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本編 最強冒険者

story139/ 運命の神の嘲笑い

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アレクが記憶を失った後、
ショウマは彼の傍で献身的に支え続けた。

ショウマの愛情と献身のおかげで、
アレクとの絆は再び築かれ、
喜びを噛みしめながら泣いて彼を抱き締めた。

アレクの記憶はまだ戻っていないが、
それでも問題はない。

将来的には思い出すかもしれないと信じて、
彼の記憶が戻る日を願い続けながら、
二人は共に過ごすことを決めた。

なぜなら、ショウマはアレクを愛しているからだ。
それは当たり前のことだと彼は感じている。

この先、どんな困難が訪れようとも、
二人の愛は決して崩れることはない。
彼らの愛は強く、固い絆で結ばれている。

そして、日々を共にする中で、
二人は互いに新たな喜びと成長を見つけていく。

アレクが過去の記憶を取り戻すにしても、
しないにしても、彼らの愛は変わらず続く。

ショウマはアレクに寄り添い、
彼との新たな思い出を作りながら、
これからの未来を楽しみにしている。

アレクの笑顔や喜びを見るたびに、
ショウマの愛は更に深まっていくのだ。


「アレクと出会った日から、僕の世界は変わったんだ。
記憶のことがどうあれ、
僕たちが今感じている愛を大切にしよう」


「おう、一緒に過ごす日々を大切にしよう。
俺が過去を思い出せるその日まで、
ショウマとの新たな思い出を作り続けよう」


「僕もアレクとの新たな思い出を作りたいんだ。
そして、過去を思い出す日が来ることを願ってるよ」


「信じて待っていてくれ。
必ず、ショウマとの過去を思い出すから」


「その日を楽しみにしてるよ。
いつまでも一緒にいようね、
僕たちの愛は時間や記憶に縛られないから」


「過去も、今も、何年経ってもずっと
ショウマを変わらずに愛してると誓うよ」


「……ぐすっ。うん、うん。僕もだよアレク。
ずっとずっと大好きだし、愛してるよ」


そう言って、自然にお互い顔を近付け合い、
アレクが意識を取り戻してから、初めてのキスをした。

その瞬間、バチッと何かが弾ける音が聞こえた。
そしてアレクが頭を抱え、呻き声を上げた。


「うがぁあ!……っ……ゔゔっ……何かが……
突然……頭に流れ込んで……くっ……がァあ!」


「アレク!?何なに、何なの!やめてよ!
何でこんな事ばっかり起こるの!アレク!!」


目の前で愛しい人が苦しんでる様子に、
僕はパニックになりながらも必死に声を掛けた。


「アレク!ぐすっ。アレク、大丈夫!?
頭が痛いの?…ぐすっ、嫌だよ…アレク!」


アレクは苦悶の表情しながら僕に手を伸ばし、
勢い良くその腕に抱き込んだ。

そして「はぁはぁ」と荒い呼吸を繰り返しながら、
優しく頭を撫で、そして言葉を紡いだ。


「ショウマ…悪ぃ…心配かけたな。ふぅ……。
もう大丈夫だ。ごめんな、沢山泣かせて。ちゅ」


そう言われても、心が折れそうになってる僕は、
心配で堪らない。だから、手を握り締め声を掛けた。


「大丈夫じゃないでしょ……ぐすっ……
あんなに苦しそうにしてたのに……ぐすっ……
でも……何が起こったの?本当にもう大丈夫なの?」


アレクが1度、深呼吸してから僕と目線を合わせ、
「ちゅっ」と軽いキスをしてから話し始めた。


「突然、思い出が蘇ってきたんだ。
初めての出会いから、愛し合った日々。
別離して再会した日や、事件が起こった事。
ショウマは俺の唯一無二で最愛の存在なのに、
ある者のせいで強制的に記憶を封印されたんだろ」


「記憶が戻った」その言葉に吃驚したけど、
歓喜に震え、思い切りアレクに抱き着いて号泣した。


「ア゙レグぅ…うぅ…よがっだよぉ…うぅ…
倒れてから…うぅ…目を覚ますまで…ぐすっ…
毎日凄く辛かっだぁ…ぐすっ…のにぃ…うぅ…
今度は記憶喪失なんて…ぐすっ…心が壊れそうだっだぁ」


ショウマは心の奥底で強い不安を抱えていた。
倒れてから目を覚ますまでの毎日、
彼は孤独感と辛さに苦しんでいたのだ。

そして、今度は記憶を失ってるアレクにの状況に、
強い絶望感と恐怖心が襲い始めたのだ。

アレクは、泣きながら心情を語る、
ショウマの不安な心ごと包み込むように抱き締め、
(二度と辛い目に合わせない)と強く誓った。

しかし、アレクもまた、
記憶を失ったことで心の均衡を崩されていた。


「ショウマ、俺も辛かった……
自分の過去を失った不安、恐怖で息苦しかった。
でも、お前を愛する気持ちが心を支えていた」


アレクは優しくショウマの頭を撫でた。
そして漸く涙を拭き顔を上げた最愛と、
深いキスを交わした。

その後も、失った時間を取り戻すように、
暫くイチャイチャし、幸福に浸っていた。が。

僕はアレクの先程の言葉を唐突に思い出した。
「ある者に記憶を封印されてた」
確かにアレクはそう言っていた。
なのでガバッと起き上がり、その事を聞いてみた。


「ねぇ?ある者に封印されてたって何?」


そう聞いた瞬間、アレクの顔が般若のように歪んだ。
そして、体を震わしながら握り拳を作り、
地の底から響くような声で言葉を発した。


「ショウマ。俺の記憶を封印した奴は……。
多分、レディスティーナとかいう“運命の神”だ」

「……運命の神!?またアイツなの!?
二度と関わるなって言ったのに!またなの!?」


アレクの言葉に驚きつつも、僕は彼の怒りを理解した。
運命の神レディスティーナといえば、
以前の事件で僕達に多くの苦難を与えた存在だった。

アレクは荒い息をつきながら言った。

「奴は俺に試練を与える為、記憶を封印したのさ」

ショウマは驚きの表情でアレクを見つめた。
運命の神が、何を狙ってそうしているのか、
僕にはわからなかった。


「何でアイツはアレクの記憶を封印したの?
試練って何?
ただ僕達のアタフタする姿を見たいだけじゃないの!」


「さぁな。彼の求める未来ではなく、
俺が運命に逆らったのが許せなかったんじゃねぇか?
だから、お前との記憶を封印したんじゃねぇかな。
試練というのは、俺たちが苦しむ姿を
楽しみたかっただけじゃないか?
これは憶測かもしれんがな……
奴の狙いが何なのか、俺にはまったくわからない」


ショウマは驚きと困惑の表情を浮かべていた。
運命の神が再び現れるなんて、
予想だにしていなかった。


「もし本当に奴が僕達の運命を操っているなら、
どうするべきなんだろう?
運命の力に逆らったことで、
こんな苦しみを強いられるなんて…」


アレクは優しい笑みを浮かべながら答えた。


「俺は決して奴の言葉に惑わされない。
自分たちの道を切り開くんだ。
運命なんて、俺たちの意志の前ではただの幻想だ。
お前との記憶を封じられても、
俺は絶対にお前を忘れる事はない」


「そうだね、確かに僕達は強い絆で結ばれている。
僕も決して惑わされないし、
一緒に未来を切り開いていくよ」


アレクは優しい微笑みを浮かべたまま、
ショウマの手を握った。


「俺たちが共に歩む未来は、
奴がどんな悪戯を仕掛けてきても壊されることはない。
いつでも、ずっと、心は繋がっているんだ」

運命なんて、もはや彼らには幻想のように感じられた。
彼らが信じるのは、自分自身と相手への愛だけだった。

だけど、このまま振り回される人生は嫌だ。
そう思った2人は、運命神の暴挙を止める為、
フェリス様に会いに行こうと決心した。



時を同じくして、遠く空の上で嘲笑してる神がいた。
運命の神レディスティーナは彼らの行動を見ていた。


『愚かな子達よねぇ、つまらないわぁ。
私は激しい恋愛劇が観たいのよねぇ。
だから闇神の加護持ちを投入したのにぃ~。
死んじゃったじゃな~い。
私の愛し子には見向きもしないしぃ~!』


『……私を倒すですってぇ?あっははは!
人間風情が、神に勝てると思ってるのかしら?
それに、フェリス様には会えないわよ♡
グッスリお休み中ですものぉ~オホホホホ。
来るなら来なさい?直接相手してあげるわぁ♪
待っているわね?フェリス様の愛し子ちゃん♡』
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