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本編 最強冒険者

story98/ 貴族と平民

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「………………!?」

(驚き過ぎて思考止まったよ!今なんて言った?
“”ユリウス様、アレクレス様“”って言ったよね)

そんなビックリ発言を聞いて、
その場でオロオロしてたら、中から声が聞こえた。


「ニクス、アレクレスは乗って居ませんが?
全くお名前間違えるなど失礼ですよ?
今降りますが、すぐ直せますか?」


「は!大変失礼致しました!
前辺境伯様、御無礼お許し下さいませ。
車輪の交換は直ぐに終わります!
手伝って頂ける方が居りますので」


ユリウス兄様の一言にまたもや驚愕した。
「アレクレスは乗って無い」そう言ってたから。
そして更にニクスの一言に驚愕ですよ!
「前辺境伯様」それってアレクのお爺ちゃん!?

1度ならず、2度3度と驚かされて固まってたら、
馬車の扉が開いて、お兄様と男性が降りて来た。


(え?アレク?ん?ちょっと違う?んん?
は!まさか……この人がお爺さんなの!?)


そう思ったのは無理もないと思うの。
馬車から降りて来た男性がアレクそっくり!
違うのは、目の色と、雰囲気だけなの!

その2人以外、誰も降りて来ないから、
この方が“”前辺境伯様“”だと思うんだけど……

全然お爺さんじゃないの!若々しい顔立ちに、
健康的な肌!「何歳ですか!!」って、
思わず叫びたくなるようなお姿なのです!

“”アレクが歳取ったらこんな感じなのかな“”と
驚きながらも見つめていたら目が合った。

別に悪い事してる訳じゃないのに、
目が合った瞬間“”ビクッ!“”としてしまい、
何故か戸惑ってしまったの。

そんな風に戸惑いながらも固まって居たら、
話し掛けられた。


「君が手伝ってくれるのかな?
すまないね、旅の途中だったのかな?」


「あ、あの!旅の途中ですけど、大丈夫です!
す、すぐに直しましゅ!」

(何故か緊張して噛んじゃったよ!ハズイ……)


アレクに似た顔で、アレクに似た声で、
僕を見つめ、話し掛けてくるから、
脳内パニックでオロオロしてしまったが、

何とか手と足を動かし、修理作業の手伝いを行った。
でも、馬車なんて触った事も乗った事も無いし、
車輪の構造なんて分かんないから、
ニクスに言われる通りに身体を動かしただけ。

それでも、無事作業が終わったので、
「ホッ」と息を吐いてから立ち上がり、
この場所から退散しようと思って、
挨拶する為振り向き口を開いた瞬間遮られた。


「もう「前辺境伯様、ユリウス様、修繕完了致しました。馬車にお乗り下さいませ」


ニクスが僕の口を手で塞ぎ、喋れないようにした後、
2人にそう言って馬車へと促した。

そして2人が乗り込んだのを確認した後、
御者に出発するよう声を掛け、走り出したあとで、
漸く口から手を離してくれた。

僕はニクスがそうした意味が分からず、
頭の中は????状態で混乱していたけど、
次に言った言葉に目を見開いて驚いた。


「さぁ、話しをしようか。
君はショウマの知り合いか?
その鞄はどうした?盗んだのか?貰ったのか?
なぜ馬車も持ってないヤツが、
車輪の予備なんか持ってる?
返答次第じゃ衛兵に突き出すぞ?」


「え?何言ってるの?この鞄は僕のなのぉ~!
盗んでも、貰ってもないのぉ~!
車輪はユアゾンで買ったのぉ~!
ニクスなんでそんな事言うのぉ~!?酷~い!」


「……ユアゾンから買っただと!?
いや、その鞄はショウマのだろ?
まさか、お前転生者なのか……?」


「だから、僕のだって言ってるでしょ~?
転生者同士だね?って話ししたでしょ~?
ニクスもう忘れたのぉ~?
同じ日に車に跳ねられて死んだでしょ~?」


「……は?え?お、お前ショウマ本人か!?
いやいやいや、顔も声も違うだろ!
背は……まぁ、前より少し高いか?
ちょ、ええ!何で変身してんの??」


「あ!容姿変更してたんだっけぇ~!
そうそう♪ショウマ本人だよぉ~♪
変身したのは……天界で神様にやられた……」


「神様がやったのかよ!それじゃ全然別人じゃねぇか。
えー、ああ!話し聞きたいからお前着いてこい!」


「えええ!バイクで行こうとしてたのにぃ~」


そう文句を言ったらギロッと睨まれたので、
大人しくついて行くことにした。
歩きじゃなく、馬車に追いつくように走ってね。

まだそんなに離れてなかったので、すぐに追いついた。
そして、馬車の後ろを歩くニクスの横に並び、
話しをしなから街道を一緒に歩いた。


「ねぇ、ニクス。さっき何でアレクの名前呼んだの?」


「あ?いや、あれはな……普通に間違えたんだよ。
あのお方の名前が“”カレクリス“”なんだよ。
んで、あの顔と声だろ?それで間違えた」


「“”カレクリス“”に“”アレクレス“”あははは!
めちゃくちゃ似てる!顔と声ソックリだしね!」


「そうなんだよなぁ。まだ偶に間違えんだよ。
それで?翔馬はフォルティエに行くのか?
それも、アレクレスに内緒で」


「フォルティエへ行くよ♪アレクには内緒ねぇ?
この姿で行って、僕だって気付くと思う?」


「ん~。パッと見は絶対気付かんだろうな。
魔力を探らないと、多分誰も気付かんぞ?
あ、でも持ち物で分かるんじゃないか?」


「誰にも気付かれ無いのは寂しいなぁ~。
アレクが僕だって分からなかったら、
ケツ叩こうと思ったけど、やめた~」


「ん~。というかな、
フォルティエ家の皆んなには会えないとおもうぞ。
仮にもあっちは貴族だろ?お前は平民だしな……
俺が“”会わせてやる“”なんて言えないし……」


その言葉を聞いて「そうだった……」と思った。
そうだよねぇ……アレクってお貴族様だった……

あれれぇ~?
そしたら、フォルティエへ行ってもムダなのか……


「そっか……そうだったよね……」


じゃあ、“”気付く気付かないか“”の前に、
“”会えるか会えないのか“”って事か……

だから、転移出来ないようにしたのかな……
アレクと僕じゃ立場が違うもん……
それに、“”ヨウマ“”だと
フォルティエ家と接点無いもんなぁ~


「あ……すまん。余計な事言っちまったな。
ユリウス様に会わせて貰えないか聞いてやるか?」


「え…?いや、そんな事しなくて良いよ!
何か方法……はは……そんなの無いかぁ~」


これは「一方的にサヨナラ」した僕への罰かな?
アレク、僕は君に会う事が叶わないみたいだ……

でも、僕は諦めないよ……
何か方法を見つけて、君に会いに行くから……

それがどれほど難しいことでもね。
どれほど遠くに君がいても。
僕たちが再び巡り会える瞬間を信じているから。

時には心が折れそうになることもあるかもしれない。
孤独や寂しさに包まれる瞬間もあるかもしれない。

だけど、僕はアレクを愛している。
それだけで、僕は強くなれるんだ。
君に会いたいという思いが、僕を前に進ませてくれる。

遠回りをしても構わない。
ただ、アレクに会いたい。
アレクの声を聞きたい。
アレクに触れたい。

ただ、現実は厳しい。
君との距離が遠くなればなるほど、心は痛む。

遠回りをしてでも、いつか君に会いたい。
君との時間を共有したい。
一緒に笑い合い、涙を流したい。

僕は今でもアレクを愛している。
君の存在が、ただそこにあるだけで、
僕に明日への力を与えてくれるんだ。 

だから、僕は前に進む。
君に会うために、心の奥底から努力し続ける。
だって、アレク…貴方がいるから。

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