♡ちゅっぽんCITY♡

x頭金x

文字の大きさ
上 下
59 / 67
第8章 部活動

59

しおりを挟む
 少し時を遡る。今は一雨ごとに春が近づいてくる、そんな季節。

 朝、“望月太助(46)“は中央駅の駅前で大雨の中、金太郎の格好をして(中央の文字は『春』)、傘もささず春乞いをしていた。これは“太助“の毎年のルーティンだ。“太助の母親“が8ミリカメラでその様子を撮影している。あとで知り合いの映画館で上映するのだ。

 駅前で儀式に必要な“尻太鼓“を探す。ラッシュの時間帯なので人が多い。一人一人を丁寧に選別して行く。

「あいつだ!」

 “太助“は1人の女子高生を指差した。それを“太助の母親“が後ろから捕獲する。

「え、ちょ、ちょっと、何!?」

 騒ぐ女子高生に“太助“が言う。

「お前は春乞いの“尻太鼓“に選ばれたんだ、光栄に思え」

 “太助“は“太助の母親“に羽交い締めにされている女子高生のパンティを下ろしながら言った。

「え?嘘、マジ?」

 と女子高生がパンティを下ろされながら言った。

 “太助“は女子高生を左肩に担ぎ上げ、スカートを捲り、剥き出しになった尻を右手で揉み揉みと入念に確かめた。

「うむ、見立て通りの良い“尻太鼓“だ」

 “太助“はそう言うと、尻の頬を叩き始めた。

『ペッチペチペッチペチ』

 そのリズムに合わせて“太助の母親“が歌を歌う。

「雨は大きな助けになるに違いない~雨は雨をもたらし~雨は春をもたらす~」

 リズムよく尻太鼓をする“太助“を、大勢の者が取り囲み、口ぐちに言う。

「ああ、これで今年も春がやってくるわい」

「なかなか良い“尻太鼓“だな」

『シコシコシコシコシコ』

『ペッチペチペッチペチ』

「あれ?“茜音“?」
 
 “太助“を取り囲む集団の中から声がした。

「え?“翠“?」

 “尻太鼓“に選ばれた女子高生の“茜音“が返答した。

「え、すごいじゃん、“尻太鼓“に選ばれてるじゃん」

 “茜音“はそう言いながら“尻太鼓“にされている“茜音“をスマホで撮影した。

「あーそーなの、だからさぁ、担任に遅刻するって言っといてくれない?」

 少し優越感を感じながら“茜音“は言った。

「オッケー、これ見せたら一発よ」

 と“翠“は言い、その場を立ち去った。

『ペッチペチペッチペチ』

 “茜音“は“太助“に担がれながら遠くの空を見た。もうすぐ雨が、止む。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

赤毛の行商人

ひぐらしゆうき
大衆娯楽
赤茶の髪をした散切り頭、珍品を集めて回る行商人カミノマ。かつて父の持ち帰った幻の一品「虚空の器」を求めて国中を巡り回る。 現実とは少し異なる19世紀末の日本を舞台とした冒険物語。

女豹の恩讐『死闘!兄と妹。禁断のシュートマッチ』

コバひろ
大衆娯楽
前作 “雌蛇の罠『異性異種格闘技戦』男と女、宿命のシュートマッチ” (全20話)の続編。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/329235482/129667563/episode/6150211 男子キックボクサーを倒したNOZOMIのその後は? そんな女子格闘家NOZOMIに敗れ命まで落とした父の仇を討つべく、兄と娘の青春、家族愛。 格闘技を通して、ジェンダーフリー、ジェンダーレスとは?を描きたいと思います。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

奇妙な日常

廣瀬純一
大衆娯楽
新婚夫婦の体が入れ替わる話

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

俺が爆笑した面白いコピペ

code: scp-3001-ss
大衆娯楽
俺が爆笑したコピペ貼っていきます 感想よろしく!

→賛否分かれる面白いショートストーリー(1分以内で読了限定)

ノアキ光
大衆娯楽
(▶アプリ無しでも読めます。 目次の下から読めます) 見ていただきありがとうございます。 1分前後で読めるショートストーリーを投稿しています。 不思議なことに賛否分かれる作品で、意外なオチのラストです。 ジャンルはほとんど現代で、ほのぼの、感動、恋愛、日常、サスペンス、意外なオチ、皮肉、オカルト、ヒネリのある展開などです。 日ごとに違うジャンルを書いていきますので、そのときごとに、何が出るか楽しみにしていただければ嬉しいです。 (作品のもくじの並びは、上から順番に下っています。最新話は下になります。読んだところでしおりを挟めば、一番下までスクロールする手間が省けます) また、好みのジャンルだけ読みたい方は、各タイトル横にジャンル名を入れますので、参考にしていただければ、と思います。 短いながら、よくできた作品のみ投稿していきますので、よろしくお願いします。

おまえの死体(ちゃば)でお紅茶を淹れてやりますわぁぁっっ!!

腎臓の猫
大衆娯楽
僕は出会ってしまった。彼女に。 二留して姉以外身寄りがなく…… 抗不安薬常飲者で…… ブルータルデスメタルとゴアグラインドが聴きわけられず…… FPSの屈伸煽りを〝紅茶を淹れる〟と称する…… 彼女は、そう――。 「お紅茶が入りましたわぁぁぁ~~~~っっ!!!!」 平穏な日々は、どこかへ消えてしまった。 でも、それでいい。そのままでよかったのだ。 ――ヤツが現れるまでは。 二十歳、京都在住のJKで…… アリーナFPS原理主義者を弟にもち…… 死体撃ちを〝抹茶をたてる〟と称する、酒豪の…… 「お抹茶たててぇおもてなしの時間どすぇ」 ――京(ヤツ)が、三トンハイヤーに乗って、僕らの屋敷に突貫してくるまでは。

処理中です...