先生、僕って…なんか転生してるみたいなんですけど

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第一章 青葉

01 思い出した話

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寝てる時たまにビクッ!ってなって意識が覚醒する事がある。
あれです。金縛りって奴です。

実際には脳が起きていて体が寝ている状態なだけで、何か霊的な何者かが近くに居て体を押さえていたりする訳では無いと知ってはいるが、いきなりそんな状態になって足元で『カサカサカサカサ』なんて音が聞こえてる気がしたらもう怖くってしょうがないよね。
怖い対象はたぶん霊じゃないと分かっていても、体が動かない状態で侵食されるかもしれない感覚って言うのはとっても恐ろしい。

そして僕はそんな時、意識を手放す方向で頑張る。

僕は今寝てるから何も聞こえない…
カサカサ音がしてる気がするけどそれは空耳…
足の辺りを何かが這ってる感覚があるけど体が寝ててソンナノを感じる訳が無い…

さっさと寝てくれよぉ!!!!

僕ぅ!!

そしてこんな感じに意識を無理やり手放す様な事をしようとすると、なんとなくこう…高熱が出ている時によく見る理不尽な内容の夢を…見る気がする…



□■夢?■□



『お前はもう十分に強いはずだ。いったい何を求めてここに居るんだ?』
少し低い音程の響く声で近くに座っている男が聞いてきた。

『そんな事も分からないからお前はまだまだなんだぞ』
なんとなく僕…なのかな?自分らしき奴が随分と上から目線で男に答えた。

『まだまだと言われてもなぁ、俺には魔力的な素養が無いからお前みたいにはなれんよ』
失笑?息を漏らす感じに苦笑いを顔に浮かべながら、そこそこデカいビールジョッキらしき木製の入れ物を傾ける男。

『そうか?でも俺も元々は魔力なんて欠片も感じられなかったが…まぁ…』
僕にはなんとなくこの男には魔力を扱う回路が無い事が感じられていたので言葉を濁す感じに黙った。



魔力ってなに?


僕は夢を見てる…明晰夢を見てるんだよね?

だってこれが現実とはさすがに思えない…

でも僕の意識はそれがあって当然と思って答えている…今の高校生のゴキ…コホン。とある生物から逃げる為に意識を無理やり手放した僕じゃない、この世界の僕の事…

こいつも僕…?


なんとなく何の証拠も理由も無いけどそんな感じがした。


『まぁ俺の事はもういい、それでお前は今何を頑張ってるんだ?』
大きな体の男が椅子を軋ませながら聞いた。

『今やってるのは人の過去にやった事を見る魔法の開発だ。これがあればあのクソジジイの悪事を街中にばらまいてスッキリ出来る…フッ…目にモノを見せてやるから首洗って待ってろよ。クソ貴族が』
僕は心の中に広がる黒いタールの様な粘着きを感じさせる何かを意識しつつ自分じゃない意識に向けて意識の触手を伸ばす。

そして僕は僕の伸ばした触手に触れて物理的じゃない何かの方向に向けて強く引っ張られた。

『よーし。これで俺の意識を遠隔地に飛ばせるようになったはずだ。ちょいテストしてみるか』
僕の頭の中で僕がしゃべる声が乱反射する感じに聞こえた。

『おい待て!俺を実験に使うな!!』
俺を見ていた大きな男が少し焦った感じにイスを軋ませながら立ち上がり僕から数歩距離を取った。

『この魔法が見れる時間は過去12時間程度だからその間はお前ずっと俺と一緒に居たよな?』
僕は自分が少しゲスい顔をしてるのを意識しつつ男に向き直り声をかける。

『そうだけどやめろ!そんな魔法を俺に使ったらお前とのパーティーは今ここで解消するからな!!』
男がドアに背を当てて両手でファイティングポーズを取り威嚇する様に歯を剥いて僕を睨む。

『まぁそこまで言うならやめておくか。じゃぁ…そうだなぁ…とりあえずパーティーメンバーの女性陣ならばそんなに外部に対して被害が出る様な事も無いと思うので…』
『ヘレンとかどうだ?』
僕の所属するパーティーメンバーには女性が2人居る。
男がその2人の内の1人の名前を出した。

少しばかり何かを期待した目をしながら。

『ヘレンかぁ…ジーニーじゃなくていいのか?』
僕は答えが分かっていたけど聞いてみた。

『ジーニーは絶対見るな。見たらお前でも許さん』
おー…筋肉がはち切れそうな感じに盛り上がって本気度合いがかなり強く感じられる。
男は仁王立ちで一歩僕に近付いてギラつく目を向けている。

『オーケー分かった。お前ホントにジーニー好きなのな。で?もう突っ込んだのか?』
『突っ込んだとか言うな。ゲスな男が。まったく……一応手は握った』
最後の一言を言う男は少女の様に恥じらっていた。

見なかった事にしよう。こいつのこんな姿記憶に残しておきたくないし…
僕はついさっき開発した魔法を使ってヘレンの過去の姿を見る事にした。


………
……



発動した魔法は俺の想定通り機能した。
発動させる為に見たい相手の体に長時間直接接していた何かを媒体にしなければならなかったが、男が『これを使え』と懐から出した女性用の下着で代用できた。


こいつも大概な奴だな。


そして、他人に自分の見ている映像を見せる為には接触範囲を多めに取らなければならない感じだった。

『なぁ、これ…他人に見せるのってさすがに厳しくないか?』
そこそこ広い部屋の中、男が俺の顔に頬を密着させながら、俺の裸の背中に自分の裸のごつい胸板を押し当てつつ野太い声で聞いた。

『とりあえず他人に見せられるかどうかってのを確認しておかないと、今の所自分だけしか見れませんが?なんて言ったら確実に覗き魔のレッテル張られて変態認定されてしまうだろ?だからもう少し検証に付き合ってくれ』
過去の映像を見る魔法を使いながら、背中と首と頬の辺りに何とも言えない温かさを感じつつ、ヘレンが何か棒状のモノを自分の股間に擦り付けてハァハァ♡言ってそうな映像を見てる俺。

『とりあえずお前にはどこまで見えてる?俺にはヘレンがそろそろ持ってる棒状のナニかを自分のそこに突っ込んで楽しみそうな感じだが?』
『少し力を込めてお前を抱きしめたらうっすらと…肌色の女性が…何か黒っぽい棒を持って前後に動かしてるのは見えるな。たぶんヘレンと思うが、はっきりしない』
男が俺を抱きしめる腕に力を込めて更に密着度合いを高めた。

『なぁ…あれ…なんか太くないか?って言うか長すぎないか?』
上半身裸の俺を後ろから上半身裸で力強く抱きしめる男が少し動揺した感じに聞いてきた。

耳元で囁くように聞くな。

『太くて長い…あぁ、ヘレンが楽しむために用意したアレの事な。まぁ…俺が見た事あるサイズからすればちょっとデカすぎる気がするが、じいさんとかならあのサイズは結構いるぞ?』

裸の体を密着させた状態でヘレンの肌色面積の多い映像を2人で一緒に見てるって言うのはもしかしたら、とってもまずい状態なのかもしれないなぁ…

ちょっとした危機感を覚えつつ自分の新しい扉を開かない様にヘレンの股間部分に意識を向けて映像の向きを修正する様に色々魔法を調節していたら男が小さな声で聞いてきた。

『実は…お前を男と見込んで相談があってな…』





この状態で男と見込んでの相談?





まさかこいつ扉を開いた先の世界を知ってる冒険野郎なのか?
もしかして俺…今から後ろの扉を開かれそうなとっても危険な状態??

昔からの知り合いのパーティーメンバーの男の言葉にそこそこ大きな動揺を感じながらちょっと体を離そうと思ったら想像以上に強い力で抱きしめられていて…逃げられない♡

コホン…俺にはそっちのケはまったく無いのでそこんとこヨロシク!

俺は俺を抱きとめる力強い腕を掴みなんとか拘束を解こうとしているのだが、男は何か考えているのか俺の必死の抵抗に全く気付いて無い感じ♡…コホン…感じだ。
声に出して『離して…お願い♡』なんて言ったらそのまま押し倒されそうな空気を感じている俺は何とか行動で思いの丈を伝えるべく行動するが、筋肉の鎧でも着ている感じの男の腕は俺の細腕ではまったく歯が立たない。

これはもう『痛くしないでね?』なんて言葉を言うしかないかとあきらめの境地で覚悟を決めかけた時に、男が耳元で囁いた。

『アレってどうやったら大きく出来るんだ?』



お前まさか大きくしたお前のアレで俺のソコをコネくり回す気か?



いよいよ覚悟を決めるしかないと諦めかけた時、男が更に囁いた。
『実はジーニーがな、俺の家に遊びに来たいって言いだしてな…』




ん?もしかしたら俺、うまくすれば後ろの門を蹂躙されずに済むのか?
『あー…その…アレのサイズとジーニーがお前の家に遊びに行くのに何の関係があるんだ?』
とりあえずそっち(俺の穴蹂躙展開)の可能性を一切匂わせない感じに言葉を選んで聞いてみた。

『それは…お前もさっき言ってただろ?突っ込むとかどうとか…』
平坦なイントネーションでしゃべる男の体から暖かさと言うよりも熱いって感じの体温を感じている抱きしめられている状態の俺。

『もしかしてジーニーと一発やれるって事か?』
『やれ…まぁ…そんな感じだ。だからこうしてお前を男と見込んで聞いてるんだ』


こうして男と見込んで?
上半身裸の俺を、後ろから上半身裸で抱きしめてるお前が、俺を男と見込んで聞いてるのか?


これは真摯に答えなければ暴走したこいつに何されるかわらんなぁ…でも今すぐ掘削作業が始まる訳では無いって事か。俺は少しだけ緊張度合いを緩めて考える…

『そうだな、経験則で言うならば、大きくデカくする事は可能だが…お前がそれを許容できるかどうかは何とも言えんな』
『それでも構わん。少しでも可能性があるのであれば俺は何でもする。だから教えてくれ』

腕に力を入れなくてもいいから!!

『とりあえず…まぁあれだ、今日始めて明日ソレが大きくなってるなんて促成栽培的な方法は俺は知らん。でも長期的に見れば大きくなる速さは段違いだったって方法ならある。それでもいいか?』
『長期的か…そうだな、一応参考情報として聞いておこう』
どこ目線で言ってるんだこの男?

俺は背中と首筋と頬に圧倒的な熱量を感じつつ、ヘレンが30cmぐらいある太さ4cmほどの棒を自分の股間に出し入れしている無声映像を見ながらアレを大きくする方法を語りだした。


………………
…………
……



□■病院■□


「だいたいこんな内容の夢をよく見る様になったんですけど…僕って何かこう…アレな感じに囚われてたりしないのでしょうか?」
先生は今はもうあまり見かけない紙のカルテらしき物をパラパラとめくりながら少しの間考えていた。

ちなみに先生には、夢の冒頭部分の映像を見始める辺りまで話したが、それ以降は言ってない。
だって、そんな感じの…欲望?そんな趣味(大きな男に抱きしめられたい的な?)を持ってるって勘違いされたくないし。

「んー…新之助しんのすけ君は…今17歳か…なるほどなぁ…」
何か納得いったことがあったのだろうか医者がカルテを閉じ、腕を組んで目をつむり大きく2度うなずいた。

なんとなくチョットだけバカにされてる感じ?

「確か少し前からイギリスかどこかの魔法学校の映画とかブームになってたと思うけど、新之助君はそんな映像作品や、小説などを嗜む人なのかな?」
何気ない感じに軽いイントネーションで聞かれた僕はちょっと思い返してみる。

小説は中学に入る頃からマンガを見るより大人な感じがして何冊か読んだけど、それほどクラスの女子達みたいにのめり込む事は無かったな。どっちかと言えば僕はマンガの方が肌に合ってた気がする。
「まぁ嗜む程度ですけど読んだかなぁ…?」
チョットだけ見栄っ張りな僕が現れた。

「そうか…嗜む程度か…じゃぁそうだなぁ…」

それから少しの間先生は僕の幼少時に楽しんでいたアニメとか戦隊モノの名前を出して『こんな作品は知ってるかい?』などと少しばかりフレンドリーな感じに会話が進んだ。

「なんとなく君のことが分かってきたよ。とりあえず君が何か霊的なモノに囚われていたりするというのであれば私の専門外の話になるので何とも言えないが、私の分野での病気を特定する事は終わった」
なんとなくスッキリしたって顔で僕を見ながら言いきる先生だった。
「妄想空想が止まらない。これは心の成長の過程によくみられる症状で、年齢的にはちょうど新之助君ぐらいの年齢の健康な子に見られるものだ。そして、それらを病気と断定する事で安心できる人というのが結構いるんだよ」
先生はカルテに何かアルファベットの文字を書いてるけど読めない。
「とりあえず新之助君は病気と診断される事を願って私の元を訪れたのだから、私はそれに応えなければならないって訳だ」
しゃべりながら何かをカルテに書く先生。

あれなんて書いてるんだろ?英語では無さそうだけど…?

「では、私が君にしてあげられる事だが、一応診断書も書けるが…それはそれで問題になるかもしれないので、口頭で説明するに留めるとしよう。君は妄想性障害及び偏愛パーソナル疾患及び、統合失調症などの症例が認められる様だ。…で?何か薬を常飲していたりするかい?」

なんとなく心の病気を患っていると言われた気がするが…

「とりあえず薬は何も飲んでないけど…」
医者というブランド…権威?よく分かんないけど何かこう敵対的な行動を取ってはいけない感じの職業の人に聞かれたらノン思考で答える僕。

「では、一応抗精神薬と軽い睡眠薬を処方しておくので、まだ夢見が悪いな、と思う感じがある様なら我慢せずにまた来てください。では待合室で呼ばれるまで待ってください」
医者はそう言って僕を部屋から追い出した。

そして僕は処方された薬を持って家に帰った。
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