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嫉妬の章
第7話 次なる目標
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モンブラン山を後にした僕たちは順調に空の旅を楽しみ、ついに終点であるラクスウェルが地平線にうっすらと現れだした。色々あったけど割と楽しかった…死にかけたけど。そういえば雪月の民では初雪を初恋と例えるらしいとあの後アリフィカさんが渋々教えてくれた。初恋は実らないというジンクスを雪で表現しているとは儚くも美しいではないか!そんなことを思うとますます彼女の機嫌が悪くなっていったので考えないようにした。
「総員、衝撃に備えよ!」
「し、襲撃ですか?!」
「ただの仕来りだ、いかれた習わしだ」
「そうか、ヘリオさんの時も…」
「なんだ知っているのか、まぁ私の場合は衝撃も何もないから面白みはないだろうがな」
ライゼンがしたり顔で船首の方へとゆっくり向かう。あんなにまったり動いていて間に合うのだろうか?心配で外を覗き込む。案の定目の前に巨大な岩が広がっている。ぶつかる…!目をつむって全身に力を入れる…が、しかし
「何も起きない?ぶつかったのに?」
「そりゃ時間をずらしたからな」
「ずらす…ですか」
「懇切丁寧説明してやる時間はないのでな、それで我慢したまえ」
「は、はぁ」
「っはぁ~おはよー灰崎…なんか顔色悪くないか?」
「こんなことが起きていたのに寝ていられる君みたいになりたい…」
何が何だかという顔で首をかしげる。二度も落ちた経験でもう飛空艇にすら乗らないのかと思っていたのに、今では落ちたら落ちただ!と開き直り、昼寝まで出来るようになった彼は多分適応能力が高い…のだろう。
砂塵をまき散らしながら飛空艇が徐々に高度を下げていく。パイロット曰く、この作業が一番怖いらしい。見ている僕たちからすればただゆっくりと地面に降りて行っているように思えるが、それが難しいと断言していた。
「着陸完了!ハッチのロック…解除!」
「やっと着いたなぁ~数日ぶりの地面だぜ?」
「ははは、そうですね」
「やぁやぁ、おかえり…とでも挨拶しておこうかな?」
「うげっ、ガシューだ」
「そんな反応しないでくれよ~傷つくじゃないか」
「もしかして…」
「あぁ!新たな任務を言い渡しに来たよ!」
「ですよね」
「はい!」
「何だね?サミエム君」
「休暇申請したいです!」
「却下だ、というよりもそうせざるを得ないのが正しいかな」
「どういうことですか?」
「ここじゃ何だし~それ!」
「うっ…これは何度やっても慣れないな」
「おや?灰崎君は空間酔いしやすいのか、これは失敬」
「それで何で時間がないんだよ?」
「そりゃ今俺たちは戦争の種火をつけたからだよ、先日7帝たちで会議があってね…そこで俺が平和条約を破棄してきちゃった!」
「え…えぇ?!」
「仕方がないのさ、俺たちは敵であって同盟を組む同志じゃなかったからね」
「もしかして暴食帝の件でそうなったとかですか?」
「ご名答!」
「そ、そんなぁ…うん?あれ…何かおかしいような?」
僕は確か帝王たちの悪政を食い止めて秩序をもたらすのが役目だったのでは……しかし、この世界には平和はあるし、秩序だって……あ…れ?眠気が……
ザーッという砂嵐のような音が頭の中で響いている。確か僕は強欲帝の話を聞いていて眠気が急に来たんだっけ?いや、その前に疑問を抱いて……あれ?疑問ってなんだっけ?何を考えていたんだろう。とても重要なことのような……
「うっ…痛い」
頭の中に響く音が強くなり、それと共に釘を刺されるような痛みが来る。思わずうなりながらうずくまってしまう。なんだ?どんどん……
「灰崎!」
「…!」
「良かった~ほら、灰崎だって限界だっての!」
「しかし、ここで踏ん張ってもらわないと困るんだよねぇ」
「あ…えっと、何の話してましたっけ?」
「おや?寝ぼけているようだね…まぁ詳しい事情は追々話すとして」
「…?」
「君たちには俺たちの天敵…嫉妬帝を暗殺してもらう!」
「総員、衝撃に備えよ!」
「し、襲撃ですか?!」
「ただの仕来りだ、いかれた習わしだ」
「そうか、ヘリオさんの時も…」
「なんだ知っているのか、まぁ私の場合は衝撃も何もないから面白みはないだろうがな」
ライゼンがしたり顔で船首の方へとゆっくり向かう。あんなにまったり動いていて間に合うのだろうか?心配で外を覗き込む。案の定目の前に巨大な岩が広がっている。ぶつかる…!目をつむって全身に力を入れる…が、しかし
「何も起きない?ぶつかったのに?」
「そりゃ時間をずらしたからな」
「ずらす…ですか」
「懇切丁寧説明してやる時間はないのでな、それで我慢したまえ」
「は、はぁ」
「っはぁ~おはよー灰崎…なんか顔色悪くないか?」
「こんなことが起きていたのに寝ていられる君みたいになりたい…」
何が何だかという顔で首をかしげる。二度も落ちた経験でもう飛空艇にすら乗らないのかと思っていたのに、今では落ちたら落ちただ!と開き直り、昼寝まで出来るようになった彼は多分適応能力が高い…のだろう。
砂塵をまき散らしながら飛空艇が徐々に高度を下げていく。パイロット曰く、この作業が一番怖いらしい。見ている僕たちからすればただゆっくりと地面に降りて行っているように思えるが、それが難しいと断言していた。
「着陸完了!ハッチのロック…解除!」
「やっと着いたなぁ~数日ぶりの地面だぜ?」
「ははは、そうですね」
「やぁやぁ、おかえり…とでも挨拶しておこうかな?」
「うげっ、ガシューだ」
「そんな反応しないでくれよ~傷つくじゃないか」
「もしかして…」
「あぁ!新たな任務を言い渡しに来たよ!」
「ですよね」
「はい!」
「何だね?サミエム君」
「休暇申請したいです!」
「却下だ、というよりもそうせざるを得ないのが正しいかな」
「どういうことですか?」
「ここじゃ何だし~それ!」
「うっ…これは何度やっても慣れないな」
「おや?灰崎君は空間酔いしやすいのか、これは失敬」
「それで何で時間がないんだよ?」
「そりゃ今俺たちは戦争の種火をつけたからだよ、先日7帝たちで会議があってね…そこで俺が平和条約を破棄してきちゃった!」
「え…えぇ?!」
「仕方がないのさ、俺たちは敵であって同盟を組む同志じゃなかったからね」
「もしかして暴食帝の件でそうなったとかですか?」
「ご名答!」
「そ、そんなぁ…うん?あれ…何かおかしいような?」
僕は確か帝王たちの悪政を食い止めて秩序をもたらすのが役目だったのでは……しかし、この世界には平和はあるし、秩序だって……あ…れ?眠気が……
ザーッという砂嵐のような音が頭の中で響いている。確か僕は強欲帝の話を聞いていて眠気が急に来たんだっけ?いや、その前に疑問を抱いて……あれ?疑問ってなんだっけ?何を考えていたんだろう。とても重要なことのような……
「うっ…痛い」
頭の中に響く音が強くなり、それと共に釘を刺されるような痛みが来る。思わずうなりながらうずくまってしまう。なんだ?どんどん……
「灰崎!」
「…!」
「良かった~ほら、灰崎だって限界だっての!」
「しかし、ここで踏ん張ってもらわないと困るんだよねぇ」
「あ…えっと、何の話してましたっけ?」
「おや?寝ぼけているようだね…まぁ詳しい事情は追々話すとして」
「…?」
「君たちには俺たちの天敵…嫉妬帝を暗殺してもらう!」
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