ゲームな世界の魔物として生きて行く事になった。

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14 ハギエリア

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俺の知識に無かったダンジョンを踏破してなんとかフィールドまで戻って記憶に有る方向を確認すると30分もかからずにハギエリアの中心の町に到着した。

「なんとか来れたな。」
「…ほんと大変だった。」

そんな…睨まれても…俺のせいじゃないよっ♡

「まぁ何にしても車の回収をお願いしないといけないんだけど、なんか寂れてるなぁ…プレイヤーがまったく居ない。」
「…そうね。でも九州エリアのはじっこの方とかこんな村けっこう有ったよ?」
あからさまに話題を変えたんでちょっと気分を害しちゃったかな?
だがそんなアリスもまたイイ♡

「まぁでもあっちは初心者が溜まる場所だからねけっこうみんな色々動くから大きな町とかだとそこそこ見かけただろ?」
「…うん。ここは多い所なの?」
「特に近くにヘビーローテーションしないといけない様なダンジョンとかが無いから人が常駐する事は無いんだけど、でも九州を抜けた最初に来れる場所だからね。だからもっと人が居るって思ってたんだ。」
町の規模自体は九州エリアの海沿いの補給の為に点在する村より少し大きい程度なんだけど、人がまったく居ないからかなり寂しい感じがする。

「まぁこうして見てても人が増える訳じゃないんで気にしてもしょうがないな。こっちに車の回収をしてくれるNPCが居るから行こう。」
アリスに先行する様にして俺が動き出すとアリスも付いて来た。
町の中心の辺りにプレイヤーに必要な設備が集まってるので、最初に通りかかった店でなんとなく売ってある武器なども確認しておいたのだが…
「なぁアリス、ここってなんか変な感じになってるかもしれない。ちょっと買うのは止めておいた方がよさそうだな。」
「……そう。判ったわ。」
なんだろ…アリス急に真剣な感じの顔になった気がする…
もしかして何か知ってるのか?
「なぁアリス?この原因とか何か心当たりがあるのか?」
今俺達が見ている武器屋のショーケースの中はまったく何も無い状態で、何ヶ所かにアイテムナンバーみたいな文字列が表示されているだけだった。
それと、俺の記憶では店のNPCのお姉さんが1人居たはずなんだが、髪が無い状態で何も着て無いマネキンみたいな全身が無機質な感じの像が1体NPCが居そうな場所に有るだけ。

さすがにこの状態を無視する事は出来ない。

「詳しくは知らないけど…そろそろ…でも早すぎるんだけど…何で?」
最初俺に話してくれていたアリス、段々と自問自答の様な感じで考え始めた。

早い?何か知ってるって事だよな…これから何がおきるかとか…


ん?そう言えばこれって…


見方を替えたら俺がゲームに巻き込まれて…まぁ実際の所俺は何かの不具合でここに閉じ込められてる訳なんだが、何か新しいゲームのシナリオが進んでるって考える事も出来るのか?

俺が主人公で話が進む感じのシナリオが…だとしたら、このアリスって俺のヒロイン?

ヒロインならもう少しその…まぁこっち系も嫌いな訳じゃないんであまりわがまま言わないけど♡


だとしたら…


「アリス…こんな荒廃した世界だが2人で幸せになろうな♡」
「うん♡ニョロリン♡これからもよろしくネッ♡」
俺に抱き上げられてお姫様抱っこをされたアリスが俺の首に腕を回して首の辺りに…顔をスリスリしてくれちゃったりしてくられりって~~~~♡♡♡♡

一部俺の想像と願望が詰まった感じでキャラクター像を背の高い男の姿に修正してお送りしました♡

とかって話も有りえるのか♡夢が広がるなぁ♡

「だからそんな事は無いってば。」
俺は一気に妄想の世界から引っ張り戻された。

「アリス?俺の幸せなひと時を邪魔する権利はアリスにはまだ無いんだよ?もし干渉したいなら、『ニョロリンの奥さんになるの~♡』って宣言をお願いします。」
「だから馬鹿な事を言わないで。ほら、これあげるから。」
「やった~アメちゃん♡大スキッ♡」

俺は口の中で溶けていくアメの甘さに心を奪われた♡
こっちでアリスの従魔になってからどうもこのアメちゃんでの躾がかなりイイ感じに効いてる気がする。

「まぁ俺の妄想は今は置いておくとして、また後で楽しめば良いからね。それで?アリスは何を知ってるの?」
「そんなの楽しまなくても良いよ。…これは…まだ言えないかな。もう少ししたら分かるからそれまで待ってくれないかな?お願い。」

幼女の両手をあごの下でギュッと握った状態でのちょっと困った感じの顔でお願いされたら聞くしか無いな♡
「まぁ…アリスのお願いだからな♡聞くけどなっ♡」

その後とりあえず車の回収をしてくれる場所に行ってとりあえずここにも有ったNPCっぽいマネキンに話しかけたら普通に回収の手続きは出来た。

俺には見えないんだが、アリスに聞かれながら記憶を掘り返しつつ答えてやり取りを済ませるとすぐにNPCマネキンの目の前に壊れた車が現れた。
「なんか一瞬で持ってこられたら変な感じがするね。」
アリスの感想ももっともだな。

その後車の修理と武器や装備品の耐久を戻す修理をして、がっつりと最大耐久値を削られて、そのまま次の目的地のイワクニエリアまで行く事にした。

今度はアリスも懲りたのか、普通に旧国道沿いに走って移動してる。
「なあアリス?あのプラグインの事をちょっと確認したいからチャット使わせてもらっても良いかな?」
「うえっ?!」
車が1回転して止まった。

そこまで驚く事か?

「なぁ、ダメ?」
「その…誰と話すの?」
「俺がここで話が出来るのってあの二人ぐらいだけど…?」
あっ…アリスの顔がすごくマズイ事になった、みたいな感じになってる。
「なぁ何があったんだ?って言うか何をしたんだ?」
ハンドルを握ったまま固まっていたアリスが俺の方をゆっくりと見て、小さな声で言ってきた。


「あのね…何度もその…電話かかってきてたから…あ、そうだ♡ちょっと忙しい時だったからチョットだけ電話がならない様にしておいたのね。その事を今まで忘れていたって言うか…まぁ…そんなカンジデス…」
「ほう…ちなみにその電話がならなくしたって言うのはチャットの設定の所に有る無視設定をしたって事か?それともログインを隠す設定をしたって事か?それといつ頃にそれをした?」



「そのぉ…ニョロリンが出来た後…確か…すぐ?ぐらいだったかな?…無視するかんじにしたかも?…えへっ♡」



アリスって本当に対人関係が壊滅的にダメなんだな…
さすがにこの状態では相手も気付くよな。可愛く愛想を振りまかれてもチョットしか許せないぞ?

「だとしたらあの2人には次会った時にでも言い訳しような。アリス可愛いから『前に粘着されたんで色々いじってたらなんか無視する感じになってたみたい、ゴメン~』とかなんとか言えば許してもらえるから。」
「…大丈夫かな?」
「まぁでもそのへんは会ってからだな、『今気付いた!えっ?うそ!ゴメン!』って感じにした方が良いんで、彼女達は会うまで居なかった者として扱う事とする。良いね?」
「…ハイ」

「それにしてもどうしたら良いかなぁ…確認する方法が無いとバグを使って不正に取得した物として罰則対象とかになりかねない事なんだけど…そこらの…人も今は居ないんだよな…はぁ…じゃぁとりあえず先に行ってから考えるか。」
「は~い♡」

元気になって運転を再開するアリス。


せっかくの情報源だったってのに…まったく…
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