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本編 最強冒険者

story133/ 第2王子乱入

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門がゆっくりと開き、城内への扉が現れた。
その上には王国の紋章が鮮やかに彫り込まれている。

僕はこの一歩に重みを感じて、
緊張と不安の入り混じった感情に揺れ動かされた。

城内に足を踏み入れると、
重厚な壁から漂う静寂が身体を包み込む。
守衛たちが冷たい目線で僕達を見ていることに気づいた。

僕達は招致された側なのになぜか冷たさを感じた。

やがて、謁見の間へと辿り着く。

僕達はフォルティエ領で起こった
悲惨な事件の容疑者を捕縛した事で、
国王様から褒賞を受けるため城へと参った

重厚な扉が開かれ、僕たちは中へと招かれた。
国王の目が僕らを捉える瞬間、
時間が一瞬止まったように感じられた。

謁見場の中には屈強な騎士達や、
高位貴族だと思われる面々が厳粛な姿勢で立っていた。

中には上から目線で僕たちを見下すような人々もいた。
彼らの顔には傲慢さと高慢さが滲み出て見えた。

国王陛下は威厳に包まれた姿で座っていた。
彼の眼差しは
厳しさと懐疑の念を含んでいるように思えた。

その表情に、
僕は胸の内の緊張感が最高潮に達したことを感じた。

そして、御前まで進み、
胸に手を当て膝まづき頭を垂れた。

国王の声が響き渡った。

「面を上げよ。ショウマ・アマギよ。
お主の働きは称賛に値する。
それによってフォルティエ領並びに、
ウォルデン王国の治安は回復された」

と言われた時、僕は一瞬、安堵の感情に包まれた。

しかし、その途端
「田舎の領地如き」「平民風情」等と、
一部の貴族が小馬鹿にしたような言葉を呟き、
彼らは僕達を見下し、笑い声を上げた。

その瞬間、僕の心には憤りが沸き起こった。
国王陛下も顔色を変え、目を細めた。

「言葉を慎め!私の前で冷やかしの笑みを浮かべるなどという軽薄な態度は許されない」

と厳しい口調で言った。

一瞬にして、
謁見場には緊張感が満ちた空気が広がった。

国王陛下は威厳を取り戻し、再び言葉を紡いだ。

「お主の行動は立派だ。
私たちは領民の安全を守るために在るのだ。
武勇を認め、褒賞を与える」

「有り難き幸せ。感謝致します」

国王陛下は満足げに頷き、手に持つ袋を差し出した。

「この金貨を褒賞とし、お主の功績を称えよう。
また、もし何かを必要とする事があれば、遠慮なく申せ。
領民の安全は私の最優先事項であり、
お主の勇気がそれを証明してくれたのだからな」

僕は感謝の念を込めて袋を受け取り、再び頭を下げた。

「心よりお礼申し上げます。私はこれからも、
一国民として出来うる限りの事をしていきます」

国王陛下は微笑みながら僕の言葉に答えた。

「その言葉に期待している。
お主の意気込みは見習うべきものだ。
どうか領民の安全と繁栄のために力を貸してほしい」

そしてまた頭を垂れてから、その場を辞そうとしたら、
アレクが突然陛下に話し掛けた。

「ウォルデン国王陛下。発言を宜しいでしょうか」

「其方は、フォルティエ辺境伯三男
アレクレス・フォルティエかな?良い申せ」

発言を許されたアレクは、
僕から金貨の入った袋を受け取り、
陛下に捧げながら言葉を発した。

「は!有り難き幸せ。僭越ながら申させて頂きます。
この街に蔓延る貧民街を購入させて頂きたいのです」

そう言った瞬間、周りが騒然としたが、
陛下の「静まれ!」の一言でピタッと止まった。
それと同時に、背中に悪意に満ちた鋭い視線を感じた。

僕は「ビクッ」と体が揺れたが何とか平然を装い、
頭を垂れたまま、陛下の言葉を待った。

「うむ。貧民街のう……何か壮大な話しかな?
“祈りの光”の件もあるし、この後別室で話そうかの」

僕達は緊張の中、深く頷いた。
陛下も瞬時に思案し、僕たちは別室へと移動した。
そこには、宰相や側近たちも同席していた。

錚々たるメンバーに僕は緊張しまくりながらも、
スラム街再建計画の話を説明した。

陛下はじっと僕を見つめ、少し考えた後、
満ち溢れる優しさと決意を込めて言った。

「私たちは人々の幸せを願う者であり、
この計画に賛同しよう。
国の予算を振り向け、全面的な支援を行おう。
この再建計画を成功させ、貧民街の人々が
新たな道を歩めるようにしようじゃないか」

宰相さんも側近さん達も一同頷いてくれたので、
安堵して「ホッ」と息を吐いた瞬間、
目をキラキラさせた陛下に話し掛けられた。

「して、ショウマ君は、
神の愛し子様とお見受けするが、どうかな?
それと、“召喚された聖女“ではないかな?
先日の“祈りの光”は其方の力であろう?」

そう言われた瞬間、背中に冷や汗が流れた。
(きた!その話題!どうしよう……)
僕は狼狽えて言葉を詰まらせた。

そして1度深呼吸をし、
慌てずに答えを考えなければと自分に言い聞かせた。
だが、どうしても言葉が浮かばない。
陛下の鋭い眼差しを感じながら、
頭の中は一瞬にして真っ白になってしまった。

そしたらアレクが僕を背に庇いながら発言した。

「陛下。それについては私から申します。
彼は、神の愛し子では有りますが、
召喚された聖女では有りません」

アレクがそう否定の言葉を口にしたあと、
陛下や宰相さん達が「あはは」と笑いだし、
僕達に優しく笑い掛けながら言葉を紡いだ。

「ショウマ君からは、影からの報告の他に、
神聖な神の力を感じるので聞いてみただけの事。
心配せずとも王宮で囲ったりせんから安心せよ。
ただ、よからぬ事を企む連中も居るので気を付けよ」

僕は陛下の言葉に心が震え、
同時に驚きと感謝の念が胸に広がった。

その後、再建計画の話をしながら談笑してたら、
廊下をバタバタ走る凄い足音が響いてきた。

その音は僕達のいる談話室前で一旦止まり、
「何?」と思う暇もなく勢い良く扉が開かれた。

現れたのは、茶髪に茶目のやせ細った青年だった。

そして(何だコイツ)と訝しんで見ていた僕の耳に、
(第2王子だ)というアレクの呟きが聞こえてきた。

そして、突然現れた第2王子は、
陛下や宰相さんが止める手を振り切り、
「私の愛しき者よ」と言いながら迫ってきた。

僕は目線で目的の人物が分かったので、
吃驚しているアレクを横目にソファから飛び退いた。

「ああ!ずっと其方を待っていたのだ!
美しき聖女よ!やっと召喚に応じてくれたのだな!」

迫り来る勢いそのままにガバッと相手を抱き締め、
視線を陛下と宰相様に向け、

「父上、母上、私の婚約者を紹介致します」

第2王子は自信満々に言った。
周りの人々は驚きの表情を浮かべる中、
僕は被害者に(ごめん)と心の中で謝った。

陛下の眉間に深い皺が寄り、
宰相様は驚愕した表情を見せた。

僕は陛下達の視線を感じながらも、
第2王子を目に捉えたまま成り行きを見守った。

「誰と誰が婚約者だと……?」

「それは、私と聖女殿ではな…いです…か…」

「「…………」」

そこでお互い顔を見合わせ、暫し沈黙。

そして、この後、目の前で繰り広げられる
“王子と聖女?の王宮恋物語“がスタートした。
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