異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央

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最終章 プリシータで商売人

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「なぁ、マリベルさんよ」「なぁに?」

「俺ら目立ってんな」「当然じゃない」

「お前は可愛い服着てんのによ」「ふふふ」

「これじゃただのチンピラだよ」「チン何?」

「いや、何でもねぇ」「あ、来たわよ」


派手な船の前で、派手な服着て立ってる俺達は
めちゃくちゃ浮いてた。
そりゃそうだろうな……
俺もマリベルも、異世界仕様の服じゃねぇしな。
ま、これ以上気にしても仕方ねぇか!


「リョウゴさん、お待たせ致しました。
……おや?貴方は、マリベルさんですね?
リョウゴさんと御一緒という事は……ふむ。
まぁ、野暮な事は聞かないほうがいいですね」


「ジョディス・プリシータ様
お久しぶりでございます。
本日は、リョウゴ様のサポートとして
御一緒させて頂いております」


「ジョディス・プリシータ様
お待ちしておりました。
私は商売事に疎い為、
彼女に同席して貰うようお願い致しました。
本日は宜しくお願い致します。」


「ははは。そんなに硬くならなくて
大丈夫ですよ?
それでは、先ずは契約書にサインを願います」


ジョディスくんの侍従かな?から
書類を受け取り、内容を良く読んでからサイン。


「ありがとうございます。
それでは、お願いしていた商品を
拝見させて頂いても宜しいでしょうか」


そうして、船倉から外に出し道に置いてある
箱の中を確認する為、全員で移動。
1つ1つ確認していく度に


「おお!」「これは素晴らしい!」

「これは革命が起きますよ!」


等、声を上げ興奮しているジョディスくん達。
確認を全て終え、プリシータ家用の
マジックバックに次々仕舞い込み、
次は今後の商売についての話し合いに。

その場でする事も出来ない為、
船の中へと案内する事に。

ワイワイ話しながら移動していた俺達は
その時完全に油断していた。

ヒュンっと風を切るような音が一瞬聞こえ、
何だ!?と音の鳴った方へ顔を向けた瞬間、
俺の身体に激痛が走った。

何が起きたか解らず一瞬パニックになったが、
痛みのする方へ視線を向けると、
左脇腹に矢が刺さっていた。


「痛ってぇぇええ!うおっ!矢が刺さってんな」


「きゃぁあ!リョウゴ!?」「大丈夫だ」


「ジョディス様、
危ないので船倉へ入って下さい。
侍従さん、アソコの扉から中へ入れます。
この一帯に結界張りますので早く!」


「リョウゴさん、私も戦いますよ」


「ジョディス様!ダメです!貴方は
次期領主になるお方!何かあれば大変です!」


侍従さんは、まだ何か言いかけたジョディスを
引き摺るように、問答無用で船倉へ連れて行き
現場に残ったのは、俺とマリベル。

戦う気満々で構えてるけど、その服で戦うの!?


「マリベル、お前その格好じゃ無理だろ。
靴なんてヒールだぞ?
転んだ拍子にパンツ丸見えになるぞ~」


「貴方、矢が刺さったまんまで良く平気ね……
それに、私はA級冒険者よ?
先祖が大魔導師様で、私はその子孫魔法使い!
パンツ見られるくらい何よ。
そんなの屁でもないわよ?」


矢はとりあえず抜くか。ズッ。くぅぅ!
痛ぇぇ!ふぅ。《ヒール》


「お前は気ぃ強ぇし、肝が据わってんな。
大魔導師様の子孫魔法使いねぇ。
でも一応女だしな、パンツチラりはダメだ。
コレ俺のマント付けてろ」


「え!?あ、ありがとう……
(そういうのやめてよね……)
ふぅ。で、リョウゴは相手が何処に潜んでるか
確認出来るかしら?」


「ああ、あの建物の陰に2人、んで、
あの船の陰に2人だな。んで……ガキン……
果敢に結界を切りつけて来たこの男1人な」


多分、初日に船に乗り込んで来た野郎共の
お仲間か……それ以外か……


「殺さないで捕縛か?」「出来ればね」


「お前、あの建物の方行けるか?
俺は船の方殺ってくるわ」


「殺っちゃダメよ!もう!
私はあっちね解ったわ。
リョウゴ、気を付けなさいよ」


そうして2人別れて、賊を屑りに……
いや、捕縛しに向かった。
船陰に隠れてた2人の前に、一瞬で走り寄り、
ビックリしている奴等に、ニヤッと笑い
オスクリタが使っていた、
闇魔法の捕縛を真似して拘束した。

マリベルの方を一応な、一応心配だったので
確認すると、拘束した男を
手の上でフヨフヨ浮かしながら
悠然と此方に向かって歩いていた。


あれぞ正しく男を手玉にする女……
そう思って俺は身震いした。


「リョウゴ、こっちは終わったわ。
貴方も拘束完了ね。
ねぇ、見てよこの子。まだ子供よ?
すっごいヤンチャ坊主!」


「あらら。暴れてんな。
このお姉さん、マリベル怖かったろ~
大人しくしてないと燃やされるぞぉ~」


「怖くないわよぉ~?私優しいのよ?
リョウゴはお口が悪いわねぇ……
本当に燃やすわよ?ニコッ」


「うっせぇな!離せよブス!」「ぶっ」


「ブスですって!?
リョウゴも何笑ってんのよ!ふん。
それで?ヤンチャ坊主くんの親御さんは?
悪い子は衛兵さんが捕まえにくるわよ?」


「けっ!オレっち達は親なんて居ねぇよ!
ここらに居る奴等は、親に捨てられたか
死んだかで、身寄りがねぇ」


「成程。親御さんが居ないのか……
それで?矢なんか飛ばして何しようとした?」


「冒険者になれる年齢でも無いから、
金が無ぇんだ。
それで…金持ちの船みてぇのが港に着いて
そこからそこの兄ちゃんが降りて来たのを見て……
襲って金とか奪うつもりだったんだ……」


「子供だからって許される事じゃないわよ?」


「マリベル、ちょっとお待ちなさい」「うん」


「お前達は、悪い事したって自覚はあるか?」


「……あります」「はい」「ごめんなさい」


「衛兵さんを呼ばれたくないだろ?」


「うっ、嫌だ」「ぐすっ、はい」「うぇぇ」


「ふむ。要は金が無いから腹減って
犯罪に走ったんだな?
これからまともになる意思はあるかい?
例えば、お店をやって商人になれ!
って、俺が言ったらちゃんと働くか?」


「え!?商人?お店をオレっち達がやるの!?」


「ぼ、僕。良い子になります……ぐすっ」


「スンスン、ぐすっ。良い子になる」


「あははは。素直な良い子達じゃないか。ヨシヨシ
では、君達には俺のお店の
従業員になって貰うぞ!
そういう事で、宜しいですか?ジョディス様?」


「クスクス。はい、承知致しました。
これから宜しくお願いしますね。
小さな店員さん」



こうして、船襲撃事件は取り敢えず終息。
犯人グループは全員子供だった。
初日に襲ってきた奴等とは仲間では無いらしい。

俺は船で商品を輸送するだけで
店舗を持つつもりはなかったが、

港の近くに店舗建てて
寄りの無い子供達を従業員に雇い
店舗商売する事に決めた。


腹を空かせて犯罪に走る……
そんな悲しい生き方をして欲しくなくて……
偽善者だと思うかもしれないが
そんな思いで手を差し伸べる事にした。
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