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本編 最強冒険者
story171/汚れは綺麗に
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エスポアの誕生を喜んだのも束の間、又もや教会の奴に嫌な思いをさせられたルナとマイキー。
ルナは全く意に介してないようで、(意味が分かっていないだけかもしれないけどね)
言葉に傷付き、泣いてしまったマイキーに“ルナがそんなヤツらやっつけるから、泣かないで兄ちゃん”
と、なんとも頼もしい弟っプリを発揮していた。
幸せムードから、一気に悲しみと怒りの混じった空気になってしまったけど、
ルナのおかげでマイキーも泣きやみ、場が和み「ホッ」としていたら、
「んぎゃぁ、んきゃぁ」と、産まれたばかりの僕とアレクの可愛い怪獣、エスポアが泣き出してしまった。
抱っこしていたアレクが、突然の事に戸惑い、
「どうしたエスポア、何処か痛いのか!」「ショウマ大変だ、泣き止まない!」とオロオロしだし、
僕にエスポアを渡した所で、ルナが「えしゅ、うるしゃい」と泣いてる口にミルクポーションを突っ込んだ。
「えしゅ、おいちでしゅか?んまんま、ねー」と可愛い事を言ってますが、あなた今どこから出した?
ミルクポーションは、僕の収納に仕舞ってあるんだよ?ルナちゃん、どういう事か説明してね。
という事で「ルナありがとう。立派なお兄ちゃんだね。で、そのポーションはどうしたの?」と聞いてみた。
そしたらニコニコしながら「神ちゃま、くりぇたのよ」
とベッドを指差し、空間からバラバラとポーションの雨を降らした。
「な、何この大量のポーションと、コレは赤ちゃんグッズでしょ!!で、神様がくれたって何!?」
驚きすぎて大声で叫んでしまった僕に、アレクとマイキーが近くに寄ってきて「「こりゃすげぇ…」」と呟いた。
いや、確かに凄いけど…それに有り難いけど…何故みんな普通にしてらっしゃる?
驚いてアワアワしてる僕がおかしいの??ルナはスキル封印してるんだよ?
それなのに念話と空間収納が使えるのをおかしいと思わないの?
人智を超えた存在からの贈り物だから、封印してても関係ないのか?
そんな事をツラツラと頭の中で考えていたら、ミルクを飲み終わったエスポアが、
「んきゅ…」と声を出し、ふにゃっと笑い、可愛い全開を披露してスヤスヤ眠ってしまった。
ゲップをさせて、無垢な寝顔を見ていたら、さっきの出来事なんて、
「ま、考えても分からん!」と、どうでも良くなり、考えるのを放棄した。
「アレクのイベントリに全部仕舞っといてくれる?エスポアをベッドに寝かしたら、僕も少し休むね」
「ちゅっ。分かった。マイキーも少し休め。魔力使って疲れたろ?俺はルナと出掛けてくるわ」
「え?ルナと?珍しいね、分かったよ。ちゅっ。気を付けてね。ほら、マイキーも少し休もう」
「あ、うん。じゃあちょっと横になってくるね」
僕、アレク、マイキーがそれぞれ言葉を発し「出掛ける」と言ったアレクがルナを抱き上げ、耳元で何か囁いた。
そして「パパ、くふふっ…んひっ…わかっちゃ」と、口を手で覆い、2人顔を合わせ、変な笑いを零した。
(ルナ、その変な含み笑いは何ですか!!アレクもその悪い顔は何!?)
2人の表情を見て、そんな事を思っている間に、各々が寝室から出て行き、
アレクとルナは2人で外へ、マイキーは自分の部屋へ行った。
僕は子供部屋へ行き、枝豆ベッドへエスポアを寝かせてから寝室へ戻り、
「何も起きませんように」と祈ってからお昼寝タイムです。おやすみなさい……。
ショウマとマイキーがそれぞれ布団に潜った頃、
外へ出掛けたルナとアレクはバイクに乗り、街へと繰り出した。
「パーパー、おそょと、かじぇ、きもちねー!」
「ああ!最高だなー!今日は本当に最高の日だ!これから先の未来、楽しみだなルナー!」
「みりゃいー、ルナ、わくわく、でしゅよー!まーまと、にぃにと、えしゅと、ルナ、なかよち、よー」
「おい!そこになぜパパがいない!ルナちゃーん、嫌わないでー!パパも仲良しだろー!」
「きゃはは!めんねー、パパも、らいしゅきよー、なかよち、ねー」
「ははっ!パパもルナが大好きだー!さぁ、そろそろ到着するからな。悪魔退治だぞ、ルナ」
「くふふっ。あきゅま、ないない、ポイッ、ねー」
外へ繰り出した2人が向かったのは、色々と真っ黒な、良い思い出のないガーディアンの教会。
婚姻の儀式ではお世話になったけど、ただそれだけ。
着替えの手伝いをしてくれた神官の中に、邪を纏った奴が居たんだという。
そいつは、ショウマが妊婦だと分かった上でドレスを締め上げていたらしい。
そのせいで必要以上に腹が圧迫され、
苦しいと暴れるエスポアを抱えながら、披露宴を耐え凌ぎ、最終的にショウマは気を失ってしまった。
その事実を教えてくれたのは、ルナだった。
まだハッキリ喋れない口で頑張って伝えてくれたのを、俺が要約したのだが、大体合っていると思う。
そんな悪魔みたいな神官が標的にしたのは、ショウマだけかと思っていたが、それだけでも許せないのに、
まさか俺達の大事な子供達にまで牙を向けるなんてな。
絶対許せる訳がないので、そいつの顔を知ってるであろうルナを連れ、教会へと足を運んだ。
「良し着いた。いいかルナ。今だけ腕輪を外すから、
パパが悪魔退治している間に何か異変が起きたら、すぐさま転移して家へ戻れよ」
「…まほ、ちゅかっていーの?まーま、おこちない?」
「ああ。今日だけ特別だ。ママに怒られるのは、ルナじゃなくてパパだと思うから心配するな。行くぞ」
「あい!あきゅま、おちり、ペンペン、ねー。パパは、まーまに、おちり、ペンペン、ねー」
「あはは!そうだ、パパがお尻ペンペンされるな!」
2人で笑いながら、でも真剣な表情で、教会内部へと足を踏み入れた。
礼拝堂には祈りに来ている街の人達も居て、厳粛な雰囲気が漂ってる。が……
聖像の周りに立っている神官に目を向けた瞬間、不穏な気配を纏いはじめた。
それは明らかに邪悪に満ちており、ルナに向かって放たれている。
異変を感じ取ったであろう人達が困惑している中、俺は堂々とヤツに近付いた。
そして小声で(ルナ、コイツか)と問い掛けたら、ジーッと神官達を見回したあと、
「こりぇと、ありぇと、そりぇ」と指をさしてから、
「くりょい、もやもや、ぷーん、ちてる。まーま、いちゃい、ちた、あきゅま!」と礼拝堂に響き渡る声量で言葉を発した。
その瞬間、「悪魔」と言われた神官達が、一瞬だけ驚愕した後、憤怒の表情を浮かべ、ルナを睨み付けてきた。
そして「この忌み子め!」「呪われし者!」「黒い悪魔!」と口々に罵り初めた。
神に仕えし者とは思えない口ぶりに俺は呆れてしまい、
開いた口が塞がらず、(教会って、こんなヤツらばっかりかよ)と思いながら頭を振った。
可愛い息子に、これ以上汚い言葉を聞かせたくなくて、
「ルナ。パパが汚い悪魔を成敗するから家に戻ってろ」と頭を撫でながら声を掛けたら、
「きちゃない?くちゃい?……あきゅましゃん、ルナ、こしこししてあげりゅ」と言った後、
「ポイッ」という掛け声と共に外へと転移し、吃驚して腰を抜かしてる神官達を宙へ浮かせた。
そして「まりゅまりゅ、みじゅみじゅよ~」と言いながら水球で包み、「しぇんたくよー、ぐりゅぐりゅ~」
と唱えながら手をかざし、中にいるヤツらをグルグルと回し始めた。
「ぎゃあー!」「やめッ、ごぼっ」「あばばば」と悲鳴を上げながら水の中でもがいてるヤツらに、
「あーあ…」と呟きながらルナをチラッと見たら、良い笑顔で笑っていた。のだが……
その瞳に、俺は暫し見惚れてしまった。
いつものルナの目は血のように真っ赤なんだが、今は金色に光り、白金の粒子が瞳の中を舞っている。
それが幻想的で、綺麗で、思わず魅入ってしまった。
「パパー、きれーちたー、パーパー!」というルナの声で「はっ」と我に返った俺の目に飛び込んできたのは、
地面に転がる水浸しの神官達で、何故か全裸だった。
そして、気付けば周りに大勢の観衆がいて「くすくす」「あの子凄いね」「あの方たち大丈夫なのか?」
と、ザワザワと騒いでいた。
騒ぐ観衆達は鬱陶しいが、それよりも気になるのは…
「ル、ルナ!何でコイツらの服を脱がした!?」
「…んー。びちゃちゃ、したかりゃ。ふく、ないないちた。のよー」
「な、なるほど…?まぁ、悪魔が着ていい服じゃないからいっか。うん…良くやったルナ。やっつけたな!」
「ふふーん!ルナ、いーこもん!まーま、いちゃいしたと、にぃに、えんえん、たの、おこぷんぷん。ねー」
胸を張って誇らしげに言ってるのは可愛いが、
やっつけたのも褒めてやるが、やり方が結構えげつないですねルナさん。
(さて、この後どうしようか…)と悩んでいたら、血相を変えてトラモント神官長が走ってきた。
「はひー、ふぅー。あ、あの、アレクレス様。それと、ルナ様。お久しぶりで御座います。
この者たちが何か失礼な事をしてしまいましたか?管理が行き届かず申し訳御座いません!」
「いえ、神官長が謝る必要は有りませんよ。うちの子達に対して、この者たちに謝って貰えればいいです。
それと神官位から外して頂いて、この街から出て行ってくれればいいです」
冷たい物言いかもしれないけど、子供達が平和に暮らす為には、彼らの存在は悪でしかないからな。
そう伝えたら驚いた顔をして「何があったか伺っても?」と聞いてきたので、ありのままを教えたら、
「本当に大変失礼しました…この者達はすぐさま神官位を剥奪する為、聖国へと送ります」
と頭を下げて、他の神官達と共に3人を教会内へ引き摺って行った。
その背に向かって「ちゅぎわ、ゆるちましぇんよー」とルナが可愛いく声を掛けたら、こちらを振り向き、
「ふふ。はい。ご忠告を肝に銘じます」ともう一度頭を下げてから、去って行った。
俺はその背を見送りながら(結局、アイツら謝らなかったな…)でも、これで悪魔退治は終わったし、家に帰るか。
と、ルナに声を掛けようと、さっきまで立っていた場所を見たら……「いない!ルナどこ行ったー!!」
辺りを見渡しても何処にもいなくて、魔力を辿ろうと集中した途端、観衆の1人が、
「あ、さっきの子ならその場からいきなり消えました」と教えてくれた。
だから(まぁ、そうだろうな。腕輪外してるし)と納得してから魔力を辿ったら反応は家の方向にあった。
それに「ホッ」として「お騒がせしました」と民衆に謝罪してからバイクに跨り家路についた。
アレクが教会前で騒いでいる頃、ルナは1人転移で家へと帰ってきており、
お昼寝中のショウマの布団に潜り込み、ギュッとお腹にしがみつき、
「まーま、たらいま。ルナ、かんばっちゃ…」と呟き目を閉じた。
ルナは全く意に介してないようで、(意味が分かっていないだけかもしれないけどね)
言葉に傷付き、泣いてしまったマイキーに“ルナがそんなヤツらやっつけるから、泣かないで兄ちゃん”
と、なんとも頼もしい弟っプリを発揮していた。
幸せムードから、一気に悲しみと怒りの混じった空気になってしまったけど、
ルナのおかげでマイキーも泣きやみ、場が和み「ホッ」としていたら、
「んぎゃぁ、んきゃぁ」と、産まれたばかりの僕とアレクの可愛い怪獣、エスポアが泣き出してしまった。
抱っこしていたアレクが、突然の事に戸惑い、
「どうしたエスポア、何処か痛いのか!」「ショウマ大変だ、泣き止まない!」とオロオロしだし、
僕にエスポアを渡した所で、ルナが「えしゅ、うるしゃい」と泣いてる口にミルクポーションを突っ込んだ。
「えしゅ、おいちでしゅか?んまんま、ねー」と可愛い事を言ってますが、あなた今どこから出した?
ミルクポーションは、僕の収納に仕舞ってあるんだよ?ルナちゃん、どういう事か説明してね。
という事で「ルナありがとう。立派なお兄ちゃんだね。で、そのポーションはどうしたの?」と聞いてみた。
そしたらニコニコしながら「神ちゃま、くりぇたのよ」
とベッドを指差し、空間からバラバラとポーションの雨を降らした。
「な、何この大量のポーションと、コレは赤ちゃんグッズでしょ!!で、神様がくれたって何!?」
驚きすぎて大声で叫んでしまった僕に、アレクとマイキーが近くに寄ってきて「「こりゃすげぇ…」」と呟いた。
いや、確かに凄いけど…それに有り難いけど…何故みんな普通にしてらっしゃる?
驚いてアワアワしてる僕がおかしいの??ルナはスキル封印してるんだよ?
それなのに念話と空間収納が使えるのをおかしいと思わないの?
人智を超えた存在からの贈り物だから、封印してても関係ないのか?
そんな事をツラツラと頭の中で考えていたら、ミルクを飲み終わったエスポアが、
「んきゅ…」と声を出し、ふにゃっと笑い、可愛い全開を披露してスヤスヤ眠ってしまった。
ゲップをさせて、無垢な寝顔を見ていたら、さっきの出来事なんて、
「ま、考えても分からん!」と、どうでも良くなり、考えるのを放棄した。
「アレクのイベントリに全部仕舞っといてくれる?エスポアをベッドに寝かしたら、僕も少し休むね」
「ちゅっ。分かった。マイキーも少し休め。魔力使って疲れたろ?俺はルナと出掛けてくるわ」
「え?ルナと?珍しいね、分かったよ。ちゅっ。気を付けてね。ほら、マイキーも少し休もう」
「あ、うん。じゃあちょっと横になってくるね」
僕、アレク、マイキーがそれぞれ言葉を発し「出掛ける」と言ったアレクがルナを抱き上げ、耳元で何か囁いた。
そして「パパ、くふふっ…んひっ…わかっちゃ」と、口を手で覆い、2人顔を合わせ、変な笑いを零した。
(ルナ、その変な含み笑いは何ですか!!アレクもその悪い顔は何!?)
2人の表情を見て、そんな事を思っている間に、各々が寝室から出て行き、
アレクとルナは2人で外へ、マイキーは自分の部屋へ行った。
僕は子供部屋へ行き、枝豆ベッドへエスポアを寝かせてから寝室へ戻り、
「何も起きませんように」と祈ってからお昼寝タイムです。おやすみなさい……。
ショウマとマイキーがそれぞれ布団に潜った頃、
外へ出掛けたルナとアレクはバイクに乗り、街へと繰り出した。
「パーパー、おそょと、かじぇ、きもちねー!」
「ああ!最高だなー!今日は本当に最高の日だ!これから先の未来、楽しみだなルナー!」
「みりゃいー、ルナ、わくわく、でしゅよー!まーまと、にぃにと、えしゅと、ルナ、なかよち、よー」
「おい!そこになぜパパがいない!ルナちゃーん、嫌わないでー!パパも仲良しだろー!」
「きゃはは!めんねー、パパも、らいしゅきよー、なかよち、ねー」
「ははっ!パパもルナが大好きだー!さぁ、そろそろ到着するからな。悪魔退治だぞ、ルナ」
「くふふっ。あきゅま、ないない、ポイッ、ねー」
外へ繰り出した2人が向かったのは、色々と真っ黒な、良い思い出のないガーディアンの教会。
婚姻の儀式ではお世話になったけど、ただそれだけ。
着替えの手伝いをしてくれた神官の中に、邪を纏った奴が居たんだという。
そいつは、ショウマが妊婦だと分かった上でドレスを締め上げていたらしい。
そのせいで必要以上に腹が圧迫され、
苦しいと暴れるエスポアを抱えながら、披露宴を耐え凌ぎ、最終的にショウマは気を失ってしまった。
その事実を教えてくれたのは、ルナだった。
まだハッキリ喋れない口で頑張って伝えてくれたのを、俺が要約したのだが、大体合っていると思う。
そんな悪魔みたいな神官が標的にしたのは、ショウマだけかと思っていたが、それだけでも許せないのに、
まさか俺達の大事な子供達にまで牙を向けるなんてな。
絶対許せる訳がないので、そいつの顔を知ってるであろうルナを連れ、教会へと足を運んだ。
「良し着いた。いいかルナ。今だけ腕輪を外すから、
パパが悪魔退治している間に何か異変が起きたら、すぐさま転移して家へ戻れよ」
「…まほ、ちゅかっていーの?まーま、おこちない?」
「ああ。今日だけ特別だ。ママに怒られるのは、ルナじゃなくてパパだと思うから心配するな。行くぞ」
「あい!あきゅま、おちり、ペンペン、ねー。パパは、まーまに、おちり、ペンペン、ねー」
「あはは!そうだ、パパがお尻ペンペンされるな!」
2人で笑いながら、でも真剣な表情で、教会内部へと足を踏み入れた。
礼拝堂には祈りに来ている街の人達も居て、厳粛な雰囲気が漂ってる。が……
聖像の周りに立っている神官に目を向けた瞬間、不穏な気配を纏いはじめた。
それは明らかに邪悪に満ちており、ルナに向かって放たれている。
異変を感じ取ったであろう人達が困惑している中、俺は堂々とヤツに近付いた。
そして小声で(ルナ、コイツか)と問い掛けたら、ジーッと神官達を見回したあと、
「こりぇと、ありぇと、そりぇ」と指をさしてから、
「くりょい、もやもや、ぷーん、ちてる。まーま、いちゃい、ちた、あきゅま!」と礼拝堂に響き渡る声量で言葉を発した。
その瞬間、「悪魔」と言われた神官達が、一瞬だけ驚愕した後、憤怒の表情を浮かべ、ルナを睨み付けてきた。
そして「この忌み子め!」「呪われし者!」「黒い悪魔!」と口々に罵り初めた。
神に仕えし者とは思えない口ぶりに俺は呆れてしまい、
開いた口が塞がらず、(教会って、こんなヤツらばっかりかよ)と思いながら頭を振った。
可愛い息子に、これ以上汚い言葉を聞かせたくなくて、
「ルナ。パパが汚い悪魔を成敗するから家に戻ってろ」と頭を撫でながら声を掛けたら、
「きちゃない?くちゃい?……あきゅましゃん、ルナ、こしこししてあげりゅ」と言った後、
「ポイッ」という掛け声と共に外へと転移し、吃驚して腰を抜かしてる神官達を宙へ浮かせた。
そして「まりゅまりゅ、みじゅみじゅよ~」と言いながら水球で包み、「しぇんたくよー、ぐりゅぐりゅ~」
と唱えながら手をかざし、中にいるヤツらをグルグルと回し始めた。
「ぎゃあー!」「やめッ、ごぼっ」「あばばば」と悲鳴を上げながら水の中でもがいてるヤツらに、
「あーあ…」と呟きながらルナをチラッと見たら、良い笑顔で笑っていた。のだが……
その瞳に、俺は暫し見惚れてしまった。
いつものルナの目は血のように真っ赤なんだが、今は金色に光り、白金の粒子が瞳の中を舞っている。
それが幻想的で、綺麗で、思わず魅入ってしまった。
「パパー、きれーちたー、パーパー!」というルナの声で「はっ」と我に返った俺の目に飛び込んできたのは、
地面に転がる水浸しの神官達で、何故か全裸だった。
そして、気付けば周りに大勢の観衆がいて「くすくす」「あの子凄いね」「あの方たち大丈夫なのか?」
と、ザワザワと騒いでいた。
騒ぐ観衆達は鬱陶しいが、それよりも気になるのは…
「ル、ルナ!何でコイツらの服を脱がした!?」
「…んー。びちゃちゃ、したかりゃ。ふく、ないないちた。のよー」
「な、なるほど…?まぁ、悪魔が着ていい服じゃないからいっか。うん…良くやったルナ。やっつけたな!」
「ふふーん!ルナ、いーこもん!まーま、いちゃいしたと、にぃに、えんえん、たの、おこぷんぷん。ねー」
胸を張って誇らしげに言ってるのは可愛いが、
やっつけたのも褒めてやるが、やり方が結構えげつないですねルナさん。
(さて、この後どうしようか…)と悩んでいたら、血相を変えてトラモント神官長が走ってきた。
「はひー、ふぅー。あ、あの、アレクレス様。それと、ルナ様。お久しぶりで御座います。
この者たちが何か失礼な事をしてしまいましたか?管理が行き届かず申し訳御座いません!」
「いえ、神官長が謝る必要は有りませんよ。うちの子達に対して、この者たちに謝って貰えればいいです。
それと神官位から外して頂いて、この街から出て行ってくれればいいです」
冷たい物言いかもしれないけど、子供達が平和に暮らす為には、彼らの存在は悪でしかないからな。
そう伝えたら驚いた顔をして「何があったか伺っても?」と聞いてきたので、ありのままを教えたら、
「本当に大変失礼しました…この者達はすぐさま神官位を剥奪する為、聖国へと送ります」
と頭を下げて、他の神官達と共に3人を教会内へ引き摺って行った。
その背に向かって「ちゅぎわ、ゆるちましぇんよー」とルナが可愛いく声を掛けたら、こちらを振り向き、
「ふふ。はい。ご忠告を肝に銘じます」ともう一度頭を下げてから、去って行った。
俺はその背を見送りながら(結局、アイツら謝らなかったな…)でも、これで悪魔退治は終わったし、家に帰るか。
と、ルナに声を掛けようと、さっきまで立っていた場所を見たら……「いない!ルナどこ行ったー!!」
辺りを見渡しても何処にもいなくて、魔力を辿ろうと集中した途端、観衆の1人が、
「あ、さっきの子ならその場からいきなり消えました」と教えてくれた。
だから(まぁ、そうだろうな。腕輪外してるし)と納得してから魔力を辿ったら反応は家の方向にあった。
それに「ホッ」として「お騒がせしました」と民衆に謝罪してからバイクに跨り家路についた。
アレクが教会前で騒いでいる頃、ルナは1人転移で家へと帰ってきており、
お昼寝中のショウマの布団に潜り込み、ギュッとお腹にしがみつき、
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