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sidestory ユアン×シェリー編

sidestory ユアンの奮闘

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俺は本当に大馬鹿者だったんだよ……
今思い出しても情けなくて泣けてくるぜ。

「距離を置こう」と言われた俺は
必死に縋ったが、全く相手にされず、
シェリーの植物魔法で
ぐるぐる巻きにされて、
その場に放置されてしまった。

そこに、偶然通り掛かったアレックスが居て、
俺を凝視した後、指を差して笑いながら近づいて来て


「あははは!なっんで蔦でぐるぐる巻きになってんだ?
んで?お前1人で遊んでんの?あははは!」


「うるせぇよ!放っとけよ!!
あ!やっぱり蔦を外してくれ!」


「あ?何かやらかしたから、
そんな事になってんだろ?仲間割れでもしたのか?
ま、俺には関係ねぇしなぁ~」


「ちょ、ちょっとしたアレだ!意見の食い違いだ!
な、なあ頼むよ。俺まだ怪我も完治してねぇしよ。
あ!ほら、飯奢ってやっから!」


恋人に拒絶されて放置されたなんて言いたくなくて、
必死に言い訳したら呆れながらも蔦から解放してくれた


その後、アレクレスを飯屋まで連れてったんだけどよ、
奢るとか言っときながら金無くてなー。
結局奢ってもらっちまったんだよ。

飯屋では、色々な話しをしたんだよなー
その中で1番聞いて欲しかった
シェリーの話しをしたんだよ。


「8歳から一緒にパーティ組んで
冒険者活動してきた奴がさっきの黒髪の男でな、
ちょっとしたすれ違いで
5年間の絆が解消しちまったんだよ。
俺はな、シェリーじゃないとダメなんだよ……
なあ、どうしたらパーティ復活出来ると思う?」


「あ?5年間ねぇ。
そのシェリーって奴が怒ってる理由は
何かわかってんのか?
それを解決しないと復活なんて無理だと思うぞ?」


「理由か?それがわかんねぇんだよ。
治療院で治療してたら、いきなり怒り出してよ。
いつも完治するまで傍に居てくれるのによー
怒って飛び出して行ったまま戻って来ねぇし、
見舞いにも来やがらねぇでよー。
そんで頭に血が上っちまって、
市場で喧嘩してたんだよ」


「ふ~ん。ソイツが何に怒ってるかは
本人にしかわからんから何とも言えんが、
お前の性格に嫌気がさしたんじゃねぇの?
暫く離れてみたら、何かわかるかもしれねぇよ?
パーティ結成しないで、ソロで頑張ってみれば?」


「俺の性格なんて、昔っから変わってねぇよ。
それに、暫く離れたくねぇから困ってんだぞ?
あとな、俺はソロに向いてねぇんだ。
魔力が少ないしな、拳と剣で冒険者やってんだ。
だからよ、接近戦専門だから怪我ばっかりよ!」


「ふ~ん。今でもソロに向いて無いのか?
そんな図体デカくて、拳と剣の戦闘力あれば
魔力少なくてもソロでやってけんじゃね?
俺の父親も魔力少なくて、拳と剣専門なんだけど
フォルティエ領で騎士団長してるぜ?
それとさ、お前の使ってる武器合ってねぇんじゃね?」


「あ?武器が合わないって何だよ?
俺はずっとこの剣でやってきたんだぞ?」


「お前の持ってるのが、体格に合わねぇんだよ。
そんな図体して、力強いならさ、
長剣じゃなくて、大剣にしてみたらいんじゃね?
少し高くなるけど、魔法剣にしてみるとかさ。
それなら少ない魔力でも扱えるぞ?
で、慣れればソロでもやっていけるぜ?」


そんな事を教えてくれたアレックスの助言通り、
次の日武器屋に行ってみようと思ったが……

手持ちが無かった俺は、
アレックスに必死に頼み込み
一時的にパーティを組んで貰い、
大剣を買う為の資金繰りに奔走したんだ。

アレックスとのパーティ活動は、
資金繰りには一役買ってくれたが、
時間が経つにつれて俺はますます忙しくなっていった。
大剣の購入を目指して、
モンスター討伐やクエストを連日こなし、
各地を駆け回った。

ある日、アレックスと一緒に討伐に向かう為の
手続きをしていたら
ギルドの中が騒がしいのに気づいた。
何が起きているのか?
そう不思議に思いながらギルドの中を見回したら
シェリーの姿を見かけた。

アイツは悲しみに暮れた表情で俺を見つめていた。

俺は1つの事に夢中になると周りが見えなくなる。
だから、シェリーに距離を置かれたあの日から
忙しく動いていた俺は
シェリーの事が頭からすっかり離れていたんだ。

アレックスに声をかけて討伐を一時中断し、
シェリーに近づいた。
何があったのか尋ねると、悲しげな表情で


「オレ、ギルドを辞めることにしたっす…」
とつぶやいた。

驚きと同時に心の中で悔しさと後悔が渦巻いた。
俺はシェリーのことを全く気に留めず、
目の前のことにのみ目を向けていた自分が情けなくなった。


「ごめん、シェリー。俺、気づかなくて…
何で辞めるなんて……」


「大丈夫っす。オレが辞めるのは……
これは自分で蒔いた種なんす。
ユアンと距離を置くって決めたのはオレっすからね。
ユアンは立派に冒険者活動こなしてて凄いっすね。
でもオレは……はははは……」


「立派じゃねぇよ!
アレックスと一時的にパーティ組んでるけど、
アイツに頼りっぱなしなんだぜ?
なあ、辞めるなんて言うなよ。
俺はお前と一緒に居たいんだ。
だから、冒険者仲間として、恋人として、
もう一度パーティ組んで下さい!」


「……でも……アレックスは……」

「俺はソロでやってけるし、お前に返すよ(笑)
コンビ復活だな、もう街中で喧嘩すんなよ」


「おう!」「はいっす!」

そうして、アレックスと一時的に組んだパーティを解散してから、シェリーにもう一度申し込んだ


「シェリー、俺のダメな所って沢山あるだろ?
それを全部直せって言われても無理なんだ。
でも、お前がイヤだという事は絶対しないから、
何がダメなのか、イヤなのか、その都度教えてくれよ。
1人で自己完結しないで逃げないでくれ。
俺はお前じゃないとダメなんだ。
愛してるんだ、お前だけを。俺の初恋なんだよ。
コレから先、どんな理不尽な事があっても、
お前と一緒なら乗り越えられる。
だから、シェリー。仲間として恋人として、
もう一度パーティを組んで下さい!」


「……オレも、ユアンじゃないとダメなんす。
1人じゃ辛くて苦しくて……
楽しそうにしているユアンを見て、
凄くさみしかったっす。そこはオレの場所なのにって
愛してるっす。ユアンだけを。オレも初恋なんす。
ユアンが許してくれるなら、
もう一度パーティ組んで下さい」


「やったぁぁぁぁあああ!!
シェリー!もう俺たち恋人だよな!!
今度は絶対離さねぇからな!!ちゅぅぅっ!」


「んむ!んん……ぷはっ!ユアン!
人前で口付けはやめてくださいっす!!」


こうしてシェリーが俺の元へ戻ってきたんだ。
そしてその日のうちにシェリーを抱いた。

全身真っ赤にしながら善がるアイツが
堪らなく可愛かったのを今でも鮮明に覚えてる。

まあ、今でも十分可愛いんだけどな(笑)

そして、パーティ結成から今年で10年になる節目に、
俺はシェリーにプロポーズするんだ!
もう準備は出来た。あとは伝えるだけ。

シェリーとの未来に向かって、一歩ずつ進んでいく。
幸せな10年を経て、これからもお互いを支え合い、
共に未来を築いていく。これからもずっと永遠に。

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