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本編 最強冒険者
story107/ ヨウマ・フェリアスへの命令
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目の前で自慰を見せつけられたその日の夜、
僕は昼間の罰としてアレクが寝るまで傍に控えていた。
そして「寝る前に何か物語が聞きたい」
というリクエストに応じて、
日本の昔話を話して聞かせた。
「では、聞いて下さいね。この物語の主人公は、
山に住む“サル”と“カニ”です。
この2匹はとても仲が良く、いつも一緒にいました。
しかし、ある日を境に2匹の間に争いが生じました」
「喧嘩しちゃったのか。それで?」
「最初の争いは食べ物を巡って起こりました。
サルは山の果実を沢山食べる事が出来ますが、
カニは川や海の物しか食べられません」
「それはそうだろうな。うんうん」
「ふふふ。それでも果実が食べたいカニは
サルに果実を催促しましたが、
サルは食べ物を分ける事を拒みました。
それ以来、食べ物を巡って争う事になりました」
「カニは果実を食べれないから、拒否したんだな」
「次に争いが起こったのは、住む場所です。
サルは木の上に住み、カニは川や海で暮らしてます。
2匹は巣を作る場所を巡り、争いが勃発!」
「今度は住処を巡って争ったんだな。それで?」
「サルは自分の木を守るためにカニを攻撃し、
カニは自分の川や海を守るためにサルに攻撃。
2匹の間には激しい戦いが展開されました」
「お互いの縄張りを死守する為だな。うんうん」
「争いは次第に激化し、
山中はサルとカニの戦いの跡で埋め尽くされました。
周りの動物たちは2匹の争いに巻き込まれ、
どちらが勝つのか注目していました。
でも、争いに明確な勝者は存在しませんでした」
「へぇ。決着つかなかったのか」
「2匹は争いが愚かなことに気づいたのです。
お互い助け合って生きる事の大切さを知るのです。
争いを終わらせ、和解するために二匹は団結し、
それ以来、前より仲良くなりました。おしまい」
「…………フェリ(俺達の事言ってるのか?)」
「ふふふ。この物語は、
争いが喜びや幸せをもたらすのではなく、
ただ無駄な衝突や痛みをもたらすだけだという
事を伝えているのです。
争いの中で団結し、
協力することが大切であることを教えてくれてます」
「…………ああ」
「婚約者様と仲違いしていると伺いました。
お2人が和解し、共に幸せになれるよう祈ってます」
「……ありがとうフェリ(ああ。幸せになろうな)」
「ふふふ。さあ、お休みになって下さいね。
眠るまでお傍におりますから」
「ああ。お休みフェリ、また明日」
そう言ったあと、部屋は静まり返り、
暗闇が広がってる中、徐々に寝息が聞こえてきた。
眠ったのを確認してから従者部屋へ戻り、
その場にテントを建て中で寛いだ。
部屋のベッドが硬すぎてさぁ~寝ずらいんだもん。
しかも朝から自慰の音とか聞いてられないしね!
「ふぅ。中々ハードな1日だったなぁ~
いきなり目の前でオナニするとか正気なの!?
“ショウマを愛してる“とか言いながら、
僕の前で痴態晒してさ~!浮気?浮気なの!?」
(いや、浮気……サヨナラしてるから違う?
まさか、ショウマより僕に惚れたとか~?
“最高の癒し”とか言ってたよね?
…………そんなにアレクって惚れっぽいの?)
「まさか……僕がショウマだって気付いてる?
でも、バレるような事してないよね?
ピアスだって隠してるし、魔力だって……
…………考えても分っかんないぃ~!
もう風呂入って寝よう~っと。また明日ねアレク」
そのあと風呂入って就寝した僕は、
翌朝目覚めと共に行動開始した。
アレクを起こし、朝食のお世話、
たまにちょっかい掛けられるのを躱しながら、
執務のお手伝い。
そして夕飯のお世話をして、
就寝するまで傍に控え物語を聞かせる。
このルーティンで従者として日々を過ごしていた。
あ!因みに入浴のお世話は無くなったよ!
セバスさんが「業務外」だって言ってたからね。
その話をセバスさんにしたら
アレクがめちゃめちゃ説教されてて笑っちゃった。
そんな忙しくも充実した日々を過ごしていたら、
例の“人が忽然と姿を消す”という事件の調査が進み、
解決に向けて動き始めた。
Aランク冒険者としてパパから指示され、
アレクが行く事になったんだけど、
その命令には僕も含まれていた。
「フェリアス。
Bランク冒険者としてアレクに同行しろ。
これは命令だ、異論は認めない。
お前が参加する意味は……後程エクシェルから聞け。
この件の指揮を執ってるのはエクシェルだからな。
アレクレス、フェリアスよ。行ってこい」
僕が強制的に参加せざるを得ない理由は……
たぶんBランク冒険者だからじゃないだろう。
ハッキリ言われなかったけど、すぐに分かった。
それはアレクも一緒だったみたいで、
パパに猛抗議してたけど、結局行く事になった。
「すまない。家に居るよう言ったのに結局……」
そうアレクに謝られたけど、
僕が協力する事で事件が解決するなら何でもするよ。
「アレクレス様が謝る必要は御座いませんよ。
私が“”囮“”になる事で事件が解決するなら、
やってみせますよ。完璧な囮役をね。
だから、そんな顔しないで下さい。
これでも結構強いんですよ!大丈夫です!ね?」
そう言っても未だ納得出来ないようで、
眉間に皺を寄せて唸ってる。
アレクが納得出来なくても、遂行しなきゃいけない。
だから、エク兄様の所へ行き話しを聞く為、
彼の手を引いて屋敷の厩舎まで行き、
馬に乗って騎士団詰所まで向かった。
(従者しながら乗る練習して良かったよ……)
そんな僕達の後ろを気配を消し追跡してくる影が複数。
僕もアレクもすぐに気付いたけど、
知らないフリして馬を走らせた。
そして、騎士団詰所までもう少し!というところで
馬が突然暴れだし、僕は地面に放り出された。
砂埃が舞い上がり、
耳には馬の荒々しい鳴き声が響き渡る。
驚愕と恐怖が体中を駆け巡ったが、
怪我をしないように必死で身を守った。が……
次の瞬間身体に激痛が走り(やられた)
そう思ったが時すでに遅し……
薄れゆく意識の中最後に見えたのは、
僕を襲った連中と激しい戦闘をするアレクの姿だった。
僕は昼間の罰としてアレクが寝るまで傍に控えていた。
そして「寝る前に何か物語が聞きたい」
というリクエストに応じて、
日本の昔話を話して聞かせた。
「では、聞いて下さいね。この物語の主人公は、
山に住む“サル”と“カニ”です。
この2匹はとても仲が良く、いつも一緒にいました。
しかし、ある日を境に2匹の間に争いが生じました」
「喧嘩しちゃったのか。それで?」
「最初の争いは食べ物を巡って起こりました。
サルは山の果実を沢山食べる事が出来ますが、
カニは川や海の物しか食べられません」
「それはそうだろうな。うんうん」
「ふふふ。それでも果実が食べたいカニは
サルに果実を催促しましたが、
サルは食べ物を分ける事を拒みました。
それ以来、食べ物を巡って争う事になりました」
「カニは果実を食べれないから、拒否したんだな」
「次に争いが起こったのは、住む場所です。
サルは木の上に住み、カニは川や海で暮らしてます。
2匹は巣を作る場所を巡り、争いが勃発!」
「今度は住処を巡って争ったんだな。それで?」
「サルは自分の木を守るためにカニを攻撃し、
カニは自分の川や海を守るためにサルに攻撃。
2匹の間には激しい戦いが展開されました」
「お互いの縄張りを死守する為だな。うんうん」
「争いは次第に激化し、
山中はサルとカニの戦いの跡で埋め尽くされました。
周りの動物たちは2匹の争いに巻き込まれ、
どちらが勝つのか注目していました。
でも、争いに明確な勝者は存在しませんでした」
「へぇ。決着つかなかったのか」
「2匹は争いが愚かなことに気づいたのです。
お互い助け合って生きる事の大切さを知るのです。
争いを終わらせ、和解するために二匹は団結し、
それ以来、前より仲良くなりました。おしまい」
「…………フェリ(俺達の事言ってるのか?)」
「ふふふ。この物語は、
争いが喜びや幸せをもたらすのではなく、
ただ無駄な衝突や痛みをもたらすだけだという
事を伝えているのです。
争いの中で団結し、
協力することが大切であることを教えてくれてます」
「…………ああ」
「婚約者様と仲違いしていると伺いました。
お2人が和解し、共に幸せになれるよう祈ってます」
「……ありがとうフェリ(ああ。幸せになろうな)」
「ふふふ。さあ、お休みになって下さいね。
眠るまでお傍におりますから」
「ああ。お休みフェリ、また明日」
そう言ったあと、部屋は静まり返り、
暗闇が広がってる中、徐々に寝息が聞こえてきた。
眠ったのを確認してから従者部屋へ戻り、
その場にテントを建て中で寛いだ。
部屋のベッドが硬すぎてさぁ~寝ずらいんだもん。
しかも朝から自慰の音とか聞いてられないしね!
「ふぅ。中々ハードな1日だったなぁ~
いきなり目の前でオナニするとか正気なの!?
“ショウマを愛してる“とか言いながら、
僕の前で痴態晒してさ~!浮気?浮気なの!?」
(いや、浮気……サヨナラしてるから違う?
まさか、ショウマより僕に惚れたとか~?
“最高の癒し”とか言ってたよね?
…………そんなにアレクって惚れっぽいの?)
「まさか……僕がショウマだって気付いてる?
でも、バレるような事してないよね?
ピアスだって隠してるし、魔力だって……
…………考えても分っかんないぃ~!
もう風呂入って寝よう~っと。また明日ねアレク」
そのあと風呂入って就寝した僕は、
翌朝目覚めと共に行動開始した。
アレクを起こし、朝食のお世話、
たまにちょっかい掛けられるのを躱しながら、
執務のお手伝い。
そして夕飯のお世話をして、
就寝するまで傍に控え物語を聞かせる。
このルーティンで従者として日々を過ごしていた。
あ!因みに入浴のお世話は無くなったよ!
セバスさんが「業務外」だって言ってたからね。
その話をセバスさんにしたら
アレクがめちゃめちゃ説教されてて笑っちゃった。
そんな忙しくも充実した日々を過ごしていたら、
例の“人が忽然と姿を消す”という事件の調査が進み、
解決に向けて動き始めた。
Aランク冒険者としてパパから指示され、
アレクが行く事になったんだけど、
その命令には僕も含まれていた。
「フェリアス。
Bランク冒険者としてアレクに同行しろ。
これは命令だ、異論は認めない。
お前が参加する意味は……後程エクシェルから聞け。
この件の指揮を執ってるのはエクシェルだからな。
アレクレス、フェリアスよ。行ってこい」
僕が強制的に参加せざるを得ない理由は……
たぶんBランク冒険者だからじゃないだろう。
ハッキリ言われなかったけど、すぐに分かった。
それはアレクも一緒だったみたいで、
パパに猛抗議してたけど、結局行く事になった。
「すまない。家に居るよう言ったのに結局……」
そうアレクに謝られたけど、
僕が協力する事で事件が解決するなら何でもするよ。
「アレクレス様が謝る必要は御座いませんよ。
私が“”囮“”になる事で事件が解決するなら、
やってみせますよ。完璧な囮役をね。
だから、そんな顔しないで下さい。
これでも結構強いんですよ!大丈夫です!ね?」
そう言っても未だ納得出来ないようで、
眉間に皺を寄せて唸ってる。
アレクが納得出来なくても、遂行しなきゃいけない。
だから、エク兄様の所へ行き話しを聞く為、
彼の手を引いて屋敷の厩舎まで行き、
馬に乗って騎士団詰所まで向かった。
(従者しながら乗る練習して良かったよ……)
そんな僕達の後ろを気配を消し追跡してくる影が複数。
僕もアレクもすぐに気付いたけど、
知らないフリして馬を走らせた。
そして、騎士団詰所までもう少し!というところで
馬が突然暴れだし、僕は地面に放り出された。
砂埃が舞い上がり、
耳には馬の荒々しい鳴き声が響き渡る。
驚愕と恐怖が体中を駆け巡ったが、
怪我をしないように必死で身を守った。が……
次の瞬間身体に激痛が走り(やられた)
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