re 魂術師（ソウルテイカー）は産廃最強職（ロマン職）！

暴食の章

第19話 深まる疑問

「それでは質問を始めていきます」

「は、はい」

「…ぷっ」

「え？」

「あぁ、すまない…すごく緊張していると思ってね、まぁこれは形式上の面接みたいなものだからさ」

「形式上じゃダメだろ、ケラウノス」

「はぁ…はいはい、ちゃんとやりますよ」

　そこから当たり障りのない質問が続いた。賢者の仕事の説明や責任…ほとんどは確認作業のような質問が続いていたその時

「クラウソラスはどうやって殺した？」

「…！」

「おい、ライゼン！すまない、これは…」

「そこを聞かなきゃ信用も何も出来ないだろ？あいつが何故やられたのか知らなければ我々が危ないのだぞ？」

「…そうだな、聞いておいて損はない」

　不味い…どうやって倒しただなんて言ったら目的がバレてしまうじゃないか。どうする…口から出まかせで何とかするか？いや、あのライゼンという男が絶対に指摘する…厄介だな、どうすれば…

「見てられないな」

「…」

「おい、本当に強欲帝様に認められた刺客なのか？」

「え…？」

「強欲帝様が仕向けた切り札なのかと聞いているんだよ」

「な、なんで…まさか！」

「あぁ、この私が協力者だ…暴食帝三賢者の1人、時詠みの魔術師ライゼンだ」

「協力者ならなんで…」

「なんで責めるようなことを言ったのかだって？試しただけだ、お前たちをな」

「そんなことをするために…」

「そう怒るな、これを覚えておけ」

「台本…ですか？」

「一度見れば脳内に張り付く特殊な本だ、まぁ効果は1時間はもたないがな」

「なるほど…便利なものですね」

「とりあえずお前たちは私の採点では不合格だが、強欲帝様の計画を邪魔してはならないからな…我々は協力者であって仲間では決してない、先ほどの行為を恨んでも何をしてもいいが計画は果たしてもらうぞ」

「…」

「では、質問を再開する」

　それからは本当に台本通りに面接は進んだ。寸分の狂い無く質問をさばいていくこの状況はかえって怪しまれるのでは？と思い、少し考えたそぶりを見せると、ライゼンは苛立つ様子を見せた。しかし、感情の色は終始穏やかでむしろ好印象を抱いているような雰囲気だった。質問の雨が終わり、張り詰めた身体から息が漏れる。事務的な作業はあっちが勝手にやってくれるらしく、もう帰宅しても良いとのことだった。疲れ切った僕はさっさと帰れることに喜び、足早に敵の居城から去っていった。




　後方で重みのある音が砂煙と共に向かって来る。ようやく最後の関門をクリアした…これで今までやってきた努力も犠牲も報われる。そう思うと段々涙がにじみ出してきた。

「灰崎…大丈夫か？」

「…いえ、本当に良かったと思っただけです」

「そうか、それにしてもあのライゼンってやつ…感じ悪かったよな！」

「え？まぁ好印象とは言い難いですが」

「アルバーノが作ってくれたチャンスが無くなるとこだったぜ」

「…？」

「あいつはまず警戒すべきだな…灰崎？聞いてるのか、おーい」

「もしかして…サミエムには聞かされてなかったのか？」

「え？何を言って…」

「とりあえず彼は…ここで話すようなことじゃないですね、さぁ今日は豪勢にいきましょう！」

　僕たちは暫しの間計画も何もかも忘れて食事を楽しんだ。重大なことを忘れていることをまだ僕らは気が付いていなかった。ずっと何かの違和感を感じていた一番協力的だったアルバーノのことを…