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本編 最強冒険者
story192/願っていた再会
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「ヴェルム。久しぶりじゃないか。どうしたんだ?
って、お前たしか創造神様に軟禁されてたよな?出てこれたんだな。120年振りくらいか?」
『翔陽よ、息災であったか。115年振りに解放されたのだよ』
「115年か…意外に早い段階で解放されたな。
……なぁヴェルム。お前が封印されてる間にな、私の愛しい子が…翔馬が…亡くなってしまったよ。
齢18歳で、交通事故で呆気なくな。もう私には生き続ける意味が無いのだ。
日本に戻ってあの子の傍に居られない代わりに、成長を見届けられるよう貰ったこの眼ももう必要無い。
せっかく久々に再会出来たところ悪いが、私は朽ちて、あの子の元へと参りたい。不死の力から解放してくれ」
『…それで、世界を覗ける天眼…自分の眼を潰したのか?超速再生で元に戻る度に…何度も何度も…。
……はぁ。お前の息子愛は相変わらずだな』
「当たり前だろ?…あの子は、翔馬は、私の唯一無二の愛しい息子だからな」
『あの悪女の血が混ざっているのにか?』
「確かに、あの女に一服盛られて授かった子だし、“妊娠した”と告げられた時は、
腹の子ごと殺してやりたいくらい憎かったさ。そのせいで当時の恋人に捨てられたからな。
でもな、私には一生縁の無かっただろう“血を分けた子“が、可愛くないわけがないんだよ。
産まれた瞬間、私の宝物になったんだ。あの一瞬は本当に感動した。奇跡だった」
『……』
「翔馬は私が一生涯守ると誓って、あの女から親権を取り上げて、これでやっと父子で幸せになれると…
そう思っていたのに…忌々しいあの男のせいで!!あの国のせいで!!
あの子を一人残してこんな世界に来てしまったんだ!」
『……』
「遠く離れてても、あの子を傍で守れない代わりに与えられたこの眼で、
幸せになる翔馬を見守っていようと思ってた矢先に、18歳という若さで死んでしまった!!
もう見るものが無くなったこの眼は必要ないんだ。この生命も私には必要ないんだ!
だから頼むよ亜神ヴェルム!私を生から解放して、あの子の元へと送ってくれよ!」
『……翔陽よ。生からの解放は無理だ。いや、出来るのだがな…その願いを叶えてやる事は出来ないんだ』
「そんな!!約束が違うだろ!翔馬の生の終わりとともに、私を昇華させてくれるって言ったじゃないか!」
『ああ。その約束は覚えている』
「だったら!!」
『まぁ、待て。話しを最後まで聞け。
良いか翔陽よ。昇華させることは出来んが、息子の元へと送ることは可能だ。
というか、お前を翔馬の元へと連れて行くことを創造神様に命令されたのだよ。
それを絶対条件として、牢から解放されたのだ。神力が足りなくて今頃になってしまったがな』
「ピースフェリス神が?だ、だったら早く連れてってくれよ!天国か?地獄か?
あの子の元へ行けるならどっちでも構わない!」
『ん~。天国でも地獄でもないぞ。翔馬はガーディアンに居る。ウォルデン王国ガーディアン領にな』
「……ウォルデンオウコクガーディアンニイル……」
『なんでカタコトなんだよ。まあいいか。
そうだ、転生者ってのでな、フェリス神様の愛し子として2年前くらいか?に、この世界に転生したんだと』
「……ニネンマエニテンセイ…イトシゴ…」
『くくっ。ああ。で、フォルティエ辺境伯家の三男坊、アレクレス・フォルティエと婚姻して、子供がいる。
あと…ルアナーシュを育ててくれている』
「へ?結婚して、子供がいるって聞こえたが…空耳かな?幻聴が聞こえるまで老衰したか。私も歳だな」
『いや、空耳ではな……』
「ヴン゙ン゙!!何か言ったか?」
『あ、いや…なんでもない…』
「うむ。で、ルアナーシュって…闇魔神ダークライと魔法神マジナヴェルの子供で月の女神じゃなかったか?
育ててるってなんだ?ボンキュッボンのナイスバディな女神だったよな?100歳超えのババア…」
『……ババアではない!』
「あ、スマン。ヴェルムの嫁候補だっけ?ははは!
お前の解放を悟って下界に逃げたのか?嫌われてたもんなヴェルム」
『う、うるさい!その通りだが…くっ…。その話は今度だ!今はそれより大事な話しがあるのでな!
いいか翔陽。“ガーディアンにいる翔馬の元へと行き、新たな国を作って統治せよ“とのことだ』
「は、は、はぁぁあ!?私が建国するってことか?翔馬と?一緒に?ま、孫も一緒に?
3人で暮らす国を作れば良いのだな!あ、一応ルアナーシュを含めて4人ってことな!
分かった!いやぁ、楽しみだ!早速送ってくれ!あ、血だらけの服は着替えないとな!」
『まだ話は終わっとらん!4人の国じゃなくて、迫害を受けてる亜人族のための国を作れってよ。
あと、翔馬の旦那。アレクレスもいるからな?』
「ダンナ…結婚…くっ…仕方ない…認めたくないが認めてやろう!翔馬の選んだ男だ。悪いヤツでは無いだろう。
だが…建国して移住するってことは、生まれ育った国を出なきゃならんだろ?
その、アレクレスというヤツは、翔馬についてくる覚悟があるのか?そもそも、翔馬は建国に賛成なのか?」
『そ、それは大丈夫だ!アレクレスの方は、これから揺さぶり掛けてくる。少しの間、待っててくれ』
(翔馬に掛けた精神洗脳…翔陽にバレたら殺されるな)
「……お前なんか企んでないか?…もし翔馬に危害を加えたら…殺すぞ?」
『そんなことしてねぇよ!じゃ、じゃあこれから念話送るから、その間に着替えとか色々してろ!な!』
「な~んか怪しいんだよな。目が泳いでるし、吃ってるし。
ヴェルム得意の“精神洗脳”…翔馬に掛けてないだろうな…耐性が無いと廃人になっちゃうからなアレは。
まぁ、そこまでクソ野郎ではないよな。うん。
さぁ、可愛い我が息子、翔馬との再会のために身支度を整えなきゃな!」
「ふふふ~ん♪、憎き男よ~♪お前に警告するよ~♪
私の愛する息子を返せぇ~♪報いを受けろぉ~♪らら~♪
怒りの炎は~♪ふふふ~ん♪消えることなくぅ~♪燃え続けるだろうぉ~♪ジャカジャン!
私が叫ぶ限りぃ~♪お前は逃れることはできないぃ~♪愛と復讐の歌を歌いながらぁ~♪お前のもとへ向かう~♪」
『……また変な歌を歌ってんのか。何年経っても変わんねぇな翔陽は。今のはアレクレスに向けた歌か。
はぁ…まぁ面白いから良いけどな。で、支度は済んだか?』
「おう!パーフェクトだ!何時でも良いぞ!気合いだ気合いだ気合いだぁぁああ!良し頼む」
『くくっ。じゃあ行ってこい!あ、最後に一つだけ教えとく。今の翔馬は銀髪で桃色眼だからな』
«ガーディアン、翔馬の元へ転送!»パチンっ!
「おいおいおい~!うる艶黒髪バージンヘアじゃないのかよぉぉお!」
ドサッ…「痛たたた…た…え?なんで異世界にキャンピングカーがあるんだよ!え?ここって日本か?」
キョロキョロ…
「どわっ!なにあの巨大な近未来的な建築物は!あの奥に見えるのってウォータースライダー!?」
「あの…貴方様は…どちら様ですか?ここは私有地なんですが…」
突如現れた黒髪の青年に恐る恐る声を掛けたら、ゆっくりとこちらに振り向き目線を合わせてきた。
その目を見て俺は驚いた。この世界で初めて見た…幻想的な黒い眼だったから。
「これは失礼致しました。
私はショウヨウ・アマシロと申す者です。こちらに息子が居ると聞きまして会いに来た次第です」
そして丁寧な自己紹介をされ更に驚いた。
“ショウヨウ・アマシロ”と名乗った目の前の若者が、俺の最愛、ショウマの父親だったからだ。
まさか戻って来て早々お会いするとは思わず、慌てて挨拶したのだが、
「こちらこそご挨拶が遅れました。フォルティエ辺境伯が三男、アレクレス・フォルティエと申します…!?」
名を名乗った瞬間、ブワッともの凄い威圧を吹っ掛けられた。
いきなりの事に困惑したまま目を合わせていたら、厳格な空気を浄化させるような軽やかな声が響き渡った。
「あれ?アレク戻って来たんだ。
そちらはお客様?黒髪黒目って、珍しいね。まさか日本人?あはは!そんな訳ないかぁ!
あ、何も無い辺鄙な場所ですけど、どうぞごゆっくりしていってくださいね。では」
ショウマはそう言って、ペコッと頭を下げ、そそくさと森の奥へと歩いて去って行った。
この一連の流れに呆気にとられていたら、ショウマ父が、「翔馬!」と叫びながら追い掛けて行き、
「会いたかった、翔馬!」と感極まって後ろから抱き締めたんだけど、
「いやぁぁああ!」バッチーーン!
いきなりの事に驚いたショウマに思いっきり平手打ちを食らわされ、地面に伏してしまった。
そんなやり取りを見て、「あちゃー」と声を漏らしたら、ショウマに「キッ!」と睨まれて、
「アレク!この変態さんには帰って貰ってよね!」
と怒鳴られて、「はぁぁ」とため息を零した。
そして、森の中へと颯爽と歩いて行く背を見つめながら、「はぁぁぁ」と更に深いため息を吐き出した。
「マイキー。悪いけどショウマの後を追って様子を見て来てくれ。俺はお父様の相手をしなきゃならんしな」
「あ、うん…分かった…アレク…えっと…ガンバ!」
そう言って、手を振り去って行ったマイキーに、手を振り返してから、お父様に声を掛けたんだけど…
「ぐすっ…翔馬ぁあ…ぐすっ…やっと会えたのに…ぐすっ…酷いじゃないかッ…ぐすっ…」
膝を抱えて蹲り、嗚咽を漏らして泣くばかりで全く会話にならなかった。
俺はその哀愁漂う背中を擦りながら、空を見上げ、「ふぅぅうう」と細く長い息を吐き出した。
って、お前たしか創造神様に軟禁されてたよな?出てこれたんだな。120年振りくらいか?」
『翔陽よ、息災であったか。115年振りに解放されたのだよ』
「115年か…意外に早い段階で解放されたな。
……なぁヴェルム。お前が封印されてる間にな、私の愛しい子が…翔馬が…亡くなってしまったよ。
齢18歳で、交通事故で呆気なくな。もう私には生き続ける意味が無いのだ。
日本に戻ってあの子の傍に居られない代わりに、成長を見届けられるよう貰ったこの眼ももう必要無い。
せっかく久々に再会出来たところ悪いが、私は朽ちて、あの子の元へと参りたい。不死の力から解放してくれ」
『…それで、世界を覗ける天眼…自分の眼を潰したのか?超速再生で元に戻る度に…何度も何度も…。
……はぁ。お前の息子愛は相変わらずだな』
「当たり前だろ?…あの子は、翔馬は、私の唯一無二の愛しい息子だからな」
『あの悪女の血が混ざっているのにか?』
「確かに、あの女に一服盛られて授かった子だし、“妊娠した”と告げられた時は、
腹の子ごと殺してやりたいくらい憎かったさ。そのせいで当時の恋人に捨てられたからな。
でもな、私には一生縁の無かっただろう“血を分けた子“が、可愛くないわけがないんだよ。
産まれた瞬間、私の宝物になったんだ。あの一瞬は本当に感動した。奇跡だった」
『……』
「翔馬は私が一生涯守ると誓って、あの女から親権を取り上げて、これでやっと父子で幸せになれると…
そう思っていたのに…忌々しいあの男のせいで!!あの国のせいで!!
あの子を一人残してこんな世界に来てしまったんだ!」
『……』
「遠く離れてても、あの子を傍で守れない代わりに与えられたこの眼で、
幸せになる翔馬を見守っていようと思ってた矢先に、18歳という若さで死んでしまった!!
もう見るものが無くなったこの眼は必要ないんだ。この生命も私には必要ないんだ!
だから頼むよ亜神ヴェルム!私を生から解放して、あの子の元へと送ってくれよ!」
『……翔陽よ。生からの解放は無理だ。いや、出来るのだがな…その願いを叶えてやる事は出来ないんだ』
「そんな!!約束が違うだろ!翔馬の生の終わりとともに、私を昇華させてくれるって言ったじゃないか!」
『ああ。その約束は覚えている』
「だったら!!」
『まぁ、待て。話しを最後まで聞け。
良いか翔陽よ。昇華させることは出来んが、息子の元へと送ることは可能だ。
というか、お前を翔馬の元へと連れて行くことを創造神様に命令されたのだよ。
それを絶対条件として、牢から解放されたのだ。神力が足りなくて今頃になってしまったがな』
「ピースフェリス神が?だ、だったら早く連れてってくれよ!天国か?地獄か?
あの子の元へ行けるならどっちでも構わない!」
『ん~。天国でも地獄でもないぞ。翔馬はガーディアンに居る。ウォルデン王国ガーディアン領にな』
「……ウォルデンオウコクガーディアンニイル……」
『なんでカタコトなんだよ。まあいいか。
そうだ、転生者ってのでな、フェリス神様の愛し子として2年前くらいか?に、この世界に転生したんだと』
「……ニネンマエニテンセイ…イトシゴ…」
『くくっ。ああ。で、フォルティエ辺境伯家の三男坊、アレクレス・フォルティエと婚姻して、子供がいる。
あと…ルアナーシュを育ててくれている』
「へ?結婚して、子供がいるって聞こえたが…空耳かな?幻聴が聞こえるまで老衰したか。私も歳だな」
『いや、空耳ではな……』
「ヴン゙ン゙!!何か言ったか?」
『あ、いや…なんでもない…』
「うむ。で、ルアナーシュって…闇魔神ダークライと魔法神マジナヴェルの子供で月の女神じゃなかったか?
育ててるってなんだ?ボンキュッボンのナイスバディな女神だったよな?100歳超えのババア…」
『……ババアではない!』
「あ、スマン。ヴェルムの嫁候補だっけ?ははは!
お前の解放を悟って下界に逃げたのか?嫌われてたもんなヴェルム」
『う、うるさい!その通りだが…くっ…。その話は今度だ!今はそれより大事な話しがあるのでな!
いいか翔陽。“ガーディアンにいる翔馬の元へと行き、新たな国を作って統治せよ“とのことだ』
「は、は、はぁぁあ!?私が建国するってことか?翔馬と?一緒に?ま、孫も一緒に?
3人で暮らす国を作れば良いのだな!あ、一応ルアナーシュを含めて4人ってことな!
分かった!いやぁ、楽しみだ!早速送ってくれ!あ、血だらけの服は着替えないとな!」
『まだ話は終わっとらん!4人の国じゃなくて、迫害を受けてる亜人族のための国を作れってよ。
あと、翔馬の旦那。アレクレスもいるからな?』
「ダンナ…結婚…くっ…仕方ない…認めたくないが認めてやろう!翔馬の選んだ男だ。悪いヤツでは無いだろう。
だが…建国して移住するってことは、生まれ育った国を出なきゃならんだろ?
その、アレクレスというヤツは、翔馬についてくる覚悟があるのか?そもそも、翔馬は建国に賛成なのか?」
『そ、それは大丈夫だ!アレクレスの方は、これから揺さぶり掛けてくる。少しの間、待っててくれ』
(翔馬に掛けた精神洗脳…翔陽にバレたら殺されるな)
「……お前なんか企んでないか?…もし翔馬に危害を加えたら…殺すぞ?」
『そんなことしてねぇよ!じゃ、じゃあこれから念話送るから、その間に着替えとか色々してろ!な!』
「な~んか怪しいんだよな。目が泳いでるし、吃ってるし。
ヴェルム得意の“精神洗脳”…翔馬に掛けてないだろうな…耐性が無いと廃人になっちゃうからなアレは。
まぁ、そこまでクソ野郎ではないよな。うん。
さぁ、可愛い我が息子、翔馬との再会のために身支度を整えなきゃな!」
「ふふふ~ん♪、憎き男よ~♪お前に警告するよ~♪
私の愛する息子を返せぇ~♪報いを受けろぉ~♪らら~♪
怒りの炎は~♪ふふふ~ん♪消えることなくぅ~♪燃え続けるだろうぉ~♪ジャカジャン!
私が叫ぶ限りぃ~♪お前は逃れることはできないぃ~♪愛と復讐の歌を歌いながらぁ~♪お前のもとへ向かう~♪」
『……また変な歌を歌ってんのか。何年経っても変わんねぇな翔陽は。今のはアレクレスに向けた歌か。
はぁ…まぁ面白いから良いけどな。で、支度は済んだか?』
「おう!パーフェクトだ!何時でも良いぞ!気合いだ気合いだ気合いだぁぁああ!良し頼む」
『くくっ。じゃあ行ってこい!あ、最後に一つだけ教えとく。今の翔馬は銀髪で桃色眼だからな』
«ガーディアン、翔馬の元へ転送!»パチンっ!
「おいおいおい~!うる艶黒髪バージンヘアじゃないのかよぉぉお!」
ドサッ…「痛たたた…た…え?なんで異世界にキャンピングカーがあるんだよ!え?ここって日本か?」
キョロキョロ…
「どわっ!なにあの巨大な近未来的な建築物は!あの奥に見えるのってウォータースライダー!?」
「あの…貴方様は…どちら様ですか?ここは私有地なんですが…」
突如現れた黒髪の青年に恐る恐る声を掛けたら、ゆっくりとこちらに振り向き目線を合わせてきた。
その目を見て俺は驚いた。この世界で初めて見た…幻想的な黒い眼だったから。
「これは失礼致しました。
私はショウヨウ・アマシロと申す者です。こちらに息子が居ると聞きまして会いに来た次第です」
そして丁寧な自己紹介をされ更に驚いた。
“ショウヨウ・アマシロ”と名乗った目の前の若者が、俺の最愛、ショウマの父親だったからだ。
まさか戻って来て早々お会いするとは思わず、慌てて挨拶したのだが、
「こちらこそご挨拶が遅れました。フォルティエ辺境伯が三男、アレクレス・フォルティエと申します…!?」
名を名乗った瞬間、ブワッともの凄い威圧を吹っ掛けられた。
いきなりの事に困惑したまま目を合わせていたら、厳格な空気を浄化させるような軽やかな声が響き渡った。
「あれ?アレク戻って来たんだ。
そちらはお客様?黒髪黒目って、珍しいね。まさか日本人?あはは!そんな訳ないかぁ!
あ、何も無い辺鄙な場所ですけど、どうぞごゆっくりしていってくださいね。では」
ショウマはそう言って、ペコッと頭を下げ、そそくさと森の奥へと歩いて去って行った。
この一連の流れに呆気にとられていたら、ショウマ父が、「翔馬!」と叫びながら追い掛けて行き、
「会いたかった、翔馬!」と感極まって後ろから抱き締めたんだけど、
「いやぁぁああ!」バッチーーン!
いきなりの事に驚いたショウマに思いっきり平手打ちを食らわされ、地面に伏してしまった。
そんなやり取りを見て、「あちゃー」と声を漏らしたら、ショウマに「キッ!」と睨まれて、
「アレク!この変態さんには帰って貰ってよね!」
と怒鳴られて、「はぁぁ」とため息を零した。
そして、森の中へと颯爽と歩いて行く背を見つめながら、「はぁぁぁ」と更に深いため息を吐き出した。
「マイキー。悪いけどショウマの後を追って様子を見て来てくれ。俺はお父様の相手をしなきゃならんしな」
「あ、うん…分かった…アレク…えっと…ガンバ!」
そう言って、手を振り去って行ったマイキーに、手を振り返してから、お父様に声を掛けたんだけど…
「ぐすっ…翔馬ぁあ…ぐすっ…やっと会えたのに…ぐすっ…酷いじゃないかッ…ぐすっ…」
膝を抱えて蹲り、嗚咽を漏らして泣くばかりで全く会話にならなかった。
俺はその哀愁漂う背中を擦りながら、空を見上げ、「ふぅぅうう」と細く長い息を吐き出した。
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