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本編1 『幼少期』
第2話 『苺花』転生。不憫令嬢の誕生
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「はぁ…シネマティックレコード凄いな。幼少期はうろ覚えだったけど、養父は本当の父親だったのか…」
何故あんなクソ母を、あの優しい養父が知ってるのかと疑問だったけど…成程ねぇ。愛人か…
愛人の子って知ってたから『美亜』は私が嫌いだったのかな?女の勘って当たるしねぇ。
《もし?五十嵐 苺花さん?聞こえます?》
てか、燿父さん。浮気はダメだぉ。しかも相手が悪すぎる。綺麗な薔薇には棘があるって、まさに母の事だと思うの。
《おおーい!苺花!意識をこっちにむけろー》
当時まだ2・3歳だったし、記憶無くて当然だけどさ、シネレコ見てて何となく思い出したわ。
燿父さんが来ない日は、『かくれんぼね』とか言って、広いマンションの一室のクローゼットに押し込まれてたんだよね。
《苺花ちゃん?あらあら。うふふ。全く気付かないわね》
今思えば、燿父さんが居ない日は別の男呼んで『いやん、うふふ』ってしてたんじゃないかな?
明らかに『男好き♡』って感じの人だったし、女に共感されない系の女だったもんね。
「……いや、ブーメランじゃん!私は男好きじゃないけどさぁ。女に嫌われる代表みたいな存在だったから、低空飛行のブーメランが返ってきたわ」
果てさて、そんな波乱万丈な人生を送り、24歳で散った生命だが、今の状況これ如何に??
何も聞こえない、目も見えない……うう~ん困った。
多分、悪い事はしてない人生だったから地獄では無いような?気分爽快、スッキリしてるから気持ち的にはココは天国だと思うのよねぇ。
《これ男神よ、何か様子がおかしいから魔法神を呼んで来てくれんか?》
何も反応を示さない苺花に訝しんで、状況を確認するため魔法神の助力を願った。
《おうよ。確かに何か変だな。ちょっと待ってて下さい主神様》
『男神』と呼ばれた彼は、頼まれ事を済ますため、その場からパッと消えた。
状況が全く分からない苺花は、一人考察を続ける。
天国だとしても、意識あるまま漂うのかしら?それだと天国っていうより地獄よね。
まさか、ココは天界で神様とか出て来て、
『貴方の人生を歪めてたのは邪神なのです。お詫びに異世界へ転生しませんか?』とか言われたり?
「まっさかねぇ。漫画の読みすぎ!あはは!異世界転生が出来たら最高だけどさ、スライムはヤダし勇者とか聖女とか?もヤダし。乙女ゲームの定番『悪役令嬢』とかもヤダよねぇ。」
《あらら?ふふふ。主神様、苺花ちゃん転生したいみたいよ?乗り気なら魔法神が来るまでに新しい魂に能力とか付けといちゃいましょうよ》
苺花が無意識に発した『異世界転生』という言葉に反応したのは神々しい女神様。
本人になんの確認も無いまま、能力付与とか…マジか。
《そうか!それは助かるな。苺花を送れば瘴気は消えるだろうよ。とりあえず、全能神の加護と生命神、魔法神、闘神、大地の神の加護で良いかの?》
勝手に色々決めちゃうのは良くないだろう。加護多すぎる。別に『俺TUEEEE!』は目指してない。盛りすぎだと思う。
「もし転生出来たら、平民なら修行して冒険者として活躍だよね!貴族でも、出奔して冒険者になる!
政略結婚とかお茶会とか社交界とかヤダし。」
あの重そうなドレスとかさ、ギチギチに絞られるコルセットとか、優雅にダンスとか絶対無理だし、キラキラ王子のキラキラスマイルとか絶対寒気すると思うもん。
だから、転生でも転移でも輪廻転生でも前世の記憶があったら冒険者一択だね。
「うんうん…ふふふ。いやぁ、記憶残して転生出来たら自由に冒険だな。魔法とか剣とか使って、魔物とか盗賊とかバッサバッサ斬り伏せる!くぅぅ、カッコイイよねぇ。
ビキニアーマーでさ、巨乳のスラッと美人で剣の達人とか最高じゃない?」
そうは言っても、平和な世界で生きてきた生粋の日本人である苺花には、魔物も人も殺せないと思うが。
周りに誰かがいるなんて思ってもいない苺花は、声に出してブツブツと喋っていた。
その内容を元に神達は転生先と能力を決めるみたいだ。
まだ、苺花は転生すると言ってないのにである。
《成程のう。社交界に無関係な状況での貴族の女子か、平民のう。ビキニアーマーで巨乳美人剣士か。ふむ。》
大層なご尊顔をしている主神様は、長い指で顎を摘みながら目を閉じ、何やら思考している。
《あら主神様。そんな都合の良い家系ありまして?貴族の子女が社交界に無関係なんて有り得ないわよね?
平民も女の子が冒険者なんて親の反対にあうと思うわよ。
巨乳美人に成長は…まぁ遺伝子によるでしょうし、魔法も剣も万能なら修行すれば良いけどねぇ》
妖艶な美女、女神様は、主神様に撓垂れ掛かりながら会話をしている。はたから見たら完全にイチャイチャカップルだ。爆発しろ!
《確か…ちょっと特殊な家系で先祖返りになりそうな子が近々産まれるのう。シュガーズ王国の侯爵家、父親が外交官で手広く商売してて国一番の資産家。跡継ぎの長男も既に居る。
母親は…他国の元姫か…ちぃとばかし…いやかなり苛烈だが…
ま、まぁ……苺花なら乗り越えられるだろうよ》
神様達がそれぞれ話してる間、苺花は一人思考の渦の中にいた。
そして戦々恐々としていた。だって、思考がハッキリしたまま漂うのは中々辛いと思う。どのくらいの期間そうしているのか分からないのだから。
そして主神様。資産家な家の侯爵令嬢で母親が苛烈……嫌な予感がヒシヒシと感じる。そんな家系に転生させたら前世と同じ人生を歩むんじゃないだろうか……
《主神様、魔法神連れて来たぜ。お?おお!こりゃ新しい魂か!……苺花は転生に納得してくれたのか?
能力は…ちょっとやり過ぎじゃないか?…ま、苺花なら悪用しないだろうがなぁ》
「シュン」と現れたのはガチムチマッチョの男神と、ヒョロヒョロノッポの魔法神。
モノクロカラーの独特な彼?彼女?は、男神の小脇に抱えられていた。
《刀剣神、早く降ろしなさい!……コホン。主神様、生命神様。お待たせ致しました。
それで?地球で救ったのがコチラの魂ですか…ふむ…
ん?んん?…こりゃ凄い魂ですね…まさか地球に生まれ落ちてたとは…地球にある僅かな魔力を無意識に集めて生きていたんでしょうね…
生きずらかったでしょうに…だいぶ疲弊してますね…
この邪気を一旦綺麗にして…と…元の魂に戻して…こうして…こう!コネコネと……
よし。どうです?五十嵐 苺花…見えます?聞こえます?》
魔法神は、天界の自分達の領域で光る、丸い苺花の魂に手を掲げ何やら呪文を唱えながら掌で捏ねくり回している。その力加減が絶妙で身体がある訳じゃないのに擽ったい。
(ん?ちょ、なんかくすぐったいんだけどっ…)
「!?わっ!!てか、めっちゃ眩しっ!」
視界不良からの視界良好!無音からの有音!差が激しい!なんか周りがキラキラ、チカチカしててウザイ!見えて聞こえてるけど、あんた誰やねん!!
「……!?どぇぇえ!めっちゃセクシー軍団!布少なすぎない?!下乳ヤバいじゃん!ハミ乳!露出狂なの!?…うっひょー筋肉凄っ!ボディビルダーなん??脳まで筋肉で出来てそう!金髪のお兄さんは胡散臭い笑顔だし、キラキラしてて眩し!そっちのモノクロ兄さん?姉さん?そのカラーはデフォ?性別不明だね!」
(なんなん!?視界クリアになった途端に破廉恥集団お目見えやん!外国人??金髪に銀髪に赤髪に黒白ツートンヘアー!めっちゃファンタジー!まさか神様とか?オーラ凄いんですけど!)
「ヤバ。興奮し過ぎて鼻血出そう…あれ?皆さんこめかみピクピクさせながらの笑顔!器用ですねぇ……
で、ここどこです?あなた達はどなた?」
魔法神が苺花の魂を弄って、視界が良好になり、聴覚が戻った瞬間、眩い光に目を細め、近くから聞こえるソプラノ、アルト、テノールのイイ声が鼓膜を刺激した。
そして眩しさに慣れた頃、視界いっぱいに広がったご尊顔と肉体美!驚く事は当たり前だと思うの。
この世の者とは思えない造形美達。教会のシンボルみたい。
眩い金髪にスカイブルーの眼、10等身有りそうな見事なスタイル、引き締まったボディに程よくついた筋肉の、胡散臭い笑顔を貼り付けた超絶イケメンと。
腰まで伸びた青と銀のグラデーションヘアーと、薄紫の眼、ダイナマイトボディに白い布を局部だけ隠して巻き付け、シースルーの羽衣を軽く羽織ってスタイルの良さを惜しげも無く晒した妖艶に微笑む超絶美女。
燃えるような真っ赤なツンツンヘアーに、ゴールドの射殺さんばかりの切れ長の目、ムッキムキの筋肉をアラジン衣装で身を包んだ巨漢な超絶美丈夫。
黒白のセンター分けヘアーに、フサフサ睫毛とキリッとした二重の赤眼。魔法使いみたいなモノクロカラーのローブを身に纏い、ヒョロヒョロノッポの性別不明な超絶美貌人。
そんな美の化身達が、こめかみをピクピクさせ苺花を見詰めている。「どなた?」と聞いたけど、雰囲気でわかるだろう。確証は無いけど『神』だ…と。
《……ふぅ……五十嵐 苺花さん。私は地球とは別の世界を統べる神。全能神キリュエス。そして、生命神リュナリス、刀剣神ガイアス、魔法神マジョルカ。他にも大地神や光癒神、闇魔神、遊戯神、商業神と色々いるのだが、紹介は…今はしない。そのうちな。》
「はぁ…」金髪美男子、全能神キリュエス様が何やら言ってるが、気の抜けた返事しか出来ない。
《うふふ。苺花ちゃんは運命に翻弄され、不運な人生を送り、若くして生命を落としてしまったわ。まだ寿命はあったのだけど、地球の神がミスしてしまって死んでしまったのよ。》
「運命…地球って神様本当にいるんだ…」
妖艶に微笑む美女神に私の運命の話しをされたけど、「そうですか…」としか言えない。神様のミスとか訳わかんないし。
《でだ!地球の輪廻から外れた苺花の魂を主神様が救い、この世界へ連れてきたわけだ。そして、神星キュリオスで新たな人生を歩んで貰おうとしてるわけだ。》
「……!?(まっさか、マジで転生?異世界転生なの?)」
ムキムキマッチョメンの神様の言葉通りなら、巷で話題の『異世界転生』じゃないか!と少し興奮した。
《五十嵐 苺花。君は元々この世界の魂だったのだが、何故か地球に産まれてしまい、魔力の少ない世界では順応できず、運命が捻じ曲げられた事で、不運な人生だったんだ。
なので、元々の世界で生まれ変わり新たな人生を歩んでほしい》
「……私が異世界人だったとは…あはは…。新たな人生…今度は真っ当に生きられますかね…散々な人生だったので不安しかないです。転生は憧れるけど、幸せな人生を歩んでみたい」
《そうさな。地球での不運に見舞われた『五十嵐 苺花』は終わりを迎えリセットされた。そして新たな魂で生まれ変わる。
今度は運命に振り回されず、自由に生きられるはずだ。我々の加護を与えたので命運は護られる。だから安心して神星キュリオスを楽しんでくれ》
「な、なるほど…リセット…加護を与えてくれたのですね。ありがとうございます。」
実際、加護で護られるとか良くわかんないけど、安全に異世界で生きられるという事よね。
《うふふ。苺花ちゃんが産まれる先は、シュガーズ王国のシュタイザー侯爵家よ。長女として誕生するわ。地球のゲーム、ファンタジーRPGと乙女ゲームをミックスして作った世界なの。剣と魔法の世界よ。うふふ。》
「こ、侯爵家…随分と高貴な家柄ですね…はは。剣と魔法のファンタジー世界……でも乙女ゲームかぁ……魔法は憧れてたのでそれは嬉しいです。」
身分ある家柄だと自由無いんじゃない!?と、思ったけど出奔する気満々だし…ま、いっか!
《苺花は冒険者になりたいんだろ?魔法だけだと不都合だろうから、剣術のスキル付けといたぜ。ちゃんと鍛錬しろよ!ビキニアーマー巨乳美女、楽しみにしてるぜ!》
「!?ビキニ…なんで知ってるのぉー!超恥ずかしい!鍛錬はしっかりします!目指せ最強!あはは」
ビキニアーマー着ても、巨乳美女じゃなきゃ映えないからね。それは成長してからのお楽しみだよ。
《魔法の素質も付けましたからね。魔法は想像です。鍛錬次第で属性関係無く使えるようになります。魔力も鍛えれば鍛えるだけ増えます。最強魔法士目指して頑張って下さい》
「魔法は想像……なるほどです。ふふっ、目指せ最強魔法剣士ですね!新しい世界、新しい私、自由に人生楽しもうと思います。全能神様、生命神様、魔法神様、刀剣神様。ご配慮ありがとうございます。神星キュリオス楽しんできます!」
五十嵐 苺花のこの先の人生に幸あれ。神々の祝福を
こうして、地球の日本で産まれ24歳で生命を散らした『五十嵐 苺花』は、神々に救われ、神星キュリオスで生まれ変わり、新たな人生を歩む事になったのだった。
運命に振り回された彼女は、傷付いた魂をリセットし、シュガーズ王国のシュタイザー侯爵家の長女として、太陽の照りつける真夏の猛暑日に産声を上げた。
これから新たな世界で、自由に素敵な人生を歩めると思ったのだが…
やはり彼女は呪われてるのか!?ひっくり返った金髪ガマガエルから「…おぎゃ」と産まれた数10分後に捨てられた。
(なんで!?)と思ったが、産まれたばかりの赤ん坊…歩けるわけもなく、喋れるわけもなく、抵抗らしき抵抗も出来ぬまま、メイドさんに抱えられたまま馬車に乗り、ガタガタ揺れる車内で眠気に負け、気付いた時には埃臭い広い室内のベッドの上に転がされていた。
呆然としたま空虚を見詰め、心の中で悪態ついていた。
(クッソババアだな。あれが実母とかやばくね?パパンは何処よ?あの場に居たか?まさか家庭を顧みないダメ親父か?ヘイゴッド、転生先が悪魔の住処ってこれ如何に?私に恨みでもあるんですか!?)
一人悶々と悪態を吐いていたら、「ぐすっ…」という鼻をすする音が聞こえた。
満足に動かない首を気合いで動かし、声のする方へ顔を向けたら、薄暗い室内に置いてあるソファに身を沈めてサメザメと泣いている1人のメイドさんがいた。
(さっき私をここに連れて来た人かな?ちょっと違う?……あ、違う人だ。さっきの人は濃紺色の髪だったけど、この人は淡い金髪だ。…どうしたんだろう?)
そう思ってもやはり赤ん坊。喋れるわけもなく、泣き止むまで放って置くことにした。
その間に考えるのはこの状況。ひっくり返ったガマガエルは、今世の母親だろう。育児放棄のクソババアだ。又もや女難の相か?酷い家に産まれたようだ。産まれたばかりの赤ん坊を捨てるとか正気じゃない。
(母親は私の敵ね。いつか絶対に仕返ししてあげるわ)
そういえばあの時、メイドに連れられ、廊下に出たとき視界の隅に捉えた金髪&翠眼の男の子は兄だろうか?将来が楽しみな天使みたいな男の子が、腕に抱えられている私を見て不思議そうに首を傾げていた。
あの場に居たのは、数人のメイドさんと黒服のダンディなイケおじ。そして白衣を纏った老婆だけだった。
父親らしき人は居なかった気がする。出産に居合わせないという事は、忙しいのか娘の誕生に無関心か。そのどちらかだろう。
やはり生まれ変わっても、不運な人生は変わらないのだろう。だけど、悲観はしない。家族に恵まれなくても良いのだ。
だって慣れてるし、これからは自由だ。捨てられたという事は侯爵家の長女として政略結婚をしなくていいし、社交界やらお茶会やらに出なくて良いんだろう。
(ある程度大きくなったら、魔法も剣も鍛錬して、家を出て冒険者になるんだ。
そしていつか絶対にシュタイザー家にやり返す。待ってろよガマガエル!そしてまだ見ぬ父よ覚えてろ!)
「ふんす」と心の中で気合いを入れて、今の状況確認と今後の目標を立てていたら、さっきまで泣いてたメイドが傍に来ていた。
そして、悲痛な顔をしてポロポロと涙を流しながら優しく頭を撫で、ブツブツと語りだした。
「ストロベリー・ディ・シュタイザー。それが貴方の名前よ。本当のストロベリー侯爵令嬢は貴方なのにね……
侯爵様にも奥様にもない色彩で産まれてしまったから、貴方は隔離されてしまったわ。可哀想な子……
そして、色彩が似ているというだけで私の愛娘が侯爵令嬢として今後生きる事になるんですって。
待望の愛娘を奪われてしまったの…キャロル…私の愛しい子。辛くて悲しいわ…許せない…。
でもね、貴方は恨んでないわ。許せないのは侯爵夫人よ。貴方は悪くないわ。子は宝なのよ。子は親を選べない。産まれた家を間違ってしまったわね……ぐすっ。
私は暇を出されてしまったから今日このまま屋敷を出て行くの。
理不尽よね。子を奪われ住処を奪われ挙句に国外追放ですって。
私が何かしたかしら…愛しい人と結婚して子を産んだだけなのに…全て奪われてしまったわ…。ぐすっ…
さよなら私達の天使キャロル。さよならストロベリー侯爵令嬢様。あなた達2人の行く末が光輝かんことを……」
寂しそうに悲しそうに語った彼女は、最後に神に祈り部屋を後にした。
「パタン」と閉じられた瞬間、重苦しい空気が室内を満たし、シーンっと静寂に包まれた。
そんなシリアスな雰囲気をぶち壊すように鳴り響いたのは、「ぐぅぅぅ」という盛大な腹の音だった。
そして、今世に産まれてから発した最初の言葉は「おぎゃ」でもなく「うにゃー」でもなく、「はりゃへっちゃ…」だった。
何故あんなクソ母を、あの優しい養父が知ってるのかと疑問だったけど…成程ねぇ。愛人か…
愛人の子って知ってたから『美亜』は私が嫌いだったのかな?女の勘って当たるしねぇ。
《もし?五十嵐 苺花さん?聞こえます?》
てか、燿父さん。浮気はダメだぉ。しかも相手が悪すぎる。綺麗な薔薇には棘があるって、まさに母の事だと思うの。
《おおーい!苺花!意識をこっちにむけろー》
当時まだ2・3歳だったし、記憶無くて当然だけどさ、シネレコ見てて何となく思い出したわ。
燿父さんが来ない日は、『かくれんぼね』とか言って、広いマンションの一室のクローゼットに押し込まれてたんだよね。
《苺花ちゃん?あらあら。うふふ。全く気付かないわね》
今思えば、燿父さんが居ない日は別の男呼んで『いやん、うふふ』ってしてたんじゃないかな?
明らかに『男好き♡』って感じの人だったし、女に共感されない系の女だったもんね。
「……いや、ブーメランじゃん!私は男好きじゃないけどさぁ。女に嫌われる代表みたいな存在だったから、低空飛行のブーメランが返ってきたわ」
果てさて、そんな波乱万丈な人生を送り、24歳で散った生命だが、今の状況これ如何に??
何も聞こえない、目も見えない……うう~ん困った。
多分、悪い事はしてない人生だったから地獄では無いような?気分爽快、スッキリしてるから気持ち的にはココは天国だと思うのよねぇ。
《これ男神よ、何か様子がおかしいから魔法神を呼んで来てくれんか?》
何も反応を示さない苺花に訝しんで、状況を確認するため魔法神の助力を願った。
《おうよ。確かに何か変だな。ちょっと待ってて下さい主神様》
『男神』と呼ばれた彼は、頼まれ事を済ますため、その場からパッと消えた。
状況が全く分からない苺花は、一人考察を続ける。
天国だとしても、意識あるまま漂うのかしら?それだと天国っていうより地獄よね。
まさか、ココは天界で神様とか出て来て、
『貴方の人生を歪めてたのは邪神なのです。お詫びに異世界へ転生しませんか?』とか言われたり?
「まっさかねぇ。漫画の読みすぎ!あはは!異世界転生が出来たら最高だけどさ、スライムはヤダし勇者とか聖女とか?もヤダし。乙女ゲームの定番『悪役令嬢』とかもヤダよねぇ。」
《あらら?ふふふ。主神様、苺花ちゃん転生したいみたいよ?乗り気なら魔法神が来るまでに新しい魂に能力とか付けといちゃいましょうよ》
苺花が無意識に発した『異世界転生』という言葉に反応したのは神々しい女神様。
本人になんの確認も無いまま、能力付与とか…マジか。
《そうか!それは助かるな。苺花を送れば瘴気は消えるだろうよ。とりあえず、全能神の加護と生命神、魔法神、闘神、大地の神の加護で良いかの?》
勝手に色々決めちゃうのは良くないだろう。加護多すぎる。別に『俺TUEEEE!』は目指してない。盛りすぎだと思う。
「もし転生出来たら、平民なら修行して冒険者として活躍だよね!貴族でも、出奔して冒険者になる!
政略結婚とかお茶会とか社交界とかヤダし。」
あの重そうなドレスとかさ、ギチギチに絞られるコルセットとか、優雅にダンスとか絶対無理だし、キラキラ王子のキラキラスマイルとか絶対寒気すると思うもん。
だから、転生でも転移でも輪廻転生でも前世の記憶があったら冒険者一択だね。
「うんうん…ふふふ。いやぁ、記憶残して転生出来たら自由に冒険だな。魔法とか剣とか使って、魔物とか盗賊とかバッサバッサ斬り伏せる!くぅぅ、カッコイイよねぇ。
ビキニアーマーでさ、巨乳のスラッと美人で剣の達人とか最高じゃない?」
そうは言っても、平和な世界で生きてきた生粋の日本人である苺花には、魔物も人も殺せないと思うが。
周りに誰かがいるなんて思ってもいない苺花は、声に出してブツブツと喋っていた。
その内容を元に神達は転生先と能力を決めるみたいだ。
まだ、苺花は転生すると言ってないのにである。
《成程のう。社交界に無関係な状況での貴族の女子か、平民のう。ビキニアーマーで巨乳美人剣士か。ふむ。》
大層なご尊顔をしている主神様は、長い指で顎を摘みながら目を閉じ、何やら思考している。
《あら主神様。そんな都合の良い家系ありまして?貴族の子女が社交界に無関係なんて有り得ないわよね?
平民も女の子が冒険者なんて親の反対にあうと思うわよ。
巨乳美人に成長は…まぁ遺伝子によるでしょうし、魔法も剣も万能なら修行すれば良いけどねぇ》
妖艶な美女、女神様は、主神様に撓垂れ掛かりながら会話をしている。はたから見たら完全にイチャイチャカップルだ。爆発しろ!
《確か…ちょっと特殊な家系で先祖返りになりそうな子が近々産まれるのう。シュガーズ王国の侯爵家、父親が外交官で手広く商売してて国一番の資産家。跡継ぎの長男も既に居る。
母親は…他国の元姫か…ちぃとばかし…いやかなり苛烈だが…
ま、まぁ……苺花なら乗り越えられるだろうよ》
神様達がそれぞれ話してる間、苺花は一人思考の渦の中にいた。
そして戦々恐々としていた。だって、思考がハッキリしたまま漂うのは中々辛いと思う。どのくらいの期間そうしているのか分からないのだから。
そして主神様。資産家な家の侯爵令嬢で母親が苛烈……嫌な予感がヒシヒシと感じる。そんな家系に転生させたら前世と同じ人生を歩むんじゃないだろうか……
《主神様、魔法神連れて来たぜ。お?おお!こりゃ新しい魂か!……苺花は転生に納得してくれたのか?
能力は…ちょっとやり過ぎじゃないか?…ま、苺花なら悪用しないだろうがなぁ》
「シュン」と現れたのはガチムチマッチョの男神と、ヒョロヒョロノッポの魔法神。
モノクロカラーの独特な彼?彼女?は、男神の小脇に抱えられていた。
《刀剣神、早く降ろしなさい!……コホン。主神様、生命神様。お待たせ致しました。
それで?地球で救ったのがコチラの魂ですか…ふむ…
ん?んん?…こりゃ凄い魂ですね…まさか地球に生まれ落ちてたとは…地球にある僅かな魔力を無意識に集めて生きていたんでしょうね…
生きずらかったでしょうに…だいぶ疲弊してますね…
この邪気を一旦綺麗にして…と…元の魂に戻して…こうして…こう!コネコネと……
よし。どうです?五十嵐 苺花…見えます?聞こえます?》
魔法神は、天界の自分達の領域で光る、丸い苺花の魂に手を掲げ何やら呪文を唱えながら掌で捏ねくり回している。その力加減が絶妙で身体がある訳じゃないのに擽ったい。
(ん?ちょ、なんかくすぐったいんだけどっ…)
「!?わっ!!てか、めっちゃ眩しっ!」
視界不良からの視界良好!無音からの有音!差が激しい!なんか周りがキラキラ、チカチカしててウザイ!見えて聞こえてるけど、あんた誰やねん!!
「……!?どぇぇえ!めっちゃセクシー軍団!布少なすぎない?!下乳ヤバいじゃん!ハミ乳!露出狂なの!?…うっひょー筋肉凄っ!ボディビルダーなん??脳まで筋肉で出来てそう!金髪のお兄さんは胡散臭い笑顔だし、キラキラしてて眩し!そっちのモノクロ兄さん?姉さん?そのカラーはデフォ?性別不明だね!」
(なんなん!?視界クリアになった途端に破廉恥集団お目見えやん!外国人??金髪に銀髪に赤髪に黒白ツートンヘアー!めっちゃファンタジー!まさか神様とか?オーラ凄いんですけど!)
「ヤバ。興奮し過ぎて鼻血出そう…あれ?皆さんこめかみピクピクさせながらの笑顔!器用ですねぇ……
で、ここどこです?あなた達はどなた?」
魔法神が苺花の魂を弄って、視界が良好になり、聴覚が戻った瞬間、眩い光に目を細め、近くから聞こえるソプラノ、アルト、テノールのイイ声が鼓膜を刺激した。
そして眩しさに慣れた頃、視界いっぱいに広がったご尊顔と肉体美!驚く事は当たり前だと思うの。
この世の者とは思えない造形美達。教会のシンボルみたい。
眩い金髪にスカイブルーの眼、10等身有りそうな見事なスタイル、引き締まったボディに程よくついた筋肉の、胡散臭い笑顔を貼り付けた超絶イケメンと。
腰まで伸びた青と銀のグラデーションヘアーと、薄紫の眼、ダイナマイトボディに白い布を局部だけ隠して巻き付け、シースルーの羽衣を軽く羽織ってスタイルの良さを惜しげも無く晒した妖艶に微笑む超絶美女。
燃えるような真っ赤なツンツンヘアーに、ゴールドの射殺さんばかりの切れ長の目、ムッキムキの筋肉をアラジン衣装で身を包んだ巨漢な超絶美丈夫。
黒白のセンター分けヘアーに、フサフサ睫毛とキリッとした二重の赤眼。魔法使いみたいなモノクロカラーのローブを身に纏い、ヒョロヒョロノッポの性別不明な超絶美貌人。
そんな美の化身達が、こめかみをピクピクさせ苺花を見詰めている。「どなた?」と聞いたけど、雰囲気でわかるだろう。確証は無いけど『神』だ…と。
《……ふぅ……五十嵐 苺花さん。私は地球とは別の世界を統べる神。全能神キリュエス。そして、生命神リュナリス、刀剣神ガイアス、魔法神マジョルカ。他にも大地神や光癒神、闇魔神、遊戯神、商業神と色々いるのだが、紹介は…今はしない。そのうちな。》
「はぁ…」金髪美男子、全能神キリュエス様が何やら言ってるが、気の抜けた返事しか出来ない。
《うふふ。苺花ちゃんは運命に翻弄され、不運な人生を送り、若くして生命を落としてしまったわ。まだ寿命はあったのだけど、地球の神がミスしてしまって死んでしまったのよ。》
「運命…地球って神様本当にいるんだ…」
妖艶に微笑む美女神に私の運命の話しをされたけど、「そうですか…」としか言えない。神様のミスとか訳わかんないし。
《でだ!地球の輪廻から外れた苺花の魂を主神様が救い、この世界へ連れてきたわけだ。そして、神星キュリオスで新たな人生を歩んで貰おうとしてるわけだ。》
「……!?(まっさか、マジで転生?異世界転生なの?)」
ムキムキマッチョメンの神様の言葉通りなら、巷で話題の『異世界転生』じゃないか!と少し興奮した。
《五十嵐 苺花。君は元々この世界の魂だったのだが、何故か地球に産まれてしまい、魔力の少ない世界では順応できず、運命が捻じ曲げられた事で、不運な人生だったんだ。
なので、元々の世界で生まれ変わり新たな人生を歩んでほしい》
「……私が異世界人だったとは…あはは…。新たな人生…今度は真っ当に生きられますかね…散々な人生だったので不安しかないです。転生は憧れるけど、幸せな人生を歩んでみたい」
《そうさな。地球での不運に見舞われた『五十嵐 苺花』は終わりを迎えリセットされた。そして新たな魂で生まれ変わる。
今度は運命に振り回されず、自由に生きられるはずだ。我々の加護を与えたので命運は護られる。だから安心して神星キュリオスを楽しんでくれ》
「な、なるほど…リセット…加護を与えてくれたのですね。ありがとうございます。」
実際、加護で護られるとか良くわかんないけど、安全に異世界で生きられるという事よね。
《うふふ。苺花ちゃんが産まれる先は、シュガーズ王国のシュタイザー侯爵家よ。長女として誕生するわ。地球のゲーム、ファンタジーRPGと乙女ゲームをミックスして作った世界なの。剣と魔法の世界よ。うふふ。》
「こ、侯爵家…随分と高貴な家柄ですね…はは。剣と魔法のファンタジー世界……でも乙女ゲームかぁ……魔法は憧れてたのでそれは嬉しいです。」
身分ある家柄だと自由無いんじゃない!?と、思ったけど出奔する気満々だし…ま、いっか!
《苺花は冒険者になりたいんだろ?魔法だけだと不都合だろうから、剣術のスキル付けといたぜ。ちゃんと鍛錬しろよ!ビキニアーマー巨乳美女、楽しみにしてるぜ!》
「!?ビキニ…なんで知ってるのぉー!超恥ずかしい!鍛錬はしっかりします!目指せ最強!あはは」
ビキニアーマー着ても、巨乳美女じゃなきゃ映えないからね。それは成長してからのお楽しみだよ。
《魔法の素質も付けましたからね。魔法は想像です。鍛錬次第で属性関係無く使えるようになります。魔力も鍛えれば鍛えるだけ増えます。最強魔法士目指して頑張って下さい》
「魔法は想像……なるほどです。ふふっ、目指せ最強魔法剣士ですね!新しい世界、新しい私、自由に人生楽しもうと思います。全能神様、生命神様、魔法神様、刀剣神様。ご配慮ありがとうございます。神星キュリオス楽しんできます!」
五十嵐 苺花のこの先の人生に幸あれ。神々の祝福を
こうして、地球の日本で産まれ24歳で生命を散らした『五十嵐 苺花』は、神々に救われ、神星キュリオスで生まれ変わり、新たな人生を歩む事になったのだった。
運命に振り回された彼女は、傷付いた魂をリセットし、シュガーズ王国のシュタイザー侯爵家の長女として、太陽の照りつける真夏の猛暑日に産声を上げた。
これから新たな世界で、自由に素敵な人生を歩めると思ったのだが…
やはり彼女は呪われてるのか!?ひっくり返った金髪ガマガエルから「…おぎゃ」と産まれた数10分後に捨てられた。
(なんで!?)と思ったが、産まれたばかりの赤ん坊…歩けるわけもなく、喋れるわけもなく、抵抗らしき抵抗も出来ぬまま、メイドさんに抱えられたまま馬車に乗り、ガタガタ揺れる車内で眠気に負け、気付いた時には埃臭い広い室内のベッドの上に転がされていた。
呆然としたま空虚を見詰め、心の中で悪態ついていた。
(クッソババアだな。あれが実母とかやばくね?パパンは何処よ?あの場に居たか?まさか家庭を顧みないダメ親父か?ヘイゴッド、転生先が悪魔の住処ってこれ如何に?私に恨みでもあるんですか!?)
一人悶々と悪態を吐いていたら、「ぐすっ…」という鼻をすする音が聞こえた。
満足に動かない首を気合いで動かし、声のする方へ顔を向けたら、薄暗い室内に置いてあるソファに身を沈めてサメザメと泣いている1人のメイドさんがいた。
(さっき私をここに連れて来た人かな?ちょっと違う?……あ、違う人だ。さっきの人は濃紺色の髪だったけど、この人は淡い金髪だ。…どうしたんだろう?)
そう思ってもやはり赤ん坊。喋れるわけもなく、泣き止むまで放って置くことにした。
その間に考えるのはこの状況。ひっくり返ったガマガエルは、今世の母親だろう。育児放棄のクソババアだ。又もや女難の相か?酷い家に産まれたようだ。産まれたばかりの赤ん坊を捨てるとか正気じゃない。
(母親は私の敵ね。いつか絶対に仕返ししてあげるわ)
そういえばあの時、メイドに連れられ、廊下に出たとき視界の隅に捉えた金髪&翠眼の男の子は兄だろうか?将来が楽しみな天使みたいな男の子が、腕に抱えられている私を見て不思議そうに首を傾げていた。
あの場に居たのは、数人のメイドさんと黒服のダンディなイケおじ。そして白衣を纏った老婆だけだった。
父親らしき人は居なかった気がする。出産に居合わせないという事は、忙しいのか娘の誕生に無関心か。そのどちらかだろう。
やはり生まれ変わっても、不運な人生は変わらないのだろう。だけど、悲観はしない。家族に恵まれなくても良いのだ。
だって慣れてるし、これからは自由だ。捨てられたという事は侯爵家の長女として政略結婚をしなくていいし、社交界やらお茶会やらに出なくて良いんだろう。
(ある程度大きくなったら、魔法も剣も鍛錬して、家を出て冒険者になるんだ。
そしていつか絶対にシュタイザー家にやり返す。待ってろよガマガエル!そしてまだ見ぬ父よ覚えてろ!)
「ふんす」と心の中で気合いを入れて、今の状況確認と今後の目標を立てていたら、さっきまで泣いてたメイドが傍に来ていた。
そして、悲痛な顔をしてポロポロと涙を流しながら優しく頭を撫で、ブツブツと語りだした。
「ストロベリー・ディ・シュタイザー。それが貴方の名前よ。本当のストロベリー侯爵令嬢は貴方なのにね……
侯爵様にも奥様にもない色彩で産まれてしまったから、貴方は隔離されてしまったわ。可哀想な子……
そして、色彩が似ているというだけで私の愛娘が侯爵令嬢として今後生きる事になるんですって。
待望の愛娘を奪われてしまったの…キャロル…私の愛しい子。辛くて悲しいわ…許せない…。
でもね、貴方は恨んでないわ。許せないのは侯爵夫人よ。貴方は悪くないわ。子は宝なのよ。子は親を選べない。産まれた家を間違ってしまったわね……ぐすっ。
私は暇を出されてしまったから今日このまま屋敷を出て行くの。
理不尽よね。子を奪われ住処を奪われ挙句に国外追放ですって。
私が何かしたかしら…愛しい人と結婚して子を産んだだけなのに…全て奪われてしまったわ…。ぐすっ…
さよなら私達の天使キャロル。さよならストロベリー侯爵令嬢様。あなた達2人の行く末が光輝かんことを……」
寂しそうに悲しそうに語った彼女は、最後に神に祈り部屋を後にした。
「パタン」と閉じられた瞬間、重苦しい空気が室内を満たし、シーンっと静寂に包まれた。
そんなシリアスな雰囲気をぶち壊すように鳴り響いたのは、「ぐぅぅぅ」という盛大な腹の音だった。
そして、今世に産まれてから発した最初の言葉は「おぎゃ」でもなく「うにゃー」でもなく、「はりゃへっちゃ…」だった。
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