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暴食の章
第1話 竜祭開催前夜
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「そ、それを断ると言ったら?」
「もちろん始末するよ?君たちは本質的には俺の敵だからね、おっ‥‥これは動揺ってやつかな?面白い色をしているねぇ」
「敵って分かってるならなんで‥‥」
「それはこんな所で話す内容じゃないよ」
強欲帝は会話を断ち切るように言葉を発すると、指をパチンと鳴らす。すると、周りの風景が一変する。地面は草も生えないような荒野から豪華な大理石に、天井は何にもない青空からよく分からない絵画に‥‥サミエムの家もすごいと思ったけど、ここは格が違うというのが素人目にも分かる。そんな風景に少し驚いていると、サミエムが強欲帝に訪ねる。
「ここは?」
「俺の家だよ、まぁ気楽に座っていいよ?」
「敵を自分の部屋に招くのか‥‥」
「ハハハ、君たち程度なら脅威にはならないよ、じゃあそろそろ本題に入ろうか」
「そうだぜ、俺たちに暴食帝の首を取って欲しいってどういうことなんだ?」
「坊ちゃんは知ってるとは思うが、今この世界には帝王同士の相互不可侵条約が締結されている、これを破れば全帝王が総力を総動員して潰しに来る」
「だから、俺たちにやれって?無茶だと思うんだけど‥‥」
「出来るさ、だからこそのジョーカーさ」
「何を根拠に言ってるのか分からないんだけど‥‥」
「坊ちゃんの相棒‥‥そいつには神がいるんだろ?つまりは‥‥」
「あっ、そうか!」
「ちょっと待ってくださいよ、話についていけないんですが」
「ごめんごめん、俺たち帝王と呼ばれている奴らはそれぞれ神が宿るアーティファクトと神の権能とかいう最高級のスキルがあるのさ」
「神の権能とアーティファクト‥‥うん、持ってることには持ってるけど‥‥」
「そう、君は帝王になり得るアイテムと資格があるんだよ、その上、暴食帝の首を取る正当な理由もある」
「クラウソラス‥‥奴の幹部を敵に回したから?」
「ご名答!」
「だけど‥‥」
「おや?まさかクラウソラスに黙って殺されるのがお望みなのかな?」
「そんな訳ない!だけど‥‥今の実力じゃ敵わない」
「ふむ‥‥確かにそうだな‥‥ヘリオ、そういえば竜祭ってそろそろだよね?」
「はい、大体2、3日後くらいでございます」
「おぉ~都合がいいねぇ!じゃあ彼らに参加申請書用意しといて」
「し、しかし!」
「俺の言う事が聞けないのかい?」
「うっ‥‥承諾いたしました、お前たち行くぞ」
「待ってくださいよ、竜祭って何なんですか?」
「それは君たちを格段に成長させる大イベントさ!」
「えぇ‥‥」
「おっと、そういえば名乗ってなかったな!俺はガシュー、強欲帝にして5番目の帝王だ!灰崎零、アレクシエル・サミエム!この竜祭で生き延びてみろ、それが君たちに贈る最初の試練だ!」
彼がそう言い終えるとタイミング良く扉が閉まる。僕たちは、ヘリオに腕を掴まれてどこかへ連れて行かれる。竜祭で生き延びる?もしかして、めちゃくちゃな祭りなのか?全く説明がないんだけど!というかサミエムは‥‥って、処理落ちみたいな暗い顔してる。
「もしかして‥‥」
「あぁ‥‥どの道命かけないといけないならクラウソラスよりはまだましだから‥‥ましだから‥‥」
「えぇ‥‥自己暗示するくらい危険なのか‥‥」
「旦那ぁ‥‥ドラゴンって知ってるよな?」
「もちろん、え?」
「察したようだな」
「つまり、ドラゴンと戦う祭り?」
「‥‥今更逃げれないのは分かってるだろ?」
「死なない?」
「自慢じゃないが、毎年何人も死んでる」
「嘘‥‥じゃなさそうだね」
ヘリオは無言で腕を引く。とりあえずその何人かに入らないように祈っておこう‥‥
「竜祭参加期限今日までだぜー命知らずの野郎ども参加していけ!」
「おう、参加希望者だ」
「おっ、ヘリオさんじゃねぇか、その2人が参加者‥‥って、なんか弱そうだな、それに雰囲気暗いぞ?本当に参加したいのか?」
「‥‥はい」
「まぁそういうなら止めねぇがよ、じゃあこれに名前書いてくれ‥‥ふむふむ、灰崎零にアレクシエル‥‥って、名門の坊ちゃんか!こりゃ面白い見世物になりそうだ」
「‥‥ほっとけ、ハゲ」
「がっはっはっは、ほらよ、これがパンフレットだぜ」
「ありがとうございます」
「健闘を祈るぜ!」
屈強な身体のハゲ‥‥じゃなかった、男は豪快に笑いながら冊子を手渡す。思っていたよりもしっかりしたものだな‥‥順番やら仕来りやら景品やら‥‥この祭りの歴史まで載っている。というか、毎年の死亡者数とか載せるのはちょっとどうかと思うんだけど‥‥まぁ、この祭りを切り抜けるくらい強くないと、これから戦う帝王の足元にも及ばないんだろう。頑張るしかないな!よし、頑張るしかないな!そう自己暗示していると、ヘリオが話しかけてきた。
「旦那、あっちの看板が見えるか?あそこが宿だ、俺が先にチェックインさせといたぞ」
「ありがとうございます」
「それと‥‥気休めだが、これを」
「これは?」
「閃光どんぐりに溶解液、それとヒーリングポーションだ、丸腰じゃ必ず死ぬからな‥‥」
「なるほど‥‥ありがとうございます!」
「それと悪かった、こんなことになっちまって」
「仕方がないですよ‥‥この祭りで成長して強くなってみせます!」
ヘリオは安心したような色を少し見せると、サミエムの元に足早に向かった。多分、同じものを渡しているんだろう。この竜祭を乗り越えて必ず強くなってみせる!
「もちろん始末するよ?君たちは本質的には俺の敵だからね、おっ‥‥これは動揺ってやつかな?面白い色をしているねぇ」
「敵って分かってるならなんで‥‥」
「それはこんな所で話す内容じゃないよ」
強欲帝は会話を断ち切るように言葉を発すると、指をパチンと鳴らす。すると、周りの風景が一変する。地面は草も生えないような荒野から豪華な大理石に、天井は何にもない青空からよく分からない絵画に‥‥サミエムの家もすごいと思ったけど、ここは格が違うというのが素人目にも分かる。そんな風景に少し驚いていると、サミエムが強欲帝に訪ねる。
「ここは?」
「俺の家だよ、まぁ気楽に座っていいよ?」
「敵を自分の部屋に招くのか‥‥」
「ハハハ、君たち程度なら脅威にはならないよ、じゃあそろそろ本題に入ろうか」
「そうだぜ、俺たちに暴食帝の首を取って欲しいってどういうことなんだ?」
「坊ちゃんは知ってるとは思うが、今この世界には帝王同士の相互不可侵条約が締結されている、これを破れば全帝王が総力を総動員して潰しに来る」
「だから、俺たちにやれって?無茶だと思うんだけど‥‥」
「出来るさ、だからこそのジョーカーさ」
「何を根拠に言ってるのか分からないんだけど‥‥」
「坊ちゃんの相棒‥‥そいつには神がいるんだろ?つまりは‥‥」
「あっ、そうか!」
「ちょっと待ってくださいよ、話についていけないんですが」
「ごめんごめん、俺たち帝王と呼ばれている奴らはそれぞれ神が宿るアーティファクトと神の権能とかいう最高級のスキルがあるのさ」
「神の権能とアーティファクト‥‥うん、持ってることには持ってるけど‥‥」
「そう、君は帝王になり得るアイテムと資格があるんだよ、その上、暴食帝の首を取る正当な理由もある」
「クラウソラス‥‥奴の幹部を敵に回したから?」
「ご名答!」
「だけど‥‥」
「おや?まさかクラウソラスに黙って殺されるのがお望みなのかな?」
「そんな訳ない!だけど‥‥今の実力じゃ敵わない」
「ふむ‥‥確かにそうだな‥‥ヘリオ、そういえば竜祭ってそろそろだよね?」
「はい、大体2、3日後くらいでございます」
「おぉ~都合がいいねぇ!じゃあ彼らに参加申請書用意しといて」
「し、しかし!」
「俺の言う事が聞けないのかい?」
「うっ‥‥承諾いたしました、お前たち行くぞ」
「待ってくださいよ、竜祭って何なんですか?」
「それは君たちを格段に成長させる大イベントさ!」
「えぇ‥‥」
「おっと、そういえば名乗ってなかったな!俺はガシュー、強欲帝にして5番目の帝王だ!灰崎零、アレクシエル・サミエム!この竜祭で生き延びてみろ、それが君たちに贈る最初の試練だ!」
彼がそう言い終えるとタイミング良く扉が閉まる。僕たちは、ヘリオに腕を掴まれてどこかへ連れて行かれる。竜祭で生き延びる?もしかして、めちゃくちゃな祭りなのか?全く説明がないんだけど!というかサミエムは‥‥って、処理落ちみたいな暗い顔してる。
「もしかして‥‥」
「あぁ‥‥どの道命かけないといけないならクラウソラスよりはまだましだから‥‥ましだから‥‥」
「えぇ‥‥自己暗示するくらい危険なのか‥‥」
「旦那ぁ‥‥ドラゴンって知ってるよな?」
「もちろん、え?」
「察したようだな」
「つまり、ドラゴンと戦う祭り?」
「‥‥今更逃げれないのは分かってるだろ?」
「死なない?」
「自慢じゃないが、毎年何人も死んでる」
「嘘‥‥じゃなさそうだね」
ヘリオは無言で腕を引く。とりあえずその何人かに入らないように祈っておこう‥‥
「竜祭参加期限今日までだぜー命知らずの野郎ども参加していけ!」
「おう、参加希望者だ」
「おっ、ヘリオさんじゃねぇか、その2人が参加者‥‥って、なんか弱そうだな、それに雰囲気暗いぞ?本当に参加したいのか?」
「‥‥はい」
「まぁそういうなら止めねぇがよ、じゃあこれに名前書いてくれ‥‥ふむふむ、灰崎零にアレクシエル‥‥って、名門の坊ちゃんか!こりゃ面白い見世物になりそうだ」
「‥‥ほっとけ、ハゲ」
「がっはっはっは、ほらよ、これがパンフレットだぜ」
「ありがとうございます」
「健闘を祈るぜ!」
屈強な身体のハゲ‥‥じゃなかった、男は豪快に笑いながら冊子を手渡す。思っていたよりもしっかりしたものだな‥‥順番やら仕来りやら景品やら‥‥この祭りの歴史まで載っている。というか、毎年の死亡者数とか載せるのはちょっとどうかと思うんだけど‥‥まぁ、この祭りを切り抜けるくらい強くないと、これから戦う帝王の足元にも及ばないんだろう。頑張るしかないな!よし、頑張るしかないな!そう自己暗示していると、ヘリオが話しかけてきた。
「旦那、あっちの看板が見えるか?あそこが宿だ、俺が先にチェックインさせといたぞ」
「ありがとうございます」
「それと‥‥気休めだが、これを」
「これは?」
「閃光どんぐりに溶解液、それとヒーリングポーションだ、丸腰じゃ必ず死ぬからな‥‥」
「なるほど‥‥ありがとうございます!」
「それと悪かった、こんなことになっちまって」
「仕方がないですよ‥‥この祭りで成長して強くなってみせます!」
ヘリオは安心したような色を少し見せると、サミエムの元に足早に向かった。多分、同じものを渡しているんだろう。この竜祭を乗り越えて必ず強くなってみせる!
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