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1巡目
第4話 恋敵出現?!
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お嬢様の青春が始まってから早いもので数週間が経った。この間にも私が体験してきた過去とは大きく違い、日に日に王子とのあれこれが増えていく一方である。完全に片想いルートからは脱却したと言ってもいい。こんな簡単なことだったら、最初のうちにしとけば良かったと無駄な後悔をするくらいの余裕がある。しかし、依然として気は抜けない。だって、今日はあの女が転校してくる日…間違いなく変化が見られるはずよ。
「そろそろお嬢様が帰ってくるわね…」
いつも送り迎えはお嬢様専属の馬車がある。耳をすませば車輪の音が聞こえてくるので、帰りが分かる。お出迎えがしやすい配慮なのだろうか?まぁやりやすくなるならいいのだけれど。そして、いつも通りの時間帯に車輪の音がゴロゴロと聞こえてきた。私はひとまず部屋の掃除をやめて玄関へと向かう。
「おかえりなさいませ、お嬢様」
「…ただいま」
あ、あれ~?あからさまに不機嫌だったわね…まさかあの女にまた奪われちゃう前兆が?いやいや、ひとまずアリア様のご機嫌を取って話を聞く方が専決だわ。
「アリアお嬢様、今日のディナーは好物のじゃがいものオラニスト添えが出るらしいですわよ」
「そうなんだ…」
やばいやばい、全然聞く耳持たず所か興味なさ過ぎて髪弄りだしたわ。どうにかして機嫌よくしないと学校の状況が…
「ねぇ…聞いてくれる?」
「な、なんでございましょう?」
「今日ね、学校で転校生が来たの」
「へ、へぇ~この時期とは珍しいですね」
「それでね、ヴォルフさんがその子…」
「惚れたんですか?!」
「多分違う、私の方が可愛いって言ってたし…」
「それは良かったではありませんか~」
「……良くないよ」
「え…あっ、確かに他の子に可愛いなんて言ってたら嫉妬したくなるのが乙女ですよね!目移りするなーって言いたくなりますよね、良くない良くない…」
「ごめん、今の忘れて」
「そ、そうですか?」
「うん、1人になりたいから席を外してくれないかしら?」
「かしこまりました、では失礼いたします」
成長したとはいえあどけない少女の顔とは思えないほどに彼女の顔はこわばり、大人びた印象を受けた。しかし、良かった…ヴォルフ王子は確実にアリアお嬢様にぞっこんだわ。でも、侮れないわね。私の方が可愛いって言ってくれたということはあの女にも可愛いというイメージがあるはず…だから、アリア様はあれほどまでに悩んでいた、きっとそうに違いない。私の中にあった違和感を気のせいだと思いたいがために私は言い訳を重ねた。そう、喉につっかえた魚の骨のような痛みを伴う違和感を。
「そろそろお嬢様が帰ってくるわね…」
いつも送り迎えはお嬢様専属の馬車がある。耳をすませば車輪の音が聞こえてくるので、帰りが分かる。お出迎えがしやすい配慮なのだろうか?まぁやりやすくなるならいいのだけれど。そして、いつも通りの時間帯に車輪の音がゴロゴロと聞こえてきた。私はひとまず部屋の掃除をやめて玄関へと向かう。
「おかえりなさいませ、お嬢様」
「…ただいま」
あ、あれ~?あからさまに不機嫌だったわね…まさかあの女にまた奪われちゃう前兆が?いやいや、ひとまずアリア様のご機嫌を取って話を聞く方が専決だわ。
「アリアお嬢様、今日のディナーは好物のじゃがいものオラニスト添えが出るらしいですわよ」
「そうなんだ…」
やばいやばい、全然聞く耳持たず所か興味なさ過ぎて髪弄りだしたわ。どうにかして機嫌よくしないと学校の状況が…
「ねぇ…聞いてくれる?」
「な、なんでございましょう?」
「今日ね、学校で転校生が来たの」
「へ、へぇ~この時期とは珍しいですね」
「それでね、ヴォルフさんがその子…」
「惚れたんですか?!」
「多分違う、私の方が可愛いって言ってたし…」
「それは良かったではありませんか~」
「……良くないよ」
「え…あっ、確かに他の子に可愛いなんて言ってたら嫉妬したくなるのが乙女ですよね!目移りするなーって言いたくなりますよね、良くない良くない…」
「ごめん、今の忘れて」
「そ、そうですか?」
「うん、1人になりたいから席を外してくれないかしら?」
「かしこまりました、では失礼いたします」
成長したとはいえあどけない少女の顔とは思えないほどに彼女の顔はこわばり、大人びた印象を受けた。しかし、良かった…ヴォルフ王子は確実にアリアお嬢様にぞっこんだわ。でも、侮れないわね。私の方が可愛いって言ってくれたということはあの女にも可愛いというイメージがあるはず…だから、アリア様はあれほどまでに悩んでいた、きっとそうに違いない。私の中にあった違和感を気のせいだと思いたいがために私は言い訳を重ねた。そう、喉につっかえた魚の骨のような痛みを伴う違和感を。
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