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本編 最強冒険者

story195/ルアナーシュの秘密

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この雄叫びはガイアとマイキーのか。すげぇ大絶叫だな。ルナの正体を聞いて吃驚したんだろうな。

「あれは俺の推測なんだがな。まぁ、種族が神族なのは本当だろうな。
あの桁外れの魔力とスキル。神じゃなきゃただの化け物だよ。ルナ…ルアナーシュか…」

あの喋り方は作られたものなのか?
まさか、教会で囚われてたあの時から演技してたのかねぇ。
あんなにバカスカ魔法使えるのに、囚われてたってのがそもそも可笑しい話だからな。

「どうして、お前にばかり神が関わってくるのかねぇ。
フェリス様の愛し子だからなのか…ショウヨウさんの息子だからなのか…撒き餌でも撒いてんのか?ちゅ」

ルナ…100歳超えの神が、3歳の男児にねぇ。
なんでそんな事になってんのか知らんが、今後の対応をどうするべきなのか俺だけじゃ判断出来んぞ。

ショウマ…顔色が良くならないな。
魔力♾なのに、ここまで衰弱するって相当だぞ?

「邪神ヴェルム。絶対許さねぇ」

人族の敵じゃなくて、全人類の敵だろあんなの。
フェリス様、あなたの愛し子が苦しんでるんですよ?なんであんな邪神を解き放ったのですか!

「ショウマをこんな目に遭わす為に、牢から解放したのですか?建国するのは構わないが、やり方が酷すぎる」

ショウヨウさんは、“解放=口付け“だと仰っていたが、本当なのか?

「ちゅっ。さっきからずっとキスしてるが、これで解呪成功したのか?目を覚まさないと分からんな。
ショウマ、ちゅっ。ショウマ…早く良くなってくれ…」


アレクが寝室で独り言を呟き、ショウマの目覚めを傍で見守ってるその頃、ルナと翔陽は先程の場所で話をしていた。

「ルアナーシュのせいで、翔馬を助けに行けなかったではないか!
マイキーくんに良い所を持っていかれてしまったでしょうが!」

「ルナ、ちらなぁい。おじちゃん、いたいいたいねぇ。しょれに、ルアナーシュちあうのよー。ルナよー」

「くっ…中身が100歳超えのババアなのに!そのコロコロボディがプリティキュートすぎて萌えキュンだよ…
で、その喋り方はなに?幼児らしくアブアブ言ってるの?…まさか女神時代の記憶ないとか?」

「ババアちあうのだ!きおくもあるのだ!ばかにしゅるななのだ!翔陽はあいかわらじゅ口が悪いのだぁ!」

「お前は“のだロリ”かって。…ふむ。幼児語より、のだロリ語のほうが可愛いよルアナーシュ」

「しょうなのだ?れもいきなり変わるのは、おかちいでちょ?
ママにいっぱい可愛い可愛いしゃれるには、どっちが良いのだ?」

「ママ…ルアナーシュの母はマジナヴェルでしょ?あの子は、翔馬は、お前の母では無い!
というか、なんで月の女神が幼児になって下界にいるの?」

「母しゃまは…かわいくないのだ!全然キュンとちないのだ。げかいにいるのは…トトしゃまのおちおきなのだ。
任しゃれた国の管理をしないで遊んでちゃのがバレたのだ。
でぇ、気づいたりゃウォルデンの王都にある教会の木に繋がれてたのだぁ!あっははぁ!」

「遊んでた…まさか雨や雪降らして緑を枯れさせたり、
数少ない貴重な女性を、性転換して遊んでたんじゃ…
“女は妾以外いらないのだ”って言ってたもんなお前。
で、木に繋がれてたのを偶然にも翔馬に救われて今に至る…って感じかい?」

「翔陽しゅごいのだ!全部あたっててビックリなのだ!
しょうなのだ!耳長族のオナゴを男に変えて遊んでたら、トトしゃまにバレて、妾が男にされたのだ!
しかも男児に変えられて下界に落とされたのだ!
でもこりぇで良かったのだ、妾はママが大好きだかりゃ、天界には戻らないのだ。
あちょ、ヴェルムも嫌だから絶対戻らないのだ!
ルナ、ママがいっぱ~いギュッてチュッてしてくれるのが大好きなのだ。だかりゃ、内緒にちて欲ちいのだ」

「ふ~ん。まあ、マジナヴェルにキュンとしないのは私でも分かる。ただの骸骨、エルダーリッチだもんなぁ。
内緒にするのは良いけど、翔馬はとっても優しい子だから、本当のお前を知っても無下にはしないと思うよ?
というか、そのうちバレるんじゃない?そこで盗み聞きしてる猫ちゃん口軽そうだしぃ」

「カイちゃ、まーま、ばらちたら、メッ!よ?」

アレクに無理やり外に連れ出され、オレちの幼少期のヒーロー、翔馬きゅんの父親に、この世界で再会し、
魔圧に耐えられず気を失って、気が付いたらこの場所に居たにゃ。

で、ボソボソと喋る2人の会話に耳をすまして聞いていたら、内容に驚愕して固まってたにゃよ。

今もルナちんに話し掛けられたにゃが、驚きすぎて声が出ないにゃ!今更その話し方されても違和感凄いにゃ!

えっと、要約するとにゃ、ルナルナは、元女神様…実母がエルダーリッチにゃか…
トトさまってのは、お父上だにゃ?に、罰として下界に男児姿で落とされ今に至るにゃね。
女性を男にしちゃうルナルナ…怖すぎるにゃ。

それより…え?骸骨って子供産めるにゃか?ホネホネロックにゃよね?下腹部にだけ肉ついてるにゃか?

……想像したら気持ち悪いにゃね…チン子とアナルが付いた、リアルパンツ履いたガイコツマン…怖いにゃ…

は!まさか…女性器パンツかにゃ?リアルおっぱいブラジャー付けたガイコツにゃか?…キモイにゃね…

“エルダーリッチ”っていう種族に対する恐怖より、
“リアルパンツ”と“リアルおっぱい”でセックスするガイコツを想像したにゃ…恐怖にゃ…ガクブルにゃ。

色々と考えて妄想してガクブルしてたら、翔馬パパンに話し掛けられたにゃ。なんにゃ?

「ところで猫のキミは、元日本人ってことだけど、“対馬  海斗”くんって、近所に住んでた悪ガキかい?
翔馬に“プレゼント“って言って、虫やら雑草をあげて嫌がらせしてた子だよね?
私を“赤尻叩きのヒーロー”って最初に言い出したのも君だよねぇ。その渾名は私の黒歴史の一つなのだよ。
その渾名のせいで、公園に行く度にクスクス笑われるようになったのだぞ!…お尻ペンペンしてやろうか」

「はにゃ!?や、やめてなのにゃ~!誤解なのにゃ~」

必死に逃げたが捕まったにゃ、膝の上にうつ伏せで寝かせられ、生ケツぷりん状態にされたにゃよ…
で、「ふふふ」と笑い、質問しながら平手打ちしてきたにゃ!
幼少期と全く変わってないにゃね翔馬パパン!だから、赤尻叩きヒーローって呼んでたにゃ!

「なぜ翔馬を虐めたのかな?」パシンパシン。

「痛いにゃあ!虐め違うにゃ愛情表現にゃあ!」

「学校でも嫌がらせしていたでしょ」パシンパシン。

「うぎゃ!ペンペン痛いにゃあ…学校?あれは一緒に遊んでただけにゃああ!」

「私に変な渾名まで付けて。悪ガキめ」パシンパシン。

「痛ッ!それは悪ガキ共の尻を、レッドぷりケツにして成敗するヒーローだったからにゃぁあ!」

この後も叩かれ続け、質問の答えにやっと満足したのか、突如動きを止めた。
痛む尻を押え、「ひーひー」言いながら身体を起こしたら、エスポーを抱っこしたナビアが、
翔馬父を凄い形相で睨み付け、平手打ちしていた手を掴み上げていた。

「貴方はどなたですか?カイトが獣人だからって、亜人だからって痛め付けてるんですか?
ガイアは、弱い人族には手を出すなって言ってたけど、カイトに酷い事するなら、人族だろうと排除します」

にゃにゃ!盛大に勘違いしてるにゃね。誤解を解かなければにゃね。

「──という事にゃ。分かったにゃか?ナビア」

「は、はい。すみませんでした…恩人様のお父上様に無礼を働いてしまいました。申し訳ございません」

「いいや、私も少々やり過ぎてしまいました。カイトくん、痛かったでしょ。すまなかったね。
ふふふ。キミはカイトが好きなんだね。ああ、初々しい!オジさんキュキュンしちゃう!甘酸っぱい青春!
で、その子は…まさかその歳で子供がいるとは…」

この2人に全然似てないが、まさか拾い子なのかな?見たところ人族の子のようだが…«鑑定»

ふむ。名前が、エスポア・フォルティエ…ん?フォルティエ?んん?あれ?翔馬の旦那がフォルティエ…

「は!!まさか、翔馬の子か?ということは、この子が、お、ま、ご、お孫ちゃぁあん!!」

「ふ、ふ、ふぎゃぁあ、おぎゃぁあ!」

私の叫びに驚いて泣き出してしまった孫のエスポアを、ナビアくんから受け取り抱き上げあやしたら、
ピタッと泣きやみ、私の顔を不思議そうに見つめてきた。

「やぁ、エスポアちゃん。キミのジィジだよ?分かるかなぁ?ママのお父さんだよぉ?
マシロ爺…いや、グランファ…う~ん、ビックダディ…」

(翔馬パパン…ビックダディはなんか違うにゃ…)

「だぁだ、んまぁ、あーうー」

「くぅ!激かわゆす!無敵の可愛さ!シルバーとブルーのヘアーにパープルアイ!何かのマスコットか!!
顔立ちは、小さい頃の翔馬だなぁ。将来が今から楽しみな風貌だねぇエスちゃん。ちゅっ」

「うきゃあ、だぁだ、ぶー」

「ふふ、良い笑顔で笑うねぇ。チュウが好きなのかな?ちゅっ。ところでカイトくんとナビアちゃん?
ルアナーシュが下の街に降りたみたいなんだが…コレからキミ達が暮らす国だし、一緒に見に行かないか?」

「にゃにゃにゃ!さっきから気になってたにゃが、アレが新しい国にゃか!凄いにゃ!全体的にレトロにゃね。
日本三景の厳○神○にソックリにゃね!鹿いるかにゃ!」

「素晴らしい景色だよね。そして凄く懐かしい!
あ、他にも仲間がいるなら連れておいでよ。私はエスポアと先に見に行ってるね」

「分かったにゃ!ナビア、ベスケ達を呼んでこようにゃ!じゃあ後でにゃ翔馬パパン!」

仲良く手を繋いで走り去って行った、カイトくんとナビアちゃんに手を振り、
姿が見えなくなってから、改めて腕に抱える孫エスポアに視線を向けた。

翔馬が産まれた時と翔馬が亡くなった時にしか流した事のない涙が、
もう枯れてしまったと思っていた涙が突如溢れてきて、嗚咽とともに滴り落ち、産着に大きな染みを作っていった。




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