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本編 最強冒険者
story167/式本番と宴
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結婚式当日の朝、いつものように眠りから覚めた後、ショウマの寝顔を堪能しようとしたら、
うつ伏せで、開いた本に顔を乗せて寝ている姿を目にして「くくっ」と苦笑を漏らした。
「そんな格好で寝たら、お腹潰れて赤ん坊が苦しむだろうが。アホだなぁ全く」
そう呟いて、クルッとひっくり返したら、頬に絵が複写されてて、思わず「ブハッ」と吹き出した。
「この姿は是非とも写真に収めたいな。くくっ。はぁ、可愛いな本当に。ちゅっ」
もう少し、もう少し、と、額や頬に口付けを送っていたら、目の前の空間が歪みルナが現れた。
「ぱーぱ、おあよー!…まんま、かお、ちたにゃい。ねー」
「おはようルナ。ママを起こしに来たのか?顔が汚いのは«クリーン»これで大丈夫だ」
「おこちた、ちあう。ルナ、きょーかい、ちゅれてく」
「え?ルナが魔法で連れてくって事か?」
「しょうよー、神ちゃま、ルナ、おねがちましゅ、てたよー、えい!」
「あ、ちょ、ルナ!」
言い終わったと同時に、問答無用で教会へと飛ばされ、真っ白な部屋に送られた。
そして、隣りにあったショウマの温もりが消え去り、混乱している俺の前に、若い神官が現れた。
「この度はご婚姻おめでとう御座います。アレクレス様の着替えをお手伝いさせて頂きます」
「は?ショウマは?着替えって、何で衣装がここにあるんだよ!!」
「愛と運命の神・レディスティーナ様からの神託で御座います。花嫁様は別室にてお支度中です」
そう言い終わったあと、違う神官も現れ、唖然としてるうちに服を脱がされ着替えさせられた。
「神様ー!!ひと言なにか伝えといて下さいよーー!!」
別室に飛ばされたショウマは、柔らかい布団の感触や、アレクの温もりが消えた感覚、
寝ている筈なのに立ってる違和感に、眉をひそめながら眠りから覚めた。
目を開けた瞬間に視界へ飛び込んできたのは、
真っ白な部屋の中央に鎮座している、純白のウェディングドレスだった。
そして、僕の手を握ってニコニコと見上げてるルナを視界に捉えた。
「ル、ルナちゃん。ここは何処かな?目の前にあるのは花嫁衣装だと思うんだけど…??」
「まんま、おあよー。きょーかいよー?
ルナ、ちゅれてきたのよー。おてちゅだい、ちてって、神ちゃま、ゆわれちゃのよー」
衝撃すぎて「……ぇぇええ!!」と大声で叫んだら、神官さんが入室してきて、
膝をつき、頭を下げながら挨拶と説明をしてきた。
「愛し子様、お目にかかれ光栄で御座います。この度はご婚姻おめでとう御座います。
神託に則り、儀式のお手伝いをさせて頂きます。お召し換えのお手伝いの為、御前失礼致します」
そう言いながらワラワラと周りを囲み、困惑してる僕を気にもせず、
寝間着を脱がし、ウェディングドレスを着せてきた。
そして「お綺麗ですよ」と声を掛けられた瞬間、空に向かって吠えた。
「かーみーさーまー!!僕は男なのーー!!なんでドレスなのーー!!女装の趣味はなーーい!」
その後も「御髪を整えます」「お化粧します」「装飾品をつけます」と言いながら全身着飾られ、
終わった頃にはぐったり…。
着替えの間、僕は無心を貫いた。この状況で抗議や意見を述べても無駄だと思っていたから…
そして「お支度が整いました」との声と共に鏡の前に立たされた瞬間、映し出されたのは美少女だった。
「誰だよ!?あ、僕か…って完全に女性だよねコレ!可愛いけど……いーやー!!」
そう言いながら、頭を抱えてたら「アレクレス様がお見えになりました」と告げられ、
ドアの方を振り向いた僕の目が捉えたのは、
純白の布地に金の装飾が施されたタキシードを着た、物語に出てきそうな王子姿のアレクだった。
数秒か数分か、時が止まったような静寂が部屋を包み込み、お互い無言で見つめ合っていた。
「…アレク…王子様みたい…格好良い…」
「…ショウマ…だよな?…凄ぇ綺麗だ…」
そして2人同時に言葉を発した瞬間、時間が動きだしたように静寂が也を潜めた。
そんな僕達を見ながら、頬に手を当て、
「きゃああ!ちめしゃま、おーじたまー!ちゅてきー」
と、キャイキャイ騒いでる姿に、苦笑しながら視線を向けたら、変身したルナが居た。
「うわぁ!本物の天使かな?妖精かな?背中に羽が生えてるね。ん~可愛い!」
「ルナ、最高に可愛いぞ!小さいお姫様だな!」
「ぷふふっ。ぱーぱ、まんま、あいがと!
神ちゃま、くりぇた、かあいいちょ?じゃーいきゅよー、ぽいっ!」
可愛いルナにアレクと一緒にデレデレしていたら、また転移で飛ばされた。
着いた先はフェリス神様の聖像の前で、トラモント神官長が笑顔を携えて、僕達を出迎えた。
その刹那「アレクレスおめでとう!」「ショウ兄ちゃんおめでとう!」「2人とも素敵だぞー!」
と言う声が聞こえてきて、後ろを振り向き辺りを見渡したら、
フォルティエ家の皆や、ギルド長達、グレインに数人の冒険者達、ユアン、シェリーが居た。
素敵な演出に嬉しくなって、アレクに「ありがとう」と言おうと視線を向けたら、
辺りを見渡し呆然としている姿を捉えた。
その顔を見て不思議に思い「アレクどうしたの?」と問い掛けたら、
「何で教会に居るんだよーー!」と叫んだ。
アレクの演出じゃないのか?どういう事?と聞こうとしたら、トラモント神官長に声を掛けられ、
2人困惑したまま婚姻の儀式が始まった。
「愛する2人へ祝福を捧げます。お互いを献身的に愛し、信頼し合って下さい。
困難な時には、支え合い励まし合って下さい。
お互い感謝の気持ちを持ち、愛と幸福に満ちた人生を歩んで行ってください。
お2人の愛が永久に続く事を願っています。
それでは、神の名の元に聖なる契約を結びます」
祝言が終わったと同時に、光の中から1枚の紙が現れ、名前を書いたあと血を垂らしたら、
その場からパッと消え、聖像へと吸い込まれていった。
「では、婚姻する御二方、ご列席の皆様、ピースフェリス神様へ祈りを捧げて下さい」
言われた通りに、膝をつき頭を下げ、胸の前で手を組んで祈りを捧げたら、頭に声が響いた。
『愛しい翔馬よ、そしてアレクレス。婚姻おめでとう。
家族や友人を愛し、他者に善をもたらしながら、共に幸せを創り上げていくんじゃぞ。
其方等の愛の結晶である子供達にも祝福を与えておいたぞ。
彼らが幸福で健やかに育ち、平和が永遠に続くよう天界から見守っておる。幸せにな翔馬よ』
(フェリス様、祝福して下さり、幸せをもたらして下さり、心から感謝しています。
僕をこの世界へ転生させて下さり、本当にありがとうございます。
永遠の感謝と、信頼を込めて、お礼申し上げます)
そう心で唱えたあと、アレクと見つめ合い、皆に祝福されながら、手を繋いで教会から外へ出た。
そんな僕達の前には、オープンカーが置いてあり、運転席にはニクスが苦笑しながら乗っていた。
それを見て、僕は驚きを通り越して笑いがこみ上げてきた。
「あっははは!異世界でオープンカー!もう吃驚し過ぎて笑っちゃうよ!あははは!
しかも、その後ろにあるのは送迎バス?それに乗ってここまで来たの?あはは!」
「な、なんだこの異様な乗り物は!ニクス、これらも神様からの贈り物か!!」
「ま、そういう事だ。さあ乗れ2人とも。出発するぞ~!
披露宴会場までお連れしますよ、新郎新婦様」
「あっはは!はーい。頑張って作り上げた会場に案内して下さい!ね?旦那様♡ちゅっ」
「あ、やっぱり気付いてたか。くくっ。では案内致しますね、奥様、ちゅっ」
そうして教会から出発し、僕達を遠巻きに見ている人たちを尻目に、
街道をゆっくり進み、丘の上へと辿り着き、そのままのスピードで披露宴会場へ到着した。
幻影魔法が解かれた瞬間、目の前に広がる光景に圧倒され、暫し硬直したあと感嘆の声を上げた。
「うわぁあ…凄い…これ全部アレクが用意してくれたの?…音楽まで流れてる…
あ!アレはBL漫画のキャラ人形?あはは!
わぁあ!あそこにある植物の蔦で作ったアーチ…素敵…」
そう呟き、感動してる僕の手を引き、歩みを進めたアレクに連れて行かれたのは、
僕が魅入っていた、アーチの下だった。
「ショウマ、愛してるよ。お前の喜ぶ顔が見たくて結婚式を計画したんだ。
会場の飾りの殆どは、運命神からの贈り物なんだよ。この植物の門はマイキーの手作りなんだ。
俺は、何も出来なくてな……装飾品を並べたり、ふうせんを膨らましただけ……」
「僕も愛してるよ、アレク。アレクのその気持ちが凄く嬉しい。ありがとう、本当に嬉しい…ぐすっ。
マイキー、素敵なアーチをありがとう。皆もありがとうございます…ぐすっ」
感動して泣き出した僕を優しく抱き締め、頭を撫でられる心地良さに浸っていたら、
セバスリンさんが神父服を着て現れた。
そして僕達2人の間に立ち、司会を始めた。
「ショウ様、アレクレス様。この度は誠におめでとう御座います。
お互いの心を確かめる為、真意を問います。
この先、お互いを尊敬し、支え合い、愛し続ける事を誓いますか?」
「はい。私、アレクレス・フォルティエは、彼を尊敬し、支え、愛し続ける事を誓います」
「はい。私、ショウマ・アマギ・フォルティエも、彼を尊敬し、支え、永遠に愛し続ける事を誓います」
そう誓った僕達2人に、満足そうに頷き「では誓いの口付けを」との言葉の後に、口唇を重ねた。
その瞬間、会場全体に響き渡る歓声と、拍手が贈られ、案内された場所に座ったと同時に宴が始まった。
コックドゥさんと、幼稚園の調理AIの共同料理が次々と運ばれ、アレクと食べさせ合っていたら、
ステージに幼稚園の子供達が出てきて、演劇を始めた。
魔王に扮したパパが、姫ルナを攫ったのを、勇者マイキーが助けるという内容だったんだけど、
パパがルナの頬にチューをした瞬間、勇者に助けられる前に
「じーじまおー、ちゅー、いやのー」と叫んで、ぬいぐるみの上に転移させて、
「コラ、ルナー!」というマイキーの叫びと、会場から響き渡る大爆笑の中、演劇が終了した。
その後は、ユリウス兄様の氷の舞を見て「凄い!めちゃくちゃ綺麗!」と感動したり、
グレインVSエク兄の模擬戦を見て「うわっ!凄い迫力!てか兄様妊婦!」とハラハラしたりと、
中々濃ゆい催し物を見ながら宴を楽しんだ。
最後に、ドーンッという爆音と共に、打ち上げ花火が夜空を彩り、
ニクスと共に「「たーまやー!!」」と叫び、
「やっぱり言っちゃうよね」と笑い合って、宴が終了した。
そして今僕は、寝室のベッドで横になっている。
お腹を撫でながら優しく微笑むアレクと共に。
うつ伏せで、開いた本に顔を乗せて寝ている姿を目にして「くくっ」と苦笑を漏らした。
「そんな格好で寝たら、お腹潰れて赤ん坊が苦しむだろうが。アホだなぁ全く」
そう呟いて、クルッとひっくり返したら、頬に絵が複写されてて、思わず「ブハッ」と吹き出した。
「この姿は是非とも写真に収めたいな。くくっ。はぁ、可愛いな本当に。ちゅっ」
もう少し、もう少し、と、額や頬に口付けを送っていたら、目の前の空間が歪みルナが現れた。
「ぱーぱ、おあよー!…まんま、かお、ちたにゃい。ねー」
「おはようルナ。ママを起こしに来たのか?顔が汚いのは«クリーン»これで大丈夫だ」
「おこちた、ちあう。ルナ、きょーかい、ちゅれてく」
「え?ルナが魔法で連れてくって事か?」
「しょうよー、神ちゃま、ルナ、おねがちましゅ、てたよー、えい!」
「あ、ちょ、ルナ!」
言い終わったと同時に、問答無用で教会へと飛ばされ、真っ白な部屋に送られた。
そして、隣りにあったショウマの温もりが消え去り、混乱している俺の前に、若い神官が現れた。
「この度はご婚姻おめでとう御座います。アレクレス様の着替えをお手伝いさせて頂きます」
「は?ショウマは?着替えって、何で衣装がここにあるんだよ!!」
「愛と運命の神・レディスティーナ様からの神託で御座います。花嫁様は別室にてお支度中です」
そう言い終わったあと、違う神官も現れ、唖然としてるうちに服を脱がされ着替えさせられた。
「神様ー!!ひと言なにか伝えといて下さいよーー!!」
別室に飛ばされたショウマは、柔らかい布団の感触や、アレクの温もりが消えた感覚、
寝ている筈なのに立ってる違和感に、眉をひそめながら眠りから覚めた。
目を開けた瞬間に視界へ飛び込んできたのは、
真っ白な部屋の中央に鎮座している、純白のウェディングドレスだった。
そして、僕の手を握ってニコニコと見上げてるルナを視界に捉えた。
「ル、ルナちゃん。ここは何処かな?目の前にあるのは花嫁衣装だと思うんだけど…??」
「まんま、おあよー。きょーかいよー?
ルナ、ちゅれてきたのよー。おてちゅだい、ちてって、神ちゃま、ゆわれちゃのよー」
衝撃すぎて「……ぇぇええ!!」と大声で叫んだら、神官さんが入室してきて、
膝をつき、頭を下げながら挨拶と説明をしてきた。
「愛し子様、お目にかかれ光栄で御座います。この度はご婚姻おめでとう御座います。
神託に則り、儀式のお手伝いをさせて頂きます。お召し換えのお手伝いの為、御前失礼致します」
そう言いながらワラワラと周りを囲み、困惑してる僕を気にもせず、
寝間着を脱がし、ウェディングドレスを着せてきた。
そして「お綺麗ですよ」と声を掛けられた瞬間、空に向かって吠えた。
「かーみーさーまー!!僕は男なのーー!!なんでドレスなのーー!!女装の趣味はなーーい!」
その後も「御髪を整えます」「お化粧します」「装飾品をつけます」と言いながら全身着飾られ、
終わった頃にはぐったり…。
着替えの間、僕は無心を貫いた。この状況で抗議や意見を述べても無駄だと思っていたから…
そして「お支度が整いました」との声と共に鏡の前に立たされた瞬間、映し出されたのは美少女だった。
「誰だよ!?あ、僕か…って完全に女性だよねコレ!可愛いけど……いーやー!!」
そう言いながら、頭を抱えてたら「アレクレス様がお見えになりました」と告げられ、
ドアの方を振り向いた僕の目が捉えたのは、
純白の布地に金の装飾が施されたタキシードを着た、物語に出てきそうな王子姿のアレクだった。
数秒か数分か、時が止まったような静寂が部屋を包み込み、お互い無言で見つめ合っていた。
「…アレク…王子様みたい…格好良い…」
「…ショウマ…だよな?…凄ぇ綺麗だ…」
そして2人同時に言葉を発した瞬間、時間が動きだしたように静寂が也を潜めた。
そんな僕達を見ながら、頬に手を当て、
「きゃああ!ちめしゃま、おーじたまー!ちゅてきー」
と、キャイキャイ騒いでる姿に、苦笑しながら視線を向けたら、変身したルナが居た。
「うわぁ!本物の天使かな?妖精かな?背中に羽が生えてるね。ん~可愛い!」
「ルナ、最高に可愛いぞ!小さいお姫様だな!」
「ぷふふっ。ぱーぱ、まんま、あいがと!
神ちゃま、くりぇた、かあいいちょ?じゃーいきゅよー、ぽいっ!」
可愛いルナにアレクと一緒にデレデレしていたら、また転移で飛ばされた。
着いた先はフェリス神様の聖像の前で、トラモント神官長が笑顔を携えて、僕達を出迎えた。
その刹那「アレクレスおめでとう!」「ショウ兄ちゃんおめでとう!」「2人とも素敵だぞー!」
と言う声が聞こえてきて、後ろを振り向き辺りを見渡したら、
フォルティエ家の皆や、ギルド長達、グレインに数人の冒険者達、ユアン、シェリーが居た。
素敵な演出に嬉しくなって、アレクに「ありがとう」と言おうと視線を向けたら、
辺りを見渡し呆然としている姿を捉えた。
その顔を見て不思議に思い「アレクどうしたの?」と問い掛けたら、
「何で教会に居るんだよーー!」と叫んだ。
アレクの演出じゃないのか?どういう事?と聞こうとしたら、トラモント神官長に声を掛けられ、
2人困惑したまま婚姻の儀式が始まった。
「愛する2人へ祝福を捧げます。お互いを献身的に愛し、信頼し合って下さい。
困難な時には、支え合い励まし合って下さい。
お互い感謝の気持ちを持ち、愛と幸福に満ちた人生を歩んで行ってください。
お2人の愛が永久に続く事を願っています。
それでは、神の名の元に聖なる契約を結びます」
祝言が終わったと同時に、光の中から1枚の紙が現れ、名前を書いたあと血を垂らしたら、
その場からパッと消え、聖像へと吸い込まれていった。
「では、婚姻する御二方、ご列席の皆様、ピースフェリス神様へ祈りを捧げて下さい」
言われた通りに、膝をつき頭を下げ、胸の前で手を組んで祈りを捧げたら、頭に声が響いた。
『愛しい翔馬よ、そしてアレクレス。婚姻おめでとう。
家族や友人を愛し、他者に善をもたらしながら、共に幸せを創り上げていくんじゃぞ。
其方等の愛の結晶である子供達にも祝福を与えておいたぞ。
彼らが幸福で健やかに育ち、平和が永遠に続くよう天界から見守っておる。幸せにな翔馬よ』
(フェリス様、祝福して下さり、幸せをもたらして下さり、心から感謝しています。
僕をこの世界へ転生させて下さり、本当にありがとうございます。
永遠の感謝と、信頼を込めて、お礼申し上げます)
そう心で唱えたあと、アレクと見つめ合い、皆に祝福されながら、手を繋いで教会から外へ出た。
そんな僕達の前には、オープンカーが置いてあり、運転席にはニクスが苦笑しながら乗っていた。
それを見て、僕は驚きを通り越して笑いがこみ上げてきた。
「あっははは!異世界でオープンカー!もう吃驚し過ぎて笑っちゃうよ!あははは!
しかも、その後ろにあるのは送迎バス?それに乗ってここまで来たの?あはは!」
「な、なんだこの異様な乗り物は!ニクス、これらも神様からの贈り物か!!」
「ま、そういう事だ。さあ乗れ2人とも。出発するぞ~!
披露宴会場までお連れしますよ、新郎新婦様」
「あっはは!はーい。頑張って作り上げた会場に案内して下さい!ね?旦那様♡ちゅっ」
「あ、やっぱり気付いてたか。くくっ。では案内致しますね、奥様、ちゅっ」
そうして教会から出発し、僕達を遠巻きに見ている人たちを尻目に、
街道をゆっくり進み、丘の上へと辿り着き、そのままのスピードで披露宴会場へ到着した。
幻影魔法が解かれた瞬間、目の前に広がる光景に圧倒され、暫し硬直したあと感嘆の声を上げた。
「うわぁあ…凄い…これ全部アレクが用意してくれたの?…音楽まで流れてる…
あ!アレはBL漫画のキャラ人形?あはは!
わぁあ!あそこにある植物の蔦で作ったアーチ…素敵…」
そう呟き、感動してる僕の手を引き、歩みを進めたアレクに連れて行かれたのは、
僕が魅入っていた、アーチの下だった。
「ショウマ、愛してるよ。お前の喜ぶ顔が見たくて結婚式を計画したんだ。
会場の飾りの殆どは、運命神からの贈り物なんだよ。この植物の門はマイキーの手作りなんだ。
俺は、何も出来なくてな……装飾品を並べたり、ふうせんを膨らましただけ……」
「僕も愛してるよ、アレク。アレクのその気持ちが凄く嬉しい。ありがとう、本当に嬉しい…ぐすっ。
マイキー、素敵なアーチをありがとう。皆もありがとうございます…ぐすっ」
感動して泣き出した僕を優しく抱き締め、頭を撫でられる心地良さに浸っていたら、
セバスリンさんが神父服を着て現れた。
そして僕達2人の間に立ち、司会を始めた。
「ショウ様、アレクレス様。この度は誠におめでとう御座います。
お互いの心を確かめる為、真意を問います。
この先、お互いを尊敬し、支え合い、愛し続ける事を誓いますか?」
「はい。私、アレクレス・フォルティエは、彼を尊敬し、支え、愛し続ける事を誓います」
「はい。私、ショウマ・アマギ・フォルティエも、彼を尊敬し、支え、永遠に愛し続ける事を誓います」
そう誓った僕達2人に、満足そうに頷き「では誓いの口付けを」との言葉の後に、口唇を重ねた。
その瞬間、会場全体に響き渡る歓声と、拍手が贈られ、案内された場所に座ったと同時に宴が始まった。
コックドゥさんと、幼稚園の調理AIの共同料理が次々と運ばれ、アレクと食べさせ合っていたら、
ステージに幼稚園の子供達が出てきて、演劇を始めた。
魔王に扮したパパが、姫ルナを攫ったのを、勇者マイキーが助けるという内容だったんだけど、
パパがルナの頬にチューをした瞬間、勇者に助けられる前に
「じーじまおー、ちゅー、いやのー」と叫んで、ぬいぐるみの上に転移させて、
「コラ、ルナー!」というマイキーの叫びと、会場から響き渡る大爆笑の中、演劇が終了した。
その後は、ユリウス兄様の氷の舞を見て「凄い!めちゃくちゃ綺麗!」と感動したり、
グレインVSエク兄の模擬戦を見て「うわっ!凄い迫力!てか兄様妊婦!」とハラハラしたりと、
中々濃ゆい催し物を見ながら宴を楽しんだ。
最後に、ドーンッという爆音と共に、打ち上げ花火が夜空を彩り、
ニクスと共に「「たーまやー!!」」と叫び、
「やっぱり言っちゃうよね」と笑い合って、宴が終了した。
そして今僕は、寝室のベッドで横になっている。
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