転生王子の異世界生活〜8回目の人生は幸福であれ〜

玲央

文字の大きさ
上 下
11 / 52
1章 幼少期

1章3話 世界について学ぼう ※挿絵AIナビ ユエ

しおりを挟む

太陽の光が届かない牢のような部屋で目を覚ました赤ん坊。ーー仮名としてハヤテと呼ぼうーー

ハヤテはソファーの上で身動ぎした。

「ふわぁ」

大きな欠伸をし、魔法で身体を洗浄してからベッドへダイブ。二度寝しようかと思ったが、目が冷めてしまったので、情報検索して今いる世界について調べてみることにした。


--------------------------------------------------


『初めましてハヤテ様(仮名)。ナビゲーターのユエと申します』


「うわっ!吃驚した。え?ナビゲーター?」


『はい。ハヤテ様(仮名)。情報検索ツールに組み込まれた、AIユエと申します。

ーー今いる世界に知りたいーー

検索内容についてお応え致します』


「うわっ。めっちゃハイテク!よろちくユエ」


ベッドでゴロゴロしながら(情報検索、今いる世界について知りたい)と念じたら、AI音声が応答した。便利だけど困惑する。


『では、ご説明させて頂きますね。
ハヤテ様(仮名)が生まれ落ちた星は、神の一柱である“”豊穣と大地の神デーメーテール様“”が創造した世界です

歴史はまだ浅く創成500年程。地球よりは劣りますが、最高神が認めてる星の一つです。

小さなイザコザや、犯罪等はありますが、比較的穏やかな世界だといえます。

“”豊穣と大地の神“”が管理者なので、その恩恵で緑豊かな大地が広がっています

生活の質が良ければ人々の心を豊かにします。衣食住が充実しているので心に余裕が生まれ、無駄な争いを避けることができています。

だからこそ、この世界は穏やかで平和なのです』


(豊穣と大地の神か。良いね、なんか温和な感じがするよ。殺伐とした世界はお腹いっぱいだからな)


『ただし、すべての人が善良ではありません。欲望にまみれた人や悪意を持つ者も存在し、そのような人々が小さな争いや犯罪を引き起こしているのです。

こうした現象は、平和であるとされる日本においても例外ではなく、避けて通ることのできない現実でしょう。

したがって、“完全なる安寧の世界”を創り出すことは、非常に困難な挑戦であると言えます』


(ふむふむ。確かにな。平和な日本にもシリアルキラーは居たし、犯罪者は結構いたな)


『この世界は大きく6つの国に分かれております』


○アルカディア王国。
クロヴィス・ディポ・アルカディア国王が治める国。
銀髪金眼の美丈夫 196cm 27歳 愛妻家。

海、妖精の森、氷狼山に囲まれた国。主な産業は海運業、造船業。
妖精の森と街道を挟んで反対側に広大な麦畑が広がってる。


○ファーマシア王国。
ラシード・フォン・ファーマシア国王が治める国。
金髪赤眼の美中年 206cm 46歳 剣豪。

妖精の森、アポの森、迷宮の森に囲まれた国。主な産業は林業。
武闘派な国王が治める国だけあって、市民も戦闘集団。冒険者が1番多い。


○水の都ミスト。
マイリス・ルフメ・ミストニア女王が治める国。

ピンクブロンド&ルビーアイの美魔女 ??歳。
家族構成は、養子の王女(次期女王)のみ。独身。

海に浮かぶ島に国を築いた初代女王マイリス。人族だが、150年以上生きていると思われる。

主な産業は美容品開発、販売。国民の8割が女性。男性は海運ギルドに所属している海賊のみ。


○インダストリ帝国。
セフィロス・ハウエルズ・インダストリ皇帝が治める国。
紫黒髪、銀眼 麗しの貴公子 30歳 ウィザードソーサラー。

魔法大国。最大規模の魔術学院があり、帝国民の多くが魔法使い。

産業は、魔術ギルド所属の魔法使いの派遣、魔導具製作、杖造職、エンチャント業、建築業。

様々な属性に特化した魔法使いが多く、世界一綺麗な街並みを誇る。


○亜人大陸。
国王は居ず、集落があり長がいる。広大な大陸を2つに分けて、国があります。


「欧米か!!」(名前が長い!)


『いえ、異世界です』


AIの無機質な音声で真面目に返され、居た堪れなくなったハヤテ(仮名)は、赤くなってるだろう顔を伏せた。


「あ、はい。しゅみましぇん」


『続けますね。それぞれの国には大小さまざまな都市が点在しております』


(貴族が治める領地ってやつね)


『大国の支配者は王族や皇族であり、彼らは表向き友好関係を築いています。
大都市を統治しているのが上流貴族。都市の中を区切り、小さい領地を経営しているのが下級貴族です。

貴族階級は、公爵、侯爵、といった上流貴族と、辺境伯、伯爵の中流貴族、子爵、男爵の下級貴族。6つの爵位に分類されます。

その下には騎士爵位が存在しますが、これは正式な貴族ではなく、国から認められた商人や騎士、SSランク冒険者に与えられる特別な爵位です。

現在、騎士爵位を持つ大商人や騎士、SSランク冒険者は、6つの国にそれぞれ2人~3人ほどしか存在せず、国から認められる特別な称号を得るためには、並外れた努力が必要であり、その道は非常に厳しいものとなっています』


(へぇ。初めて聞いた爵位だな。ようは平民でも爵位持ちになれるって事かな?)


『市井で暮らす平民たちは、特別な爵位を賜る事に対して強い憧れを抱いています。

そのため、商会を営む者はより優れた商品を求め、顧客満足度を上げ、善良な商売を心掛けています。王室御用達になれば爵位持ちになれるのです。

騎士たちは王族の護衛としての名誉を得るために、さらなる高みを目指して鍛錬しています。各国の近衛団長は王の専属護衛で騎士爵位持ちです。

冒険者たちは、より強力な魔物を狩り、ダンジョンを攻略し、SSランクの称号を手に入れることを目指しています。
現在、SSランク冒険者は3人のみ。自由な彼らは所在不明です』


(ほう。SSランクになれば爵位持ちなのかな)


『一方、魔法使いを名乗る者たちは、かつて誰も達成したことのない“賢者”の境地を目指して、日々奮闘を続けています。

この称号を得るのはかなり厳しいですが、得られれば王族と同じ地位に君臨する事が出来るので、魔法使い達は皆必死に修行をしています』


(賢者って、叡智に溢れる賢人だろ?魔法極めるだけじゃなれなくない?)


『国が多数あり、衣食住は充実してますが、目の前のことに全力を尽くす人たちと、現状に満足している人たちが多いので、技術は進歩せず停滞してしまっているのです』


(なるほどねぇ。現状満足してれば良いんじゃない?と思うけどね。知識チートしたら悪目立ちしそうだし、俺は引き篭りたい)


『唯一、インダストリ帝国だけは、徐々に発展を遂げています。
これは、第二皇子が得た“魔導具士”という特別なスキルのおかげで、生活を便利にする魔導具が生み出されているからでしょう。

しかし、魔導具職人が不足しているため、製作される数は限られており、製品の価格も高騰しています。
そのため、懐に余裕のある人でなければ購入するのは難しいのが現実なのです。

適正あるスキル持ちは高待遇で迎え入れられ、皇子お抱え職人になれるので、今や生産職は名誉職となってます』


(ほぉ。“”インダストリ“”ね。製造、工業、産業の帝国か。皇子頑張って!!)


ハヤテは思った。帝国の第2皇子が世界を動かすカギになれば良いのでは?と。

自分は出しゃばらず、裏方に徹したい。技術提供してあげるから頑張って魔導具作ってほしい。

転生しすぎて疲れてしまったハヤテは、第3王子を返上してスローライフを送りたいと思っている。

果たしてその願いは叶うのか。


しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

転生令息は冒険者を目指す!?

葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。  救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。  再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。  異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!  とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

R指定はないけれど、なんでかゲームの攻略対象者になってしまったのだが(しかもBL)

黒崎由希
BL
   目覚めたら、姉にゴリ推しされたBLゲームの世界に転生してた。  しかも人気キャラの王子様って…どういうことっ? ✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻  …ええっと…  もう、アレです。 タイトル通りの内容ですので、ぬるっとご覧いただけましたら幸いです。m(_ _)m .

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!

ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。 「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」 なんだか義兄の様子がおかしいのですが…? このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ! ファンタジーラブコメBLです。 平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります♡ 【登場人物】 攻→ヴィルヘルム 完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが… 受→レイナード 和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

悪役令息に転生したけど…俺…嫌われすぎ?

「ARIA」
BL
階段から落ちた衝撃であっけなく死んでしまった主人公はとある乙女ゲームの悪役令息に転生したが...主人公は乙女ゲームの家族から甘やかされて育ったというのを無視して存在を抹消されていた。 王道じゃないですけど王道です(何言ってんだ?)どちらかと言うとファンタジー寄り 更新頻度=適当

異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします

み馬
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。 わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!? これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。 おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。 ※ 設定ゆるめ、造語、出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。 ★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★ ★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

処理中です...