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本編 最強冒険者
story183/進化した走る家
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「まーま、おにわ、なにしゅるの?」
「ん~?ふふっ。もうちょっと待ってね。今マイキーがカイトくんを呼びに行ってるから」
朝食を食べ終わった後、明日からの旅行の為に購入したキャンピングカーを子供たちに見せるため、庭に出た。
アレクがカイトくんも連れて行くと言ってたので、幼稚園にいる彼を、今マイキーが呼びに行ってる。
「なんでカイトくんまで?」という質問をしたら、
なんとあの2人、パーティーを組んで冒険者活動してるらしい。
個々で強いんだけど、ソロで活躍して耳と尻尾がバレたら大変だし、
カイト語に周りが困惑しちゃうから、ストッパーとしてマイキーが面倒見てるんだって。
もし一人放っといてガーディアンで暴走されても困るし、目の届く範囲に居たほうがマイキーも安心だろう。
とのことで、連れてくことにしたらしい。まあ、仲良いからってのもあるらしいけどね。
「パーパ、あちた、りょこいく、かいちゃも?ルナとぉ、えしゅとぉ、にぃにとぉ、まーまとぉ、パパ?」
「そうだぞ。カイトも一緒に、家族みんなで王都まで行くんだぞー」
「おうちょ、ルナ、いたいちたとこ?にぃにとぉ、おーちえんの、おともらちぃ、みーんな、いたいちてぇ、
わりゅいのいーっぱい、パパが、えいっ!ちたとこ?」
ルナのその言葉を聞いて、一瞬だけその場がシーンっと静まり返った。静寂を破ったのは、
「ママー、アレクー、カイト連れて来たよー」というマイキーの声と、
「んにゃにゃ!オールウェイズおはにゃん!明るい朝にゃが、空気がダークにゃね?」というカイト語だった。
そして「??ママ、アレク?固まってどうしたの?」と聞かれたので、さっきの出来事を教えたら、
「…なるほどね。聞かれると思ってなかったから、答えに困ってた?別に、ルナもオレも気にしてないよ?
忘れることは無いけど、もう過去の事だし、今は前を向いて未来を見てるもん。ね、ルナ」
「…?んと、むちゅかちい。わりゅい、えいっ!ちたパパ、しゅごいー!って、ばんじゃーい!ちたの」
そっか、そうだね。ははっ。僕たち大人のほうが何時までも気にしちゃって…情けないね。
そう思ったのはアレクも一緒だったみたいで、お互い顔を見合せて苦笑し、ルナとマイキーの頭を撫でた。
それを見てたカイトくんが、
「うにゃあ…グッドファミリーにゃねぇ。ハッピーウッキーにゃねぇ」
と、感慨深くウンウンと頷いてたのを、
マイキーが首根っこ捕まえて、ズルズルと僕とアレクの前に引き摺って来た。
そして「マイマイ!!なにするにゃあ!」と叫んだカイトくんの頭を指差し、
(撫でてあげて)コソッ。と囁いてきた。
それを聞いたアレクは、嬉しそうにナデナデしてたけど、僕は…さすがに遠慮させて貰った…。
だって、見た目はプリティな猫ちゃんなんだけど……
中身は元18歳の同級生なんだもん…だから出来ません…ごめんね、カイトくん。
「それで、カイト連れて来たけど、見せたい物があるんでしょ?明日からの旅で必要な物?だっけ?」
{はにゃぁ~}
「そうそう。エスポアいるからね、安全な移動手段を考えてさ、日本の乗り物を購入したの」
{ほにゃぁ~}
「……もう!アレクもカイトも何してんの!声が気になってママの話しが右から左へ流れてくんだけど!」
「あ、悪ぃ。この耳の触り心地が良くてな。手が止まらんかったわ」
「ごめんにゃぁ…アレクダディ…テクニシャンにゃねぇ…ゴールドフィンガーにゃ…あちちあちにゃぁ~」
「ぶはっ!」言葉が面白過ぎて思わず吹き出しちゃったよ!カイトくん…それはナイス例えだわ。
……あ、アレクもマイキーもそんなに見ないで!これは説明を拒否します!
そんな阿呆なやり取りを続けていたら、無駄な時間だけが過ぎていっちゃうので、
気を取り直してキャンピングカーを庭に出した。
……んだけどぉぉお!
「え?ショウマ、さっき見てたユアゾンの画面のと違くないか?確か色はシンプルな白じゃなかったか?
こんな王族の馬車みたいな、金色のキラキラした装飾なんか付いてたか?」
……絶対、神様の仕業だよね!!
こんな事するのって、レディス神様でしょ!?
やめてよぉ、なんでギラギラの装飾にしちゃうのぉ~?ダサい!クソダサい!センス疑うよ!!
{そこまで言わなくて良いじゃなァい。良かれと思ったのよぉ?仕方ないから色だけ戻すわぁ}
(!?またいきなり話し掛けてきて、さっさと消える!自由過ぎじゃないですか!神様の威厳全くないね!)
「うおっ!いきなり色が変わったぞ…ってまさか神の仕業か?」
「はぁ。レディス神からのいつものお節介だよ…ん?あれ?子供達は?」
「ああ。キャンピングカー見た瞬間に掛けて行ったぞ。カイトはそこで放心してるが」
そう言われ気配を辿ったら、車の中をウロウロ動き回る2つの気配を感じとった。
そして「そこ」と言われた場所に目線を向けたら、
目を見開き、耳と尻尾をピーンっと張って固まるカイトくんがいた。
そしてギギギ…っと僕を見上げ、
「翔馬きゅん、あれはジャパンの最新キャンピングカーで3億円するってヤツにゃよ!?」と言ってきた。
「え?3億円もするの!!でも、金貨5枚だったよ?だから5000万くらいだと思ってた」
「んにゃぁあ!安いにゃ!アンビリーバボー!!」
カイトくんはそう言って、叫び声をあげながらキャンピングカーまで一直線に掛けて行った。
残された僕とアレクは、子供達の勢いに苦笑いを浮かべ、その場に留まり会話をしていた。
「……ぷぷっ。だって、聞いた?本当なら白金貨3枚もするんだってさ」
「ああ。くくっ。気前のいい神様だな。さっきの色は凄かったけどな」
「そういえば、気になる事を言ってたなぁ。色“だけ”は戻すって…まさか、テントみたいに空間が広がってるのかな」
{んにゃ、にゃんじゃこりゃぁあ!}
「……そのまさかなんじゃねぇか?中からカイトの雄叫びが聞こえてきてるから」
「……怖いね」
「……まあ、慣れるしかねぇな。ははは!
では奥様、お手をどうぞ。ご案内しますよ」
「ふふふっ。はい、旦那様。案内お願いします」
差し出されたアレクの手に、手を重ね、エスコートされる形でキャンピングカーまで歩き、中に入ったんだけど…
中を見渡し、内装の豪華さに呆然と立ち尽くした。
僕の後ろから乗り込んできたアレクも、同じく呆然と立ち尽くし、「豪華絢爛過ぎんな」と呟いた。
取り敢えず立ち止まってても仕方ない!ってことで、恐る恐るだけど見て回る事にした。
まず、乗車してすぐ見える位置にはリビングが有り、座るのに躊躇してしまうほど真っ白なソファと、
金ピカのゴテゴテしたテーブルが鎮座していた。
金ピカのサイドテーブルの上には、バカラの花瓶みたいなキラッキラした硝子に大量の薔薇が挿してあり、
壁一面がマジックミラー?になってて外が見渡せる。
で、たぶん本来ならトランクだろう場所には扉があり、開けると目の前には螺旋階段が。
その両脇にある扉の先はトイレと風呂になっていて、中はめちゃくちゃ広い。
んで、恐る恐る螺旋階段を上がって行くと……
真ん中が公園になってて、そこを囲うように無数の扉が等間隔に配置されていた。
一番近くの扉を開け、中に足を踏み入れ…る前に閉めた。
「ショ、ショウマ、どうした?中に入らないのか?」
「ぼ、僕は良いかな…アレク入ってみなよ」
立ち位置を変わり、どうぞどうぞ。と中に入るのを進めたら、ゴクッと唾を飲み込んでから中に入った。
んだけど…数秒で出てきた。
「な、なんだアレ!天井も壁も全部鏡だったぞ!風呂もトイレのドアも透明で丸見えだし!」
まさか…全部の部屋のコンセプトが違うとか?……ラブホか!!
いや、行ったこと無いけどさ!何となくラブホってそんなイメージなんだよね。
「毎回思うけどよ、レディス神ってやり過ぎじゃねぇか?確か、幼稚園もあの方の贈り物だったよな?」
「本当だよね…幼稚園は、フェリス様と2人からってメッセージには書いてあったけど…主導したのはレディス神だろうね」
「まぁ、有り難いんだがなぁ。これはやり過ぎだろ」
「……もう諦めるしかないね。そういえば子供達は?」
2人それぞれが魔力を辿ったら、ルナの気配は公園の中からしており、マイキーとカイトくんは……
「ね、ねぇアレク。あの二人、部屋の中でピタッとくっ付いてない?まさか……」
「いや、さすがに無いだろ…カイトなんて、まだ毛も生えてない子供だぞ?マイキーは…一応12だけど…」
そんな、ウソでしょ、あの2人が!!とアレクと頷き合って、その場所へ行き、コソッと中を覗いた。
瞬間、「ぶっははは!」と僕は大爆笑した。
重なった2つの気配の真相は、ムフフな展開じゃなく、
床一面に貼られたツイスターゲームで遊んでいたからだった。
アレクがなんのこっちゃ?と首を傾げていたので、遊び方を教えてあげたら、意気揚々と参加しだした。
「ショウマも」と言われたけど、僕はパスです!
「なんで?」と言われたけど…「じゃ!」と言ってその部屋から出て、ルナの元へと向かった。
参加しなかった理由?…それはね…身体が硬いんです!
「あ゙っ!ルナの元へ行く前に、エスポア見に行かないと!!やばーい!絶対ギャン泣きしてるぅ!」
ご飯のあと寝ちゃったから置いてきたんだよぉ。
ヤバい~と、その場でエスの部屋へ転移したら、案の定
「あぎゃぁあ、おぎゃぁあ」と真っ赤になって泣き喚いてるエスポアがいた。
「よーし、よしよし。ごめんねエスポア。吃驚ハウスに夢中になっちゃってた。
そういえば、一応普通の後部座席もあったから、ベビーシート必須だよね」
そう声を掛け、ユアゾンを開き、“ベビーシートカメ子ちゃん“っていう名称のベビーシートを購入した。
そのあと、ミルクをガブ飲みして満足したエスポアを連れ、キャンちゃんに戻り、
公園で遊んでるルナの元へと行き、一旦預け、座席にカメ子ちゃんを取り付けた。
「か、可愛い…ひっくり返ったカメに見えるようになってるんだ」
そしてルナの元へと戻り、暫く公園で休んでいたら、
ツイスターで遊び終わった面々が部屋から出てきて、一斉に「「今日はここに泊まる!」」と言い出した。
まぁ、このメンツ以外に行く人いないし、必要な物はイベントリにあらかた入ってるし、
ってことで、その案に賛成した。
そして各々が好きな事をして過ごし、ご飯はさすがに家に帰って食べ、風呂はキャンちゃんで入り、
就寝時間になったので、好きな部屋にそれぞれ入った。
僕とアレクが一緒の部屋で寝るのは「ダメ」だとマイキーに言われ、久々に一人でベッドに入り目を瞑った。
マイキー曰く、「性行為が長引いたら出発の時間が遅くなる」からだってさ。
「そんな事ないし!」と強く言えない僕達なので、その命令を甘んじて受けることにした。
「隣りに誰も居ないと…眠れないかも…」
なんて事を呟いた僕は、目を閉じて数秒後には爆睡していたようで、気付いたら朝だった。
「……ですよねぇ。そんな繊細じゃなかったや!あはは!」
さぁ、今日から新たな旅が始まります。
王都に到着するまで、平穏無事に過ごせますように。
「ん~?ふふっ。もうちょっと待ってね。今マイキーがカイトくんを呼びに行ってるから」
朝食を食べ終わった後、明日からの旅行の為に購入したキャンピングカーを子供たちに見せるため、庭に出た。
アレクがカイトくんも連れて行くと言ってたので、幼稚園にいる彼を、今マイキーが呼びに行ってる。
「なんでカイトくんまで?」という質問をしたら、
なんとあの2人、パーティーを組んで冒険者活動してるらしい。
個々で強いんだけど、ソロで活躍して耳と尻尾がバレたら大変だし、
カイト語に周りが困惑しちゃうから、ストッパーとしてマイキーが面倒見てるんだって。
もし一人放っといてガーディアンで暴走されても困るし、目の届く範囲に居たほうがマイキーも安心だろう。
とのことで、連れてくことにしたらしい。まあ、仲良いからってのもあるらしいけどね。
「パーパ、あちた、りょこいく、かいちゃも?ルナとぉ、えしゅとぉ、にぃにとぉ、まーまとぉ、パパ?」
「そうだぞ。カイトも一緒に、家族みんなで王都まで行くんだぞー」
「おうちょ、ルナ、いたいちたとこ?にぃにとぉ、おーちえんの、おともらちぃ、みーんな、いたいちてぇ、
わりゅいのいーっぱい、パパが、えいっ!ちたとこ?」
ルナのその言葉を聞いて、一瞬だけその場がシーンっと静まり返った。静寂を破ったのは、
「ママー、アレクー、カイト連れて来たよー」というマイキーの声と、
「んにゃにゃ!オールウェイズおはにゃん!明るい朝にゃが、空気がダークにゃね?」というカイト語だった。
そして「??ママ、アレク?固まってどうしたの?」と聞かれたので、さっきの出来事を教えたら、
「…なるほどね。聞かれると思ってなかったから、答えに困ってた?別に、ルナもオレも気にしてないよ?
忘れることは無いけど、もう過去の事だし、今は前を向いて未来を見てるもん。ね、ルナ」
「…?んと、むちゅかちい。わりゅい、えいっ!ちたパパ、しゅごいー!って、ばんじゃーい!ちたの」
そっか、そうだね。ははっ。僕たち大人のほうが何時までも気にしちゃって…情けないね。
そう思ったのはアレクも一緒だったみたいで、お互い顔を見合せて苦笑し、ルナとマイキーの頭を撫でた。
それを見てたカイトくんが、
「うにゃあ…グッドファミリーにゃねぇ。ハッピーウッキーにゃねぇ」
と、感慨深くウンウンと頷いてたのを、
マイキーが首根っこ捕まえて、ズルズルと僕とアレクの前に引き摺って来た。
そして「マイマイ!!なにするにゃあ!」と叫んだカイトくんの頭を指差し、
(撫でてあげて)コソッ。と囁いてきた。
それを聞いたアレクは、嬉しそうにナデナデしてたけど、僕は…さすがに遠慮させて貰った…。
だって、見た目はプリティな猫ちゃんなんだけど……
中身は元18歳の同級生なんだもん…だから出来ません…ごめんね、カイトくん。
「それで、カイト連れて来たけど、見せたい物があるんでしょ?明日からの旅で必要な物?だっけ?」
{はにゃぁ~}
「そうそう。エスポアいるからね、安全な移動手段を考えてさ、日本の乗り物を購入したの」
{ほにゃぁ~}
「……もう!アレクもカイトも何してんの!声が気になってママの話しが右から左へ流れてくんだけど!」
「あ、悪ぃ。この耳の触り心地が良くてな。手が止まらんかったわ」
「ごめんにゃぁ…アレクダディ…テクニシャンにゃねぇ…ゴールドフィンガーにゃ…あちちあちにゃぁ~」
「ぶはっ!」言葉が面白過ぎて思わず吹き出しちゃったよ!カイトくん…それはナイス例えだわ。
……あ、アレクもマイキーもそんなに見ないで!これは説明を拒否します!
そんな阿呆なやり取りを続けていたら、無駄な時間だけが過ぎていっちゃうので、
気を取り直してキャンピングカーを庭に出した。
……んだけどぉぉお!
「え?ショウマ、さっき見てたユアゾンの画面のと違くないか?確か色はシンプルな白じゃなかったか?
こんな王族の馬車みたいな、金色のキラキラした装飾なんか付いてたか?」
……絶対、神様の仕業だよね!!
こんな事するのって、レディス神様でしょ!?
やめてよぉ、なんでギラギラの装飾にしちゃうのぉ~?ダサい!クソダサい!センス疑うよ!!
{そこまで言わなくて良いじゃなァい。良かれと思ったのよぉ?仕方ないから色だけ戻すわぁ}
(!?またいきなり話し掛けてきて、さっさと消える!自由過ぎじゃないですか!神様の威厳全くないね!)
「うおっ!いきなり色が変わったぞ…ってまさか神の仕業か?」
「はぁ。レディス神からのいつものお節介だよ…ん?あれ?子供達は?」
「ああ。キャンピングカー見た瞬間に掛けて行ったぞ。カイトはそこで放心してるが」
そう言われ気配を辿ったら、車の中をウロウロ動き回る2つの気配を感じとった。
そして「そこ」と言われた場所に目線を向けたら、
目を見開き、耳と尻尾をピーンっと張って固まるカイトくんがいた。
そしてギギギ…っと僕を見上げ、
「翔馬きゅん、あれはジャパンの最新キャンピングカーで3億円するってヤツにゃよ!?」と言ってきた。
「え?3億円もするの!!でも、金貨5枚だったよ?だから5000万くらいだと思ってた」
「んにゃぁあ!安いにゃ!アンビリーバボー!!」
カイトくんはそう言って、叫び声をあげながらキャンピングカーまで一直線に掛けて行った。
残された僕とアレクは、子供達の勢いに苦笑いを浮かべ、その場に留まり会話をしていた。
「……ぷぷっ。だって、聞いた?本当なら白金貨3枚もするんだってさ」
「ああ。くくっ。気前のいい神様だな。さっきの色は凄かったけどな」
「そういえば、気になる事を言ってたなぁ。色“だけ”は戻すって…まさか、テントみたいに空間が広がってるのかな」
{んにゃ、にゃんじゃこりゃぁあ!}
「……そのまさかなんじゃねぇか?中からカイトの雄叫びが聞こえてきてるから」
「……怖いね」
「……まあ、慣れるしかねぇな。ははは!
では奥様、お手をどうぞ。ご案内しますよ」
「ふふふっ。はい、旦那様。案内お願いします」
差し出されたアレクの手に、手を重ね、エスコートされる形でキャンピングカーまで歩き、中に入ったんだけど…
中を見渡し、内装の豪華さに呆然と立ち尽くした。
僕の後ろから乗り込んできたアレクも、同じく呆然と立ち尽くし、「豪華絢爛過ぎんな」と呟いた。
取り敢えず立ち止まってても仕方ない!ってことで、恐る恐るだけど見て回る事にした。
まず、乗車してすぐ見える位置にはリビングが有り、座るのに躊躇してしまうほど真っ白なソファと、
金ピカのゴテゴテしたテーブルが鎮座していた。
金ピカのサイドテーブルの上には、バカラの花瓶みたいなキラッキラした硝子に大量の薔薇が挿してあり、
壁一面がマジックミラー?になってて外が見渡せる。
で、たぶん本来ならトランクだろう場所には扉があり、開けると目の前には螺旋階段が。
その両脇にある扉の先はトイレと風呂になっていて、中はめちゃくちゃ広い。
んで、恐る恐る螺旋階段を上がって行くと……
真ん中が公園になってて、そこを囲うように無数の扉が等間隔に配置されていた。
一番近くの扉を開け、中に足を踏み入れ…る前に閉めた。
「ショ、ショウマ、どうした?中に入らないのか?」
「ぼ、僕は良いかな…アレク入ってみなよ」
立ち位置を変わり、どうぞどうぞ。と中に入るのを進めたら、ゴクッと唾を飲み込んでから中に入った。
んだけど…数秒で出てきた。
「な、なんだアレ!天井も壁も全部鏡だったぞ!風呂もトイレのドアも透明で丸見えだし!」
まさか…全部の部屋のコンセプトが違うとか?……ラブホか!!
いや、行ったこと無いけどさ!何となくラブホってそんなイメージなんだよね。
「毎回思うけどよ、レディス神ってやり過ぎじゃねぇか?確か、幼稚園もあの方の贈り物だったよな?」
「本当だよね…幼稚園は、フェリス様と2人からってメッセージには書いてあったけど…主導したのはレディス神だろうね」
「まぁ、有り難いんだがなぁ。これはやり過ぎだろ」
「……もう諦めるしかないね。そういえば子供達は?」
2人それぞれが魔力を辿ったら、ルナの気配は公園の中からしており、マイキーとカイトくんは……
「ね、ねぇアレク。あの二人、部屋の中でピタッとくっ付いてない?まさか……」
「いや、さすがに無いだろ…カイトなんて、まだ毛も生えてない子供だぞ?マイキーは…一応12だけど…」
そんな、ウソでしょ、あの2人が!!とアレクと頷き合って、その場所へ行き、コソッと中を覗いた。
瞬間、「ぶっははは!」と僕は大爆笑した。
重なった2つの気配の真相は、ムフフな展開じゃなく、
床一面に貼られたツイスターゲームで遊んでいたからだった。
アレクがなんのこっちゃ?と首を傾げていたので、遊び方を教えてあげたら、意気揚々と参加しだした。
「ショウマも」と言われたけど、僕はパスです!
「なんで?」と言われたけど…「じゃ!」と言ってその部屋から出て、ルナの元へと向かった。
参加しなかった理由?…それはね…身体が硬いんです!
「あ゙っ!ルナの元へ行く前に、エスポア見に行かないと!!やばーい!絶対ギャン泣きしてるぅ!」
ご飯のあと寝ちゃったから置いてきたんだよぉ。
ヤバい~と、その場でエスの部屋へ転移したら、案の定
「あぎゃぁあ、おぎゃぁあ」と真っ赤になって泣き喚いてるエスポアがいた。
「よーし、よしよし。ごめんねエスポア。吃驚ハウスに夢中になっちゃってた。
そういえば、一応普通の後部座席もあったから、ベビーシート必須だよね」
そう声を掛け、ユアゾンを開き、“ベビーシートカメ子ちゃん“っていう名称のベビーシートを購入した。
そのあと、ミルクをガブ飲みして満足したエスポアを連れ、キャンちゃんに戻り、
公園で遊んでるルナの元へと行き、一旦預け、座席にカメ子ちゃんを取り付けた。
「か、可愛い…ひっくり返ったカメに見えるようになってるんだ」
そしてルナの元へと戻り、暫く公園で休んでいたら、
ツイスターで遊び終わった面々が部屋から出てきて、一斉に「「今日はここに泊まる!」」と言い出した。
まぁ、このメンツ以外に行く人いないし、必要な物はイベントリにあらかた入ってるし、
ってことで、その案に賛成した。
そして各々が好きな事をして過ごし、ご飯はさすがに家に帰って食べ、風呂はキャンちゃんで入り、
就寝時間になったので、好きな部屋にそれぞれ入った。
僕とアレクが一緒の部屋で寝るのは「ダメ」だとマイキーに言われ、久々に一人でベッドに入り目を瞑った。
マイキー曰く、「性行為が長引いたら出発の時間が遅くなる」からだってさ。
「そんな事ないし!」と強く言えない僕達なので、その命令を甘んじて受けることにした。
「隣りに誰も居ないと…眠れないかも…」
なんて事を呟いた僕は、目を閉じて数秒後には爆睡していたようで、気付いたら朝だった。
「……ですよねぇ。そんな繊細じゃなかったや!あはは!」
さぁ、今日から新たな旅が始まります。
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