではなかったからまだ分かりやすい気がするけどね。
「ちょっと待ってね。調べるから。」
俺はこっちに来て初めてスマホでTNT換算のエネルギー量に関する項目を検索することにした。
『クワッ!クワックワッ!『ア~ハハハハハハッ♪』ギャーギャー『ア~ハハハハハハハッ♡』ホーホー』
「んっ?キヨシの居た世界には神鳥ゴッドバードが居たのか?」
…違うって。これ俺が見ていたとあるSNSのコラ動画だし。って言うかゴッドバードって何?
「これは…俺の元居た世界では…芸人?確か自称アイドルとか言ってた子の機嫌の良い時の声だ。」
説明間違ってないよな?
…それにしてもこれ毎回スマホを出す度に再生されるの??

「ほう…アイドル芸人か。そう言えば俺も生前は何人も憧れた女性が居たなぁ…んっ?どうしたレーヌ?」
「なんでもありません。フンッ!」
「おいおい、今の話は生前の話だろ?こっちに着てからはお前だけだって知ってるだろ?」
「あなたはいつもそう言ってますけど…♡」

…俺はなぜこんなにも心が乾いていく様な怒りと言うか諦めと言うか…負け犬認識と言うか…そんなのを感じているのだろうか?

とりあえず目の前でイチャつき始めた二人を視界から除外しつつググってみた。

1TNT換算グラムは1000カロリー
広島に落とされた原爆のエネルギー量はTNT換算で15キロトン

…なるほどね。

…まったく分からん。

正直な所自分の生活圏に突然現れた重さが1トンを超える風呂の水の重さ程度に現実味が無い感じがする。
なんとなく対比されるものが原爆などになるので遠い世界すぎて自分の実体験としてイメージできない。

とりあえず仕事量を元にして馬力換算すればイメージしやすいかな?
ググってみた。

TNT火薬20kg=23.24kw.h=31.6ps

なるほど。1時間ほど31.6馬力の力で車を走らせれば同じだけのエネルギーを発生させたのと同じって事…これあってるのか?

「なるほどおおよそ把握した。」
本当はまったく分かってないけどたぶん人では太刀打ちできないであろう事だけは分かった。
そしてスマホから顔を上げたらまだ乳繰り合っていた2人に驚いた。

「んんっ!!コホン…とりあえず勝てるかどうかについてはもう少し考えてみよう。それで、なぜレーヌさんを村から連れ出さなければならないのかをそろそろ聞いても良いか?」
静かにしていたら2人はそのまま俺の目の前でおっぱじめてしまうんじゃないかってぐらいにお互いの体を撫で回していたので注意を引く為に大きな声を出して聞いてみた。

「あぁ…そうだな。キヨシもそこを知らなければ納得出来ないな。」
そう思うなら俺を睨んでないでレーヌさんのオッパイからさっさと手を離せ!

…だからなんでそんな不本意って顔してんだよ!名残惜しそうな面すんなや!?

「レーヌを村から連れ出してもらいたい一番の理由は、村の自称貴族連中のレーヌに子を多く産ませた者が次代の村長だという間違った認識が広がってしまったのがそもそもの原因でな。」
フベルトさんが説明してくれたのはこの村の現状とフベルトさんの種族の生物としての老いに関わる話だった。

そもそもフベルトさんは自分達の進化してきた経緯は詳しく知らないらしいが、つがいになった男女でお互いに必要な養分とか水分などをお互いに足りない方に与え合う様な生体を持っていたらしい。
俺の勝手な想像なのだが、次世代を確実に残す為に番の両方をぎりぎりまで生かしておく為の生存戦略がそんな生態を作り出したのではないかと思う。
これも想像でしかないのだが、フベルトさんの種族はかなり過酷な環境で長く生きてきた事で知性を発達させたのではないかと思う。俺達人間みたいに。
そんな生態を持ったフベルトさんの奥さんには、体から分泌されるモノに色々フベルトさん達が生きていく為に必要な成分が凝縮されていると言ったナゾ能力が備わっているらしく、彼女と子作りをすればまったく違う種族になったのではないかと思えるほどの身体能力を手に入れられるらしい。
そのおかげでレーヌさんと子作りした奴が次世代の長になると言った勝手な考えが広がって行ったと。

「実際に村の自称貴族連中は色々と功績のあった者達でレーヌとの子作りを許した連中なのだ。奴らは武器の性能差があるので俺には戦闘能力において遠く及ばないとしても身体能力は他の村の奴らとは別次元の能力を持つのでな。次代の村長というのもあながち間違いではないのだ。」
まぁそこまでの違いがあるなら平民と貴族と言った階級差が出来てしまうのも理解は出来るが…
「じゃぁなんでそんな能力が手に入ることが分かっていてレーヌさんを商品みたいにその連中に与えたんだ?そこが分からん。そもそも何人もそんな連中が増えてきたなら早い内に村長候補を決めておけばよかったんじゃないのか?」
そもそもこんなに俺の目の前でおっぱじめそうなぐらいにまだアッチ♡アチ♡状態なら商品として与えるなと言いたいが一応そこらはオブラートに包んでおいた。

「俺が好き好んでレーヌを他の男に抱かせたと思うのか?」
おっと…この質問は逆鱗だったか?フベルトさんいきなり全身の筋肉が盛り上がった感じがして目ぢからが数段強くなった気がする。
「そこまで怒るって事は、のっぴきならない事情があったって事なんだな。ハァー…」
「…当然だ。もし叶うならば俺は生涯…何千年でもレーヌを抱き続けている…だが…フッ…こればかりはしょうがないのだ…」
一気に枯れた感じになるフベルトさん…えっ?ドユコト?

少しの間俺はどう聞いたら良いのか分からずにフベルトさんを見ていて何気なくお茶を口に含んだら少しぬるくなっていた。

「あなた、私から言いましょうか?」
レーヌさんが業績が悪くて会社を辞めさせられて戻ってきた夫を気遣うような優しさを見せつつフベルトさんの肩に手を乗せて聞いてるけど…そんな感じに見えてるのは俺の嫉妬心が良い仕事をしてるからなんだろうか?
「イヤ、これは俺が言った方が良いだろう。キヨシも通る道だ。」
フベルトさんの落ちていた気分が少なからず復活した様に見えた。
「実は俺な…20年ぐらい前からもう…無理なんだ。クッ…」
「あなたっ…」
自分のひざの上に力のこもった握りこぶしを置いて俺と目を合わせずにうつむいたまま独白をしてるフベルトさんとそんな夫を不憫に思いつつも心労を思って一緒に耐えてる様な顔をしているレーヌさん。

…この茶番はいつまで続くんだ?ここで俺が暴れても俺を弁護してくれる奴って結構な数居るんじゃないか?
おっと。心が病みに…闇に染まり始めてるな。気をつけねば。


それにしても…無理?…20年ほど前から?……………あっ……もしかしたら…枯れた?

これは慎重に扱わなければならないナイーブな事案だぞ。選択する言葉のちょっとした解釈違いでさえ戦争に発展してしまう様な危険な奴だ。
生前職場で部長が周囲の視線を気にしつつ『この商品を個人輸入で手に入れられないかな?』って言いながら見せてきた勃起治療薬程度には危険な案件だぞ。

「あぁ~…その…たぶん理解したと思う。フベルト、悪かったな、そんな言い辛い事情があったとは俺思っても無かったよ。」
「…かまわない。これは生きとし生ける者すべての男に必ず訪れる事だからな。理解してくれてありがとう。」
やばっ…そんな状態になって奥さんに求められる状況を想像したら勝手に涙が溢れてきそうだ…

「そんな状態をなんとか改善させたくてな。俺も色々レーヌに似た種族の者を連れてきて試してみたりしたのだが…他の連中には少しぐらいは効果があったみたいだが俺にはもう…」

これもしかしたらジェシカの事を言ってたりするのか?
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