上 下
35 / 38
本編 2 『婚約者』

第2-14話 混乱する12歳。3人の男とベリー

しおりを挟む
ウルが王都で“”神様ごっこ“”をして来た日から数日経ち、その間ベリーは平和な日々を過ごしていた。

この日も、毎朝の恒例になってる『ギャオちゃん目覚まし』で起こされた。「こんのアホ鳥が!!」

そして、私を抱き枕にして眠ってるユージを「重いってぇ!起きてバカユージ!」と引っペがし、

「ギャオちゃん覚悟!《ウィンドカッター!》ムっかつく!避けんなし!」バカにしてくるアホ鳥との攻防を繰り広げ、

コンコン。「おはようございますベリー様」起こしに来たサイラスに、「婚約前の同衾はお控え下さい」と小言を言われ、「だって、ユージが入ってくるのよ」と返し、

「全く…はぁ…お支度なさって下さい」と着替えを渡され、「食事の用意が済んでおります」と食堂へと連れられ朝食を食べた。「今日のスクランブルふわっふわ!」

その後サロンでまったりし、ちびっ子メイド達と戯れていたらハクがスススっと来て、「ルカリオ様がお越しになりました」と伝えられた。


ルカ「数日ぶりですね。朝から申し訳ありません。侯爵様がベリー様をお呼びになっており伝えに参りました。あと、ギザさんは?少しお願いが有りまして、お会いしたいのですが」


「おはようルカ。あの日以来ね!それで、お父様が呼んでると…」 また何か厄介事かしらね… 「分かったわ、後で行ってくるわね」


「で、ギザちゃんなら地下の自室でまだ寝てるんじゃないかな?」と伝えた。朝が苦手だからねぇ。悪魔だからなのかな?《闇がぁ~!太陽がぁ~!》ってたまに叫んでるし。


「ハク、ギザちゃんの所まで案内してあげて?」

ハク「畏まりました。ではルカリオ様此方です」

ルカ「ハクさん、ありがとうございます。ではベリー様、失礼致しますね」

「はいは~い。寝てたらぶっ叩いて起こしてぇ」


悪魔にお願いなんて何かしらね?剣の指南か、魔法の講義か、その両方か……シュタイザー家の騎士達、ギザちゃん信者だからなぁ。あれは凄かったわ。


数日前、部屋に《我が姫!!》と乱入してきたギザちゃんに、《暇ですねぇ、何かこう…ガっ!ギュン!って心躍るような催しは有りませんかねぇ》と無理難題を言われたのよ。

で、護衛中だったサイラスが、「では、シュタイザー家の騎士団で模擬戦でもしますか?」と提案して、
《むむむ!人族は私を恐れる者よの…》と何やら思案していたギザちゃんを、「良いじゃん!行こ!」と、問答無用で連れてったわけ。


エドとユージが揃って留守にしてて、私とサイラスでミライの子守りをしていたので、騎士団にはミライも連れて行った。


サイラスに抱っこされてたミライが、「じーちゃ、とー、リーちゃ、とー、ちゃいらちゅ、とー、みりゃ、とーいくのー?」

と何やら喋ってたけど、私とサイラスは「「???」」だったわ。ギザちゃんは解読出来たようで、ミライとやり取りしていた。


《“”じーちゃん“”では有りませんねぇ、“”ギザちゃん“”ですねぇ。“”じー“”じゃなく、“”ギザ“”ですよぉ》

「じー!ちゃ!」 

《ギザちゃん!》

「じあちゃ!」 

《むむむ。違いますねぇ、難しいですかぁ?》

「ちあうぅー?むちゅかちーね!……ん~、あーちゃ?」 

《ヒッヒッ。悪魔の“”あーちゃん“”良いですねぇ》

「ヒヒッ。あーちゃ、リーちゃ、ちゃいらちゅ。ねー」

《うむ。ヒッヒッ、賢いですねぇ。素っ晴らしい!》

「ヒヒッ、ちゅっららちい!ぷくくく」


何故か成り立ってる2人の会話を聴きながら、到着した騎士団訓練場。そこには団長もルカも揃っていて、各々が剣を振るっていた。


「さ、ギザちゃん着いたよ……って何で鉄マスクしてんねん!」

ミライ「くーち、あーちゃ、ないないたー」

ギザ《ヒッヒッヒッ。恐ろしさを足して、負の感情を享受するためなのでぇす!チビ太、口はあるのでぇす!》

ミライ「みりゃよー、ちーた、ちあう!」

「あーさいでっか……てか、チビ太じゃなくてミライだから」

ギザ《ヒッヒッヒッ。さぁ人間共よ!私は魔界より召喚されし悪魔だ!恐怖の感情を寄越すのだ!》


そんなギザちゃんの思惑は無残に砕け散った。私達に気付いた団長を初め、ルカも団員達も悪魔に興味津々で、一瞬で人気者に登りつめた。

団長は「悪魔って、あの伝説の存在な悪魔か!是非とも手合わせ願いたい!」と、ブンブン握手するし、

ルカは「目が真っ赤なんですねぇ。瞳孔も縦長、いやはや大変興味深いです。そのマスクの下は?」と、マジマジ観察するし、

団員達も、「魔力ビンビンっすね!」 「剣技は?魔法だけ?」 「本物の悪魔っすか!顔真っ青っすね!」 「鉄マスク格好良いです!」 「自分、槍が得意っす!」 「角とか尻尾は?ないの?」と、ギザちゃんを取り囲み、ワラワラ、ワラワラ。

困惑したギザちゃんが《ウヒッ!》と変な奇声を上げて、
《わ、我は魔界の序列13位の悪魔なのだ、人族が疎むべき存在であるからしてぇ、恐ろしくないのですかぁ?》と聞いたら、


団長「忌む奴等もいるだろうが、何もされてない内から疎んでどうするよ」

ルカ「そうですねぇ。それに、ベリー様と一緒にいる時点で悪者では無いのでしょうしね」

団員A「悪魔より、人間の方が恐ろしいって」

団員B「街中でバッタリ出会したら怖いかもなぁ」

団員C「ヒョロっこくて強そうに見えないしな」

団員D「サイラスが殺気立ってないし。全く怖くねぇな」

団員E「天使と女神と剣鬼神(※サイラスの2つ名)と伝説の悪魔。絵面が凄っ!」


と、口々に言われ、嬉しくなったギザちゃんは、見えない尻尾をブンブン振り回しながら訓練に参加した。

私はミライと見学してたんだけど、ヒョロガリ悪魔は剣技も魔法もずば抜けて強かったのよ。付いていけてたのは団長とサイラスだけだったわ。

凄い!の一言に尽きるわね。その身のこなしは滑らかで、相手の攻撃を見切り、瞬時にその威力をかわす。相手はその技に圧倒され、その身の動きに翻弄されてたわ。

魔法に関しては属性が『闇』なので、放たれる魔法攻撃を全て闇魔法で吸収し、その力を自らの力として取り込んでいた。完全なる敵の攻撃の無力化は圧巻だったわ。

闇魔法は、他の属性にない力を秘めていて、戦闘において非常に厄介で強力だった。まさに『The悪魔』って感じよ。

で、普通ならそんなに強い相手って、恐怖の対象になるでしょ?なのに、訓練戦が終わった瞬間、大歓声よ。

「「ヒューヒュー!!ギザスゲー!!」」って、フィーバーよ、「「やっべぇ!カッケー!!」」「「剣鬼神サイラスも勝てないとか最強じゃん!!」」とお祭り騒ぎ!

んで、団員達に《あの時は、こう!するのでぇす》 《貴方は軸足が…》 《詠唱というのは…》 《貴方は剣より槍向きですねぇ》と、一人一人アドバイスしてて、帰る時には“”師匠“”と呼ばれていたわ。


数日前の出来事を思い出し、側に立つサイラスを見上げ「ね、あの時のギザちゃん凄かったよねぇ。師匠に特訓のお願いでもしに来たのかな」と話し掛けた。

サイラス「そうでしょうね。私ももう一度手合わせしたいものです。ギザはとても強かったですよ」

「行ってくれば?ユージに侯爵家まで付き合ってもらうから。あれが起きたら行ってくるわ」

サイラス「…………」


な、何よ?え、なんでそんなジッと見るわけ??顔にパンくずでも付いてる?ペタペタ


そんな私にサイラスは、「…ぷっくく。パンくず等、付いておりませんよ。安心して下さい。付いているのは……」頭を撫でながらそう言ったと思ったら、

「綺麗な眼と…」スッと親指で瞼をなぞり、「え…」

「小さい鼻と…」人差し指でツンっと突き、「あ、あの…」

「桃色の頬…」手の平でスルッと撫で、「サ、サイラ…」

「それと…」指キスで口に触れ、「この潤わしい唇だけですよ」と至近距離で微笑まれた。

そのまま暫し見詰め合うこと数秒。まさに空気はピンク色。花でも舞ってたんじゃなかろうか。

私とサイラスのピンクな空気を分散したのは、「おい…何してる」地を這うようなユージの声音だった。

瞬時にパッと姿勢を正した私の護衛騎士は、澄ました顔して「ベリー様に何時ものお小言です」と宣った。

「だからって、距離感おかしいだろ」と、詰め寄るユージに、「私とベリー様の仲ですので、御理解下さい」と頭を下げた。そしてウィンク。

その色香にやられた私は、ボッ!と、瞬間湯沸かし器のように顔が真っ赤に染まった。(マジで勘弁してぇ!)

恥ずかしさに耐えきれず、両手で顔を覆って下を向いてブツブツ言ってる間、男2人がコソコソ話してたなんて気付かなかった。


ユージ(はぁ…お前…いや、うん。腹括ったから良いわ…でも複雑だぁ…)

サイラス(いや、同衾してるくせによく言うよな。朝起こしに行って見せつけられる側になってみろって。かなり辛いぞ)

ユージ(今後お前もその立場になれるかもじゃん?侯爵様には許可もらったんだろ?)

サイラス(許可は貰ったが、あとはベリー様次第だよな。もし同じ立場になれたら、初日は譲れよ?)

ユージ(くっ…仕方ない。でも手は出すなよ)

サイラス(……まぁ、善処する)

ユージ(善処じゃない!約束しろ!)

サイラス(……約束なぁ…それは出来ない)

ユージ「おっ前~!!」


「!?キャッ!なになに?どしたのユージ」

いきなりの怒鳴り声に驚いたベリーは、ビクッと身体を跳ねさせソファから飛び上がった。声の主を見遣ったら、相手の胸ぐらを掴んでて驚いた。何やら揉めてたらしい。


「何してるの?喧嘩?やるなら外でやってよね。その間に侯爵家に行ってくるから。じゃ!」


存分に暴れなさいなぁ。と、手を振って歩きだしたら、ガシッと両肩を掴まれた。男2人に。


ユージ「待て待て、喧嘩じゃない。俺も行くから待て」

サイラス「ベリー様、護衛を置いて行くのはダメですよ?さ、行きましょうか」

そう言って色気振り撒き男は、腰をスっと抱いて、「!?!?」私を促し玄関に向かった。

ユージが着替えに行って、戻って来るのを待たずに外へ出て歩き出したが、サイラスの腕が腰に回されたままだったので、
「ねぇサイラス!こ、腰を抱かなくても歩けるわ」と、離すよう伝えた。なのに返ってきたのはニコッとした笑みだけだった。

困惑しながら侯爵邸に向かってたら、「待てぇ!」と猛スピードでユージが走って来て、バッと回収された。ちょっとホッとした。(今日のサイラスは心臓に悪いわ)


2人に挟まれる形で侯爵邸に到着。メイドさん達に「こんにちは」と挨拶しながら執務室へ。

(あら?エドまでいるじゃない。何かしらね)

侯爵「お、来たか。悪いな呼び出して。まぁ、座ってくれ。サイラスもユージーンもな。茶はいるか?」

ユージ「失礼します。お茶は大丈夫です」

サイラス「私もお茶は大丈夫です。御前失礼します」

「私もお茶は要らないわ。で?なんか大事な用事?」


私がそう聞いたら、お父様はセバスに下がるように伝え、部屋の中は私達3人と、エド、パパンのみとなった。

そして真剣な目で見詰められ、(なに?なんなの?)困惑していたら、ゆっくりと語りかけてきた。


侯爵「ベリーは今12歳か?もう13歳だったか?」

「もう少しで13歳ですね。あと、半月くらいで」

侯爵「そうか。うむ。あー、今ユージーンとお付き合いしているのだったね?12歳で婚約するとも聞いていたが、間違いないかな?」

確かにそうだけど……

「お付き合い…そうですね、恋人ではあります。婚約の約束?も一応しています」


「ふむ。実はな……」と話し出した言葉を、「侯爵様、発言を許して頂けますか」と突然遮ったサイラス。「うむ」と許可したお父様に「感謝します」と答え、「続きは私からお話しします」と頭を下げた。

(何が始まんねん)と傍観者になってたら、私の前で胸に手を当て跪いた。「え?え?ちょ、サイラス?」

混乱してる私の手を取り、甲にチュッとキスを落とし、真剣な表情で見詰めてきた。

もうここまでされたら、私だってこの先の展開が分かる。サイラスは私に求婚するんだと。どうしていいか分からないけど、話はちゃんと聞かないとと思って大人しくしていた。


サイラス「ベリー様。私は貴女をお慕いしております。本当は伝えるつもりは無かったのです。専属護衛騎士として許されない感情ですから。
主人に従っている以上、私の心に宿るこの想いは隠さなければなりません。
しかし、それでもなお、貴女への気持ちが抑えきれないのです。この葛藤が、とても苦しい……
貴女に許されない想いを抱く、このバカな男を許してください。そして、願わくばどうか私に貴女の愛を下さい。愛してますベリー様」


私はその言葉を聞いて胸が熱くなった。サイラスの言葉は心に響いた。私もまた彼を大切に思っている。
でも、彼に寄り添い、想いを受け入れることも、拒絶することもできない。
今は時間が必要だと思う。私の中で整理をつけ、サイラスに正直になれる日がくるまで待ってほしい。


だから、「……ありがとうサイラス。正直言って、とっても嬉しいわ。私なんかにそこまで!?って思う気持ちもあるけどね。ただ…私にはユージが居るから…どうして良いか分からないわ…少し考える時間をくれる?」


サイラス「!?はい、はい!考えて頂けるんですね!待ってますベリー様!っしゃー!」


いや、え?OKしてないから!何そのガッツポーズは!そういえばユージはどうしたのよ!チラッ。

(ユージ!あんた何でそんな落ち着いてんの?貴方の恋人が熱烈に口説かれたけど!)

そう思って口を開こうとしたら、「俺からも!」と、今度はエドが胸に手を当て跪いた。そしてまた手の甲にチュッとキス。「ええ!エドまで……」


エド「ごめんねベリーちゃん。困らせるのは分かってるんだ。でも、こうして伝えられるチャンスを貰ったから言葉にすることにした。俺も貴女をお慕いしています。
ずっと前からキミのことが好きだった。君の笑顔や優しさ、全てが俺を惹きつけて止まないんだ。少しでも君に近づきたくて伝える事にした。
ユージとサイラスと一緒に、俺も生涯ベリーちゃんを傍で見守っていきたい。俺の気持ちを受け入れてくれないかな?大好きだよベリーちゃん」


私は驚きと戸惑いでいっぱいだった。エドが私を好きだという言葉に、3人で私を……という言葉に、どう返していいのか分からなかった。

どんな答えを出すべきなのか、ひとつひとつ考えながら、自分の気持ちに向き合っていかなければならない。でも、彼等を傷つけることなく、どうやって答えを伝えればいいのだろう。


分からないわ……ユージ一筋って決めてたのに……心がざわめく。彼等の思いを軽視したくない……でも……全員を受け入れるなんて……(ああ…神様…私はどうすれば…)


(というか!なんで執務室で愛の告白なのよ!ユージが何も言わないって事は、今日こうなるのを知っていたわね!)

シリアスな雰囲気だったが、ユージの態度を見て段々イラッとしてきたベリーは、「ダンっ!」と足を床に叩きつけ、徐に立ち上がった。


「エド!サイラス!貴方達は私を愛していて、最終的には結婚したいのね?それは、一妻多夫に納得してるってこと?後で後悔しない?」

エド「はい!結婚したいし、納得してる!絶対に後悔しない!」

サイラス「!?はっ!私も夫の一人になれるなら後悔なんて致しません。きちんと話し合ったので納得もしています!」


「そ、そう…」むー。話し合いなんていつの間にしたのよ…はっ!あれか、数日前ビールを懇願してきた時!男3人で朝まで酒盛りしてたあの時か!


それよりユージよ! 「ユージーンさん。貴方も異論は無いのね?エドとサイラスと同じ立場になる事に」

ユージ「なんで“”さん“”付け?ま、まぁ。異論は…ない。話し合った時に腹括ったから。3人でベリーを幸せにしていこうって」


この男!『誰にも取られたくない』って泣きそうになって縋ってきたのに!

「ふぅ…分かったわ。正直、2人とも同じくらい好きなのよね。それが友愛なのか親愛なのか、まだ分からないのよ。ママとお兄ちゃん的な感覚で接してたから尚更ね」

ユージに対する気持ちは親愛だって分かってるんだけどね……

エド「お兄ちゃん……」

サイラス「マ、ママ!?」


「少しだけ時間を下さい。やっぱり一妻多夫に抵抗があるのよ。なんか不誠実な気がしてね。でも、ちゃんと考えるわ」


ウルにも『常識を捨てて考えなよぉ。ここは異世界!日本じゃないんだからぁ』って言われたし……

あの時は、いきなり言われて、なんの事を言ってるのか分からなかったけど、この事だったのね。

というか、あの阿呆うさぎ。また酒瓶抱えてグースカピーと寝てるんじゃないわよね!!まんまる尻尾取るぞコノヤロー!いや、ウルの事は後で良いわ。今はコッチね。


「という事で、ユージ。貴方との恋人関係は一度白紙に戻すわ。そしてまっ更な状態で考える。分かった?」

ユージ「そんな!?……うっ…はぁ…分かったよ」

あら、聞き分けがいい事。もっと反発すると思ったのに。


「ではお父様。3人は私の婚約者候補ってことで宜しいですか?最終決定は、15歳の時に下すわ。それまで傍観者でいて下さいね」

侯爵「15歳だな。あい、分かった。ベリーの意思を尊重しよう」

「ありがとうお父様。では屋敷に帰りますね。《転移!》」


『もう話す事はない』と、一人その場から自宅へ転移したベリーだが。今日集まって貰った面々に、まだ話があった侯爵は慌てて引き止めようと手を伸ばしたが、その手は虚しく空をきった。


侯爵「あ!待て……ああ…まだ話があったのに…」

あの子は少々せっかちではないか?全く誰に似たのか…


サイラス「侯爵様、本日はこの様な機会を下さりありがとうございました」

エド「俺からも、ありがとうございました。今日が無かったら一生言わずに後で後悔してたと思う」

ユージ「私からも、感謝します。それで、ベリーに話とは?私達から伝えましょうか?」


まぁ、あんなに必死に頼まれたら『ダメ』と言えんだろうが。毎日のように執務室まで来よってからに。

侯爵「うむ。これからは3人共が同じ立場になった。どういう決断を下されても文句は言わないようにな」

ユージ「はい。覚悟してます」

サイラス「はっ!心得ております」

エド「分かってる。文句は言わないよ」


それぞれの返答を聞いて頷いた侯爵は、セバスを呼び戻し話をする事に。その内容を聞いた3人は、複雑な表情と、心境を抱えながら屋敷に帰った。

ベリー伝えるかどうか、取り敢えず3人で会議をする事にし、ユージの自室へと消えていった。手に酒瓶を持って。

団結した彼等は、会議という名の酒盛りで夜を明かした。二日酔いで現れる3人に、ベリーの雷が落ちるのは数時間後だ。それまで存分に楽しめ若者よ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

そして乙女ゲームは始まらなかった

お好み焼き
恋愛
気付いたら9歳の悪役令嬢に転生してました。前世でプレイした乙女ゲームの悪役キャラです。悪役令嬢なのでなにか悪さをしないといけないのでしょうか?しかし私には誰かをいじめる趣味も性癖もありません。むしろ苦しんでいる人を見ると胸が重くなります。 一体私は何をしたらいいのでしょうか?

〘完〙前世を思い出したら悪役皇太子妃に転生してました!皇太子妃なんて罰ゲームでしかないので円満離婚をご所望です

hanakuro
恋愛
物語の始まりは、ガイアール帝国の皇太子と隣国カラマノ王国の王女との結婚式が行われためでたい日。 夫婦となった皇太子マリオンと皇太子妃エルメが初夜を迎えた時、エルメは前世を思い出す。 自著小説『悪役皇太子妃はただ皇太子の愛が欲しかっただけ・・』の悪役皇太子妃エルメに転生していることに気付く。何とか初夜から逃げ出し、混乱する頭を整理するエルメ。 すると皇太子の愛をいずれ現れる癒やしの乙女に奪われた自分が乙女に嫌がらせをして、それを知った皇太子に離婚され、追放されるというバッドエンドが待ち受けていることに気付く。 訪れる自分の未来を悟ったエルメの中にある想いが芽生える。 円満離婚して、示談金いっぱい貰って、市井でのんびり悠々自適に暮らそうと・・ しかし、エルメの思惑とは違い皇太子からは溺愛され、やがて現れた癒やしの乙女からは・・・ はたしてエルメは円満離婚して、のんびりハッピースローライフを送ることができるのか!?

悪役令嬢に転生したら病気で寝たきりだった⁉︎完治したあとは、婚約者と一緒に村を復興します!

Y.Itoda
恋愛
目を覚ましたら、悪役令嬢だった。 転生前も寝たきりだったのに。 次から次へと聞かされる、かつての自分が犯した数々の悪事。受け止めきれなかった。 でも、そんなセリーナを見捨てなかった婚約者ライオネル。 何でも治癒できるという、魔法を探しに海底遺跡へと。 病気を克服した後は、二人で街の復興に尽力する。 過去を克服し、二人の行く末は? ハッピーエンド、結婚へ!

シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした

黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)

転生したら攻略対象者の母親(王妃)でした

黒木寿々
恋愛
我儘な公爵令嬢リザベル・フォリス、7歳。弟が産まれたことで前世の記憶を思い出したけど、この世界って前世でハマっていた乙女ゲームの世界!?私の未来って物凄く性悪な王妃様じゃん! しかもゲーム本編が始まる時点ですでに亡くなってるし・・・。 ゲームの中ではことごとく酷いことをしていたみたいだけど、私はそんなことしない! 清く正しい心で、未来の息子(攻略対象者)を愛でまくるぞ!!! *R15は保険です。小説家になろう様でも掲載しています。

家庭の事情で歪んだ悪役令嬢に転生しましたが、溺愛されすぎて歪むはずがありません。

木山楽斗
恋愛
公爵令嬢であるエルミナ・サディードは、両親や兄弟から虐げられて育ってきた。 その結果、彼女の性格は最悪なものとなり、主人公であるメリーナを虐め抜くような悪役令嬢となったのである。 そんなエルミナに生まれ変わった私は困惑していた。 なぜなら、ゲームの中で明かされた彼女の過去とは異なり、両親も兄弟も私のことを溺愛していたからである。 私は、確かに彼女と同じ姿をしていた。 しかも、人生の中で出会う人々もゲームの中と同じだ。 それなのに、私の扱いだけはまったく違う。 どうやら、私が転生したこの世界は、ゲームと少しだけずれているようだ。 当然のことながら、そんな環境で歪むはずはなく、私はただの公爵令嬢として育つのだった。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

処理中です...