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02 それまでの話を少し…記憶の残滓を少々
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俺が大好きだったゲームがサービスを終了して…完全に終わった…
サービス開始からほぼ毎日ログインしつづけてトッププレイヤーの1人に数えられるほどにのめり込み2年前に入った仕事場もなんとなく辞めさせられそうな状態ではあるが…一応大学もとりあえず6年かかったが卒業できた。
このゲームと出会ったのが確か俺が小学生の頃だったかな?
最初は家庭用のゲーム機で遊べるようなものだった。
それがゲーム機が進化するのに合わせてグラフィックも進化して行き、新しい魔物や悪魔、魔神、魔王なども大量に追加されて行って…
派生タイトルもかなり出ていたらしい。
そしてそんな進化の途中でMMORPGとして新しく登場したゲームに、俺は…高校の2年かな?とりあえず10年前位に出会ってしまった…
最初はそこまでのめりこんでいた訳では無かったのだが、内部で色々拡張されて行って新しいシステムや継続シナリオなども拡充されて行って、サービスが終了するギリギリまで俺は遊び続けた。
高校の頃はパソコンが親父の使っていた若干力の無い物だった為に週末の天使と悪魔の降臨イベントとかよく固まったよなぁ…
しかもその頃サーバー側でも人数が増えすぎたかどうかで何度も落ちたりして…そのイベントの空間で全員動けなくなって死に戻る事も出来ずにまったく動けない状態で大ブーイングチャット大会みたいな事をし続けるって事が何度もあって…楽しかったなぁ…
それに使う従魔もテイムした奴を合体させてスキルなどを継承させるのを考えたり…新しく追加されて御魂強化とか人魔融合とか…俺がいつも使っていたアスモデウス君とか完全に育成し終わっててどこでも無双できる状態だったもんなぁ…
でも、待機状態で腰に手を当てて腰をクイクイって思い出したように振るのだけは女性プレイヤーに不評だったよな…
まぁ途中で追加されたキンナラ君よりはマシだったかな?あいつはかなり引かれてたもんなぁ…
そう言えばインド神話系のマーラー君もかなりご立派な姿で…
まぁ従魔に関してはこれぐらいで良いだろう。
そんな育成要素もかなり幅広くあってかなりのやり込み要素があった事からのめり込んで行って、お小遣いもほぼ課金に消えて…大学に6年行ったのもガチャをやる為にバイトをし続けていたからなんだけど…
そんな感じに楽しんでいたのだが、若干雲行きが怪しくなってきたのが、コンプガチャの規制。
俺の遊んでいたゲームでも何度もチャットで議論されていたのだが、何種類かのアイテムを手に入れたら特別なアイテムがもらえるとかセットで効果が現れる装備だとか…
そこらが問題視されてあっという間に廃れて行った…
最後の方では同じギルドで遊んでいた人もほぼ見かけなくなり…
サブキャラが入ってたギルドも同様でバザーなどの売り案件などもほぼ見かけられなくなり…どのサーバーでも過疎化が進んで行った。
そんな中、課金しつつ頑張っていた俺と同じレベルのヘビーユーザーが何人か居たのだが、そいつらも段々ログインする頻度が落ちて行った…
寂しいながらも自分が育てた従魔と共にデイリークエストなどをこなし追加されなくなったコンテンツを新しく追加したサブキャラでチョコチョコ攻略していたんだけど…
たまにINする友人達とチャットで話をしてると何度も話題に出ていた事がついに現実になった…
運営から、
『今年の年末でサービスを終了する』
と発表が…
それが今から三年前位か?
その瞬間俺が今まで費やしてきた時間とアルバイトで課金でつぎ込んできた金額が完全に消える事が決まってしまった訳で…
その発表があってからチョットの間ログインするのが怖かった。
この…俺のはまり込んでいた電脳空間が完全に消える…
それ以前に他のゲームであった事なのだが、サーバーのメンテナンスなどで作業をする間ログインできない状態になるのだが、その作業中に大きな不具合が見つかり、機械的な問題などから改善するにはけっこうな金額がかかったりする場合などで、そのままメンテナンス終了後にゲームの運営自体が終わってしまうと言う事が。
そういう事がおきるのは過疎化して人が遊ばなくなった事で採算が取れなくなったゲームな訳で…そんな事が何度かニュースになった覚えがある。
そう、俺が遊んでいたゲームみたいに…
メンテナンスが終わってログインするのが毎度怖くなり、他の人も同じ様な感覚だったのか、更に人が減って行って…夜中などにログインするとまったく人が居ないと言うことも何度も有った。
俺の所属していたギルドは…
これを説明するにはゲームの基本的な部分を説明しないとちょっと分からないのだが、まぁ簡単に言えば『善、普通、悪』の概念でそのゲームの中の世界は勢力が割れていて、その概念の中心になる都市がある。
俺の所属していたギルドはその善の概念の中心になる都市に拠点を置いていた集団で、ギルドの建物などもその都市に有った。
ちなみにサービスの最後の方では、サブキャラを他のギルドに入れて他の都市に居させたりしたので、クライアントソフトを多重起動した状態で色々な場所の情報を同時に手に入れたりって事も出来る様になっていた。
そして…運営が発表していたゲームサービスが終了する日が来た…
最後だからってゲームを引退していた人達がわざわざログインしてきて昔話をして少しの間楽しんでいたのだが…
最後はあっけなく終わった…
サーバーの電源が落ちて強制終了
これで俺の人生の半分程度の時間を共有してきたゲームが終わった…
その後少しの間何をしててもやる気が出なかった俺は、大学をそろそろ中退する必要が有るか?そんな事を考えつつ休めないアルバイトをしていたのだが、そんな同じアルバイトをしてる友人から妙な情報が伝わってきた。
「お前がはまって課金し続けていたあのゲームのデータを自分のサーバー機で動かそうとしてる奴が居るって話が届いてるぞ。」
俺はすぐにその情報を探した。
ネットの情報を見てみるとどうもその話はけっこう話題になって居たらしく、そこらじゅうで見つける事が出来た。
掲示板などで日付と共にチャットを表示した状態の画像を添付してる書き込みなども…
俺はその情報を元にそのサーバー構築をしようとしてる奴に連絡を取ってみた。
最初はなんとか動いてるだけって状態だったが、少しづつ一緒に目的意識を持って行動する仲間が増えて行って、まったく同じではないが…クライアントソフトがなんとかうまく動かせる様になって、サーバーとの同期も出来る様になって行った。
ただ…誰が中心になってそのサーバーを構築してるのかだけが分からなかった…
でも俺は自分の人生の半分ほどを一緒に過ごしてきたゲームにまた出会えた喜びからその有志の集団に所属してテストプレイヤーをし続けた。
俺が使っていたキャラクターはさすがに移籍させられなかったが、でも…同じ様な世界に再度出会えた事で、俺は完全にリアル世界でもやる気を取り戻せた♡
そしてそれから2年…
サーバーを管理してる奴はかなり優秀な様で、ゲームは頻繁に更新されていって、それまで画面を見るだけだったのがVRゴーグルを使って360度視界情報を受け取れる様になり、入力装置もモーションキャプチャーを使った装置に入れ変わって行き、擬似仮想空間を作り上げてしまった。
使ってるゴーグルに関しては汎用品を使うのだが、入力装置に関しては自作する能力が求められた。
体の間接部分にマーカーを取りつけそれを3次元空間で読み取る為に古いスマホなどを流用して装置を作り、それを動かす為のソフトなどは全部そのサーバーを管理してる奴が用意してくれた。
ただ…そんなゲームだけど…ここまでの装置を使って擬似仮想空間を作り出せていたのは他の大手企業が運営しているゲームにはまだ無かった。
最近やっとFPSゲームでゲームパッドを使って視界だけ3D空間などと言うものが出て来た中でそこまでの物を作れるこの管理人…若干怖くは有ったが…
でも、俺にはこのゲームを辞めるという選択肢は無かった。
俺と同様にテストプレイヤーとして知り合いの知り合いという感じで一緒に遊ぶ様になった仲間も増えて行って、たぶんその内の何人かはソフトウェアーの部分の手伝いなんかもしてるんじゃないかと思う。
3Dデータの更新とかシステムの変更などの作業量がとても1人2人でやってるとは思えないレベルで動いていたから。
そしてそんな装置を作り出して擬似的にでも仮想空間で遊べるようになった頃に新しい更新情報が届いた。
「はぁっ?新しい入力装置のご案内??」
どうもそれは俺が自作したモーションキャプチャー入力装置の不具合などで何度か確認のやり取りをした自称技術職のオヤジさんからの案内で、体を動かすのに今現在アームの様な物に体をベルトなどで固定して遊んでいたのだが、それで何人か危険な状況になったという報告が上がって来た事で、その技術職のオヤジさんの知り合いの企業を巻き込んで新しく作った物らしい…
そして、その新しい入力装置のテストプレイヤーをお願いしたいという話だった。
ゲームの入力装置は今現在マウスとキーボードを使う人と、ゲームパッドとキーボードなどを組み合わせる人、モーションキャプチャー入力装置を使う人に別れるらしいが、自作できる人って言うのがけっこう少ないらしく、俺を含めて3人程度しかそこまで付いて来れて無いらしい。
そんな状況下なので後進の為にも手伝って欲しいという話で…
しかもテストプレイヤーとして謝礼も有るって話だったので飛びついた。
どうもその技術職オヤジさんの知り合いの企業と言うのはゲームパッドなどの装置みたいなのを開発する様な仕事をずっとしてきた所だったらしく、これ以降のゲームの基本デバイスの開発と言う位置付けでお手伝いしてくれているらしい。そんな裏情報もあり、お金が動き出したらしい。
「なるほど…今までなら視覚情報だけを再現してたけど体に感じるフィードバックも考慮する形になったと…」
俺は送られてきた宅配便の荷物を開けて中から新しい入力装置を取りだした。
その装置を最初に見た感想は…
宇宙服?もしかしたら潜水服?
大きな頭部を覆うヘルメットの様なモノと体を全身入れて密封するような形状の…着ぐるみが若干人っぽい形をしてる様なモノだった。
そしてその入出力装置(フィードバックスーツって書いてあった)は短距離通信で情報交換するのでパソコンを介さずにそのままゲームにリンクしてログイン出来ると…
それに体を動かす事が有るのでできるだけ広い場所に寝た状態で起動した方がより自由に動けると…
出来ればそのフィードバックスーツを着た状態で水中に居るのが望ましいらしい。
でも俺が住んでるアパートにはそんな大きな浴槽とかは無い訳で…しょうがないので実家の近くに有るちょっと大きな湖まで出向いた。
車を停めた所は市道か県道を進んで行った先で、昔水没した今現在水中に有る村に繋がる分岐した道に入り込み、1km程度進んだ場所にあるその先に入らない様に規制されてるバリケードの様な物のすぐ目の前辺り。
車を停めたすぐ横が1m程度の落差が有る場所でほとんど人が来ない場所。
車の中に携帯電話を設置してデータ転送リンクをスーツに施す。
通信距離はスペックを見る限りでは省電力モードにしなければ50m程度。
水中に入る事を考えて30m位までは離れても大丈夫か?
とりあえず車のエンジンをかけたままにしてシガーソケットから電源供給をさせつつ、スーツを着込みとりあえず命綱を車のサイドミラーに括り付けて駐車した場所のすぐ側から水中へ。
大きな湖とは言いつつも森がすぐ側にある場所なので落ち葉などがけっこうな数沈んでいて俺の視界がすぐに濁って見えなくなった。
とりあえず体が水に浮いた状態を確認して顔の正面のバイザーを下ろす。
視界に立体空間モニターが映りその中で音声認識に寄る入力をしていくと擬似仮想空間が現れていつも見ていたログイン画面が見えた。
「そう言えばいつものパソコンじゃ無いからIDとパスがそのまま出て来ないんだったか…しまったなぁ…」
まぁ今回は試運転みたいなものだし新しいキャラクターを作っても問題無いか。
とりあえず新規ID作成を選びそのまま何度かやったキャラクター作成の手順を進めて行く。
「ん?次回大規模更新時の新機能?」
新しくIDを作って操作していると今まで見た事の無い案内が有った。
そこを詳しく見て行くと、今まで人の姿のキャラクターでしか遊べなかったこのゲームだが、とうとう魔物というかゲーム内で用意されている従魔にできるキャラクターをメインキャラクターとして使用できるって事らしい。
なるほどなるほど♪
って事は、最近育てていたラクシュミちゃんでネカマプレイとかも可能と…♪
いいじゃんいいじゃん♪
俺はそのまま新しく実装される従魔プレイモードでキャラクターを作っていった。
ただ、最初に選べるのはレア度の高い従魔ではなく…
「まぁ最初から魔神とか使えないよな。今使えるのは…妖精のピクシーと、幼獣のケットシー、土着霊のコダマ、霊魂のウィルオーウィスプ、鳥魔のハーピー、外道のスライム、式鬼のシキガミか…」
ほぼ全て最初のホームエリアを出た辺りでポップする従魔ばかりだった。
さてどれにするか…あ、そう言えばこのゲーム課金アイテムが有った頃には空を飛ぶっていうか、浮いて移動する装備みたいなのが幾つかあったんだけどこっちの新サーバーになってからはそこらのアイテムってまったく無くなったんだよな。
できれば少しでも飛べたら楽しいかなぁ…
よっし♪妖精のピクシーに決~めたっ♡
スライムとケットシーを選ばなければ一応飛べるんだけど、まぁ趣味?
ネカマプレイも好みのキャラクターでしたいよね♪
それにそのうち従魔を合体させて自身を強化して行く事になるはずだから、最後は女神とか慈母神とか…エロボディーを持ったキャラクターになって見られる楽しみなんかもあるんだし?
と言う訳で、俺はピクシーを選びチュートリアルを勧めて行った。
ただ…このVR画面になってちょっとだけ問題が有ったんだけど…
注意書きとか説明などが文字で書いてある場合がけっこう普通にあるんだけど、それってどこを見てても文字として見える訳じゃないんだよね。
そこに視点を合わせて立体視しないと文字って読めないんだ…おかげで俺は書いてあった注意書きを読み飛ばしてしまった。
それに気付いたのはゲームを始めて少しした頃だった。
意識が白濁して行き…ふと気付いた。
俺の目に見えてるのは荒廃した空間…
しかも…なんかフワフワと上下してる…
「おっ?ここは…最初のエリアだな…お~~ここは見覚えが有るぞ。確かフィールドボスがたま~に居る場所の近くだ♪」
目の前には廃墟と大きな岩が点在する様な場所で次のエリアに進む境界に近い辺りの河川の近くだった。
見た覚えの有る場所が今までとはまったく違うレベルで見えてることに興奮を抑えられ無かった俺はさっそく色々と見て回ろうと思っていた…のだが?
「ん?あれっ??体が動かない??はて??」
今までなら特に何も考えなくても体が動いたはずなんだが…なぜか体が圧迫された感じがして動かせない。
とりあえずヘルプを選択して説明を見てみると…
新機能のチュートリアルを選び読み進めていくと、こんな注記があった…
体のサイズが違い過ぎるとリンク機能がうまく働かず意図通りに動かない場合があります?
ちょっとまてよ?
最初に選べる従魔って…全部かなり小さかったよな?
っていうかハーピーとスライムとシキガミ位か?人のサイズだったのって?
他は人の1/3とかピクシーなんかは手に乗れるサイズだし…
はぁ~~…残念ながら俺はキャラクター作成に失敗したらしい。
っていうか最初にそんなキャラクターを選べるようにするなよな。
何にしてもテストプレイの始めの一歩だから何か書いてたかもしれないんだが…
もしかしたら俺、最初にキャラクターを選ぶ時に何か読み飛ばした可能性が高いな。
と言う訳で俺はそこで1回ゲームからログアウトする事にした。
視点入力装置が動いてるのでそれを使いログアウト。
俺の意識がそのまま落ちて行った。
薄れていく意識の中声が聞こえてきた…
お休みの間、魔物に体を乗っ取られぬ様お気をつけて・・・・。
サービス開始からほぼ毎日ログインしつづけてトッププレイヤーの1人に数えられるほどにのめり込み2年前に入った仕事場もなんとなく辞めさせられそうな状態ではあるが…一応大学もとりあえず6年かかったが卒業できた。
このゲームと出会ったのが確か俺が小学生の頃だったかな?
最初は家庭用のゲーム機で遊べるようなものだった。
それがゲーム機が進化するのに合わせてグラフィックも進化して行き、新しい魔物や悪魔、魔神、魔王なども大量に追加されて行って…
派生タイトルもかなり出ていたらしい。
そしてそんな進化の途中でMMORPGとして新しく登場したゲームに、俺は…高校の2年かな?とりあえず10年前位に出会ってしまった…
最初はそこまでのめりこんでいた訳では無かったのだが、内部で色々拡張されて行って新しいシステムや継続シナリオなども拡充されて行って、サービスが終了するギリギリまで俺は遊び続けた。
高校の頃はパソコンが親父の使っていた若干力の無い物だった為に週末の天使と悪魔の降臨イベントとかよく固まったよなぁ…
しかもその頃サーバー側でも人数が増えすぎたかどうかで何度も落ちたりして…そのイベントの空間で全員動けなくなって死に戻る事も出来ずにまったく動けない状態で大ブーイングチャット大会みたいな事をし続けるって事が何度もあって…楽しかったなぁ…
それに使う従魔もテイムした奴を合体させてスキルなどを継承させるのを考えたり…新しく追加されて御魂強化とか人魔融合とか…俺がいつも使っていたアスモデウス君とか完全に育成し終わっててどこでも無双できる状態だったもんなぁ…
でも、待機状態で腰に手を当てて腰をクイクイって思い出したように振るのだけは女性プレイヤーに不評だったよな…
まぁ途中で追加されたキンナラ君よりはマシだったかな?あいつはかなり引かれてたもんなぁ…
そう言えばインド神話系のマーラー君もかなりご立派な姿で…
まぁ従魔に関してはこれぐらいで良いだろう。
そんな育成要素もかなり幅広くあってかなりのやり込み要素があった事からのめり込んで行って、お小遣いもほぼ課金に消えて…大学に6年行ったのもガチャをやる為にバイトをし続けていたからなんだけど…
そんな感じに楽しんでいたのだが、若干雲行きが怪しくなってきたのが、コンプガチャの規制。
俺の遊んでいたゲームでも何度もチャットで議論されていたのだが、何種類かのアイテムを手に入れたら特別なアイテムがもらえるとかセットで効果が現れる装備だとか…
そこらが問題視されてあっという間に廃れて行った…
最後の方では同じギルドで遊んでいた人もほぼ見かけなくなり…
サブキャラが入ってたギルドも同様でバザーなどの売り案件などもほぼ見かけられなくなり…どのサーバーでも過疎化が進んで行った。
そんな中、課金しつつ頑張っていた俺と同じレベルのヘビーユーザーが何人か居たのだが、そいつらも段々ログインする頻度が落ちて行った…
寂しいながらも自分が育てた従魔と共にデイリークエストなどをこなし追加されなくなったコンテンツを新しく追加したサブキャラでチョコチョコ攻略していたんだけど…
たまにINする友人達とチャットで話をしてると何度も話題に出ていた事がついに現実になった…
運営から、
『今年の年末でサービスを終了する』
と発表が…
それが今から三年前位か?
その瞬間俺が今まで費やしてきた時間とアルバイトで課金でつぎ込んできた金額が完全に消える事が決まってしまった訳で…
その発表があってからチョットの間ログインするのが怖かった。
この…俺のはまり込んでいた電脳空間が完全に消える…
それ以前に他のゲームであった事なのだが、サーバーのメンテナンスなどで作業をする間ログインできない状態になるのだが、その作業中に大きな不具合が見つかり、機械的な問題などから改善するにはけっこうな金額がかかったりする場合などで、そのままメンテナンス終了後にゲームの運営自体が終わってしまうと言う事が。
そういう事がおきるのは過疎化して人が遊ばなくなった事で採算が取れなくなったゲームな訳で…そんな事が何度かニュースになった覚えがある。
そう、俺が遊んでいたゲームみたいに…
メンテナンスが終わってログインするのが毎度怖くなり、他の人も同じ様な感覚だったのか、更に人が減って行って…夜中などにログインするとまったく人が居ないと言うことも何度も有った。
俺の所属していたギルドは…
これを説明するにはゲームの基本的な部分を説明しないとちょっと分からないのだが、まぁ簡単に言えば『善、普通、悪』の概念でそのゲームの中の世界は勢力が割れていて、その概念の中心になる都市がある。
俺の所属していたギルドはその善の概念の中心になる都市に拠点を置いていた集団で、ギルドの建物などもその都市に有った。
ちなみにサービスの最後の方では、サブキャラを他のギルドに入れて他の都市に居させたりしたので、クライアントソフトを多重起動した状態で色々な場所の情報を同時に手に入れたりって事も出来る様になっていた。
そして…運営が発表していたゲームサービスが終了する日が来た…
最後だからってゲームを引退していた人達がわざわざログインしてきて昔話をして少しの間楽しんでいたのだが…
最後はあっけなく終わった…
サーバーの電源が落ちて強制終了
これで俺の人生の半分程度の時間を共有してきたゲームが終わった…
その後少しの間何をしててもやる気が出なかった俺は、大学をそろそろ中退する必要が有るか?そんな事を考えつつ休めないアルバイトをしていたのだが、そんな同じアルバイトをしてる友人から妙な情報が伝わってきた。
「お前がはまって課金し続けていたあのゲームのデータを自分のサーバー機で動かそうとしてる奴が居るって話が届いてるぞ。」
俺はすぐにその情報を探した。
ネットの情報を見てみるとどうもその話はけっこう話題になって居たらしく、そこらじゅうで見つける事が出来た。
掲示板などで日付と共にチャットを表示した状態の画像を添付してる書き込みなども…
俺はその情報を元にそのサーバー構築をしようとしてる奴に連絡を取ってみた。
最初はなんとか動いてるだけって状態だったが、少しづつ一緒に目的意識を持って行動する仲間が増えて行って、まったく同じではないが…クライアントソフトがなんとかうまく動かせる様になって、サーバーとの同期も出来る様になって行った。
ただ…誰が中心になってそのサーバーを構築してるのかだけが分からなかった…
でも俺は自分の人生の半分ほどを一緒に過ごしてきたゲームにまた出会えた喜びからその有志の集団に所属してテストプレイヤーをし続けた。
俺が使っていたキャラクターはさすがに移籍させられなかったが、でも…同じ様な世界に再度出会えた事で、俺は完全にリアル世界でもやる気を取り戻せた♡
そしてそれから2年…
サーバーを管理してる奴はかなり優秀な様で、ゲームは頻繁に更新されていって、それまで画面を見るだけだったのがVRゴーグルを使って360度視界情報を受け取れる様になり、入力装置もモーションキャプチャーを使った装置に入れ変わって行き、擬似仮想空間を作り上げてしまった。
使ってるゴーグルに関しては汎用品を使うのだが、入力装置に関しては自作する能力が求められた。
体の間接部分にマーカーを取りつけそれを3次元空間で読み取る為に古いスマホなどを流用して装置を作り、それを動かす為のソフトなどは全部そのサーバーを管理してる奴が用意してくれた。
ただ…そんなゲームだけど…ここまでの装置を使って擬似仮想空間を作り出せていたのは他の大手企業が運営しているゲームにはまだ無かった。
最近やっとFPSゲームでゲームパッドを使って視界だけ3D空間などと言うものが出て来た中でそこまでの物を作れるこの管理人…若干怖くは有ったが…
でも、俺にはこのゲームを辞めるという選択肢は無かった。
俺と同様にテストプレイヤーとして知り合いの知り合いという感じで一緒に遊ぶ様になった仲間も増えて行って、たぶんその内の何人かはソフトウェアーの部分の手伝いなんかもしてるんじゃないかと思う。
3Dデータの更新とかシステムの変更などの作業量がとても1人2人でやってるとは思えないレベルで動いていたから。
そしてそんな装置を作り出して擬似的にでも仮想空間で遊べるようになった頃に新しい更新情報が届いた。
「はぁっ?新しい入力装置のご案内??」
どうもそれは俺が自作したモーションキャプチャー入力装置の不具合などで何度か確認のやり取りをした自称技術職のオヤジさんからの案内で、体を動かすのに今現在アームの様な物に体をベルトなどで固定して遊んでいたのだが、それで何人か危険な状況になったという報告が上がって来た事で、その技術職のオヤジさんの知り合いの企業を巻き込んで新しく作った物らしい…
そして、その新しい入力装置のテストプレイヤーをお願いしたいという話だった。
ゲームの入力装置は今現在マウスとキーボードを使う人と、ゲームパッドとキーボードなどを組み合わせる人、モーションキャプチャー入力装置を使う人に別れるらしいが、自作できる人って言うのがけっこう少ないらしく、俺を含めて3人程度しかそこまで付いて来れて無いらしい。
そんな状況下なので後進の為にも手伝って欲しいという話で…
しかもテストプレイヤーとして謝礼も有るって話だったので飛びついた。
どうもその技術職オヤジさんの知り合いの企業と言うのはゲームパッドなどの装置みたいなのを開発する様な仕事をずっとしてきた所だったらしく、これ以降のゲームの基本デバイスの開発と言う位置付けでお手伝いしてくれているらしい。そんな裏情報もあり、お金が動き出したらしい。
「なるほど…今までなら視覚情報だけを再現してたけど体に感じるフィードバックも考慮する形になったと…」
俺は送られてきた宅配便の荷物を開けて中から新しい入力装置を取りだした。
その装置を最初に見た感想は…
宇宙服?もしかしたら潜水服?
大きな頭部を覆うヘルメットの様なモノと体を全身入れて密封するような形状の…着ぐるみが若干人っぽい形をしてる様なモノだった。
そしてその入出力装置(フィードバックスーツって書いてあった)は短距離通信で情報交換するのでパソコンを介さずにそのままゲームにリンクしてログイン出来ると…
それに体を動かす事が有るのでできるだけ広い場所に寝た状態で起動した方がより自由に動けると…
出来ればそのフィードバックスーツを着た状態で水中に居るのが望ましいらしい。
でも俺が住んでるアパートにはそんな大きな浴槽とかは無い訳で…しょうがないので実家の近くに有るちょっと大きな湖まで出向いた。
車を停めた所は市道か県道を進んで行った先で、昔水没した今現在水中に有る村に繋がる分岐した道に入り込み、1km程度進んだ場所にあるその先に入らない様に規制されてるバリケードの様な物のすぐ目の前辺り。
車を停めたすぐ横が1m程度の落差が有る場所でほとんど人が来ない場所。
車の中に携帯電話を設置してデータ転送リンクをスーツに施す。
通信距離はスペックを見る限りでは省電力モードにしなければ50m程度。
水中に入る事を考えて30m位までは離れても大丈夫か?
とりあえず車のエンジンをかけたままにしてシガーソケットから電源供給をさせつつ、スーツを着込みとりあえず命綱を車のサイドミラーに括り付けて駐車した場所のすぐ側から水中へ。
大きな湖とは言いつつも森がすぐ側にある場所なので落ち葉などがけっこうな数沈んでいて俺の視界がすぐに濁って見えなくなった。
とりあえず体が水に浮いた状態を確認して顔の正面のバイザーを下ろす。
視界に立体空間モニターが映りその中で音声認識に寄る入力をしていくと擬似仮想空間が現れていつも見ていたログイン画面が見えた。
「そう言えばいつものパソコンじゃ無いからIDとパスがそのまま出て来ないんだったか…しまったなぁ…」
まぁ今回は試運転みたいなものだし新しいキャラクターを作っても問題無いか。
とりあえず新規ID作成を選びそのまま何度かやったキャラクター作成の手順を進めて行く。
「ん?次回大規模更新時の新機能?」
新しくIDを作って操作していると今まで見た事の無い案内が有った。
そこを詳しく見て行くと、今まで人の姿のキャラクターでしか遊べなかったこのゲームだが、とうとう魔物というかゲーム内で用意されている従魔にできるキャラクターをメインキャラクターとして使用できるって事らしい。
なるほどなるほど♪
って事は、最近育てていたラクシュミちゃんでネカマプレイとかも可能と…♪
いいじゃんいいじゃん♪
俺はそのまま新しく実装される従魔プレイモードでキャラクターを作っていった。
ただ、最初に選べるのはレア度の高い従魔ではなく…
「まぁ最初から魔神とか使えないよな。今使えるのは…妖精のピクシーと、幼獣のケットシー、土着霊のコダマ、霊魂のウィルオーウィスプ、鳥魔のハーピー、外道のスライム、式鬼のシキガミか…」
ほぼ全て最初のホームエリアを出た辺りでポップする従魔ばかりだった。
さてどれにするか…あ、そう言えばこのゲーム課金アイテムが有った頃には空を飛ぶっていうか、浮いて移動する装備みたいなのが幾つかあったんだけどこっちの新サーバーになってからはそこらのアイテムってまったく無くなったんだよな。
できれば少しでも飛べたら楽しいかなぁ…
よっし♪妖精のピクシーに決~めたっ♡
スライムとケットシーを選ばなければ一応飛べるんだけど、まぁ趣味?
ネカマプレイも好みのキャラクターでしたいよね♪
それにそのうち従魔を合体させて自身を強化して行く事になるはずだから、最後は女神とか慈母神とか…エロボディーを持ったキャラクターになって見られる楽しみなんかもあるんだし?
と言う訳で、俺はピクシーを選びチュートリアルを勧めて行った。
ただ…このVR画面になってちょっとだけ問題が有ったんだけど…
注意書きとか説明などが文字で書いてある場合がけっこう普通にあるんだけど、それってどこを見てても文字として見える訳じゃないんだよね。
そこに視点を合わせて立体視しないと文字って読めないんだ…おかげで俺は書いてあった注意書きを読み飛ばしてしまった。
それに気付いたのはゲームを始めて少しした頃だった。
意識が白濁して行き…ふと気付いた。
俺の目に見えてるのは荒廃した空間…
しかも…なんかフワフワと上下してる…
「おっ?ここは…最初のエリアだな…お~~ここは見覚えが有るぞ。確かフィールドボスがたま~に居る場所の近くだ♪」
目の前には廃墟と大きな岩が点在する様な場所で次のエリアに進む境界に近い辺りの河川の近くだった。
見た覚えの有る場所が今までとはまったく違うレベルで見えてることに興奮を抑えられ無かった俺はさっそく色々と見て回ろうと思っていた…のだが?
「ん?あれっ??体が動かない??はて??」
今までなら特に何も考えなくても体が動いたはずなんだが…なぜか体が圧迫された感じがして動かせない。
とりあえずヘルプを選択して説明を見てみると…
新機能のチュートリアルを選び読み進めていくと、こんな注記があった…
体のサイズが違い過ぎるとリンク機能がうまく働かず意図通りに動かない場合があります?
ちょっとまてよ?
最初に選べる従魔って…全部かなり小さかったよな?
っていうかハーピーとスライムとシキガミ位か?人のサイズだったのって?
他は人の1/3とかピクシーなんかは手に乗れるサイズだし…
はぁ~~…残念ながら俺はキャラクター作成に失敗したらしい。
っていうか最初にそんなキャラクターを選べるようにするなよな。
何にしてもテストプレイの始めの一歩だから何か書いてたかもしれないんだが…
もしかしたら俺、最初にキャラクターを選ぶ時に何か読み飛ばした可能性が高いな。
と言う訳で俺はそこで1回ゲームからログアウトする事にした。
視点入力装置が動いてるのでそれを使いログアウト。
俺の意識がそのまま落ちて行った。
薄れていく意識の中声が聞こえてきた…
お休みの間、魔物に体を乗っ取られぬ様お気をつけて・・・・。
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自重を知らない幼女は持ち前のハイスペックさで二度目の人生を謳歌する。
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王女、豹妃を狩る
遠野エン
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ベルハイム王国の王子マルセスは身分の差を超えて農家の娘ガルナと結婚を決意。王家からは驚きと反対の声が上がるが、マルセスはガルナの自由闊達な魅力に惹かれ押し切る。彼女は結婚式で大胆不敵な豹柄のドレスをまとい、周囲をあ然とさせる。
ガルナは王子の妻としての地位を得ると、侍女や家臣たちを手の平で転がすかのように振る舞い始める。王宮に新しい風を吹かせると豪語し、次第に無茶な要求をし出すようになる。
マルセスの妹・フュリア王女はガルナの存在に潜む危険を察知し、独自に調査を開始する。ガルナは常に豹柄の服を身にまとい人々の視線を引きつけ、畏怖の念を込めて“豹妃”というあだ名で囁かれるのだった。
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救世主パーティーを追放された愛弟子とともにはじめる辺境スローライフ
鈴木竜一
ファンタジー
「おまえを今日限りでパーティーから追放する」
魔族から世界を救う目的で集められた救世主パーティー【ヴェガリス】のリーダー・アルゴがそう言い放った相手は主力メンバー・デレクの愛弟子である見習い女剣士のミレインだった。
表向きは実力不足と言いながら、真の追放理由はしつこく言い寄っていたミレインにこっぴどく振られたからというしょうもないもの。
真相を知ったデレクはとても納得できるものじゃないと憤慨し、あとを追うようにパーティーを抜けると彼女を連れて故郷の田舎町へと戻った。
その後、農業をやりながら冒険者パーティーを結成。
趣味程度にのんびりやろうとしていたが、やがて彼らは新しい仲間とともに【真の救世主】として世界にその名を轟かせていくことになる。
一方、【ヴェガリス】ではアルゴが嫉妬に狂い始めていて……
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