29 / 67
第4章 サクラサク
29
しおりを挟む
『ピンポーーン』
“飛鳥“が“旅人“のぽこんちの前で口を大きく開いている時に、玄関のチャイムが鳴った。静寂の中“旅人“の心臓の音だけが鳴り響く空間に、その音は異世界への扉が開くように響いた。
『ドンドンドン』
扉を叩く音がした。
「ねえ・・・いるんでしょ?」
それは隣に住む“ミカエル“の声だった。
「さっきは・・・・ごめん・・・」
“飛鳥さん“はその声を聞くと、バスタブから出て、体を拭き、服を着た。そして玄関のドアを開けた。
「今、お風呂入ってる」
“飛鳥さん“は“ミカエル“にそう言った。“ミカエル“は“飛鳥さん“の濡れた髪を見て、一緒に入ってたの?と聞きたかったが、喉元に留めておいた。
「そう・・・」
「入る?」
“飛鳥さん“はドアを大きく開けながら言った。
「いや・・・いい・・・じゃあ」
そう言って“ミカエル“は自分の部屋へと帰って行った。それを見届けてから、“飛鳥さん“はドアを閉めた。そして風呂場へと向かった。
「あ、だ、大丈夫だった?」
何が大丈夫なのだろうかと自分でも思いながら“旅人“は言った。そんな“旅人“のぽこんちは変わらずギンギンだった。続きを催促しているようなそのイキリ立ったぽこんちに飛鳥さん“は無性に腹が立った。もちろん理不尽な怒りであることを自覚しながら。
「・・・・出て」
「・・・え?」
「いつまで入ってるのよ、早く出なさいよ」
「・・・え・・・“飛鳥“・・・」
「“飛鳥さん”でしょ?」
「・・・え?」
“飛鳥さん“はバスタオルを“旅人“に投げつけて風呂場を出た。しばらくして“旅人“が出てきた。
「あ・・・あの・・・・これ」
そう言ってバスタオルを布団の上で文庫本を読んでいる“飛鳥さん“に渡した。“飛鳥さん“が
「ん・・・」
と言って本から視線を逸らさずに受け取った。そして一言、
「早く帰りなさいよ」
と言った。
“飛鳥“が“旅人“のぽこんちの前で口を大きく開いている時に、玄関のチャイムが鳴った。静寂の中“旅人“の心臓の音だけが鳴り響く空間に、その音は異世界への扉が開くように響いた。
『ドンドンドン』
扉を叩く音がした。
「ねえ・・・いるんでしょ?」
それは隣に住む“ミカエル“の声だった。
「さっきは・・・・ごめん・・・」
“飛鳥さん“はその声を聞くと、バスタブから出て、体を拭き、服を着た。そして玄関のドアを開けた。
「今、お風呂入ってる」
“飛鳥さん“は“ミカエル“にそう言った。“ミカエル“は“飛鳥さん“の濡れた髪を見て、一緒に入ってたの?と聞きたかったが、喉元に留めておいた。
「そう・・・」
「入る?」
“飛鳥さん“はドアを大きく開けながら言った。
「いや・・・いい・・・じゃあ」
そう言って“ミカエル“は自分の部屋へと帰って行った。それを見届けてから、“飛鳥さん“はドアを閉めた。そして風呂場へと向かった。
「あ、だ、大丈夫だった?」
何が大丈夫なのだろうかと自分でも思いながら“旅人“は言った。そんな“旅人“のぽこんちは変わらずギンギンだった。続きを催促しているようなそのイキリ立ったぽこんちに飛鳥さん“は無性に腹が立った。もちろん理不尽な怒りであることを自覚しながら。
「・・・・出て」
「・・・え?」
「いつまで入ってるのよ、早く出なさいよ」
「・・・え・・・“飛鳥“・・・」
「“飛鳥さん”でしょ?」
「・・・え?」
“飛鳥さん“はバスタオルを“旅人“に投げつけて風呂場を出た。しばらくして“旅人“が出てきた。
「あ・・・あの・・・・これ」
そう言ってバスタオルを布団の上で文庫本を読んでいる“飛鳥さん“に渡した。“飛鳥さん“が
「ん・・・」
と言って本から視線を逸らさずに受け取った。そして一言、
「早く帰りなさいよ」
と言った。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる