腐男子、転生したら最強冒険者に溺愛されてる

玲央

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本編 最強冒険者

story177/アンギーユって何??

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沖合いに突如として現れた“巨大なカニ”“高級食材”を、アレクのために美味しい料理にしてあげようと、
それで仲直りをしようと……。
そう思って、マイキーが魔法で解体してくれたのを嬉々として受け取り、イベントリに仕舞った。

そして、ルンルンとスキップしながらキッチンへと向かい、脚一本を取り出した…んだけど……

「いやぁ、凄いデカいわぁ。殻も分厚っ!身だけ魔法で取り出せないかなぁ」

そう思って手を翳し«アポーツ»と唱えてみたら、スポーンッと簡単に取り出せた。

「ははっ。ルナも規格外だけど、やっぱり僕も規格外だなぁ。でも有難いことだよねぇ。
改めて、フェリス様、ありがとうございます!」

天に向かって感謝を捧げてから、剥き身にしたのを沸騰したお湯にサッと潜らせ、冷水で締めた。

こうすることによって、身に付着している汚れや、余計な脂を落とすことが出来、
冷水で締めることによって、身が引き締まり、食感が良くなるのです!

「うんわぁ…絶対美味しいヤツだよコレぇ!……ちょっとだけ味見を…」

「うひひっ」と怪しい笑い声をあげ、唐辛子がたっぷり入った酢醤油を、
ちょんっと付けて、大口開けてパクっと頬張った。

瞬間、口の中に広がるのは、まさに絶品の味わいだった。「うんまぁい!口の中で蕩けて消えたぁ!」

そのあとも手が止まらなくなり、「美味い!」「最高!」と言いながら食べ進めていたら、
突然、背中に重みを感じ、バックハグでギュッと抱き締められ、頭頂部に「ちゅっ」と口付けをされた。
そして「ただいま、ショウマ。昨日はごめんな」と耳元で囁かれた。

カニに夢中になり過ぎて、帰って来た気配に気付かず、抱きつかれた瞬間、ビクッと身体が震えたけど、
匂いと腕の温もりでアレクだとすぐに分かった。

だから一旦食べるのを止め、顔を上に反らし、「アレクお帰りなさい。僕こそごめんね」と謝った。

んだけど…僕の顔を凝視したあと「ぶはっ!」と吹き出しやがった。
失礼しちゃうよねぇ!人の顔見て吹き出すとかぁ~!

だから「ぷぅー。なんで笑うのぉ!失礼だと思うのぉ!」と文句を言ったら、
「くくくっ。いや、悪かった。ちゅっ」と笑いながら額にキスをしてきた。

そしてそのまま口唇に…と思ってたら、突如動きを止めて、
「なんか食ってたんだろ、口の周り食べかす凄ぇぞ」と言いながら、«クリーン»で綺麗にされた。

(それで笑われたのか、恥ずかし!)と思ってたら、おもむろに口唇を重ねてきた。

でも、表情は険しく歪んでいて、軽いバードキスから舌を絡ませ合う濃厚なキスに突入した途端、

「ぐぁッ!海くせぇ!お前、何食ったんだ??
……って、そこに転がってる物体…つい最近見掛けた気がするんだが…それも今朝…海で…」

(んもぅ。なんでキス辞めちゃうのぉ。しかも凄いしかめっ面で唸ってさぁ)

「つい最近ってか、今朝その場に居たじゃ~ん。
マイキーが魔法で、バシュッて格好よく討伐してたのを間近で見てたでしょ~?巨大なカニさん」

そう言って、「チョキ、チョキ」と指でカニポーズをしたら、
「ぐぅ…反則級に可愛い…」と言葉を漏らし、その場に蹲り、床に向かってブツブツ呟き始めた。

そんなアレクを上から見下ろしながら、
「何作ろうかなあ。茹でガニと、お吸い物。あんかけ炒飯とカニ玉かなぁ」

とメニューを考えていたら、
「まさか、今日の晩御飯ってデビルレクラブなのか!?」と大袈裟に声を出し、下から見上げてきた。

その仕草が格好可愛くて、腰を折り「ちゅっ」と軽くキスしてから、至近距離で見つめ、ニコッと笑い、
「その通りだよ。今日の晩御飯はカニ料理。楽しみにしててね。ちゅっ」
ともう一度キスをしてから作業台に立った。

そして、つまみ食いで少なくなっちゃった分を補充する為、イベントリから新たな脚を取り出したら、

「まじかよォー!」とアレクが雄叫びをあげた。

マイキーといい、アレクといい、驚きすぎじゃない?
海辺の街なのに今まで食べたことないとか、そのほうが「マジかよぉー!」だよ。

だから、しゃがんだまま放心している開いた口に、ポイッと投げ入れ「味見して♡」とウィンクした。

(だから、いちいち可愛いことすんなよ!そのまま襲いたくなるだろうが!
自重しようと心に誓ったばっかりなんだぞ!しかも勝手に口に何か入れやが……った……)

「!?うまっ!!……え?凄ぇ美味い!噛む前に蕩けて消えたぞ!…うぉぉ!タレも美味っ!」

アレクの反応が良かったので、もう1つ食べさせてあげたら、嬉しそうに頬張り、モグモグと口を動かした。

「うふふ。美味しいでしょ?トゥルンって消えて無くなるから、一欠片じゃ物足りないよねぇ」

消えて無くなるから物足りないって言うよりは、食べても食べても腹に溜まらないんだよね。
だからさっきから無限に食べ続けてるんだけど、全くお腹いっぱいにならないの。

本当に色々と不思議な世界だよねぇ。毎日のように未知な出来事が起こるんだもん。
今まさにそれを体験してるよ、僕の胃が、剥き身を飲み込む度に。

一緒にその感覚を体験してるはずのアレクは、驚きもせず「うまっ」と言いながら黙々と食べている。
僕に見向きもせず、夢中になって。

それが少しだけ気に入らなくて、台とアレクの間にヌッと入り込み、正面から抱きついた。
そこでやっと手が止まり、僕を見下ろし「くくくっ」と苦笑した。

「悪かった。美味すぎて手が止まんなくなったわ。
それに減った魔力もグングン増えるから、最大値まで上げるのに食いまくってた」

「……魔力が増える??そんな相乗効果があるの?前に食べたドラゴンステーキみたいな感じ?」

「ああ。ドラゴンの肉で体力が増えたろ?レクラブは魔力が増えるみてぇだな」

「へぇ。なんかポーションみたい……」

「ああ。ドラゴンやホワイトサーペントのような、B以上級の魔物の肝は、S+ポーションの材料だからな。
レクラブの肝もポーションに出来る素材なんだろ。まあ、その事実は誰も知らないだろうがな」

S+ってなんぞ?とか、サーペントって蛇!?とか思いながら話を聞いてたら、
ルナが起き、エスポアも起きだしたので、渋々だけど引っ付き虫を解除した。

「じゃあ、ご飯作るから子供たちお願いね。ちゅっ」

「おう。ちゅっ。いつも美味いメシありがとな」


さあ、今日はカニ料理です!気合い入れて美味しい料理作るよぉ。

「茹でガニはあらかた作り終わったから、吸い物とカニ玉、あんかけチャーハン作ろうっと」

大量の花かつおを水の入った鍋に入れて、
沸騰してきたら、小さく砕いた殻をガーゼに包んで、生姜と牛蒡、人参と一緒に投入。

殻がデカすぎて、そのままじゃ入んないから小さく砕いてガーゼに包んだの。

鍋をひと煮立ちさせたら、葱と剥き身を加え、塩で味を整えて完成~!

「うわぁ、良い匂いぃ。次はカニ玉ね」

「ショウマ、マイキーたち帰って来たから、俺お払い箱になった…だから作るの手伝うわ…」

「え?あ、ははは!じゃあお願いします。ちゅっ。
じゃあ、身を細かく刻んで、卵と一緒に混ぜて」

片栗粉、酒、塩胡椒を加え、しっかり混ぜ合わせ、熱したフライパンでキツネ色になるまで焼く。
と、そこまで説明しながらアレクにやって貰い、僕は上にかける醤油あんを作ることに。
僕、あんかけが好きなのです。

浅鍋にだし汁を入れ沸騰させ、醤油、砂糖、みりんを入れて煮る。
1度火を止め、水で溶いた片栗粉とグリンピースを加え、弱火で焦げないように炒め煮して完成!

「ショウマ、このくらいで良いか?“キツネ色”ってこのくらいだよな?」

「うん!凄く上手~。お皿に乗せて、この醤油あんを上から掛けたらカニ玉の完成だよ」

「分かった。凄ぇ美味そう!早く食いてぇ」

ウキウキと嬉しそうに仕上げをしているアレクを横目に見ながら、今度はチャーハン作りますよぉ。

中華鍋を熱々に熱して、ラードを溶かし、卵……を探したが、アレクが全部使ってしまったため、
急いでユアゾンから購入し、モクモクと煙をあげてる中華鍋に急いで割入れ、ご飯を投入!

刻んだベーコンと浅葱を入れ、香味ペーストを加え混ぜ混ぜ。
全体に火が通ったら、剥き身とレタスを加え、混ぜ混ぜ。塩胡椒と醤油で味を整えて、炒飯の完成~!

「アレク、このチャーハンもお皿に盛って、上からさっきのあんを掛けてくれる?」

「俺このまま食べたいから、お好みで掛けれるように、別の器に入れて出そうぜ」

「良い考え!じゃあアレクに任せるね。僕は吸い物を温め直すね」

完成した料理を次々と食卓に並べ、「みんなご飯だよぉ!手にクリーン掛けて席に座ってねぇ」

「まーま、えしゅ、みりゅくのまちた、にぃにが」

「ありがとマイキー。ほら座って、カイトくんも遠慮しないで、たくさん食べてね」

「ママ、これがレクラブなの?凄い美味しそう!」

「んにゃー!凄いにゃね!ご馳走にゃね!ワンダホー!オーシャンがビンビン感じる匂いにゃあ!
高級品をモグモグしながら、庶民派コーラをゴクゴク飲む!このミスマッチが最高にシュールにゃね!」

コーラが飲みたいのかな?そう思って目の前に置いてあげたら、大きな猫目をウルウルさせて歓喜していた。
テンション高い陽キャなカイトくんだけど、このフォルムが最高に可愛くて、萌えぇだよ!

心の中でキュンキュンしていたら「ショウマ、顔がニヤケてんぞ。気持ちは分かるが座れ。食おうぜ」
とアレクに言われ、恥ずかしさに頬を染めながら席についた。

気を取り直して「コホン」と咳払いをしてから、ワクワクしている皆んなを見回し、
「今日はカニ料理だよ。では召し上がれ」と言葉を掛けた。

そして一斉に「「「頂きます」」」をしてから、思い思いの料理に手を伸ばし食べ始めた。

ルナは「まーま、ルナこれしゅきよー!たまたまふわふわぁ!」と口いっぱいに頬張り、モグモグニコニコ。

マイキーは「……海の悪魔ってこんなに美味しいんだね…」と1つ1つ味わいながら、うんうんと頷き。

カイトくんは「デリシャスにゃ!蕩けるにゃあ…翔馬きゅんは料理上手にゃねぇ」
と耳をピコピコさせながら恍惚な表情を浮かべ、モグモグ。

僕はそんな子供たちを視界に収め、日本酒で料理を堪能しているアレクに寄り添い、幸せを噛み締めていた。

目の前で無邪気に笑ってる姿を見ながら、美味しい食事に舌鼓をうっていたら、
アレクが不意に質問してきた言葉に首を傾げ、頭の中が「???」となり、質問し返した。

「アンギーユ?って何?僕の知る“アンギーユ”と同じ?うなぎのこと?黒光りしたニョロニョロするアイツ?」

「いや、黒光りはしてない。黒と黄色のシマシマ模様でヌルヌルしてて、川底のハンターって言われてんだよ」

(え!それってウナギじゃない?色がおかしいけど。絶対にウナギ!しかも天然!?)

またもや!な高級品に動揺しながら「えっと、それがどうしたの?」と落ち着いて問い掛けた。

「それが大量発生してて、駆除依頼が出てんだよ。
で、食材になるなら、依頼を受けるヤツが増えると思ってな。不人気なんだよ…魔法も剣も効かないか…」

アレクが最後まで言い切る前に、
「はいはい!僕その依頼受ける!ウナギ!採る!」と、手をあげ宣言した僕と、

「天然ウナギにゃあ!蒲焼きにゃあ!オレちも行くにゃあ!」と大声で、にゃーと叫んだカイトくん。

そんな2人の勢いに、アレクもマイキーもドン引きしていたが、ルナだけは一緒になって、

「ルナもあちた、いきゅ!うにゃぎぃ、ニョロロ~、くねくねぇ」
と言いながら、可愛いウナギダンスを披露していた。

「ん~!ルナちゃん可愛い!明日は幼稚園お休みして、川でピクニック兼うなぎ捕獲だよぉ。楽しみだね」

僕とルナとカイトくんが、明日のことに思いを巡らせている頃、アレクとマイキーは……

「ねぇアレク。ママ凄く喜んでるけど、アンギーユって…精力増強ポーションの素材だよね?
ママそれを知ってるのかな?」

「くくくっ。いや、あの調子じゃ知らんだろうな。
……明日の夜、ルナとエスポアを頼んだぞマイキー」

「はぁ…。良いけど、程々にしなよ。遮音は絶対に忘れないでよ」

と、そんな会話をしていたのだが、ルナと戯れていた僕は知る由もなかった。

そんな騒がしくも楽しい食事時間が過ぎ、遠足前の子供みたいにワクワクしながら就寝し、朝を迎えた。

そして「さぁ!お弁当作るよぉ」と小声で叫びながら、まだ皆が寝ている中、1人キッチンに立った。

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