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本編 最強冒険者
story177/仲直りのために
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情事のあとに風呂へ飛ばされ、「ルナに見られたのはどっちが悪い?」という口論を裸のまま続けていた。
「お互い様だ」というアレクと「アレクが悪い」という僕の、お互いに一歩も譲らない口喧嘩をしていたら、
マイキーに脱衣所から声を掛けられ、「…ごめんね」「…悪ぃ」と一応謝り合ってから、
改めてお湯を沸かし浴槽に浸かり、冷えた身体を温めた。
その間、どちらも喋ることをせず、終始無言で風呂タイムを終え、お互いイベントリから服を出し着替え、
脱衣所からリビングへと行き、マイキーに張り付いてるエスポアを「エスく~ん」と言いながら抱き上げ、
「まーま、ルナ、おあちゅ、たべりゅ」と催促してきたルナにおやつを与えながら、
「ルナ、さっきは吃驚したでしょ。ごめんね」と謝った。
まぁ、なにに対しての謝罪なのか分からず「??」と首を傾げていたんだけどね。
一応ね…教育上ダメだと思うから…謝ったんだよ。
そのあと夕飯を食べ、ルナとお風呂に入り、就寝時間になったのでベッドに潜り、
おやすみの挨拶と共に眠りにつき、朝を迎え、出掛けるみんなを送り出し、エスポアと2人きりになった。
途端に、何故だか心にポッカリ穴が空いたような気持ちになり、エスくんをギュッと抱き締めた。
「ねぇ、エスポア。パパと喧嘩しちゃったぁ。
ちょっと言い過ぎちゃったかな。帰って来なかったらどうしようか……」
「んぶぁ、あぶぶぅ、、、んだぁ」
「ふふふ。エスくんは、なんて言ってるのかなぁ?」
「んきゃぁ、あぶぅぅ、だぁ!」
「可愛い~!ん~天使ぃ!ちゅっ。
あ、気分転換にお散歩行こうか。カンガルーカーの出番だよ~」
そう言ってエスポアを抱き上げ、玄関から外へ出て、イベントリからベビーカーを出し、
「めちゃくちゃ可愛いんですけど!」と悶えながら、袋部分にエスポアを入れた。
「きゃぁあ!エスちゃん、天使過ぎるぅ~!
あ!そういえば、キリンの着ぐるみ産着があった筈!残念だけど、カンガルーは無かったんだよぉ」
その場でユアゾンを開き、ベビー服コーナーからキリンやクマ、ハチの着ぐるみを、
「きゃあ、かわゆすぅ」と悶絶しながら購入し、「だぁ、だぁ」と乗り心地に喜んでる?のか、
腕をばたつかせニコニコしてるエスポアを、一旦ベビーカーから取り出した。
その瞬間「んぎゃぁあ」と泣きだし、「うわぁ、ごめんねエスくん。これ着せたら乗せるからぁ」
そう言って地面に敷いたシートの上へ寝かせ、ぱぱっと着せてから抱き上げ、
未だ「んぎゃぁあ、んぎゃぁあ」と泣き喚いてるエスくんを袋の中に戻した。
途端にピタッと泣きやみ、「んだぁ、ぶぅー、あだだぁ」と文句?を言ったあと、
「んきゃぁ、きゃっ」とご満悦に笑い声をあげた。
それを見て「ホッ」と息を吐き、「そうだ、写真撮ろう」とカメラを取り出し、パシャ、パシャ。
「きゃあ、かわいい!エス~こっち見て笑ってぇ」
「おお!その眉間の皺はなんだぁ~?ぶちゃいくになってるよぉ~?」
「エスくんのアルバム作ろうねぇ。ルナ兄とマイキー兄のは作ってあるんだよぉ。ママとパパのもね…」
写真を撮りながら独り言を呟いていたら、昨日の場面を思い出してしまい、ズーンって落ち込んだ。
(アレク、お風呂の後から無視しちゃってごめんね。「娼館行けば」なんて言ってごめんなさい。
あの一瞬、悲しそうに顔歪ましたのは分かってたんだけど…謝るタイミングを逃しちゃった…)
しかも、何となく気まずくなっちゃって、話したそうにしていたアレクを見る事もせず、
近寄って来たら、トイレだ、風呂だ、エスくんご飯?と、事ある毎に逃げ惑い、就寝したんだよぉ。
「最大級に傷つけちゃったなぁ。帰ってきたら謝ろう…。許してくれるかなぁ…」
そんなことを呟きながらベビーカーを押し、海が見渡せる場所まで歩いて来たら、
沖合いにデッカイ物体が聳え立っているのが見えた。
「な、なにあれ!!あのフォルムって、カニじゃん!あ!浜辺にめちゃくちゃ大勢の人がいる!」
まさかあの中にアレクも居るのかな。そう思って気配を辿ったら…
「あ、居た!あれ、マイキーもカイトくんも一緒に居るみたいだなぁ。何してんだろ?」
カニが珍しくて見物でもしてるのかな?なんて思って、双眼鏡を購入して覗いて見ることにした。
「んきゃあ、んぶぁ、、あだぁ」
「エスくん、ちょっと待っててね。ガラガラで遊んでてね。ちゅっ」
そう伝え、額に口付けをしてから双眼鏡を覗き込んだら、カニに向かって魔法を放つマイキーと、
他の魔法使いたちが見えた。
そして、その周りを走り回り、何かを訴えてるカイトくんも確認できた。
アレクはそんなカイトくんに優しい笑顔を向け、頭を撫で、何か言葉を掛けながら抱き上げ、
一度丘の上、僕が居る場所に目線を向けたあと何か呟き、次の瞬間には険しい顔をして沖合いを見据えた。
口の動きで何となく、“ショウマごめんな”と言ったのが分かったので、
「アレク。僕もごめんね」と双眼鏡越しに見つめ呟いた。
そのあと無言で様子を伺ってたら、
マイキーがカニに向かって飛んで行き、雷魔法で気絶させたのが見て取れた。
「おお!さすがマイキー!魔術が鮮やかだねぇ。そのカニさんは、その場にいる人達で分けるのかなぁ?」
ここからでもデカいのがわかるフォルム。多分、全長5メートルはあるのでは?
「うひゃあ!そしたら今日はカニ料理!!最高ぉ~!あれはタラバガニかな?カニの王様!」
と、カニを見ながら興奮し、溢れ出るヨダレを飲み込んでいたら、
海に沈みゆくヤツに誰も見向きもせず、バラバラと解散しだした。
それを見て「あー!今日のご馳走がぁー!」と叫び声をあげた。
良く見ると、アレクに抱っこされてるカイトくんも、頬に手を当て何かを叫んでるのが分かった。
「気持ちは分かるよカイトくん!だってカニだよ!タラバだよ!キングだよ!」
こうしちゃおれん!とスヤスヤ眠るエスポアを、ベビーカー毎ベビールームへと転移させ、
「少しだけ留守番してて。ちゅっ」と寝顔にキスをしてから、
海に沈んだご馳走を獲得するため、標的の真上まで飛んで行った。
未だ浜辺に居座ってる人達が、突然現れた僕にビックリ仰天!ってしてたから、
手を振りながら「驚かしてごめんなさーい!カニ要らないなら貰いますねぇ!」と伝え、
バッシャァアン!っと海の中に潜り、対象物を発見!
甲羅に触れ《重力軽減!》からの~《フローティング!》そして《イベントリ収納!》
(これで良し!)と水中で頷いてから、サバァァアン!と空中へと飛び出た。
そして「ご馳走ゲットだぜーー!!」と大声で叫び、
「あ、お騒がせしましたぁー!」と謝罪してから、自宅リビングへと転移した。
そこにちょうどルナが「まーま、たらいまー!」と元気良く帰宅してきたから、
いつもの如く抱きつきに来ると思って、手を広げ「おかえり、ルナ!」と待ち構えてたら、
「くしゃーい!おえー。まーま、くしゃい、ぷーんてちてる!ふきゅも、びちゃちゃよー」
と言いながら、顔を顰め鼻を摘み、抱っこ寸前で踏み留まった。
それを受け「あ、ルナごめん~」と謝ってから、全身に«ウォッシュ»と«ドライ»を掛け、
改めて「まーまー!」と突っ込んで来たルナを優しく抱きとめた。
「くふふ。くちゃい、ないない、たねぇ。まーま、おかちたべちゃい!」
「ふふ。ごめんね。臭くて吃驚させちゃって。今日のオヤツは何にしようか」
お菓子を強請る息子のために、ユアゾンを開いたところで(あ!アレにしよう!)と思いつき、購入した。
日本の某メーカーのスナック菓子で、色々な魚介の形をした“おっ○っ○”。
こちらの世界用なのか、“うおっと”という名前になってたけどね……。
たまにお菓子を検索すると、名称や形が異世界仕様になってて面白いんだぁ。ぷぷぷ。
「うきゃー!ルナ、これちってりゅ!しゃかにゃしゃん!ルナちらい、しゃかにゃ、うえぇ、なりゅ」
「ルナが魚嫌いなのは知ってるよ。でもコレはね、サクサクのお菓子。魚の味はしないから大丈夫だよ」
そう言ったら恐る恐る頬張ったんだけど、口に入れた瞬間「おいちー!」と叫び、
ぴょんぴょんと飛び跳ねながら、美味しさを全身で表現していた。
そのあと2人で、
「まーま、こりぇ、なにしゃかにゃ?」
「これはマグロかな?それともタイかなぁ?」
と質疑応答をしながら食べさせ合い、おやつタイムを楽しんだ。
そのうち僕の膝の上でルナがウトウトしだしたので、ごろ寝マットの上に寝かせ、
そっと頭を撫でてから立ち上がり、いそいそと、ウキウキとしながら、庭へ出た。
地面にブルーシートを敷き詰め、イベントリから取り出したるは“巨大なカニ”今日のご馳走です!
美味しいご飯をアレクのために作って、仲直りしようと思ってるのです。自分が食べたいのもあるけどね。
「さぁ、解体するぞぉ!
……それにしてもデカいなぁ。この世界の生き物って何で全部デカいのかなぁ」
そんなことを呟きながら、脚を引き千切ろうとしたんだけど、持ち上がらない……
«重力軽減»を掛け再度挑戦したけど、今度は軽すぎて、引っ張る方向に浮いてしまう。
「困った…う~ん」と頭を悩ませていたら、
「ぎゃああ!デビルレクラブ!!」というマイキーの悲鳴と、
「んにゃー!キングタラバにゃー!」というカイトくんの嬉々とした声が、重なり合って聞こえた。
「マイキー、おかえり。カイトくん、こんにちは」
「翔馬きゅん、こにゃにゃちわにゃ~!」
「ママ、ただいま。
……って、その魔物どうしたの!?まさか、海に出現してオレが討伐したヤツ?」
マイキー、驚きすぎじゃない?まぁ確かにデカいけど、高級品じゃん?
まさか、この世界の人ってカニ食べたこと無いのかな?デカいから、ただの魔物だと思われてるとか?
そう思ってそのまま聞いてみたら、案の定「その通り」「食べるなんて有り得ない」との解答だった。
その答えに「そのほうが有り得ない!!」と、僕が反論し、カイトくんはカニの魅力を語りだした。
「蟹の美味しさってマジでヤバイにゃ。見た目も超クールにゃ!カニカマもいいにゃけど、
リアルな蟹のコロコロボディと、ゆるキュンな足がたまんにゃいにゃ!味もパネェにゃよ!
舌の上で磯の香りがドンッて広がるにゃ~。パリピ必須のエネルギー補充フードにゃよ!」
鼻息荒く、にゃーにゃー言ってるけど、パリピ語すぎてマイキーが困惑して固まってしまったよ。
(それより解体しないとなんだよねぇ)と、未だ魅力を語ってるカイトくんを横目に、僕は思考した。
1人で考えてても良い考えが浮かばす、魔法の天才マイキー様に相談したら、
困惑したままだったけど、あっという間に、ちょチョイっと解体を終わらせてくれた。
「さすがマイキー先生!天才!」そう言ってギュッとしてから、照れるマイキーの頭を撫で、
「晩御飯の支度してくるね。カイトくんも食べてってねぇ!」と声を掛け、
「アレク喜んでくれるかなぁ」と呟きながら、キッチンへと向かった。
そんな僕の背を見つめ「アレクも吃驚して悲鳴あげると思うよ…」と呟いたマイキーだけど、
僕の耳にその呟きは届いていなかった。
「お互い様だ」というアレクと「アレクが悪い」という僕の、お互いに一歩も譲らない口喧嘩をしていたら、
マイキーに脱衣所から声を掛けられ、「…ごめんね」「…悪ぃ」と一応謝り合ってから、
改めてお湯を沸かし浴槽に浸かり、冷えた身体を温めた。
その間、どちらも喋ることをせず、終始無言で風呂タイムを終え、お互いイベントリから服を出し着替え、
脱衣所からリビングへと行き、マイキーに張り付いてるエスポアを「エスく~ん」と言いながら抱き上げ、
「まーま、ルナ、おあちゅ、たべりゅ」と催促してきたルナにおやつを与えながら、
「ルナ、さっきは吃驚したでしょ。ごめんね」と謝った。
まぁ、なにに対しての謝罪なのか分からず「??」と首を傾げていたんだけどね。
一応ね…教育上ダメだと思うから…謝ったんだよ。
そのあと夕飯を食べ、ルナとお風呂に入り、就寝時間になったのでベッドに潜り、
おやすみの挨拶と共に眠りにつき、朝を迎え、出掛けるみんなを送り出し、エスポアと2人きりになった。
途端に、何故だか心にポッカリ穴が空いたような気持ちになり、エスくんをギュッと抱き締めた。
「ねぇ、エスポア。パパと喧嘩しちゃったぁ。
ちょっと言い過ぎちゃったかな。帰って来なかったらどうしようか……」
「んぶぁ、あぶぶぅ、、、んだぁ」
「ふふふ。エスくんは、なんて言ってるのかなぁ?」
「んきゃぁ、あぶぅぅ、だぁ!」
「可愛い~!ん~天使ぃ!ちゅっ。
あ、気分転換にお散歩行こうか。カンガルーカーの出番だよ~」
そう言ってエスポアを抱き上げ、玄関から外へ出て、イベントリからベビーカーを出し、
「めちゃくちゃ可愛いんですけど!」と悶えながら、袋部分にエスポアを入れた。
「きゃぁあ!エスちゃん、天使過ぎるぅ~!
あ!そういえば、キリンの着ぐるみ産着があった筈!残念だけど、カンガルーは無かったんだよぉ」
その場でユアゾンを開き、ベビー服コーナーからキリンやクマ、ハチの着ぐるみを、
「きゃあ、かわゆすぅ」と悶絶しながら購入し、「だぁ、だぁ」と乗り心地に喜んでる?のか、
腕をばたつかせニコニコしてるエスポアを、一旦ベビーカーから取り出した。
その瞬間「んぎゃぁあ」と泣きだし、「うわぁ、ごめんねエスくん。これ着せたら乗せるからぁ」
そう言って地面に敷いたシートの上へ寝かせ、ぱぱっと着せてから抱き上げ、
未だ「んぎゃぁあ、んぎゃぁあ」と泣き喚いてるエスくんを袋の中に戻した。
途端にピタッと泣きやみ、「んだぁ、ぶぅー、あだだぁ」と文句?を言ったあと、
「んきゃぁ、きゃっ」とご満悦に笑い声をあげた。
それを見て「ホッ」と息を吐き、「そうだ、写真撮ろう」とカメラを取り出し、パシャ、パシャ。
「きゃあ、かわいい!エス~こっち見て笑ってぇ」
「おお!その眉間の皺はなんだぁ~?ぶちゃいくになってるよぉ~?」
「エスくんのアルバム作ろうねぇ。ルナ兄とマイキー兄のは作ってあるんだよぉ。ママとパパのもね…」
写真を撮りながら独り言を呟いていたら、昨日の場面を思い出してしまい、ズーンって落ち込んだ。
(アレク、お風呂の後から無視しちゃってごめんね。「娼館行けば」なんて言ってごめんなさい。
あの一瞬、悲しそうに顔歪ましたのは分かってたんだけど…謝るタイミングを逃しちゃった…)
しかも、何となく気まずくなっちゃって、話したそうにしていたアレクを見る事もせず、
近寄って来たら、トイレだ、風呂だ、エスくんご飯?と、事ある毎に逃げ惑い、就寝したんだよぉ。
「最大級に傷つけちゃったなぁ。帰ってきたら謝ろう…。許してくれるかなぁ…」
そんなことを呟きながらベビーカーを押し、海が見渡せる場所まで歩いて来たら、
沖合いにデッカイ物体が聳え立っているのが見えた。
「な、なにあれ!!あのフォルムって、カニじゃん!あ!浜辺にめちゃくちゃ大勢の人がいる!」
まさかあの中にアレクも居るのかな。そう思って気配を辿ったら…
「あ、居た!あれ、マイキーもカイトくんも一緒に居るみたいだなぁ。何してんだろ?」
カニが珍しくて見物でもしてるのかな?なんて思って、双眼鏡を購入して覗いて見ることにした。
「んきゃあ、んぶぁ、、あだぁ」
「エスくん、ちょっと待っててね。ガラガラで遊んでてね。ちゅっ」
そう伝え、額に口付けをしてから双眼鏡を覗き込んだら、カニに向かって魔法を放つマイキーと、
他の魔法使いたちが見えた。
そして、その周りを走り回り、何かを訴えてるカイトくんも確認できた。
アレクはそんなカイトくんに優しい笑顔を向け、頭を撫で、何か言葉を掛けながら抱き上げ、
一度丘の上、僕が居る場所に目線を向けたあと何か呟き、次の瞬間には険しい顔をして沖合いを見据えた。
口の動きで何となく、“ショウマごめんな”と言ったのが分かったので、
「アレク。僕もごめんね」と双眼鏡越しに見つめ呟いた。
そのあと無言で様子を伺ってたら、
マイキーがカニに向かって飛んで行き、雷魔法で気絶させたのが見て取れた。
「おお!さすがマイキー!魔術が鮮やかだねぇ。そのカニさんは、その場にいる人達で分けるのかなぁ?」
ここからでもデカいのがわかるフォルム。多分、全長5メートルはあるのでは?
「うひゃあ!そしたら今日はカニ料理!!最高ぉ~!あれはタラバガニかな?カニの王様!」
と、カニを見ながら興奮し、溢れ出るヨダレを飲み込んでいたら、
海に沈みゆくヤツに誰も見向きもせず、バラバラと解散しだした。
それを見て「あー!今日のご馳走がぁー!」と叫び声をあげた。
良く見ると、アレクに抱っこされてるカイトくんも、頬に手を当て何かを叫んでるのが分かった。
「気持ちは分かるよカイトくん!だってカニだよ!タラバだよ!キングだよ!」
こうしちゃおれん!とスヤスヤ眠るエスポアを、ベビーカー毎ベビールームへと転移させ、
「少しだけ留守番してて。ちゅっ」と寝顔にキスをしてから、
海に沈んだご馳走を獲得するため、標的の真上まで飛んで行った。
未だ浜辺に居座ってる人達が、突然現れた僕にビックリ仰天!ってしてたから、
手を振りながら「驚かしてごめんなさーい!カニ要らないなら貰いますねぇ!」と伝え、
バッシャァアン!っと海の中に潜り、対象物を発見!
甲羅に触れ《重力軽減!》からの~《フローティング!》そして《イベントリ収納!》
(これで良し!)と水中で頷いてから、サバァァアン!と空中へと飛び出た。
そして「ご馳走ゲットだぜーー!!」と大声で叫び、
「あ、お騒がせしましたぁー!」と謝罪してから、自宅リビングへと転移した。
そこにちょうどルナが「まーま、たらいまー!」と元気良く帰宅してきたから、
いつもの如く抱きつきに来ると思って、手を広げ「おかえり、ルナ!」と待ち構えてたら、
「くしゃーい!おえー。まーま、くしゃい、ぷーんてちてる!ふきゅも、びちゃちゃよー」
と言いながら、顔を顰め鼻を摘み、抱っこ寸前で踏み留まった。
それを受け「あ、ルナごめん~」と謝ってから、全身に«ウォッシュ»と«ドライ»を掛け、
改めて「まーまー!」と突っ込んで来たルナを優しく抱きとめた。
「くふふ。くちゃい、ないない、たねぇ。まーま、おかちたべちゃい!」
「ふふ。ごめんね。臭くて吃驚させちゃって。今日のオヤツは何にしようか」
お菓子を強請る息子のために、ユアゾンを開いたところで(あ!アレにしよう!)と思いつき、購入した。
日本の某メーカーのスナック菓子で、色々な魚介の形をした“おっ○っ○”。
こちらの世界用なのか、“うおっと”という名前になってたけどね……。
たまにお菓子を検索すると、名称や形が異世界仕様になってて面白いんだぁ。ぷぷぷ。
「うきゃー!ルナ、これちってりゅ!しゃかにゃしゃん!ルナちらい、しゃかにゃ、うえぇ、なりゅ」
「ルナが魚嫌いなのは知ってるよ。でもコレはね、サクサクのお菓子。魚の味はしないから大丈夫だよ」
そう言ったら恐る恐る頬張ったんだけど、口に入れた瞬間「おいちー!」と叫び、
ぴょんぴょんと飛び跳ねながら、美味しさを全身で表現していた。
そのあと2人で、
「まーま、こりぇ、なにしゃかにゃ?」
「これはマグロかな?それともタイかなぁ?」
と質疑応答をしながら食べさせ合い、おやつタイムを楽しんだ。
そのうち僕の膝の上でルナがウトウトしだしたので、ごろ寝マットの上に寝かせ、
そっと頭を撫でてから立ち上がり、いそいそと、ウキウキとしながら、庭へ出た。
地面にブルーシートを敷き詰め、イベントリから取り出したるは“巨大なカニ”今日のご馳走です!
美味しいご飯をアレクのために作って、仲直りしようと思ってるのです。自分が食べたいのもあるけどね。
「さぁ、解体するぞぉ!
……それにしてもデカいなぁ。この世界の生き物って何で全部デカいのかなぁ」
そんなことを呟きながら、脚を引き千切ろうとしたんだけど、持ち上がらない……
«重力軽減»を掛け再度挑戦したけど、今度は軽すぎて、引っ張る方向に浮いてしまう。
「困った…う~ん」と頭を悩ませていたら、
「ぎゃああ!デビルレクラブ!!」というマイキーの悲鳴と、
「んにゃー!キングタラバにゃー!」というカイトくんの嬉々とした声が、重なり合って聞こえた。
「マイキー、おかえり。カイトくん、こんにちは」
「翔馬きゅん、こにゃにゃちわにゃ~!」
「ママ、ただいま。
……って、その魔物どうしたの!?まさか、海に出現してオレが討伐したヤツ?」
マイキー、驚きすぎじゃない?まぁ確かにデカいけど、高級品じゃん?
まさか、この世界の人ってカニ食べたこと無いのかな?デカいから、ただの魔物だと思われてるとか?
そう思ってそのまま聞いてみたら、案の定「その通り」「食べるなんて有り得ない」との解答だった。
その答えに「そのほうが有り得ない!!」と、僕が反論し、カイトくんはカニの魅力を語りだした。
「蟹の美味しさってマジでヤバイにゃ。見た目も超クールにゃ!カニカマもいいにゃけど、
リアルな蟹のコロコロボディと、ゆるキュンな足がたまんにゃいにゃ!味もパネェにゃよ!
舌の上で磯の香りがドンッて広がるにゃ~。パリピ必須のエネルギー補充フードにゃよ!」
鼻息荒く、にゃーにゃー言ってるけど、パリピ語すぎてマイキーが困惑して固まってしまったよ。
(それより解体しないとなんだよねぇ)と、未だ魅力を語ってるカイトくんを横目に、僕は思考した。
1人で考えてても良い考えが浮かばす、魔法の天才マイキー様に相談したら、
困惑したままだったけど、あっという間に、ちょチョイっと解体を終わらせてくれた。
「さすがマイキー先生!天才!」そう言ってギュッとしてから、照れるマイキーの頭を撫で、
「晩御飯の支度してくるね。カイトくんも食べてってねぇ!」と声を掛け、
「アレク喜んでくれるかなぁ」と呟きながら、キッチンへと向かった。
そんな僕の背を見つめ「アレクも吃驚して悲鳴あげると思うよ…」と呟いたマイキーだけど、
僕の耳にその呟きは届いていなかった。
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