1 / 9
プロローグ ~記憶の欠片~
しおりを挟む
「――フィルクス!」
埒のあかない鍔迫り合いから状況を転ずるべく、大技で勝負に出る。
片手剣の五連撃スキル――フィルクス。
技名を引き金にして、身体の制御がゲームシステムに委ねられた。スキル発動中は自律行動権が剥奪され、使用後には硬直が発生する一方で速度や威力は数段跳ね上がる。
正に必殺技と呼ぶにふさわしい攻撃――だというのに対戦相手の少年は、男にしては長めの茶髪をなびかせながら、超速の剣戟を致命傷にならないよう捌き続ける。顔色一つ変えないままに。
流石に自律行動の限界を超えた速度を完全に回避することは不可能であり、一閃毎に相手のHPゲージは減少している。けれど足りない。
何か対策を打とうにも、スキルを発動した以上技が完了し、さらに硬直を終えるまでは成す術がなかった。
そして五撃目を繰り出した後、動きが完全に停止する。初心者ならいざ知らず、数百戦と試合をこなした敵がこの隙を逃すはずもなく、少年は白銀の剣で躊躇いなく俺を切り裂いた。
振りぬかれた剣は俺のアバターには傷跡一つ残さず、しかし残りの体力を完全に削り切る。そのままHPゲージは消失し、代わりに『You Lose』の文字が浮かび上がった。
俺はその文字から、そして勝者から目を逸らすように、足元に広がる芝生へ仰向けに倒れこんで空を見上げる。
雲一つない澄み切った青空……だったが、気持ちの整理をつけるより早く頭上から不愉快なにやけ面で覗き込んでくる性悪女。
彼女――羽美は心底楽しそうに口を開く。
「また負けたわね、颯。連敗記録更新オメデト」
「……うっせーよ」
「相変わらず判断が甘いのよ。あんなタイミングでスキル使っても攻め切れないって、そろそろ学習しなさいよね」
「今回は惜しかっただろうが! いつもいつもグチグチと――」
「うわっ、そんなこと言っちゃう!? わたしは颯が成長できるようアドバイスしてあげてるだけなのに」
「その上から目線がムカつくんだよ! 羽美だって穹には負け越してるくせによ!」
「はぁー!? だったら穹に一回でも勝ってみなさいよ! ま、颯には一生かかっても無理でしょうけど!」
「二人まとめてすぐに追い抜いてやるよ! 特に色気づいてアバター弄ってるお前なんかに負けてられねぇ!」
気にしていたのか、一気に顔を赤くする羽美。昨日までは現実と同じ黒髪だったくせに今日は銀色に変更していて、しかもウェーブがかかってたりもする。あからさますぎるんだよ。
「な――ッ! い、色気づいてなんかないもん! 現実では銀髪なんて出来ないし、ちょっと試してみただけなんだから!」
「それが色気づいてるって言ってんだよ、バーカ!」
「うるさい、雑魚!」
「はいはい、二人ともその辺にしておきなよ。ほんと、仲がいいんだから」
「「仲良くない!!」」
図らずに重なってしまった台詞に、俺と羽美はますます睨み合う。その様子に、さっきまでの対戦相手だった穹は「毎日見せつけられる身にもなって欲しいな」などと意味不明な戯言をほざいていたが、羽美が突っかかってくるからこうなるのだ。断じて俺は悪くない!
「穹からもこの性悪女に言ってやってくれよ。お前が変えるべきなのは外見じゃなくて内面だってさ」
「あ、ずるい! 一人じゃ弱っちいからって穹を巻き込むんじゃないわよ!」
「弱くねぇ! 今すぐに証明してやろうか!」
「望むところよ! 穹、悪いけど順番変更ね! こいつに身の程を叩き込んでやるんだから!」
「上等だ! かかってこい、羽美!」
俺はすぐさまシステムメニューを開いて羽美へ対戦を申し込む。申請は直ちに承認され、俺達はスキルセレクトへと移行した。
「……君たちに冷静さが備われば、僕との戦績も五分になるんだろうけどね」
◇ ◇ ◇
「……三勝三敗か」
連続六回戦を終えた俺と羽美は疲労から芝の上に倒れていた。ゲームなんだから体力まで再現しなくてもいいと思うのだけれど、長時間プレイを緩和させる対策らしい。余計な機能だよなぁ。
「……颯に引き分けとか屈辱だわ」
「ハッ! なんならもう一戦して白黒ハッキリさせてもいいんだぞ? お前にその覚悟があれば、だけどな」
「バテバテでぶっ倒れながらよく言えるわね。その虚勢だけは尊敬するわ」
「なんだと!?」
「なによ!?」
「ダメだよ、二人とも。そろそろログアウトしないと、約束の時間になっちゃうよ?」
穹に言われて現在時刻を確認すると、視界の端に『午後五時五十分』と表示された。確かにもう対戦をしている時間はないな。
「あーあ、早く大人になりたいな。そうすりゃ時間なんて気にせずに、ずっと練習できるのに」
「……悪かったわね。わたしのせいで時間制限があって」
さっきまでとは違い拗ねながらも、羽美は僅かに申し訳なさを滲ませたトーンになる。
しまった。普段は強気なくせに、このことに関してはデリケートなんだった。穹から「はやくフォローしなよ」と言わんばかりで視線が向けられている気がする。
しょうがねーな、まったく。
「……親との約束なんだから仕方ねーよ。それにあと数年の辛抱だろ? 高校生になったら部活動って名目が出来るし、一日中潜ってても文句言われなくなるさ」
「……学校があるから一日中は無理でしょ。これだから馬鹿は」
「馬鹿はお前だよ。全国大会で優勝目指すんだぜ? 授業なんかさぼって練習する気概が無くてどうするよ!」
「さぼりがバレたら、それこそ取り上げられるわよ!」
気が付くと俺たちは身体を起こし、またもや睨み合う。様式美とばかりに。
けれど形だけの状況に長く耐えられるわけもなく。
「……ふふっ」
「……はっ」
どちらともなく噴き出してしまった。
羽美や穹とは物心ついたころから一緒にいるし、相手の考えていることは大体想像がつく。それは、きっとお互い様だろう。
だから俺がフォローしたことを羽美は察しただろうし、彼女からの大丈夫というメッセージをしっかり受け取った。それなのに表面上はいがみ合うなんて、笑わずにはいられない。
「ま、一日中ってのは冗談にしてもさ……」
「ほんとに? 颯ならやりかねないと思うんだけど」
「僕もそう思うよ」
「うるせぇ! ちょっといいこと言おうとしてんだから、黙って聞けよ!」
二人でくすくすと笑いやがって!
「俺達三人で全国制覇しような。絶対に」
「僕達が高校生になるころには、団体戦の人数が三人一組から変わってたりして」
「それにわたしと穹はともかく、颯はメンバーに入れないんじゃない?」
「お前らは空気を読むって言葉を知らねえのか!?」
素直に肯定する場面だっただろうが!
「ごめんごめん……うん、そうだね。僕達なら出来るよ。むしろ、負ける方が難しい」
穹は相変わらず余裕綽々の表情で自信満々に。
「ま、付き合ってあげるわよ。あんた達についていける人なんて、わたし以外にいないでしょうしね」
羽美は表面上は渋々と、それでいて力強く。
「ああ、見せつけてやろうぜ。俺達三人の力を!」
そして俺は必ず迎えるであろう光景を思い描いて剣を掲げた。羽美と穹も同様に腕を上げ、夕日で赤く染まった空間で三本の剣が交差する。
――今となっては遠い記憶。失われてしまった約束。
それでも、この時は信じて疑わなかった。これまでと同じこれからが、ずっと続くって信じていたんだ。
埒のあかない鍔迫り合いから状況を転ずるべく、大技で勝負に出る。
片手剣の五連撃スキル――フィルクス。
技名を引き金にして、身体の制御がゲームシステムに委ねられた。スキル発動中は自律行動権が剥奪され、使用後には硬直が発生する一方で速度や威力は数段跳ね上がる。
正に必殺技と呼ぶにふさわしい攻撃――だというのに対戦相手の少年は、男にしては長めの茶髪をなびかせながら、超速の剣戟を致命傷にならないよう捌き続ける。顔色一つ変えないままに。
流石に自律行動の限界を超えた速度を完全に回避することは不可能であり、一閃毎に相手のHPゲージは減少している。けれど足りない。
何か対策を打とうにも、スキルを発動した以上技が完了し、さらに硬直を終えるまでは成す術がなかった。
そして五撃目を繰り出した後、動きが完全に停止する。初心者ならいざ知らず、数百戦と試合をこなした敵がこの隙を逃すはずもなく、少年は白銀の剣で躊躇いなく俺を切り裂いた。
振りぬかれた剣は俺のアバターには傷跡一つ残さず、しかし残りの体力を完全に削り切る。そのままHPゲージは消失し、代わりに『You Lose』の文字が浮かび上がった。
俺はその文字から、そして勝者から目を逸らすように、足元に広がる芝生へ仰向けに倒れこんで空を見上げる。
雲一つない澄み切った青空……だったが、気持ちの整理をつけるより早く頭上から不愉快なにやけ面で覗き込んでくる性悪女。
彼女――羽美は心底楽しそうに口を開く。
「また負けたわね、颯。連敗記録更新オメデト」
「……うっせーよ」
「相変わらず判断が甘いのよ。あんなタイミングでスキル使っても攻め切れないって、そろそろ学習しなさいよね」
「今回は惜しかっただろうが! いつもいつもグチグチと――」
「うわっ、そんなこと言っちゃう!? わたしは颯が成長できるようアドバイスしてあげてるだけなのに」
「その上から目線がムカつくんだよ! 羽美だって穹には負け越してるくせによ!」
「はぁー!? だったら穹に一回でも勝ってみなさいよ! ま、颯には一生かかっても無理でしょうけど!」
「二人まとめてすぐに追い抜いてやるよ! 特に色気づいてアバター弄ってるお前なんかに負けてられねぇ!」
気にしていたのか、一気に顔を赤くする羽美。昨日までは現実と同じ黒髪だったくせに今日は銀色に変更していて、しかもウェーブがかかってたりもする。あからさますぎるんだよ。
「な――ッ! い、色気づいてなんかないもん! 現実では銀髪なんて出来ないし、ちょっと試してみただけなんだから!」
「それが色気づいてるって言ってんだよ、バーカ!」
「うるさい、雑魚!」
「はいはい、二人ともその辺にしておきなよ。ほんと、仲がいいんだから」
「「仲良くない!!」」
図らずに重なってしまった台詞に、俺と羽美はますます睨み合う。その様子に、さっきまでの対戦相手だった穹は「毎日見せつけられる身にもなって欲しいな」などと意味不明な戯言をほざいていたが、羽美が突っかかってくるからこうなるのだ。断じて俺は悪くない!
「穹からもこの性悪女に言ってやってくれよ。お前が変えるべきなのは外見じゃなくて内面だってさ」
「あ、ずるい! 一人じゃ弱っちいからって穹を巻き込むんじゃないわよ!」
「弱くねぇ! 今すぐに証明してやろうか!」
「望むところよ! 穹、悪いけど順番変更ね! こいつに身の程を叩き込んでやるんだから!」
「上等だ! かかってこい、羽美!」
俺はすぐさまシステムメニューを開いて羽美へ対戦を申し込む。申請は直ちに承認され、俺達はスキルセレクトへと移行した。
「……君たちに冷静さが備われば、僕との戦績も五分になるんだろうけどね」
◇ ◇ ◇
「……三勝三敗か」
連続六回戦を終えた俺と羽美は疲労から芝の上に倒れていた。ゲームなんだから体力まで再現しなくてもいいと思うのだけれど、長時間プレイを緩和させる対策らしい。余計な機能だよなぁ。
「……颯に引き分けとか屈辱だわ」
「ハッ! なんならもう一戦して白黒ハッキリさせてもいいんだぞ? お前にその覚悟があれば、だけどな」
「バテバテでぶっ倒れながらよく言えるわね。その虚勢だけは尊敬するわ」
「なんだと!?」
「なによ!?」
「ダメだよ、二人とも。そろそろログアウトしないと、約束の時間になっちゃうよ?」
穹に言われて現在時刻を確認すると、視界の端に『午後五時五十分』と表示された。確かにもう対戦をしている時間はないな。
「あーあ、早く大人になりたいな。そうすりゃ時間なんて気にせずに、ずっと練習できるのに」
「……悪かったわね。わたしのせいで時間制限があって」
さっきまでとは違い拗ねながらも、羽美は僅かに申し訳なさを滲ませたトーンになる。
しまった。普段は強気なくせに、このことに関してはデリケートなんだった。穹から「はやくフォローしなよ」と言わんばかりで視線が向けられている気がする。
しょうがねーな、まったく。
「……親との約束なんだから仕方ねーよ。それにあと数年の辛抱だろ? 高校生になったら部活動って名目が出来るし、一日中潜ってても文句言われなくなるさ」
「……学校があるから一日中は無理でしょ。これだから馬鹿は」
「馬鹿はお前だよ。全国大会で優勝目指すんだぜ? 授業なんかさぼって練習する気概が無くてどうするよ!」
「さぼりがバレたら、それこそ取り上げられるわよ!」
気が付くと俺たちは身体を起こし、またもや睨み合う。様式美とばかりに。
けれど形だけの状況に長く耐えられるわけもなく。
「……ふふっ」
「……はっ」
どちらともなく噴き出してしまった。
羽美や穹とは物心ついたころから一緒にいるし、相手の考えていることは大体想像がつく。それは、きっとお互い様だろう。
だから俺がフォローしたことを羽美は察しただろうし、彼女からの大丈夫というメッセージをしっかり受け取った。それなのに表面上はいがみ合うなんて、笑わずにはいられない。
「ま、一日中ってのは冗談にしてもさ……」
「ほんとに? 颯ならやりかねないと思うんだけど」
「僕もそう思うよ」
「うるせぇ! ちょっといいこと言おうとしてんだから、黙って聞けよ!」
二人でくすくすと笑いやがって!
「俺達三人で全国制覇しような。絶対に」
「僕達が高校生になるころには、団体戦の人数が三人一組から変わってたりして」
「それにわたしと穹はともかく、颯はメンバーに入れないんじゃない?」
「お前らは空気を読むって言葉を知らねえのか!?」
素直に肯定する場面だっただろうが!
「ごめんごめん……うん、そうだね。僕達なら出来るよ。むしろ、負ける方が難しい」
穹は相変わらず余裕綽々の表情で自信満々に。
「ま、付き合ってあげるわよ。あんた達についていける人なんて、わたし以外にいないでしょうしね」
羽美は表面上は渋々と、それでいて力強く。
「ああ、見せつけてやろうぜ。俺達三人の力を!」
そして俺は必ず迎えるであろう光景を思い描いて剣を掲げた。羽美と穹も同様に腕を上げ、夕日で赤く染まった空間で三本の剣が交差する。
――今となっては遠い記憶。失われてしまった約束。
それでも、この時は信じて疑わなかった。これまでと同じこれからが、ずっと続くって信じていたんだ。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜
なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」
静寂をかき消す、衛兵の報告。
瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。
コリウス王国の国王––レオン・コリウス。
彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。
「構わん」……と。
周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。
これは……彼が望んだ結末であるからだ。
しかし彼は知らない。
この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。
王妃セレリナ。
彼女に消えて欲しかったのは……
いったい誰か?
◇◇◇
序盤はシリアスです。
楽しんでいただけるとうれしいです。
軌跡一路
香月 優希
ファンタジー
22歳の剣士、驃(しらかげ)は、魔物の討伐隊として存分に腕を振い、日々その剣技を磨きながら、ひたすら鍛錬に励んでいた。だがある日、後輩を庇って、左頬と右腕に大怪我を負ってしまう。
顔には消えぬ傷を刻まれ、利き腕が元に戻るのかの保証も得られず、失意の淵に立たされた驃が、剣士としての道をあらためて見出し、歩み始めるまでの再生物語。
<この作品は、小説家になろう/カクヨム/pixivでも公開しています>
【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた
杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。
なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。
婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。
勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。
「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」
その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺!
◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。
婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。
◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。
◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます!
10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
悪役令嬢になった私は卒業式の先を歩きたい。――『私』が悪役令嬢になった理由――
唯野晶
ファンタジー
【シリアス悪役令嬢モノ(?)。分からないことがあるのは幸せだ】
ある日目覚めたらずっと大好きな乙女ゲーの、それも悪役令嬢のレヴィアナに転生していた。
全てが美しく輝いているセレスティアル・ラブ・クロニクルの世界。
ヒロインのアリシア視点ではなく未知のイベントに心躍らせる私を待っているのは楽しい世界……のはずだったが?
「物語」に翻弄されるレヴィアナの運命はいかに!?
カクヨムで先行公開しています
https://kakuyomu.jp/works/16817330668424951212
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる