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なんか来た。

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 とある日の授業中、不意にそれは起きた。

 丁度模擬戦の最中で、私の相手はあの人間の少女である、カズハだった。

 彼女の闘い方は、膨大な魔力を自身の強化に使用し、普段の数倍以上のスペックで肉弾戦をしたり、属性を腕や脚に纏わせ飛ばすという比較的万能型のもの。
 魔力を纏わせれば身体全てが武器になるという事に加え、彼女は投げナイフ等の投擲用武器を大量に隠し持っているのだが、
 欠点は、彼女の魔力が膨大過ぎる為魔力をコントロールする事が出来ず、魔力を纏わせた暗器が次の瞬間使い物にならなくなる事か。

 故に彼女は基本的に己の身体を武器にする事が多い。

 何よりこの世界、基本的に魔法を使う際は、魔具と呼ばれる媒体を通して魔術を行使する。

 魔具とは基本的に、身体に流れる魔力を汲み取るポンプの様な役割を果たし、魔法を使う際に、手早く属性を付与したり威力を増幅させるなどの補助を目的として造られたアクセサリーだ。

 魔力を持つ者は多いが、一般的に魔具媒体が無ければ魔法は使えない。
 魔力の塊に属性を付与出来る技量の者はそうは居ないからだ。

 彼女の場合、膨大な魔力のせいで一度魔法を使用すると魔具が崩壊してしまうのだが、魔具を使用しなければコントロールし切れず暴走させてしまう為、仕方なく大量の魔具を装備し、自身の強化等をする度にそれを毎回一つずつ使い捨てにしている。

 つまり彼女、模擬戦の度に魔具を幾つか破壊しているのだ。

 ちなみに魔具は安くて日本円でひとつ三千円くらいする。

 この学園には錬金術師や魔具職人になりたい学生が居るので、そういう生徒から練習で造った魔具を安く買う事が出来るのだが、数を必要とするので結局金額が凄い事になる。
 職人的には大量に魔具を買ってくれる上客なんだろうが、こう何度も破壊していると金銭的にも余裕は余り無い訳で。

 結果彼女がお金にうるさくなってしまったのは必然なんだろう。
 この間も職人の生徒相手に値切り合戦をしている所を見てしまった。


 いや、そんな話は今は良い。


 とにかく模擬戦では、彼女は魔具媒体を使い捨てる為、いくら暗器を隠し持っていたとしても魔具が全て破壊された後が一番無防備となるのだ

 今回の事が起きたのも、丁度その時だった。

 それは本当に突然だった。

 これはただの確認なのだが、私の武器はカードである。
 基本的に一枚一枚使う事もあれば何枚か一度に使う事も可能だ。
 黒歴史の産物ゆえに無駄にチートな為、これを相手に貼り付けて爆破など、様々な魔法を使ったりする事も出来るし、武器として投げ付けてもスパッと切れたりするしで、使用方法は多岐に渡る。

 その時の私は、無防備となった彼女の隙を付いて一枚のカードを手に取り、魔力を纏わせた所で、
そのカードに全く見覚えが無い事に気付いたのだ。

 私のカードは中学時代の私がデザインした、なんかもう中二臭溢れる月と羽根と鎖をモチーフにデザインされた、ちょっとアレなカードだ。

 しかし今魔力を纏わせたこのカードのデザインは、黒い翼が羽根を広げただけのシンプルな、ちょっとセンスのある物だった。

 なんだコレ。

 思わず一瞬固まってしまった次の瞬間、そのカードは闇色のモヤを発しながら溶けるように消えた。

 意味が分からず、カズハの方へ視線を向けると、そいつは私と彼女の間に佇んで居たのだ。

 身長はルイより少し高いくらいだろうか。
 尖った耳には沢山のピアス
 首元にも大量のアクセサリー
 切れ長の赤い眼に、スッと通った鼻筋
 右目にはゴテッとした紋章のようなデザインがあしらわれた眼帯
 藍色の、肩に少し掛かるくらいの長さのストレートな長髪
 9:1で分けてある前髪を、眼帯が少しだけ見える程度に前髪ごとその長い右耳にかけてある。

 あちこちが破れた黒いVネックのシャツは細身な身体のあちこちの素肌を晒し
 その上になんか描き易そうな黒いコートを羽織っている無駄に整った顔をしたイケメン。

 肩に黒い、烏に良く似た、しかし大きさが全く違う鳥を乗せたそいつは、ゆっくりと視線を巡らせた。

 なんかビジュアル系バンドのベースかギターみたいなのが来たんだけど何この人。

「……ミズキ様が私を呼ぶとは珍しいですね、何の御用……ん?」

 セリフから察したけど、ミズキの知り合いなんて嫌な予感しかしない。

 ふと、そいつが見ている方向に誰が居るのか気付いて、戦慄した。

「ほう、身体、魂、共に美味そうな娘だな。
 主上に献上すれば喜んで頂けそうだ」

 ニヤリと笑いながらそう言う男は、人間の少女、カズハへ手を伸ばす。

 彼女は今、魔具が全て無くなった無防備な状態だ。
 こんな危なそうな奴に対抗する術は無い。

 私は慌てて地を蹴った。

「やめろ」

 そう声を掛けながら男のすぐ傍まで間合いを詰めた私は、その腕を掴む。

 大体にしてこの男、うら若き乙女に向かって美味そうとか完全にセクハラだろ。
 中二病患者みたいな外見の癖にこんな公衆の面前で何してんだこの野郎。

 男の手を掴んだまま正面へ回ってカズハを背に庇い、目の前の男を見詰めながら背後の彼女へ向け言葉を発する。

「コイツは俺がやる、カズハは退け」
「っなんか良くわかんないけど、分かった。
 気を付けなさいよ!」

 一瞬で気配を絶ち、退避行動を取る彼女は、私に向け最後にそう声を掛けながら走り出した。

 すると、目の前の男は無感情に私を見下しながら、冷たく言い放つ。

「……我の邪魔をするか」

 ちょ、一人称が“我”っておま。
 ヤバい、色んな意味でヤバい奴来た
 中二臭ハンパない、ヤバい

 心の中で盛大にドン引きしながら、目の前の男を睨む。

「……なんなんだ、貴様」
「……死ぬ者が知る必要は無いだろう」

 どうやら私を殺す気満々らしいですめっちゃ怖い。

 だがしかし、私にはチートがある!
 こういう時に使わずしていつ使うんだっていうね!

「……やれるものならやってみるがいい」

 私はそう言いながら、コートをバサリとはためかせ、男の腕を掴んでいない方の、左腕の周囲にカードを何枚か展開させる。
 そこで男はようやく私を戦える者だと認識したのか、何処か楽しそうな表情を浮かべた。

「……ほう、これはなかなか」
「……なんだ」
「あの娘程では無いが、貴様も美味そうだ」

 うぉお今寒気した何今の気持ち悪!

 戦える者だと認識されたと思ったけど違ったよ! 獲物だと思われてるよ!!
 くっそ鳥肌立ったちくしょう!

 余りの不快感に思わずそんなどうでも良い事を考えてしまったが、現在それどころじゃない状況なので、必死に押し込める。

「楽しめそうだな」
「……ふざけた事を……っ!」

 掴んでいた男の腕を振り払いながら一気に男から距離を取ると、奴はニヤニヤと不敵に笑いながら片腕を上げた。

「さぁ、掛かって来い。
 我が名はベリアル、魔王である彼の方の忠実な側近。
 ぼろ切れのように痛め付け、嬲り、その綺麗な顔が苦痛に歪む様を眺めながら食らってやろう」

 はい中二病患者大好き悪魔さん来ました。
 しかも鬼畜仕様のようです私相手じゃ萌えない。
 むしろ腹立つだけだよちくしょうが。

「誰が貴様などに食われるか。
 寝言は寝て言え」
「ほう、ますます食いたくなった」

 なんかもう寒気しかしないんだけど。
 だってこの場合の食うって物理的だろこの感じだと。
 カニバリズムだろふざけんな。

「して、亜人、名はなんだ」
「何故名乗らなきゃならん」
「頑張れーアイレーー!」

 きっぱり拒否した次の瞬間、ミズキの呑気な応援が響いた。

 うん、台無しだよちくしょう。
 今色々ツッコミどころあったのにお陰で飛んでったわ何してくれてんだミズキ、馬鹿。

「アイレ、か」

 舌の上で転がすように数度私の名を呼んでいる男。
 別に覚えなくて良いんで帰ってくれないかなマジ。

「気に入った。
 カケラも残さず食らってやるから感謝しろ」
「いらん、去ね、去れ、退しざれ、散れ、消えろ」

 反射的に何処かのゲームのキャラクターが言ってた気がする罵詈雑言を浴びせ掛けながら、更に男から距離を取った私は悪くない。
 感謝って何に対してだよお前にかよ無理だよふざけんな

「そう言わずに遠慮なく受け取れ。
 ああ、それとも犯されたいのか?」

 男はクツリと笑うと優雅に此方に向かって歩いてくる。

 遠慮しまくるわふざけんなそんでやっぱり私相手じゃ萌えない。
 なんかもう見下し過ぎてて腹立つ。
 上から目線過ぎて腹立つ。

「……ふざけるな貴様、塵も残さず抹消してやろうか」
「やれるものならやってみろ。
 まぁ、亜人風情が我を殺れるとは思えんがな」

 めちゃくちゃ上から目線の、完全に私を馬鹿にした発言である。

 はぁ????
 あー、はい、うん、そうか、そう来たか、はっはっは、シバくぞ。
 貴様は私を怒らせた。
 
 カズハの件でキレた以外で、久し振りに頭来たコイツ絶対ぶっ飛ばす。

「……言ったな?」

 有りったけのカードを使って、防御、攻撃、補助、回復の陣形を作る。

 攻撃のカードには全属性を付加。
 補助はスピード、体力、防御力、全て倍化
 防御は自分の周りをグルグルと回るカードが自動的に全ての攻撃を防いでくれる。
 回復は、魔力と体力回復に決まってるじゃないか。

 そして全ての威力は注ぎ込んだ魔力に比例する。

 卑怯?
 当時中二病罹患者だった私の造ったチートキャラクターをナメないで頂きたい。
 パワーバランスなんぞ考えられている訳が無い。
 ひたすらに、死角無く、強い

 そういうモノです。


「余り、私をナメるな」


 有りったけの魔力をカード達に込めながら、私は笑った。


「へえ、随分と面白い事をするな」
「退くなら今だが?」
「退くわけないだろう。先手は亜人に譲ってやろうじゃないか。来い」
「後悔するなよ」
「後悔するのは貴様だ」

 興味を引かれたのかジッとカードを眺めながら何の構えも取らずに立っている男へ向け、全ての攻撃カードを投擲する。

 その余裕も今だけだ。

 カードにはホーミング機能まで付けてあるから回避は不可能。
 受けるか防御かの二択だけなのだから。

 しかし男は影から烏を数羽放ち、優雅に笑いながら私のカードを相殺した。
 烏が当たったカードは黒炎に包まれて燃え尽きていく。

 炎に包んだ物を全てを焼き尽くす系能力か!

 つまりチート対チートって訳かよめんどくせーなちくしょう!

 不意に男が手を振ると、同時にカードで造られた防御結界の周りに黒炎が燃え盛り、私の視界を塞いだ。

(目眩ましか!)

 考えた次の瞬間、突然の衝撃と共に結界が揺らぐ。
 見れば正面に何か鋭い物が突き刺さっている事に気付いた。

 何これ怖い。

 え、何? 爪? 爪だよねこの黒いの。
 内心恐怖にガクブルしながらとりあえずカードに更に魔力を注ぐ事で結界を強化する。
 だが、刺さるソレを伝って黒炎が結界内に侵入して来ている事に気付いた。

 クソ厄介だなこの炎!
 どんだけチートだよ鬱陶しい!

 しかしこのままこのカードで防御し続ける意味は無いと判断した私は、魔力でカードを新しく生成すると、内側に新たに防御結界を張りながら、外側で防御結界の役割をしていたカードを攻撃のそれへと瞬時に切り換える。


「爆」


 キーとなる言葉を口にすると、外側のカードは轟音と共に爆発を起こした。

 そうです。
 このカード魔力で無尽蔵に作れます。
 チートに良くある設定だよね!
 いやぁチートで良かった死にたい。

 もうもうと立ち上る爆煙を眺めながら自己嫌悪に陥っていると、

「ほう、切り換えも見事なものだな」

 私の耳元でそんな低い声がした。

「チィッ!」

 舌打ちしながらも瞬時に手元にカードを生成し、それを指で挟みながらカードに攻撃を付加して勢い良く振り返った。

 なんで背後に居るんだよふざけんな鳥肌ハンパないちくしょう。

「おっと、怖い怖い」

 ニヤニヤと笑いながら、男は優雅に私から数歩距離を取った。

 無傷ってどういう事だよ、深いクレーター出来てるくらい魔力込めたのに!
 学園崩壊させる覚悟でもっと目茶苦茶魔力込めれば良かったのかなやっぱり。
 でも怒られるの嫌だしなぁ。

 仕方ない。
 飛び道具が無理なら肉弾戦に移行するまでだ。

 そう考えた私は出していたカードを全て消して魔力へと返還し、全ての魔力を自身の肉体強化へと廻してから、一気に奴との間合いを詰めた。

「ふっ!」

 掛け声と共に手刀を放つが、男はそれを余裕たっぷりに受け止める。

「この程度か?」

 残念なものを見るような目を向けながら、私の腕を受け止める男。
 しかし私は受け止められたその手から、一瞬でカードを生成する。
 風属性を付加したそれで奴の顔を斬り付けながら、鼻で笑ってやった。

「フン、貴様、油断しただろう」

 告げた途端、カードに付与されていた真空の刃の攻撃が当たっていた事によって、奴の頬にゆっくりと朱い線が生まれ、つぅ、と血が滴った。

「……………………」

 男は無言で自らの頬に指を這わせて流れ出る血を拭い、それを見る。
 そこでようやく私に攻撃を受けてしまった事を認識したらしい。

 やーい! 私の事ナメまくるからだよバーカ! とか考えた次の瞬間、不意にその口元に凶悪な笑みが浮かんだ。

「……油断、か。
 そうだな、我としたことがどうやら油断していたようだ。
 今から本気で相手してやろう」

 途端に奴の殺気が一気に膨れ上がる。
 不思議な事にそれは暴風となって辺りに吹き荒れた。

 うぉお……、なんかヤバい奴怒らせちゃった気が凄いする何これ。
 殺気だけで暴風起きるとかどんだけチートなのやだ怖い

「はいストーップ。
 それ以上は面倒だから止めろー」
「……ミズキ様」

 めっちゃ呑気に歩いて割り込んで来たミズキに、男は困惑したようにミズキの名を呟いた。

「これ以上やると校舎壊れるから止めてくんね?」

 コテ、と首を傾げながら、可愛くお願いするミズキ

 とりあえずシバきたい。

「……ミズキ様がそうおっしゃるのでしたらここは私が引きましょう」

 胸に手を当てミズキに向けて礼をした男は、そう言って暴風のようになっていた殺気を引っ込めた。

 ……うん、それよりも、だ。


「……ミズキ、説明、あるよな」 
「えーめんどい」
「……ルイ×ミズキ」
「うぐっ……ちょっとキッカケ与えてやろうと思っただけだよ。
 まさかここで引き当てるとは思わなかったけどさ」
「……キッカケ?」
「前話したろ? 伴侶探してやるって言ってたやつ。
 それ、お前のカードに召喚カード混ぜといた」

 いや、いらんっつったよね私。
 ちょっとお前マジ何してくれてんのふざけんな
 つーかなんでこんな物騒な奴連れて来たんだよ死ぬわ

「面白いかと思って!」
「ふざけているのか、とっとと帰らせろ」
「ヤダー」

 ヤダじゃない、どうすんだあんな危険人物

「大丈夫だって、それ程害は無い」

 害の無い奴はいきなり攻撃して来たりしませんが。

「そりゃアイレが邪魔するからだよ」

 助ける力がある時に目の前で知り合いの女の子が襲われそうになったら誰だって助けるだろ馬鹿か。

「俺が止めるっつーの。
 カズハちゃんには生きててもらわないと困るもん」
「ならさっさと止めれば良かっただろう」
「その前にアイレが間に入ったんじゃん」

 ぷーと頬を膨らましているミズキ。

 シバきたい。

「知るか」

 つーかどうすんだあの人。

「あー、どうすっかな。とりあえずごめんなベリアルこんな所に呼び出して。
 痛くねぇーか?」

 ミズキは思案気味に男へと近寄り、頬の傷に指を這わせながらそれを拭う。
 すると不思議な事に傷が消えた。
 だが途端に、サッとベリアルの頬に怪我とは別の朱が走る。
 完全なる撫でポである。

 これはアレか?
 アレな感じなのか?
 カミサマだから知り合いには無駄に好かれてるとかなんかそんなアレか?

 本当に中二設定だな美味しいけど。

「で、どうするベリアル。
 帰るか此処に通うか、どっちが良い?」
「……ふむ」

 顎に手を宛がい真剣に考え始める男。

 え、いやちょっと待て、通えんの?
 っていうか何選ばせようとしてんだミズキ。
 さっさと問答無用で送還しろよ。

「園長に言や何とかなるだろ」
「ミズキ様、私がこの学園とやらに通っても宜しいのでしょうか……?」
「大丈夫大丈夫」

 ふざけんなこんな非常識な奴が来たら学園混乱すんだろ。

「アイレが常識教えてやれば良いだけの話だろ?」
「何故私が?」
「えーんちょー」

 突然どこかに呼び掛け始めるミズキ。

 いやちょっと待て聞け。
 私の話聞いて頼むから。

「何ー?」

 オイ待てなんで居る園長。
 もしかしてわざわざこの騒ぎの様子見に来たんか来なくて良かったのに。

 ひょっこりと姿を見せた園長に軽い殺意を覚えた私はきっと悪くない。

「こいつ入学させたげてー」
「えー、また増えたのー? まぁ良いけどさぁ」

 ふざけんなちょっとは考えろダメ園長。
 面倒で流しただろ細かい事!

「んーとキミ、名前は?」
「ベリアル、種族は悪魔だ」
「オッケー、じゃあテキトーに書類作っとくわ」
「オイ、待て」
「部屋はアイレ君と同室になるけど、良い?」
「……ああ、構わぬ」
「勝手に話を進めるな、私の意見を聞け」

 私を無視して勝手に決めんなふざけんな。

「亜人の意志なんぞあってなきが如くだろう」
「……ふざけるな」

 なんなんだよその差別意識。
 クソ腹立つコイツ目茶苦茶シバきたい。

「ベーリーアールー?」

 そう呼び掛けながらベリアルをメッと叱り付けているミズキ。

「……宜しく頼む」

 消え入りそうな声でそっぽを向きながら、ベリアルは私にそう言った。

 ……よし、今日から野宿しよ。

 私は一人決意したのだった。


 
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