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序章
第19話 逃亡戦
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馬車に揺られること数時間、ようやくサミエムも落ち着きを取り戻した。彼は泣きじゃくりながら、周りを見渡す。追っ手を気にしているようだ。すると、後方から追ってくるけたたましい音が鳴り響く。彼の予感は的中したようだ、屋敷の前に止まっていた馬車が追ってきていた。
「もう追っ手が来たのか‥‥」
「仕方がない、迎え撃つしかないよ」
「でも、どうやって?俺は近接職だし、灰崎の技は特殊過ぎてまともに戦えない、どうやって迎え撃つんだよ」
(ならあれしかないわね?)
「‥‥アリフィカさん、あれはすごく痛いんですよ?」
(でも、どっちかがやらないといけないわよ?なら、一応は汎用性のあるサミエムが動ける方がいいでしょ?)
「分かりましたよ、もう‥‥サミエム、アリフィカさんの力を使う、後は頼むぞ?」
「ゴッドなんたらだっけ?あぁ、頑張るよ、守りきってやんよ!」
(よく言ったわ、ゴッズアビリティ発動!)
「‥‥よし、くらえ、ファントムメイク!」
「やったか‥‥あれ、何も変わってないよ、灰崎?」
「おかしいなぁ?うーん、もしかしてこれハズレ技かな?」
「のんきなこと言ってる場合じゃないだろ!」
(ふっふっふーリコールは受け付けないのだ、てへ!)
「ちょっ、アリフィカさん!待って‥‥通信切られた」
「あの女神って、頼りになりそうに思えたけどもしかしてポンコツだったりするのか?」
「ちょっと抜けてるところはあるかな、ははは‥‥」
また、ピンチだなぁ‥‥何回目かな、こんな状況は‥‥って、半ば諦めの感情まで湧いてきたが、はいどうぞって、死んであげるほど達観してない。幻術師の説明を思い出せ、灰崎零!ええっと、確か‥‥そうだ、幻術世界に引き込んでからがこの職業の本質が発揮されるってやつだ!ということは、さっき技は幻術世界に引き込めていない、もしくは幻術世界に引き込む技‥‥なら、もう1つ試すか!
「ファントムメイク、フォレスト!」
「うわ、なんだ?」
「突然森が‥‥探せ、探せ!」
「やったよ、灰崎!あいつらが戸惑いながら足を止めてる、今のうちに全速力で逃げるぜ!」
「効果がどれくらい効くのか分からないから、まだ警戒しておいてくれ‥‥僕は少しMPを使い過ぎた‥‥」
「おう、任せとけ!」
それからさらに数時間後、辺りは暗くなっていたが、ようやくアステリアに辿り着くことが出来た。さっそく馬車を降り、ヘリオさんの店へと向かう。しかし、僕らの前に謎の集団が現れた。彼らの風体から見て、騎士ではないことは確かだから、追っ手ではないだろう。
「お前らが灰崎とサミエムってやつかぁ?」
「‥‥そうだが、なんだ?」
「お前らには懸賞金がかかっているんだよ、悪いが大人しくしてもらうぜ~?」
「断る!兄さんの犠牲を無駄にするようなことはしない、灰崎!」
「あぁ、分かってるよ!くらえ、メンタルダウン!」
「うげぇ‥‥動けねぇ、何をしたぁ!」
「くそ‥‥よくわからんスキル持ちだ、てめぇら、かかれぇ!」
「円月切り!はぁ‥‥はぁ‥‥きりがないぞ!」
「うぅ、かれこれ数十分くらい戦っているのに‥‥全くどれくらいいるんだよ!」
サミエムも疲労で息が上がっているし、僕もMPがそろそろ限界だ‥‥それに、ゴッズアビリティの効果時間もそろそろ終わりだ。これはもう‥‥
「お前たち、何をしている!」
「この声は‥‥ヘリオさん?」
「道の真ん中でもめ事起こしやがって、後始末が‥‥旦那か?何してるんだ、こんな所で」
「ヘリオ諜報員の知り合いなのか?こいつらは俺たちの獲物だから、諜報員と言っても容赦しねぇぞ!」
「ほう、まぁもめ事の時は俺たちのギルドでは力が全てだ、それもいいだろう‥‥スキル発動、ファイアエンチャント、くらえ‥‥烈閃!」
「すげぇ‥‥あの軍団を一撃だ、あのおっさん何者なんだ?灰崎は知ってるんだろ?」
「紹介がまだだったな、アレクシエルの坊ちゃん、俺はヘリオだ‥‥元冒険者で、今はLWDの諜報員だ、よろしくな」
「LWDだって?!」
「どうしたの、サミエム?」
「知らないのか?LWDは、冒険者ギルドの次にデカいギルドで、構成員は大体やばいことばっかりやっている奴らだよ、そして大元は‥‥強欲帝っていう噂がある」
「流石アレクシエルの坊ちゃんだな、よく知っているじゃないか、それで‥‥旦那、なんであんたらに賞金がかかってんだ?」
「それは‥‥‥‥ってことなんだ」
「ほう、それはちょうどいいというか都合が良いというか‥‥」
「どういうことですか?」
「単刀直入に言おう、旦那、いや灰崎零、お前を強欲帝の元へと連れて行く」
「え?」
「ついでだ、国外逃亡のな、アレクシエルの坊ちゃんも連れてってやるよ」
「えぇ‥‥まぁ別に構わないけど‥‥」
「では行こうか‥‥俺たちの本拠地、ラクスウェルへ!」
「もう追っ手が来たのか‥‥」
「仕方がない、迎え撃つしかないよ」
「でも、どうやって?俺は近接職だし、灰崎の技は特殊過ぎてまともに戦えない、どうやって迎え撃つんだよ」
(ならあれしかないわね?)
「‥‥アリフィカさん、あれはすごく痛いんですよ?」
(でも、どっちかがやらないといけないわよ?なら、一応は汎用性のあるサミエムが動ける方がいいでしょ?)
「分かりましたよ、もう‥‥サミエム、アリフィカさんの力を使う、後は頼むぞ?」
「ゴッドなんたらだっけ?あぁ、頑張るよ、守りきってやんよ!」
(よく言ったわ、ゴッズアビリティ発動!)
「‥‥よし、くらえ、ファントムメイク!」
「やったか‥‥あれ、何も変わってないよ、灰崎?」
「おかしいなぁ?うーん、もしかしてこれハズレ技かな?」
「のんきなこと言ってる場合じゃないだろ!」
(ふっふっふーリコールは受け付けないのだ、てへ!)
「ちょっ、アリフィカさん!待って‥‥通信切られた」
「あの女神って、頼りになりそうに思えたけどもしかしてポンコツだったりするのか?」
「ちょっと抜けてるところはあるかな、ははは‥‥」
また、ピンチだなぁ‥‥何回目かな、こんな状況は‥‥って、半ば諦めの感情まで湧いてきたが、はいどうぞって、死んであげるほど達観してない。幻術師の説明を思い出せ、灰崎零!ええっと、確か‥‥そうだ、幻術世界に引き込んでからがこの職業の本質が発揮されるってやつだ!ということは、さっき技は幻術世界に引き込めていない、もしくは幻術世界に引き込む技‥‥なら、もう1つ試すか!
「ファントムメイク、フォレスト!」
「うわ、なんだ?」
「突然森が‥‥探せ、探せ!」
「やったよ、灰崎!あいつらが戸惑いながら足を止めてる、今のうちに全速力で逃げるぜ!」
「効果がどれくらい効くのか分からないから、まだ警戒しておいてくれ‥‥僕は少しMPを使い過ぎた‥‥」
「おう、任せとけ!」
それからさらに数時間後、辺りは暗くなっていたが、ようやくアステリアに辿り着くことが出来た。さっそく馬車を降り、ヘリオさんの店へと向かう。しかし、僕らの前に謎の集団が現れた。彼らの風体から見て、騎士ではないことは確かだから、追っ手ではないだろう。
「お前らが灰崎とサミエムってやつかぁ?」
「‥‥そうだが、なんだ?」
「お前らには懸賞金がかかっているんだよ、悪いが大人しくしてもらうぜ~?」
「断る!兄さんの犠牲を無駄にするようなことはしない、灰崎!」
「あぁ、分かってるよ!くらえ、メンタルダウン!」
「うげぇ‥‥動けねぇ、何をしたぁ!」
「くそ‥‥よくわからんスキル持ちだ、てめぇら、かかれぇ!」
「円月切り!はぁ‥‥はぁ‥‥きりがないぞ!」
「うぅ、かれこれ数十分くらい戦っているのに‥‥全くどれくらいいるんだよ!」
サミエムも疲労で息が上がっているし、僕もMPがそろそろ限界だ‥‥それに、ゴッズアビリティの効果時間もそろそろ終わりだ。これはもう‥‥
「お前たち、何をしている!」
「この声は‥‥ヘリオさん?」
「道の真ん中でもめ事起こしやがって、後始末が‥‥旦那か?何してるんだ、こんな所で」
「ヘリオ諜報員の知り合いなのか?こいつらは俺たちの獲物だから、諜報員と言っても容赦しねぇぞ!」
「ほう、まぁもめ事の時は俺たちのギルドでは力が全てだ、それもいいだろう‥‥スキル発動、ファイアエンチャント、くらえ‥‥烈閃!」
「すげぇ‥‥あの軍団を一撃だ、あのおっさん何者なんだ?灰崎は知ってるんだろ?」
「紹介がまだだったな、アレクシエルの坊ちゃん、俺はヘリオだ‥‥元冒険者で、今はLWDの諜報員だ、よろしくな」
「LWDだって?!」
「どうしたの、サミエム?」
「知らないのか?LWDは、冒険者ギルドの次にデカいギルドで、構成員は大体やばいことばっかりやっている奴らだよ、そして大元は‥‥強欲帝っていう噂がある」
「流石アレクシエルの坊ちゃんだな、よく知っているじゃないか、それで‥‥旦那、なんであんたらに賞金がかかってんだ?」
「それは‥‥‥‥ってことなんだ」
「ほう、それはちょうどいいというか都合が良いというか‥‥」
「どういうことですか?」
「単刀直入に言おう、旦那、いや灰崎零、お前を強欲帝の元へと連れて行く」
「え?」
「ついでだ、国外逃亡のな、アレクシエルの坊ちゃんも連れてってやるよ」
「えぇ‥‥まぁ別に構わないけど‥‥」
「では行こうか‥‥俺たちの本拠地、ラクスウェルへ!」
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