ゲームな世界の魔物として生きて行く事になった。

marks

文字の大きさ
上 下
14 / 30

14 ハギエリア

しおりを挟む
俺の知識に無かったダンジョンを踏破してなんとかフィールドまで戻って記憶に有る方向を確認すると30分もかからずにハギエリアの中心の町に到着した。

「なんとか来れたな。」
「…ほんと大変だった。」

そんな…睨まれても…俺のせいじゃないよっ♡

「まぁ何にしても車の回収をお願いしないといけないんだけど、なんか寂れてるなぁ…プレイヤーがまったく居ない。」
「…そうね。でも九州エリアのはじっこの方とかこんな村けっこう有ったよ?」
あからさまに話題を変えたんでちょっと気分を害しちゃったかな?
だがそんなアリスもまたイイ♡

「まぁでもあっちは初心者が溜まる場所だからねけっこうみんな色々動くから大きな町とかだとそこそこ見かけただろ?」
「…うん。ここは多い所なの?」
「特に近くにヘビーローテーションしないといけない様なダンジョンとかが無いから人が常駐する事は無いんだけど、でも九州を抜けた最初に来れる場所だからね。だからもっと人が居るって思ってたんだ。」
町の規模自体は九州エリアの海沿いの補給の為に点在する村より少し大きい程度なんだけど、人がまったく居ないからかなり寂しい感じがする。

「まぁこうして見てても人が増える訳じゃないんで気にしてもしょうがないな。こっちに車の回収をしてくれるNPCが居るから行こう。」
アリスに先行する様にして俺が動き出すとアリスも付いて来た。
町の中心の辺りにプレイヤーに必要な設備が集まってるので、最初に通りかかった店でなんとなく売ってある武器なども確認しておいたのだが…
「なぁアリス、ここってなんか変な感じになってるかもしれない。ちょっと買うのは止めておいた方がよさそうだな。」
「……そう。判ったわ。」
なんだろ…アリス急に真剣な感じの顔になった気がする…
もしかして何か知ってるのか?
「なぁアリス?この原因とか何か心当たりがあるのか?」
今俺達が見ている武器屋のショーケースの中はまったく何も無い状態で、何ヶ所かにアイテムナンバーみたいな文字列が表示されているだけだった。
それと、俺の記憶では店のNPCのお姉さんが1人居たはずなんだが、髪が無い状態で何も着て無いマネキンみたいな全身が無機質な感じの像が1体NPCが居そうな場所に有るだけ。

さすがにこの状態を無視する事は出来ない。

「詳しくは知らないけど…そろそろ…でも早すぎるんだけど…何で?」
最初俺に話してくれていたアリス、段々と自問自答の様な感じで考え始めた。

早い?何か知ってるって事だよな…これから何がおきるかとか…


ん?そう言えばこれって…


見方を替えたら俺がゲームに巻き込まれて…まぁ実際の所俺は何かの不具合でここに閉じ込められてる訳なんだが、何か新しいゲームのシナリオが進んでるって考える事も出来るのか?

俺が主人公で話が進む感じのシナリオが…だとしたら、このアリスって俺のヒロイン?

ヒロインならもう少しその…まぁこっち系も嫌いな訳じゃないんであまりわがまま言わないけど♡


だとしたら…


「アリス…こんな荒廃した世界だが2人で幸せになろうな♡」
「うん♡ニョロリン♡これからもよろしくネッ♡」
俺に抱き上げられてお姫様抱っこをされたアリスが俺の首に腕を回して首の辺りに…顔をスリスリしてくれちゃったりしてくられりって~~~~♡♡♡♡

一部俺の想像と願望が詰まった感じでキャラクター像を背の高い男の姿に修正してお送りしました♡

とかって話も有りえるのか♡夢が広がるなぁ♡

「だからそんな事は無いってば。」
俺は一気に妄想の世界から引っ張り戻された。

「アリス?俺の幸せなひと時を邪魔する権利はアリスにはまだ無いんだよ?もし干渉したいなら、『ニョロリンの奥さんになるの~♡』って宣言をお願いします。」
「だから馬鹿な事を言わないで。ほら、これあげるから。」
「やった~アメちゃん♡大スキッ♡」

俺は口の中で溶けていくアメの甘さに心を奪われた♡
こっちでアリスの従魔になってからどうもこのアメちゃんでの躾がかなりイイ感じに効いてる気がする。

「まぁ俺の妄想は今は置いておくとして、また後で楽しめば良いからね。それで?アリスは何を知ってるの?」
「そんなの楽しまなくても良いよ。…これは…まだ言えないかな。もう少ししたら分かるからそれまで待ってくれないかな?お願い。」

幼女の両手をあごの下でギュッと握った状態でのちょっと困った感じの顔でお願いされたら聞くしか無いな♡
「まぁ…アリスのお願いだからな♡聞くけどなっ♡」

その後とりあえず車の回収をしてくれる場所に行ってとりあえずここにも有ったNPCっぽいマネキンに話しかけたら普通に回収の手続きは出来た。

俺には見えないんだが、アリスに聞かれながら記憶を掘り返しつつ答えてやり取りを済ませるとすぐにNPCマネキンの目の前に壊れた車が現れた。
「なんか一瞬で持ってこられたら変な感じがするね。」
アリスの感想ももっともだな。

その後車の修理と武器や装備品の耐久を戻す修理をして、がっつりと最大耐久値を削られて、そのまま次の目的地のイワクニエリアまで行く事にした。

今度はアリスも懲りたのか、普通に旧国道沿いに走って移動してる。
「なあアリス?あのプラグインの事をちょっと確認したいからチャット使わせてもらっても良いかな?」
「うえっ?!」
車が1回転して止まった。

そこまで驚く事か?

「なぁ、ダメ?」
「その…誰と話すの?」
「俺がここで話が出来るのってあの二人ぐらいだけど…?」
あっ…アリスの顔がすごくマズイ事になった、みたいな感じになってる。
「なぁ何があったんだ?って言うか何をしたんだ?」
ハンドルを握ったまま固まっていたアリスが俺の方をゆっくりと見て、小さな声で言ってきた。


「あのね…何度もその…電話かかってきてたから…あ、そうだ♡ちょっと忙しい時だったからチョットだけ電話がならない様にしておいたのね。その事を今まで忘れていたって言うか…まぁ…そんなカンジデス…」
「ほう…ちなみにその電話がならなくしたって言うのはチャットの設定の所に有る無視設定をしたって事か?それともログインを隠す設定をしたって事か?それといつ頃にそれをした?」



「そのぉ…ニョロリンが出来た後…確か…すぐ?ぐらいだったかな?…無視するかんじにしたかも?…えへっ♡」



アリスって本当に対人関係が壊滅的にダメなんだな…
さすがにこの状態では相手も気付くよな。可愛く愛想を振りまかれてもチョットしか許せないぞ?

「だとしたらあの2人には次会った時にでも言い訳しような。アリス可愛いから『前に粘着されたんで色々いじってたらなんか無視する感じになってたみたい、ゴメン~』とかなんとか言えば許してもらえるから。」
「…大丈夫かな?」
「まぁでもそのへんは会ってからだな、『今気付いた!えっ?うそ!ゴメン!』って感じにした方が良いんで、彼女達は会うまで居なかった者として扱う事とする。良いね?」
「…ハイ」

「それにしてもどうしたら良いかなぁ…確認する方法が無いとバグを使って不正に取得した物として罰則対象とかになりかねない事なんだけど…そこらの…人も今は居ないんだよな…はぁ…じゃぁとりあえず先に行ってから考えるか。」
「は~い♡」

元気になって運転を再開するアリス。


せっかくの情報源だったってのに…まったく…
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

〈完結〉妹に婚約者を獲られた私は実家に居ても何なので、帝都でドレスを作ります。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」テンダー・ウッドマンズ伯爵令嬢は両親から婚約者を妹に渡せ、と言われる。 了承した彼女は帝都でドレスメーカーの独立工房をやっている叔母のもとに行くことにする。 テンダーがあっさりと了承し、家を離れるのには理由があった。 それは三つ下の妹が生まれて以来の両親の扱いの差だった。 やがてテンダーは叔母のもとで服飾を学び、ついには? 100話まではヒロインのテンダー視点、幕間と101話以降は俯瞰視点となります。 200話で完結しました。 今回はあとがきは無しです。

最強と言われてたのに蓋を開けたら超難度不遇職

鎌霧
ファンタジー
『To The World Road』 倍率300倍の新作フルダイブ系VRMMOの初回抽選に当たり、意気揚々と休暇を取りβテストの情報を駆使して快適に過ごそうと思っていた。 ……のだが、蓋をひらけば選択した職業は調整入りまくりで超難易度不遇職として立派に転生していた。 しかしそこでキャラ作り直すのは負けた気がするし、不遇だからこそ使うのがゲーマーと言うもの。 意地とプライドと一つまみの反骨精神で私はこのゲームを楽しんでいく。 小説家になろう、カクヨムにも掲載

転生幼女の異世界冒険記〜自重?なにそれおいしいの?〜

MINAMI
ファンタジー
神の喧嘩に巻き込まれて死んでしまった お詫びということで沢山の チートをつけてもらってチートの塊になってしまう。 自重を知らない幼女は持ち前のハイスペックさで二度目の人生を謳歌する。

王女、豹妃を狩る

遠野エン
ファンタジー
ベルハイム王国の王子マルセスは身分の差を超えて農家の娘ガルナと結婚を決意。王家からは驚きと反対の声が上がるが、マルセスはガルナの自由闊達な魅力に惹かれ押し切る。彼女は結婚式で大胆不敵な豹柄のドレスをまとい、周囲をあ然とさせる。 ガルナは王子の妻としての地位を得ると、侍女や家臣たちを手の平で転がすかのように振る舞い始める。王宮に新しい風を吹かせると豪語し、次第に無茶な要求をし出すようになる。 マルセスの妹・フュリア王女はガルナの存在に潜む危険を察知し、独自に調査を開始する。ガルナは常に豹柄の服を身にまとい人々の視線を引きつけ、畏怖の念を込めて“豹妃”というあだ名で囁かれるのだった。

転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

【幸せスキル】は蜜の味 ハイハイしてたらレベルアップ

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はアーリー 不慮な事故で死んでしまった僕は転生することになりました 今度は幸せになってほしいという事でチートな能力を神様から授った まさかの転生という事でチートを駆使して暮らしていきたいと思います ーーーー 間違い召喚3巻発売記念として投稿いたします アーリーは間違い召喚と同じ時期に生まれた作品です 読んでいただけると嬉しいです 23話で一時終了となります

処理中です...