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2巡目
第10話 説得成功?!
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私は混乱していた。お嬢様が転生者?それじゃまるで特異点があの女じゃなくて彼女本人みたいじゃない。あの神って、私が実家で会ったあいつのこと?情報が渋滞し過ぎて分からない。
「ともかくあなたはこれから敵よ!」
「待ってください!」
「…なによ」
「まだ混乱していてよく分かりませんが、なぜ敵と決めつけるんですか!」
「あの神はね…人のことを何とも思わない奴なのよ、正式な歴史だか何だかで協力しろって?冗談じゃないわ」
「しかし、あなたはこのままでは辺境の地に飛ばされて死んでしまうんですよ?これは悪いことでしょ…」
「私にとってあれは幸せなことだった!何よりこの国が…あの人が悲しまずに済むのは」
「何が待ってるのですか?」
「この国が滅ぶのよ、代えがたいような因縁のせいでね」
「この国が…?」
「えぇ、だから私は数周回って王子の好みにあった女性を探して、ようやく彼女を見つけたの」
「あの女はアリア様が…」
「もういいかしら?私の分の教科書取りに行かないと…あなたも邪魔しないでね」
数周…彼女は数周も1人でこの事態になるように動いていたのね。優しい彼女が自身の幸せよりも国民の幸せのために犠牲になって…なんなら自分が悪役に陥れてでも守り抜きたかったものを私が奪っていい訳がない。だけど……だけど…だけど!
「いい訳ないだろ!!」
「…え?」
「犠牲になればそれでOKだって?なんでそんなの望んでいるとか嘘つくのよ!」
「嘘なんかじゃ…」
「じゃあなんで王子と過ごしたあの日々をあんなに楽しそうに語っていたのよ!あれも嘘だって言うの?」
「だ、だから」
「それに王子の気持ちはどうなるの?何周回ったのか分からないけど、どうやっても告白してきたからあんな手を使ったのでしょ?」
「仕方ないじゃない!どうすることも出来ないのよ…」
「…私がどうにかしてみせます」
「無理よ…相手は国家なのよ?」
「何とかしてみせます!だから…だから、あなたの幸せを諦めないでください」
「…私だって……諦めたくなんてなかったわよ!」
それで口火を切ったように彼女の透き通った目から涙がこぼれ落ちる。我が子のように愛おしいその姿を私は静かに…でも、強く抱きしめた。誰だって幸せになりたくないなんて思わない。彼女のすすり泣く声でそう感じた。しかし、これからが大変である。国との外交問題を解決させるという大役を私と彼女がしなければならない…時間ループメイドと転生悪役令嬢の生存ルート模索が始まるのであった。
「ともかくあなたはこれから敵よ!」
「待ってください!」
「…なによ」
「まだ混乱していてよく分かりませんが、なぜ敵と決めつけるんですか!」
「あの神はね…人のことを何とも思わない奴なのよ、正式な歴史だか何だかで協力しろって?冗談じゃないわ」
「しかし、あなたはこのままでは辺境の地に飛ばされて死んでしまうんですよ?これは悪いことでしょ…」
「私にとってあれは幸せなことだった!何よりこの国が…あの人が悲しまずに済むのは」
「何が待ってるのですか?」
「この国が滅ぶのよ、代えがたいような因縁のせいでね」
「この国が…?」
「えぇ、だから私は数周回って王子の好みにあった女性を探して、ようやく彼女を見つけたの」
「あの女はアリア様が…」
「もういいかしら?私の分の教科書取りに行かないと…あなたも邪魔しないでね」
数周…彼女は数周も1人でこの事態になるように動いていたのね。優しい彼女が自身の幸せよりも国民の幸せのために犠牲になって…なんなら自分が悪役に陥れてでも守り抜きたかったものを私が奪っていい訳がない。だけど……だけど…だけど!
「いい訳ないだろ!!」
「…え?」
「犠牲になればそれでOKだって?なんでそんなの望んでいるとか嘘つくのよ!」
「嘘なんかじゃ…」
「じゃあなんで王子と過ごしたあの日々をあんなに楽しそうに語っていたのよ!あれも嘘だって言うの?」
「だ、だから」
「それに王子の気持ちはどうなるの?何周回ったのか分からないけど、どうやっても告白してきたからあんな手を使ったのでしょ?」
「仕方ないじゃない!どうすることも出来ないのよ…」
「…私がどうにかしてみせます」
「無理よ…相手は国家なのよ?」
「何とかしてみせます!だから…だから、あなたの幸せを諦めないでください」
「…私だって……諦めたくなんてなかったわよ!」
それで口火を切ったように彼女の透き通った目から涙がこぼれ落ちる。我が子のように愛おしいその姿を私は静かに…でも、強く抱きしめた。誰だって幸せになりたくないなんて思わない。彼女のすすり泣く声でそう感じた。しかし、これからが大変である。国との外交問題を解決させるという大役を私と彼女がしなければならない…時間ループメイドと転生悪役令嬢の生存ルート模索が始まるのであった。
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