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嫉妬の章
第1話 交差する思惑の原点は同じ
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※注意※主人公視点ではありません。
こんな時なんて来て欲しくなかった…いや、今頃考えた所で無駄なことだ。誰もいない暗い空間でネガティブな感情を振り払う。ここは私が治める土地にある場所…かつて世界の混沌と戦争を起こさないと同志と誓い合った聖地だ。しかし、それは今…これから行われる会議で覆される。
「……本当に彼とは気が合わないな」
ガシュー…強欲帝と呼ばれる彼が今回の議題を持ってきた張本人だ。我々7帝王の1人であるゼクス、暴食帝が何者かによって殺されたという大事件を……彼はどちらかと言えば平和主義な方だったのにも関わらず。
「やぁやぁ、揃っているかな?」
「いや、まだ僕だけだ」
「慈愛帝か?相変わらず真面目で助かるよ」
「ガシュー……今回の議題」
「それは皆が揃ってからにしよう」
僕は座席の背もたれに映る彼を睨む。不敵な笑みを浮かべているあの憎らしい顔を。7帝会議まではあと数分だが、全員が集まった試しがない。欠席常習犯である2人がそれを阻害しているのだ。1人は怠惰帝。名前から察してもらえるとは思うが、彼については致し方ない事情があるのは僕も重々承知している。問題はもう1人の方だ。不遜帝、アイン……あいつもガシューと同じくらい気が合わない。奴は気分屋でこの大事な会議を遊びか何かと考えているらしい。全く何とか考え直して欲しいものだ。
「おーい、慈愛帝ちゃーん?」
「あっ、すみません」
「全員…じゃないけど揃ったね」
「おうおう、俺様が久しぶりに出てやったのによぉ!全員参加じゃないなんてどういうことだよ!」
「怠惰帝にも事情はあるのだろう、委任状も貰っている…それに君が言えた義理じゃないだろ?不遜帝」
「チッ、相変わらずお前はうるせぇなぁ?慈愛帝の坊ちゃんよぉ!」
「…」
「もうそろそろ喋ってもいいかな、そこの喧嘩しているお2人さん?」
「おう!俺様は寛容な心を持っているから許してやるぜ、それよりも今回の議題はマジなのかよ?」
「あぁ、それに関して話すつもりだよ…第8回7帝会議、開始だ」
始まって早々全ての帝王が息を呑んだ。強欲帝が最初に見せたのは、豪華絢爛であった食都の変わり果てた姿だったからだ。不自然に抉られた建物に所々血だまりが見える…どんな地獄が繰り広げられたのかが容易に想像が出来た。
「OK、もういいぜ」
「そうかい?」
「要するに強大な暴食帝だけでなく、これほどまでの大立ち回りが出来る化け物がどこかにいるということでしょう?」
「ご名答!しかし、誰かではないよ?」
「もう調べたのかよ、さては」
「自分で言うのもなんだが俺の情報網は確かなものだよ?」
「まぁそういうことにしといてやろう、どのみちこりゃあ身を守るためにこちらも行動しなきゃなぁ?」
「そういう飲み込みが早い所は流石だね、不遜帝」
「ま、待ってください!」
「待つも何もないと思わないのかい?」
「どういうことですか!さっぱり分からない…ここにいる全員で平和を乱す奴を倒せばいいじゃないですか!」
「何にも分かってないようだね、慈愛帝くん」
「はぁ?」
「何故こんなことになったと思う?偶然か?」
「…」
「それは俺たちが使命を忘れ、競うことなく平和を享受したからだよ…停滞をした罰に手痛いお返しをされたという訳だ」
「カッカッカッカ!くっそくだらねぇ駄洒落だが俺様もそう思うぜ」
「…つまりあの時代に戻れと言いたいんだね?」
「そうさ、俺たちは元々敵で同志なんてものじゃない」
「ふざけるな!この協力関係を築いた理由は運命に逆らうという強く高い志を持ったからだろ!」
「じゃあ敵を殺すか?また短い平和を手に入れるために戦争を繰り返すか?大元を潰さないことには意味があるとは思えないがな」
「くっ…」
「まぁ俺が決めることじゃない、ここは多数決で決めようじゃないか?賛成は挙手を……おや、見て見ろよ慈愛帝ちゃんよぉ?お前以外全員が賛成だとよ」
「……」
「さて、全部済んだことだし…解散としようか、この同盟を」
思えば短い平和だった……渦中の暴食帝殺しは今どこで何をやっているのだろうか?僕が築いた平和を崩した者は…
こんな時なんて来て欲しくなかった…いや、今頃考えた所で無駄なことだ。誰もいない暗い空間でネガティブな感情を振り払う。ここは私が治める土地にある場所…かつて世界の混沌と戦争を起こさないと同志と誓い合った聖地だ。しかし、それは今…これから行われる会議で覆される。
「……本当に彼とは気が合わないな」
ガシュー…強欲帝と呼ばれる彼が今回の議題を持ってきた張本人だ。我々7帝王の1人であるゼクス、暴食帝が何者かによって殺されたという大事件を……彼はどちらかと言えば平和主義な方だったのにも関わらず。
「やぁやぁ、揃っているかな?」
「いや、まだ僕だけだ」
「慈愛帝か?相変わらず真面目で助かるよ」
「ガシュー……今回の議題」
「それは皆が揃ってからにしよう」
僕は座席の背もたれに映る彼を睨む。不敵な笑みを浮かべているあの憎らしい顔を。7帝会議まではあと数分だが、全員が集まった試しがない。欠席常習犯である2人がそれを阻害しているのだ。1人は怠惰帝。名前から察してもらえるとは思うが、彼については致し方ない事情があるのは僕も重々承知している。問題はもう1人の方だ。不遜帝、アイン……あいつもガシューと同じくらい気が合わない。奴は気分屋でこの大事な会議を遊びか何かと考えているらしい。全く何とか考え直して欲しいものだ。
「おーい、慈愛帝ちゃーん?」
「あっ、すみません」
「全員…じゃないけど揃ったね」
「おうおう、俺様が久しぶりに出てやったのによぉ!全員参加じゃないなんてどういうことだよ!」
「怠惰帝にも事情はあるのだろう、委任状も貰っている…それに君が言えた義理じゃないだろ?不遜帝」
「チッ、相変わらずお前はうるせぇなぁ?慈愛帝の坊ちゃんよぉ!」
「…」
「もうそろそろ喋ってもいいかな、そこの喧嘩しているお2人さん?」
「おう!俺様は寛容な心を持っているから許してやるぜ、それよりも今回の議題はマジなのかよ?」
「あぁ、それに関して話すつもりだよ…第8回7帝会議、開始だ」
始まって早々全ての帝王が息を呑んだ。強欲帝が最初に見せたのは、豪華絢爛であった食都の変わり果てた姿だったからだ。不自然に抉られた建物に所々血だまりが見える…どんな地獄が繰り広げられたのかが容易に想像が出来た。
「OK、もういいぜ」
「そうかい?」
「要するに強大な暴食帝だけでなく、これほどまでの大立ち回りが出来る化け物がどこかにいるということでしょう?」
「ご名答!しかし、誰かではないよ?」
「もう調べたのかよ、さては」
「自分で言うのもなんだが俺の情報網は確かなものだよ?」
「まぁそういうことにしといてやろう、どのみちこりゃあ身を守るためにこちらも行動しなきゃなぁ?」
「そういう飲み込みが早い所は流石だね、不遜帝」
「ま、待ってください!」
「待つも何もないと思わないのかい?」
「どういうことですか!さっぱり分からない…ここにいる全員で平和を乱す奴を倒せばいいじゃないですか!」
「何にも分かってないようだね、慈愛帝くん」
「はぁ?」
「何故こんなことになったと思う?偶然か?」
「…」
「それは俺たちが使命を忘れ、競うことなく平和を享受したからだよ…停滞をした罰に手痛いお返しをされたという訳だ」
「カッカッカッカ!くっそくだらねぇ駄洒落だが俺様もそう思うぜ」
「…つまりあの時代に戻れと言いたいんだね?」
「そうさ、俺たちは元々敵で同志なんてものじゃない」
「ふざけるな!この協力関係を築いた理由は運命に逆らうという強く高い志を持ったからだろ!」
「じゃあ敵を殺すか?また短い平和を手に入れるために戦争を繰り返すか?大元を潰さないことには意味があるとは思えないがな」
「くっ…」
「まぁ俺が決めることじゃない、ここは多数決で決めようじゃないか?賛成は挙手を……おや、見て見ろよ慈愛帝ちゃんよぉ?お前以外全員が賛成だとよ」
「……」
「さて、全部済んだことだし…解散としようか、この同盟を」
思えば短い平和だった……渦中の暴食帝殺しは今どこで何をやっているのだろうか?僕が築いた平和を崩した者は…
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