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序章

プロローグ 神が頼れる存在とは限らない

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「さぁ!私たちでこの世界を変えましょう!」

 少女は高らかに宣言し、僕に手を差し伸べる。なぜこんなことになったか?それを説明するには、少し時を遡る必要がある。
 美しい大理石の神殿に美しい少女、そんな異世界転生のプロローグのような場所に気が付くと僕は立っていた。満面の笑みで近づいてきた少女が、意気揚々と話しかけてきた。

「やった!成功した!ふふん、私も神としての一歩を踏み出したって感じだわ!ねぇ、君!名前は?」

「えっと…」

「あら、転生のショックかしら?それとも私の美しさに見とれているのかしら~♪あなたイケメンだから付き合ってあげても…」

「ここは、あなたは?」

「ふぇ?!そうか、そこか~」

「…?」

「自己紹介が遅れたわね!私は女神アリフィカ!あなたを転生させる者よ!よろしくね」

「僕は灰崎零…よろしくお願いします、アリフィカ様」

「アハハ、そんな堅苦しくなくてもいいわよ?寧ろ~いい声だし~呼び捨てで…おっほん、話がそれたわね。本題に入るわ」

「私が管理というか正確には代理…なんだけど、その世界は7人の帝王が征服していて、争いが絶えないの…だからあなたには秩序を取り戻してほしいの!」

「でも、何も特別なことは‥‥強いて言えば、感情の色が見える程度です。僕には到底…」

「大丈夫よ!何たって私がいるもの!」

「では、何かくださるのですか?」

「その通り!これよ!」

「それは…紙切れ?」

「失敬な!これは、冒険者ギルドの優待券よ!これで、上位職業にでも何でもなれるのよ!」

「えっと…職業になれても僕が強くないので一緒なのでは?」

「あ…しまった!!うっ…ま、まぁ、大方大丈夫だと思うわよ」

 明らかに動揺した感情の色だ。はぁ…大丈夫かな?それにしても何で僕はここにいるんだろ?聞いてみよ‥‥あぁ、色を見るまでなく落ち込んでいる。やっぱりその辺は少女並なのだろう。少し待つか‥‥



 しばらくして落ち着きを取り戻した彼女が話し出した。

「ごめんなさい…取り乱しちゃったわ」

「構いませんよ、それで僕は?」

「私の力じゃあなたがいた世界に蘇らせるのは無理ね。だから…」

「異世界に転生するしかないと?」

「うん…」

「はぁ…あれ?僕は死んだんですか?」

「ええ、そうよ?ビルからの投身自殺だって、私高いところ無理だから絶対飛べないわ」

「そんな覚えないのですが…」

「うーん、転生させたときのショックかな?まぁ、細かいことは分からないわ」

「なるほど、まぁ、それ以外に手段がないなら…」

「いいの?」

「はい、承りましょう」

「本当に?!ありがとう!!優待券あげる!ふふ、優しい人は好きよ。あ!君の門出だもんね!ちゃんとしなきゃ‥‥おほん!」

「さぁ!私たちで世界を変えましょう!」

 まぁ、ここまでが冒頭につながる話だ。そして、これが僕の異世界転生ストーリーの幕開けだ!

「っていっても私は下界に降りられないから、この石を通じてのサポートだけどね!」

 とりあえずこの女神はあてにならないということだけは覚えていこう…
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