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本編 最強冒険者
story193/圧倒的強者(色んな意味で)
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亜神ヴェルムに念話で話し掛けられ、ショウマがガーディアンに居る事が分かったので、
急いで向かうために街道を走っていた。
バイクなら一瞬で到着するのだが、亜神に取り出せないように細工をされたので、
走って向かうことになってしまったんだ。
「クソ野郎が!なぁにが“お前の覚悟が鍵になる”だよ!偉そうに言いやがってよ!」
悪態をつきながら、街道に現れるウルフやオークを、
「邪魔なんだよ!」ザシュ!
「ギャイン!」
「道を塞ぐなオーク如きが!」«ファイアボール!»
「ブォォオ…」
鬱憤を晴らすように剣や魔法を駆使して討伐しながら走っていたら、前方と空から同時に声が聞こえた。
「そこの冒険者よ!ウルフ討伐に手を貸してくれ!」
そう叫んだ前方の騎士は、貴族の馬車の護衛中にウルフに囲まれたのだろう。俺に助力を求めてきた。
一方、空から聞こえた声はマイキーのもので、俺を迎えに来てくれたのだろうが、心なしか声音が震えていた。
「アレクー!見付けた!大変なんだ!早く帰って来て!」
その声音と悲壮な表情を見て、(ただ事じゃないな)と思った俺は急いで戻るため、
目の前のウルフを一瞬で葬り去ろうと、剣に«雷神»を付与した。
「あれは!あの角はインプ…悪魔か!」
……のだが、構えた瞬間聞こえた声で付与を解除し剣を収めた。
その俺の行動に、「な、何をしている!なぜ剣を収めた!貴様はあの悪魔を葬れ!」と怒鳴った騎士。
それを見て聞いてオロオロしているマイキーが、「ア、アレク…良いの?助けなくて」と言ってきたが、
「あ?何がだ?助けなんて要らんだろ。立派な装備つけた騎士なんだからよ。ウルフ如き楽勝だろ」
大事な息子を罵るようなクズを助ける義理もないので、未だ罵声を吐いてる男を尻目に、
「家で大変なことが起こってんだろ?さっさと行こうぜ」
「う、うん…本当に良いのかな…」
と未だ心配している優しいマイキーを促し、飛翔魔法で抱えて貰い、家へ向かって飛び立った。
そんな俺たちを、馬車の中から睨み付けていた貴族の男が居たのは知っていたが、関係無いので無視した。
この一連の出来事が、後に俺の冒険者人生に影を落とすことになるのだが、この時の俺は知る由もなかった。
「くっ…凄ぇ速さだなぁ!それで何があったんだ?飛びながらじゃ話しにくいが、今のうちに教えろ!」
「アレクも気付いてたでしょ?ショウ兄ちゃんの様子が変だって!アレさ、精神支配の術だと思うんだよね!
ルナの話しから推測したんだけど、術者は神様じゃないかと思うんだ!
解除方法は術者の排除か、課せられた条件をクリアすることなんだけど!神の排除は絶対無理でしょ?
だから、その条件をクリアしなきゃならないんだけど、アレクがしなきゃいけないんじゃないかと思うんだ!
それで急いで迎えに来たの!ママを助けてアレク!あんなママは見たくないよ!」
飛びながら、涙を流しながら説明するマイキーを、慰めるように頭を撫で、
亜神ヴェルムに念話で伝えられた事を、話して聞かせた。
「あ、亜神様…オレたち亜人の絶対神だよ…
それに、大魔導師ショウヨウ様が異世界人で、ショウ兄ちゃんのお父さん…
そして、国を出て移住…ヤバい…話しが凄過ぎて理解が追い付かない…
と、取り敢えず、その話はショウ兄ちゃんの術を解除してからにしよう…到着したからね…」
「ああ。そうだな…」
自宅の前庭に到着したので、ショウマの気配がするクルマに向かって走り出そうとした瞬間、
「うわぁぁあ!」ドシーーン!
膨大な魔力と共に空間が歪み、突如として目の前に一人の青年が現れた。
その青年は、見た事のない真っ黒な綺麗な髪の毛を携えており、
キャンピングカーや幼稚園を見て興奮し奇声を上げていた。
(なんだコイツは?全く!次から次へと問題ばっかり起こりやがる!)
ショウマの元へ急ぎたいのに、膨大な魔力を纏った不審者を野放しには出来ないので、恐る恐る声を掛けた。
その俺の声に反応し、ゆっくりと振り返った青年の目を見て、俺もマイキーも息を呑んだ。
この世界には存在しない、漆黒の眼をしていたからだ。
(黒髪黒目だと!まさか、ショウマの父親か?いや、それにしては若すぎる。ユリウス兄上と同じくらいか?)
そんな事を思いながら見つめていたら、丁寧な自己紹介をされたのだけど、名前を聞いて驚いた。
俺たちと年齢が変わらないだろう目の前の青年が、ショウマの父親だったからだ。
ショウマの父親はその後、俺が名乗ったら威圧を吹っ掛けて睨み付けるわ、
無表情でクルマを降りてきて、森の奥へと歩みを進めたショウマに後ろから抱きつき、平手打ちをされるわ、
実の息子に「変態」呼ばわりされて、落ち込んで嗚咽を漏らして大泣きするわ…と、まぁ…大忙しだった。
そんな彼の背中を擦りながら、「ふぅぅぅ」と息を漏らして空を見上げていたら、
ショウヨウさんの泣き声がピタっと止まったと同時に、ガイアが姿を現し、声を掛けてきた。
「おうアレク。凄ぇ気配がしたから降りて来たんだが…彼は?客人か?俺が出てきちゃ不味かったな。悪ぃ」
(あ、オーガ族のガイアが怖いのか。この人も亜人差別する人なのか…)
ちょっと残念に思いながら、
“ガイアは悪いヤツじゃない。差別はしないで下さい”
と声を掛けようとしたら、何やらブツブツと呟いていた。
(…ヤバッ…格好良すぎて鼻血出そう…何あの筋肉!
大胸筋に大腿四頭筋…上腕二頭筋…最高すぎる…あの腕にぶら下がりたい…)ボソボソ。
その呟きを聞いて、(ああ…親子だな)と思いながら遠くを見たのは仕方ないと思う。うん。
「ガイア。大丈夫だからさ、ちょっとこっち来てくれ」
「あ?…ああ分かった」
クルマに戻ろうとしていたガイアを引き止め、近くに来るよう伝えたら、
その歩く姿を見ながら興奮したショウ父が、俺の腕をバシバシ叩き、「きゃあきゃあ」と嬉声を上げていた。
(本当に似た者親子だな)と苦笑しながら、ガイアにショウヨウさんを紹介しようと口を開いた瞬間、
「あのあのあの!私、翔陽って言います!年齢は…たぶん138歳!好きな物は息子の翔馬と筋肉です!
貴方はオーガ族ですか?お名前はガイアさん?こんなイケメンオーガなんて見た事ないです!触っても?」
と、凄ぇ勢いで、ガイアに詰め寄っていった。
詰め寄られた当の本人は、吃驚しながらも嬉しそうに笑い、纏わりつくショウヨウさんを邪険にする事もなく、
終始笑顔で対応していた。
(なんだアレ。完全にラブラブな恋人同士じゃねぇか。ガイアのあんな嬉しそうな顔初めて見たぞ)
2人で一頻り戯れたあと、満足そうにホクホクした顔をしたショウヨウさんを腕に乗せ、俺の傍へと来、
「コホン」と咳払いをしてから、改めて話し掛けてきた。
「少し取り乱しました。えっと、貴方が私の可愛い息子、翔馬の旦那さんだね?宜しくね」
「あ、はい!アレクレスと申します。こちらこそ宜しくお願いします。お父様」
「貴様にお父様と呼ばれる筋合いはなぁい!!」
「え!?」
(なんて言ったこのオッサン!見た目は若いが、138歳なんてジジイだからな、“お父様”じゃなくて“お爺様”か!)
突然叫ばれた言葉に驚愕して、心の中で悪態をついていたら、カラカラと笑い声を上げながら発せられた言葉に、頭の中が???となった。
「なぁんちゃって!あはは!義父の定番セリフを言ってみた!“娘はお前にやらーん!”ってやつだよ!」
(何を言ってるのかサッパリなんだが…ヤバい。カイト並の謎言葉なんだが…どう反応していいか分からん!)
「コホン。え~、アレクレスくん。我が息子、翔馬を今後ともよろしくお願いしますね」
(ん?なんだいきなり。これは旦那として認めてくれたって事か?ショウ父…マジで理解不能なんだが…)
「えっと…はい。全身全霊で愛し抜く覚悟です。認めて下さって?ありがとうございます」
「うむ。良かろう。ところで、先程の翔馬の態度だが、いつもあの子はあんな感じなのかな?
こう…ツンケンしてるというか、ツンツンしてる…時にはデレッと?ツンデレってやつなのかい?
私の知ってるあの子は、こう…モサッと、ジメッと、オドオドっと、ヌーンって感じなんだが」
???何語を喋っているのか分からん。
“ツンケン”と“オドオド”は分かるが、“ツンデレ”とは?ヌーン?って何だ?それも日本国の言葉か?
「くっ…すみません。少々お待ち頂けますか?家族の中に元日本人が居ますので連れてきます」
理解の範疇を超えたので、助けを求めるべくクルマに入り、ナビアとイチャイチャしていたカイトを捕獲して、
「悪いなナビア。カイトを借りるぜ。来いアホネコ仕事だ」
「うにゃ!何するにゃ~!アホネコ違うにゃあ!」と腕の中で暴れるネコを連れ出した。
終始「にゃあにゃあ」と文句を言ってるカイトを肩車して、ガイアの腕に乗ったままのショウ父と対面させ、
「カイト通訳しろ」と伝え、先程の続きを話すことにしたのだが、ショウヨウさんの顔を見た途端、
「はにゃ?のっぺりとしたフォルム、黒髪黒目…まさか日本人かにゃ?
ん~この顔は見た事あるにゃ…小さい頃に…近所の公園で…ああ!!赤尻叩きのヒーローにゃ!」と叫んだ。
その瞬間、ショウヨウさんの魔力が膨れ上がり、俺を中心として炎に囲まれた。
「あっちぃ!アホカイト!お前は一言余計なんだよ!さっきから全然話しが進まねぇ!」
このあと「俺がわかない単語の通訳だけ頼む」と伝え、«サンドオーバー!»砂を被せて炎を消し、
カイトの謝罪の後、改めて話しをする事になった。
「えっと…お二人さん。イチャイチャするのは後にして貰って良いか?ショウマの事を伝えたいんだが」
「イチャ…そ、そんな事してないから!ねぇガイア」
「あ、その…マシロ今は控えよう。…悪いアレク…
で、ショウマさんのあの様子の原因が“精神洗脳”の影響っていうのは事実なのか?解除は出来るのか?」
“マシロ”って誰だよ!さりげなくキスしてんじゃねぇよ!幸せそうだなおい!!
「ヴェルムって亜神を知ってるだろ?実はな──って事で、俺の覚悟が洗脳を解く鍵なんだとよ…くっ…」
また一から亜神とのアレコレを説明したんだけど、ショウ父から漏れ出る怒りの魔圧に耐えられず、
気を失ったカイトを守りながら地面に膝をついた。
その魔圧は、ガイアに諌められた瞬間分散したのだが、俺は暫く動くことが出来なかった。
圧倒的強者を前に冷や汗が止まらず、恐れ慄いたのだ。
それでも、いつまでもそんな状態でいる訳にもいかず、思いっきり深呼吸して、立ち上がったのだが、
そんな俺の肩をガッと凄ぇ力で掴み、顔を寄せ、
「アレクレス!キスだ!接吻!熱~い情熱的なキッスだよ!口付け!ぶっちゅーって!ほら早く!」
と至近距離で叫ばれ、理解が追い付かず、考えることを放棄し、思考回路が停止した。
急いで向かうために街道を走っていた。
バイクなら一瞬で到着するのだが、亜神に取り出せないように細工をされたので、
走って向かうことになってしまったんだ。
「クソ野郎が!なぁにが“お前の覚悟が鍵になる”だよ!偉そうに言いやがってよ!」
悪態をつきながら、街道に現れるウルフやオークを、
「邪魔なんだよ!」ザシュ!
「ギャイン!」
「道を塞ぐなオーク如きが!」«ファイアボール!»
「ブォォオ…」
鬱憤を晴らすように剣や魔法を駆使して討伐しながら走っていたら、前方と空から同時に声が聞こえた。
「そこの冒険者よ!ウルフ討伐に手を貸してくれ!」
そう叫んだ前方の騎士は、貴族の馬車の護衛中にウルフに囲まれたのだろう。俺に助力を求めてきた。
一方、空から聞こえた声はマイキーのもので、俺を迎えに来てくれたのだろうが、心なしか声音が震えていた。
「アレクー!見付けた!大変なんだ!早く帰って来て!」
その声音と悲壮な表情を見て、(ただ事じゃないな)と思った俺は急いで戻るため、
目の前のウルフを一瞬で葬り去ろうと、剣に«雷神»を付与した。
「あれは!あの角はインプ…悪魔か!」
……のだが、構えた瞬間聞こえた声で付与を解除し剣を収めた。
その俺の行動に、「な、何をしている!なぜ剣を収めた!貴様はあの悪魔を葬れ!」と怒鳴った騎士。
それを見て聞いてオロオロしているマイキーが、「ア、アレク…良いの?助けなくて」と言ってきたが、
「あ?何がだ?助けなんて要らんだろ。立派な装備つけた騎士なんだからよ。ウルフ如き楽勝だろ」
大事な息子を罵るようなクズを助ける義理もないので、未だ罵声を吐いてる男を尻目に、
「家で大変なことが起こってんだろ?さっさと行こうぜ」
「う、うん…本当に良いのかな…」
と未だ心配している優しいマイキーを促し、飛翔魔法で抱えて貰い、家へ向かって飛び立った。
そんな俺たちを、馬車の中から睨み付けていた貴族の男が居たのは知っていたが、関係無いので無視した。
この一連の出来事が、後に俺の冒険者人生に影を落とすことになるのだが、この時の俺は知る由もなかった。
「くっ…凄ぇ速さだなぁ!それで何があったんだ?飛びながらじゃ話しにくいが、今のうちに教えろ!」
「アレクも気付いてたでしょ?ショウ兄ちゃんの様子が変だって!アレさ、精神支配の術だと思うんだよね!
ルナの話しから推測したんだけど、術者は神様じゃないかと思うんだ!
解除方法は術者の排除か、課せられた条件をクリアすることなんだけど!神の排除は絶対無理でしょ?
だから、その条件をクリアしなきゃならないんだけど、アレクがしなきゃいけないんじゃないかと思うんだ!
それで急いで迎えに来たの!ママを助けてアレク!あんなママは見たくないよ!」
飛びながら、涙を流しながら説明するマイキーを、慰めるように頭を撫で、
亜神ヴェルムに念話で伝えられた事を、話して聞かせた。
「あ、亜神様…オレたち亜人の絶対神だよ…
それに、大魔導師ショウヨウ様が異世界人で、ショウ兄ちゃんのお父さん…
そして、国を出て移住…ヤバい…話しが凄過ぎて理解が追い付かない…
と、取り敢えず、その話はショウ兄ちゃんの術を解除してからにしよう…到着したからね…」
「ああ。そうだな…」
自宅の前庭に到着したので、ショウマの気配がするクルマに向かって走り出そうとした瞬間、
「うわぁぁあ!」ドシーーン!
膨大な魔力と共に空間が歪み、突如として目の前に一人の青年が現れた。
その青年は、見た事のない真っ黒な綺麗な髪の毛を携えており、
キャンピングカーや幼稚園を見て興奮し奇声を上げていた。
(なんだコイツは?全く!次から次へと問題ばっかり起こりやがる!)
ショウマの元へ急ぎたいのに、膨大な魔力を纏った不審者を野放しには出来ないので、恐る恐る声を掛けた。
その俺の声に反応し、ゆっくりと振り返った青年の目を見て、俺もマイキーも息を呑んだ。
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(黒髪黒目だと!まさか、ショウマの父親か?いや、それにしては若すぎる。ユリウス兄上と同じくらいか?)
そんな事を思いながら見つめていたら、丁寧な自己紹介をされたのだけど、名前を聞いて驚いた。
俺たちと年齢が変わらないだろう目の前の青年が、ショウマの父親だったからだ。
ショウマの父親はその後、俺が名乗ったら威圧を吹っ掛けて睨み付けるわ、
無表情でクルマを降りてきて、森の奥へと歩みを進めたショウマに後ろから抱きつき、平手打ちをされるわ、
実の息子に「変態」呼ばわりされて、落ち込んで嗚咽を漏らして大泣きするわ…と、まぁ…大忙しだった。
そんな彼の背中を擦りながら、「ふぅぅぅ」と息を漏らして空を見上げていたら、
ショウヨウさんの泣き声がピタっと止まったと同時に、ガイアが姿を現し、声を掛けてきた。
「おうアレク。凄ぇ気配がしたから降りて来たんだが…彼は?客人か?俺が出てきちゃ不味かったな。悪ぃ」
(あ、オーガ族のガイアが怖いのか。この人も亜人差別する人なのか…)
ちょっと残念に思いながら、
“ガイアは悪いヤツじゃない。差別はしないで下さい”
と声を掛けようとしたら、何やらブツブツと呟いていた。
(…ヤバッ…格好良すぎて鼻血出そう…何あの筋肉!
大胸筋に大腿四頭筋…上腕二頭筋…最高すぎる…あの腕にぶら下がりたい…)ボソボソ。
その呟きを聞いて、(ああ…親子だな)と思いながら遠くを見たのは仕方ないと思う。うん。
「ガイア。大丈夫だからさ、ちょっとこっち来てくれ」
「あ?…ああ分かった」
クルマに戻ろうとしていたガイアを引き止め、近くに来るよう伝えたら、
その歩く姿を見ながら興奮したショウ父が、俺の腕をバシバシ叩き、「きゃあきゃあ」と嬉声を上げていた。
(本当に似た者親子だな)と苦笑しながら、ガイアにショウヨウさんを紹介しようと口を開いた瞬間、
「あのあのあの!私、翔陽って言います!年齢は…たぶん138歳!好きな物は息子の翔馬と筋肉です!
貴方はオーガ族ですか?お名前はガイアさん?こんなイケメンオーガなんて見た事ないです!触っても?」
と、凄ぇ勢いで、ガイアに詰め寄っていった。
詰め寄られた当の本人は、吃驚しながらも嬉しそうに笑い、纏わりつくショウヨウさんを邪険にする事もなく、
終始笑顔で対応していた。
(なんだアレ。完全にラブラブな恋人同士じゃねぇか。ガイアのあんな嬉しそうな顔初めて見たぞ)
2人で一頻り戯れたあと、満足そうにホクホクした顔をしたショウヨウさんを腕に乗せ、俺の傍へと来、
「コホン」と咳払いをしてから、改めて話し掛けてきた。
「少し取り乱しました。えっと、貴方が私の可愛い息子、翔馬の旦那さんだね?宜しくね」
「あ、はい!アレクレスと申します。こちらこそ宜しくお願いします。お父様」
「貴様にお父様と呼ばれる筋合いはなぁい!!」
「え!?」
(なんて言ったこのオッサン!見た目は若いが、138歳なんてジジイだからな、“お父様”じゃなくて“お爺様”か!)
突然叫ばれた言葉に驚愕して、心の中で悪態をついていたら、カラカラと笑い声を上げながら発せられた言葉に、頭の中が???となった。
「なぁんちゃって!あはは!義父の定番セリフを言ってみた!“娘はお前にやらーん!”ってやつだよ!」
(何を言ってるのかサッパリなんだが…ヤバい。カイト並の謎言葉なんだが…どう反応していいか分からん!)
「コホン。え~、アレクレスくん。我が息子、翔馬を今後ともよろしくお願いしますね」
(ん?なんだいきなり。これは旦那として認めてくれたって事か?ショウ父…マジで理解不能なんだが…)
「えっと…はい。全身全霊で愛し抜く覚悟です。認めて下さって?ありがとうございます」
「うむ。良かろう。ところで、先程の翔馬の態度だが、いつもあの子はあんな感じなのかな?
こう…ツンケンしてるというか、ツンツンしてる…時にはデレッと?ツンデレってやつなのかい?
私の知ってるあの子は、こう…モサッと、ジメッと、オドオドっと、ヌーンって感じなんだが」
???何語を喋っているのか分からん。
“ツンケン”と“オドオド”は分かるが、“ツンデレ”とは?ヌーン?って何だ?それも日本国の言葉か?
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理解の範疇を超えたので、助けを求めるべくクルマに入り、ナビアとイチャイチャしていたカイトを捕獲して、
「悪いなナビア。カイトを借りるぜ。来いアホネコ仕事だ」
「うにゃ!何するにゃ~!アホネコ違うにゃあ!」と腕の中で暴れるネコを連れ出した。
終始「にゃあにゃあ」と文句を言ってるカイトを肩車して、ガイアの腕に乗ったままのショウ父と対面させ、
「カイト通訳しろ」と伝え、先程の続きを話すことにしたのだが、ショウヨウさんの顔を見た途端、
「はにゃ?のっぺりとしたフォルム、黒髪黒目…まさか日本人かにゃ?
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その瞬間、ショウヨウさんの魔力が膨れ上がり、俺を中心として炎に囲まれた。
「あっちぃ!アホカイト!お前は一言余計なんだよ!さっきから全然話しが進まねぇ!」
このあと「俺がわかない単語の通訳だけ頼む」と伝え、«サンドオーバー!»砂を被せて炎を消し、
カイトの謝罪の後、改めて話しをする事になった。
「えっと…お二人さん。イチャイチャするのは後にして貰って良いか?ショウマの事を伝えたいんだが」
「イチャ…そ、そんな事してないから!ねぇガイア」
「あ、その…マシロ今は控えよう。…悪いアレク…
で、ショウマさんのあの様子の原因が“精神洗脳”の影響っていうのは事実なのか?解除は出来るのか?」
“マシロ”って誰だよ!さりげなくキスしてんじゃねぇよ!幸せそうだなおい!!
「ヴェルムって亜神を知ってるだろ?実はな──って事で、俺の覚悟が洗脳を解く鍵なんだとよ…くっ…」
また一から亜神とのアレコレを説明したんだけど、ショウ父から漏れ出る怒りの魔圧に耐えられず、
気を失ったカイトを守りながら地面に膝をついた。
その魔圧は、ガイアに諌められた瞬間分散したのだが、俺は暫く動くことが出来なかった。
圧倒的強者を前に冷や汗が止まらず、恐れ慄いたのだ。
それでも、いつまでもそんな状態でいる訳にもいかず、思いっきり深呼吸して、立ち上がったのだが、
そんな俺の肩をガッと凄ぇ力で掴み、顔を寄せ、
「アレクレス!キスだ!接吻!熱~い情熱的なキッスだよ!口付け!ぶっちゅーって!ほら早く!」
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