腐男子、転生したら最強冒険者に溺愛されてる

玲央

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本編 最強冒険者

story169/スキルチェック

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目の前で抱き合い震えてる2人を見ながら、僕はルナに問い掛けた。

「ルナ、もしかして天気を操れるの?それとも雨を降らせるスキルがあるだけ?」

そう聞いたら、首を傾げながら、
「…?ちらにゃい、むちゅかちい…」と言われたので、ユアゾンでスノードームを購入して、
「この白いフワフワの雪さんを空から降らせれるの?」と聞いてみた。

「まんま、こりぇ、かあいーねー。ルナ、しゅきよー。ちろいゆきしゃん、ゆきらるましゃん?
ゆきゆき、ふりぇふりぇ、ルナ、でちる…」

そう言って手を上に翳したんだけど、慌てて止めた。雨の次に豪雪とか流石に不味いと思って。

「ふぅ。そう、天気を操るスキルか…僕より規格外だね……ははっ。
そう、これは雪だるまさんの雪だよ。ルナにあげる、お部屋に飾ろうか」

「くふふっ。あいがと、まんま。ねー、チュッちて、ぺぺに。ルナしゅきって」

頬を突き出し、そんな可愛い事を言われた僕は、悶えながら要望に応えた。

「ん~!可愛いルナ好きだよ、ちゅっ」その瞬間、ニヤッと笑ったルナがお腹を指差し、
「えしゅに、かっちゃ、まんまは、ルナの」と呟いた。

その声に応えるように赤ちゃんが激しく暴れだし「くっ…」あまりの痛さに顔を歪めていたら、
復活したアレクとマイキーが「またか…」「また始まったね…」と言いながら背中を摩ってくれた。

これがルナの規格外スキルの1つで、なんとお腹の子と会話?が出来るんだ。
最初は「凄い!」「羨ましい!」って思ったんだけど、
会話?が始まると中で暴れ出すから、その度に痛くて苦しくて悲痛な声が漏れ出る。

何言ってるか分かんないのが可愛いんだけど、ちょっと止めて頂きたい…痛みが辛いんです…

「ルナ、そろそろ止めてあげないと、ママが痛いって泣いてるから」

「そうだぞ、エスポアも暴れ過ぎだ。2人とも少し落ち着きなさい」

アレクとマイキーがそう注意してくれて、やっと動きが止まり「ホッ」と息を吐いた。

そして、幼稚園のロビーでそんなやり取りをしていたら、AI先生が来て、

「ルナサン。勉強ノ時間デス。サボリ、ダメ、絶対」と言いながら、

「まんまー!べんきょ、いやのー、たちゅけてぇー!ぱーぱ、にぃにー!」と叫ぶルナを回収して行った。

その様子を見て、3人で笑いながら「「「ルナ、頑張れー!」」」と手を振り見送った。

「2人とも、雨止んだけどギルドに戻る?僕、少し疲れたからベッドで横になるよ」

雨に濡れて冷えたのと、激しい胎動に体力が奪われた事でフラフラする。

「ああ。ちゅっ。街の様子気になるし、戻るわ。お前は身体温めて少し休め」

そんな僕を抱き上げ、外へ出て家へと歩きだしたアレク。

「オレも、アレクと一緒に行ってくるね。えっと、ママ…は風呂入って温まってね」

その後ろからついてきたマイキーも言葉を発したんだけど、僕に「ママ」って言うのが未だ慣れず、
顔を俯かせて真っ赤になっちゃった。

日々一緒に過ごす中で、2つ決めた事があるんだ。
先ずはマイキーに「ママ」呼びをさせることにした。長男として扱ってるから「兄ちゃん」呼びは封印。

あとはマイキーとルナの家を、幼稚園から僕達の家へと変更した。
「他の子達に悪いよ…」と渋ってたけど、みんな気にしてなかったので「はい決定!」と連れてきた。

それと、赤ちゃんの名前は皆で決めた。色々と案はあったんだけど、最終的に「エスポア」になった。
“期待”とか“希望”っていう意味なんだけど「意味と響きが良いね」と満場一致で決定した。

そんな「エスポア」君はスクスクと育ち…育ち過ぎて、
今すぐ産まれそうなくらい育ってます…まだ妊娠2ヶ月目なんだけどね…はは…異世界パネェっす。

そんな腹ぼっけな僕は歩くのに一苦労で、今みたいにアレクに抱っこされて運ばれてます。

さて、我が家に着いたけど、風呂に入る前に2人に伝えたい事があるのでギルドへ行くのはお待ち。

「アレク、マイキー。用事済ませて帰ってきたら、ルナの能力の事について話したいんだぁ。
だからさ、夕飯前には帰ってきてくれる?」

「ああ。俺もその事は話したいと思ってたから、なるべく早く帰るよ。ちゅっ」

アレクもやっぱり気になってたようで、頬に口付けをしながら了承してくれた。

「オレもね、スキルの事で2人に伝えたい事があるから…その時に一緒に話すね…」

マイキーは、何故か困ったように笑顔を浮かべ、そう告げてきた。
だから「何でも話して、家族でしょ?そんな顔しないの。大丈夫、何聞いても絶対に嫌いにならないから」
そう言って頭を撫でたら安心したのか、ニコッと良い笑顔で笑い、アレクと一緒に出掛けて行った。


「ふぅ。腹が重い…エスポアちゃん、スクスクと育ち過ぎじゃないかなぁ~?
この間シェリーに会ったけど、こんなに大きくなかったぞぉ~?君は肥満児なのかい?」

ポコン、ポコンポコン…

「あ、痛い。ごめんごめん。元気で何よりだよ。うん。
さぁ、お風呂入って温まろうねぇ」

そう言いながら、大きくなった腹を抱えて湯船に浸かった。「あ゙~気持ちいい…温かいぃ~至福の瞬間…」
ため息と共に呟いたら、ウニョッと腹の中で動いた。

「ははっ、エスポアも気持ちいいの分かるんだねぇ」
と、撫でながら話し掛けたら、手の形がハッキリと感じられるほどの反応があった。

「およ、小さいお手手が見えたような…エスポアも規格外なのかなぁ~?
……まさかもう産まれるとか無いよねぇ?早く会いたいけど、まだ早いと思うなぁ…」

胎動を感じながら独り言を呟き、湯船の中で至福の時間を過ごしながら、その後も会話を続けた。
その度に、ウニョッと手や足で反応してくれるのが嬉しくて、逆上せる寸前まで入浴を楽しんだ。

「はふぅ。ちょっと入り過ぎちゃったね。さて、充分温まったからお昼寝しようか」

そう言って布団に潜り込み目を閉じたら、心地よい眠りが訪れ、
エスポアの存在を感じながら、夢の世界へと旅立った。


どのくらい寝てたのか、スッキリしないまま目覚めた僕の耳に聞こえてきたのは、ルナの声だった。

「えしゅ、ルナにぃちあう。ルナしゃまよ」

「…ぶー。まんま、しゅきはルナよ」

「えしゅは、ぱーぱと、チュッちて。まんまはメッよ」

「…にぃにも、ルナしゃまのよ。えしゅは、ぱーぱとじーじ、あげりゅ」

布団に潜り込み、お腹に向かって話し掛ける姿が可愛くて暫し観察していたら、
エスポアと口喧嘩?しているのか、だんだんヒートアップしてきた。

「…しょれは、メッなのぉ!えしゅ、ねんねちて。ルナしゃま、おこぷんぷんよ!」

そろそろ止めて。エスポアの動きが激しくて、ママ耐えられません…

「くっ、ルナ様。そろそろ終わりね…痛たたた」

「…まんま、おあよ。めんね、いちゃい、ちた?」

「ふふ。ちゅっ。もう大丈夫だよ。お帰りルナ。お勉強は終わったの?良い子に出来たかい?」

「…んと、べんきょ、しぇんしぇい、えらいちてくりぇた。ルナいーこ、ちたのよー」

「AI先生に褒められたの?それは凄いね。良い子に出来たのも偉いね。ちゅっ。
パパとお兄ちゃんは?まだ帰って来てない?」

誇らしげにしている顔に口付けをしながら聞いたら、クシャッと顔を歪ませて、問に答えた。

「ぱーぱ、にぃに、くしゃい、かりゃ、おふりょ、ポイッて、ぽちゃん、ちた…」

その答えと顔が面白すぎて「ぶはっ」と吹き出したら、アレクとマイキーが入室してきて、
「「コラ、ルナー!」」と叫びながら、ルナを捕まえようと手を伸ばした。(無駄なのにね……)

案の定、捕まる寸前にヒョイ、ヒョイっと転移して逃げるから全く捕えられず、
追いかけてる側が疲弊して、攻防戦が終了した。

最近ずっとこのパターンで3人が遊んでます。飽きもせず毎日ね。面白いし可愛いから良いんだけどね。

いつもならこの後、ご飯食べて、ルナを寝かして、部屋に戻るマイキーとおやすみのハグしてから、
アレクと2人の時間を楽しむんだけど、今日はルナを寝かしつけた後、家族会議と称して能力チェックです。

さぁ、規格外な次男の能力や如何に……

「皆んなご飯食べようか。お腹空いたでしょ?何食べたい?ルナのデザートは、いちごにする?ボーロかな?」

「さっき、ルナ迎えに行った時に食堂で飯貰ってきたから、それ食おうぜ」

「リビングで食べる?ママ…歩くの辛そうだし、この部屋で食べようか?ルナおいで、兄ちゃんと食べよ」

「ルナ、ぼーりょ、たべりゅ。…しゃかにゃ、いりゃない。みろりのふしゃふしゃ、いりゃない…」

「「「ルナ、好き嫌いしないの!!」」」

魚とブロッコリーを食べたくない!とごねる息子に、四苦八苦しながら食べさせ、
ワイワイと賑やかな、騒がしい夕食の時間を過ごし、ウトウトし始めたルナをアレクが寝かし付けた。

「アレクありがと。ちゅっ。マイキーもね、ちゅっ」

「どういたしまして、ちゅっ」

「えっと、うん。へへ。ママお疲れ様、ちゅっ」

3人で頬チューを交わし、微笑み合ってから視線を絡ませ、頷き合い、ルナを鑑定した。

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name:ルアナーシュ。 age:3。 tribe:???。
MP:♾  HP:♾  
スキル:全属性魔法、精霊、大地、神級(開花前)、空間、
召喚、付与、古代、禁忌、大気、千里眼、念話、転移。
ピースフェリスの加護。闇神の加護。???の子。

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「……こりゃ凄い。何だろねこの???って。知りたいような、知りたくないような…闇神って何だろ」

「ルナって、ルアナーシュって言うんだな…この???は、知らないほうが良い気がする。何だ神級魔法って…」

「これ、ママより凄い…感じがするね…。
???の子って何だろね…種族の箇所も???だよ。インプ族じゃないって事だよね…古代魔法に禁忌魔法…」

一つ一つの鑑定結果を目にして驚き、振り返る時間もなしに思い思いの感想を述べた。
その声が部屋に広がると、急に静寂が訪れた。

部屋の中には緊張感が漂い、息を潜めるような雰囲気が広がった。
その中でルナの寝息だけがひっそりと木霊し続けていた。



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