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暴食の章

第3話 次なる課題(無茶ぶり)

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 ようやくお説教の域まで行ったお咎めが終わった頃に、閉会式が始まった。

「はぁ、全くあそこまで怒らなくてもいいよな?」

「仕方ないよ、割と伝統を重んじる‥‥のか分からないけどそんな感じだし」

「まぁとりあえずは命拾いして良かったな!」

「あぁ、ありがとうサミエム」

「へへ、さっさと閉会式見て休もうぜ!」

「そうだ、サミエムが出したあの技って」

「おう、ヘリオのおっさんの奴さ!このエンチャント瓶を剣に振りかけるようにして‥‥技を出せば属性が付くって代物らしいぜ!」

「えぇ‥‥僕は貰ってないんだけど」

「そりゃ仕方ないぜ、これは剣技や体術とかの物理系の攻撃には特別効果が出るけど灰崎が使うような呪文には効果ないからな」

「うーん、そういうものかな?」

「そういうものだぜ、ほら閉会式が終わっちまう!」

 そうやって急かすサミエムの後を不満げについていく。というか、僕たちは失格だから閉会式とか関係ないんじゃ‥‥?



「野郎どもぉぉぉ!まだいきてやがるかぁぁ!」

「おー」

「案の定ほとんどが重症になったな!えっと、生存者は失格を含めて、1‥‥大体両手で数えられないくらいだな!ふむ、賭けは負けちまったが閉会式も気合入れていくぜ!」

「今年の竜による襲撃は過去でも指折りの多さと質の良さだった、特にファントムドラゴンなんていう大物が出た時はひやひやしたぜ!残念ながら、討伐者は失格になったが本来ならそいつが優勝者だ、まぁ今回の優勝者はミドルドラゴンを討伐したバウゼン選手だ!賞金1000金貨と竜祭トロフィーが贈呈されるぜ、おめでとう!」

「‥‥」

「うむ、不満は承知だが失格は失格だ!優勝者に拍手!そんで討伐したドラゴンの素材を強欲帝様の元に持っていくので、諜報員の皆さま、ご協力をお願いします!では、閉会式終了だ!皆、解散!」

 ばらばらに観衆が会場を後にする。祭りの後特有の喧騒、ざわざわ感に少し親近感を覚えたが、その原因が何かは分からない。これも異世界転生?の弊害って奴かな?そういえば考えなかったけど自殺してここに来たってことは、僕は死んでるんじゃないか?うーん、アリフィカさんに聞こうかな‥‥でもはぐらかされそうだな。

「旦那、無事で何よりだ」

「あっ、ヘリオさん」

「おう、身体の方は‥‥大丈夫そうだな?これからあの死骸を解体して、強欲帝様の元に届けるんだが、一緒に来てくれないか?」

「流石に就かれたので勘弁してほしいんですが‥‥」

「残念だけど、俺が話あるから来てもらうよ~」

「な、なんでこんなところに」

「俺は待つのが嫌いなんだよ、じゃあ坊ちゃんも連れて行こうか!」

「え、ちょっとま」

 僕のセリフが終わる前に転移は完了していた。強引な奴だ‥‥サミエムは軽くパニックになってるし、というか、何の話なんだ?

「よーし、じゃあ疲れてることだろうし手短にいこうか?」

「はい、お願いします」

「え、ここって?突然転移したんだけど‥‥灰崎、どういうことなんだ?」

「あ~坊ちゃんには話しかけてなかったから唐突すぎたね、ごめんごめん」

「本当だよ!全く‥‥強欲帝よりも強引帝の方がいいんじゃないか?」

「ははは、強引なのは自身の欲を満たすためだから強欲帝なのさ!ついでに俺の野望と次の課題も言い渡してあげよう!」

「世界掌握‥‥でしたっけ?」

「そうだ、この世の全てを手に入れる、俺の望むものはもちろん民の望むものや満足感さえも俺の元にある、それが俺の目指す世界掌握だ!」

「だが、俺が手に入りにくいものがある、それは魂縛石及び魂術と言われる技術だ」

「それで僕が必要と?でも、魂術師なら少ないでしょうがいるのでは」

「いないさ、少なくとも俺が管轄している地域やこの世界中の俺のギルドの情報網でさえ魂術師の情報がない」

「でも、クラウソラスは?」

「ああ、そいつ以外の名前があがらないのさ、妙だと思うだろ?それで、俺が調べたところあの野郎とんでもない実験をやっていやがったんだ」

「実験?」

「目の実験さ、世界中の魂術師が欲する全ての感情を見通す目、神の洞察眼の後天的発現だ」

「そんなことが出来るはずがない!だって、潜在パッシブスキルだろ?それを取得することは‥‥」

「いいか、坊ちゃん?人は何かを欲する時ほど非情になるんだ、それが長くなればなるほど思いが強くなればなるほどな」

「つまり?」

「神の洞察眼とは、先天的に発症する目の異常だ、灰崎君も産まれた時から見えたんだろ?」

「そうですね、周りには理解されなかったのであんまり言わなかったですけど」

「じゃあそれを手に入れるために手っ取り早いのは?」

「目の移植ですか?」

「ご名答だ、奴は天才だからすぐに考えついたんだろうな、そのスキルを持った奴を探し求めたが自身から目を明け渡すような稀有な奴いないからな‥‥」

「まさか!」

「そうだ、奴が行ったのは術師狩りだ、目を欲して片っ端から狩りつくし移植を繰り返した‥‥だが、それも長くは続かなかった、俺の推測だが移植後に不具合でも起こしてスキルが発動しなくなるのだろう、その根拠は一定間隔で行われ続ける魂術師狩りだ」

「あの、ちょっといいですか?」

「うん?」

「クラウソラスは元々魂術師だったんですよね?それに魂術師が全員神の洞察眼を持っているとは限らないし‥‥」

「あぁ、クラウソラスは元々魔術師の上位職だったんだ、それでこの方法を思いつき魂術師に転身した、あと魂術師が神の洞察眼を持っていないということは往々にしてあるがそれに準ずるような下位互換のスキルを持っている、じゃなきゃそんな職業に就く奴いないからね」

「なるほど」

「おっと、話が長くなってしまったよ、ついつい語りたがりのものでな!すまないね」

「いえ、こちらも知識が増えたので良かったです」

「謙虚だなぁ、まぁいいこれからは本題だ、しっかり聞いてくれよ?」

「数日後、ある男が俺の持つ希少なドラゴンの素材を求めてやってくる、そいつを始末してほしい、あぁ、そいつの名前は‥‥」

「もしかして?」

「おや、もう分ったのかい?勘がいいじゃないか」

「ここまでお膳立てされたら分かりますよ‥‥全く」

「はは、じゃあさっさと言おうか‥‥そいつの名前はクラウソラス、暴食帝3賢者の1人で君たちの因縁の相手だ!」
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