馬鹿がどれだけ馬鹿なことを考えているかを晒す試み

クロサワ

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東京から長野に行く方法を考えていたところ、愛の尊さに気がついた話

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どうやって長野に行こうかな。


東京からだと、丸1日寝ずに歩き通しても到着しません。
現実的な休息時間を視野に入れると少なくとも3,4日は棒に振ることになります。

であれば、東京で1日だけ日雇のバイトをして、新幹線に乗った方が遥かに合理的なはず。

東京の日当なら長野までの新幹線代のお釣りで車内販売のビールやちょっとしたつまみを買ってもまだ余りある。
これは金銭的な面でも体力的な面でも正しい選択と言えそうです。

徒歩と比較して新幹線にの乗る方が合理的である。といった具合に、
合理性というものは比較の上に成り立っている気がしてきました。

別の角度からも比較してみます。

新幹線に乗るために日雇い人夫として働くということは、
サラリーマンとして安定収入を得て、いつでも新幹線に乗れる貯金を確保しておく ということに比べると、比較的下位の手段に思えます。

当然、自前のフェラーリで長野を目指す経営者と、新幹線に乗るサラリーマンを比較すればまたかくのごとし。

なんだかネガティブな気分になってきました。

「新幹線」の存在が「徒歩」を下位の存在たらしめることと同じように、
「サラリーマン」の存在が「日雇い人夫」の存在を下位たらしめている。 

これはよくないことのような気がする。

なぜたろう。

・「徒歩」という「行為」は下位に位置付けてもあまり問題を感じない

・「日雇人夫」という「人」を下位に位置付けることは、なんとなくよくないことに感じる

そもそも「どのように」という手段と「どんな人が」という実行者を混同した話になってきているのはこの際もういい。

両方の場合で「比較」という共通のプロセスを経て機械的な判断を下しているにも関わらず、
「どのように」と「どんな人が」で得られる印象が異なるのはなぜだろう。

では、比較というプロセス自体に問題があるのでしょうか。

キリンの首が長くなったのは、首の短いキリンより長いキリンの方が比較的に餌にありつきやすく、
より首の長いキリンが比較的生き残りやすかったことから、今日のキリンの姿があると習いました。

この場合は、キリン自身が比較をしているつもりはないが、結果としてそのようなことになっただけです。

比較は自然現象としても起こっている。
そこに善意も悪意もない。

なにやら世界というものは比較で成り立っている気がしてきました。

意識をするとしないに関わらず、世界が比較で成り立っているのなら、
意識をした方がなんとなく良い気がします。
意識していないキリンより、意識している人間の方が圧倒的に強いから。

更に趣旨が煩雑になってきたことは自覚したまま、もう少し考えます。

世界というものは比較で成り立っていそうだという仮説を前提として、比較という行為について考えてみます。

そこに意志を介在させずに純粋な答えを得るためには、比較対象それぞれになんらかのラベルをつけておく必要があると思います。

「新幹線」と「徒歩」というラベルを読み取って比較することもできるし、
「Train」と「walk」というラベルでもよいはずだ。


いずれにせよ比較という行為にはラベルが必要であり、ラベルがしっかりしていればここまでの話のように論点が煩雑にならずに済む気がする。

「サラリーマン」というラベルは、安定収入を得るための「手段」を指しているのか、そのひとの「社会的地位」を指しているのかが曖昧です。

話がややこしくなっているのは、どうやらこの問題のせいらしい気がします。

このラベルが重要な鍵を握っていそうです。

であるならば、より具体的なラベルで比較をした方が良さそうな気がします。

「新幹線」と「人間」の比較よりも、
「時速300km」と「時速4~5km」の方が更に具体的な感じがする。

なるほど「言葉」よりも「数」の方が具体的なのか。
そこに意志や善悪はない。

「数」こそが最強のラベルなのだ。

それをひとまずの答えとして、
「日雇い人夫」と「サラリーマン」の話に戻ってみる。

このラベルを、収入を得る「手段」としてどちらが優れているかを純粋に比較するための「数」に置き換えようとした場合、やはり年収が妥当でしょうか。

「年収300万」と「年収500万」ならしっくりきますね。

しかし日雇人夫の反論を聞いてみると「俺たちは自由だ。金で比較されては困る」とのこと。

では「自由」というものを「数」に置き換えるにあたり「勤務日数」で比較してみます。

日雇人夫が日当1万で年収300万稼いでいる場合、年間300日働いていることになります。

対して、年収500万のサラリーマンは年間約240日しか働いていません。

はて。

日雇人夫の主張を無下にするわけにもいきません。

「自由」を「数」に置き換える方法が間違っていたに違いない。

ストレスという観点ではどうでしょう。

そこにはサラリーマンならでは悩みもあれば、日雇人夫ならではの悩みもありそうです。

収入を得る「手段」を比較しようとしても、人間がそこに居る以上、その人間の「感情」を無視することはできなそうです。

これを「数」にする方法も何かしらありそうですが私は持ち合わせていません。

なので少しこの件を横に置いて、
あえて数値化が難しそうな別の例を考える。

「愛」はどうでしょう。

「僕は君を愛している」と伝えたい場合、

僕が持っている愛の大きさをより具体的にしたほうが、きっと伝わりやすいはずです。
なんとか「数」にできそうな部分を考え、他のものと比較してみます。



見てごらん。これが昨日一人でいる時に測った心拍数で、これが今君といる時に測った心拍数だ。


君のことを考えている時間を計測したところ、1日あたり4時間であった。これは僕が睡眠以外のあらゆる行為に費やす時間を上回っている。

君との交際費は中学生の頃からの友人との遊びで今までに使ってきた金額の総計を越えたよ。


具体化はされたものの、これではきっと彼の愛は伝わりませんね。

「数」は「愛」を表現するラベルとしては非常に不適切に思えます。

比較に必要なラベルとして、最も有効かに思われた「数」にもどうやら問題点が見えてきました。

感情や愛を数で比較しようと試みて浮かび上がってきた問題点は、
「数」はある一側面を切り取ることしかできないということ。


ではなぜ「新幹線」と「徒歩」の場合は簡単に「数」に置き換えることができたのだろう。

それは「より短い時間で長野に到達するには」という問いがはっきりしていたからではなかろうか。

この場合は一側面を切り取るだけで充分なので「数」をラベルとして使うのが有効そうです。

これに対し、感情や愛の場合は、そもそも何を問うべきかが難しいですね。

「数」という最強かと思われたラベルは、思ったほどは便利でなさそうです。
かといってこれ以上のラベルも思いつ来ません。

こうなると感情や愛はどうやって比較すべきか、皆目見当がつかなくなってきました。


ともあれ、
引き続き世界というものは比較で成り立っていそうだという仮説にはこだわりたい。

世界が比較で成り立っているにも関わらず、
比較が難しい問題というのはどういうものだろう。


それらは、実は世界の成り立ちにあまり関係のない問題なのではなかろうか。


そう考えると、世界の成り立ちにあまり関係のないものこそが重要なことなのだろうという考えに、今日のところは至りました。

なんでそうなったんだっけな。


あ、長野行きのチケット予約しなきゃ。
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