腐男子、転生したら最強冒険者に溺愛されてる

玲央

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本編 最強冒険者

story94/ グレンとは友達だから

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ギルドの裏手でシェリーさんと色々話した後、
話しの内容について1人悶々と考え込んでいた。

「アレクと1度話し合って来る」と決めたけど、
容姿が変わった事で気付かれないかもしれない……
「ならばどうすればいい?」とそんな事を
グルグル考えて居たら、
この場所に近付いてくるグレンの気配に気付いた。

「2人きりにならない方がいい」
そうシェリーに言われた事が頭を駆け巡ったが、
色々考えてて逃げ出すタイミングを逃してしまった。

グレンはゆったりと近付きながら、
「……ヨウマ、こんな所で何やってるんだ?」
と落ち着いた様子で話し掛けて来た。
僕は少し戸惑いながらもグレンと会話をした。


「さっきまで知り合いと話ししてたの……
グレンはどうして此処に来たの?」


「………知り合い…先程の黒髪の青年か。
俺は…こっちからヨウマの気配を感じたのでな」


「そう。黒髪のね、シェリーさんって言うの。
僕の気配辿って来たの?何か用事あった?」


「………いや、その…用事は無いんだが……
何故こんな所に居るのか気になってな……
済まなかった。邪魔してしまったか?」


確かに、こんな所に居たら気になるよね(笑)


「話しは終わってるし、邪魔じゃないよぉ~」


「………それなら良いのだが………
(緊張して上手く喋れんな。何か会話……)
…………あ、あの青年と大柄の男は
Aランクパーティだったか?
不思議なゴーレムの乗り物に乗ってるよな」


ふふふ。ゴーレムの乗り物ね。
アレクは初めて見た時抜剣してたなぁ~


「あれね、トライキーっていうんだぁ~。
僕の国の乗り物でね、ユアンさんに売ったの。
それと、ゴーレムじゃなくて魔導具だよぉ~」


トラちゃんに乗ってワイルドなアレクに
“”きゃあきゃあ“”言ってたっけ……
背中に抱きつけないから不貞腐れたんだよねぇ~。


「………な!?アレが魔導具なのか!
ヨウマの国は凄いんだな。出身は何処なんだ?」


出身……グレンに言っても大丈夫かなぁ~?
別に隠して無いけど……
プライバシー晒して平気かなぁ?


「………いや、その答えたく無いのなら……
話す必要は無いんだ……すまない」


そんな申し訳無さそうに言わなくても……


「別に隠してないからイイよォ~。
出身は、日本国。知らないでしょ?
この国から遥か彼方にあるんだぁ~」


「………ニホンコク?…何処かで聞いたような
………遥か彼方の遠い国……」


え!?日本を何処かで聞いたって何!?
まさか、僕とニクス以外にも転生者がいるの!?


「へ、へぇ。何処かで聞いたんだぁ~。
グレンって王都出身だったよねぇ?
王都のギルドに日本を知ってる人がいた…とか?」


「………いや。俺は王都出身だが、
冒険者になったのは最近なんだ。
元々は王宮務めの近衛騎士をやっていたんだ」


!?!?……まさか王宮の元近衛騎士なんて!!
何その凄い経歴!何でそんな人が冒険者やってんの!?
驚き過ぎて目が飛び出たんだけどぉ~!


「そんな凄い所に務めてたのに、
何で冒険者やってるのぉ~?虐めとかぁ~?」


「………ああ。辞めたのは……そのな……んー」


「あ!ごめんね?それこそ不躾な質問だったよ。
言えない事情とかあるよねぇ」


その言いにくくしてる時点で相当な理由でしょ?
聞かない方がいい!
って直感で感じるから言わなくていいよ!


「………いや、言っても良いのだが。
恥ずかしい話でな……
少し前に王宮から御触が出たのは知っているか?
“”聖女現る、見つけ次第王宮へ“”という御触」


「!?……聖女召喚……のね……知ってるぅ」


その探されてる聖女って僕だって言われたよ!
あの大氾濫の時に!森で!僕は違うけどね!
まさか此処でもその話を聞くとは~!!
召喚失敗したんでしょ!?現れてないから!


その後グレンが話す内容を聞いていたんだけど、
おバカ王子様が強引に行った
禁忌魔法の聖女召喚の責任を取らされて、
辞職せざるを得なかったらしいよぉ~。

近衛騎士数名と、魔法士数名、侍従とか……
まぁ、関わった者達が王宮を追われたんだってぇ。
で、元凶の第2王子様は
離宮に幽閉されてるんだってぇ~。

禁忌犯しといて、離宮に幽閉なんて甘くない?
王子の地位返上して除籍とかさぁ~
そこまでしないと罰にならなくない?


そんな話しをギルド裏手でしていたら、
ユアンさんと一緒にシェリーさんが来た。

来た。と言うよりは、
憤怒してるユアンさんを追っかけてる感じ何だけどね。

んもう、デカいし威圧感凄いから怖いんだけど!
目線は僕に向いてるしぃ~(汗)
アレクとの話しを聞いて怒って文句言いに来たのかな。

ドシンっ、ドシンっ、ドシンっ、ドシンっ!

言いたい事あるなら、ちゃんと聞くから
そのまま突進して来ないでよね!
歩く度に足元に穴空いてるんだけど!!


ガバッ!ぎゅうぅぅぅ!

「!?ユアンっグェェェェェ……」
(苦しい!ヤバっ首締まってるって!!)


「!!ヨウマ!(顔が青くなってる!!)
君、少し腕を緩めないと彼が死んでしまうっ!」


「ユ~ア~ン~!!やめるっすぅぅう!!」


(死ぬ死ぬ死ぬ!息がぁぁあ!
ユアンさんの大胸筋で窒息死とかイヤだよ!
アレクの大胸筋ならイイけど!!)


大胸筋に押し潰されて苦しく藻掻きながらも
そんな事をツラツラ考えてたら、
漸く解放された……


「ヒュッ!ガハッ、ゴホッゴホッゴホッ……
ぐ、るじ、がっだぁっ、ゲホッ、オ゙エッ。
なっにするっんですがぁ!!殺す気ぃい!?」


「ガッハッハッ!悪ぃ悪ぃ!加減出来んくて!
んで?話し合いは明日行くのか?今日か?
なんならついて行くぞ!トラ坊でな!」


「……ヨウマ、大丈夫か?立てるか?
(話し合いとは?ヨウマは何処かへ行くのか?)」


「グレイン、ショウマ君は大丈夫っすよ。
オレの恋人がやらかしたんで任せるっす」


グレンが僕を抱き起こそうとしてたのを
シェリーさんが阻止して、立たせてくれた。

その時チラッと見えたグレンの表情が、
悔しそうに歪んでいて、
目には悲しみが宿っているようにみえた。

眉間に深い皺を寄せて、唇を引き結んでいる。
その表情が物語るのは何なのだろうか……

そう思ったが、
聞いてはいけない気がして、僕は口を噤んだ。

その後シェリーさんに支えられながら、
ユアンさんと、話し合い決行日は何時にするか?
という会話をした後、裏手から出た。

その時にはグレンの表情も戻っていたので、
普通に会話し、用事があるという彼と別れた。

そのあと僕は街のお手伝い依頼を受けたが、
これが結構楽しかったんだよねぇ~

だから、次の日から街のお手伝い依頼を
積極的にこなしていたの。

朝、アレクの様子を見、
その後ギルドへ行き依頼を受ける。

その時は1人で受けたり、シェリーと受けたり、
ユアンも交えて3人で受けたりと、
そんな毎日を過ごしていたんだけど……

あの日「用事がある」
といって別れたグレンとは会う事がなかった。

そのグレンが僕の前に現れたのは、
アレクの元へ行こうと決めてた日の前日だった。
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