♡ちゅっぽんCITY♡

第4章 サクラサク

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　アパート近くの通り、桜の木が花を咲かせている。季節は春に変わっていた。“旅人“がこの街にやって来て、3ヶ月が経とうとしていた。

　“旅人“が“ミカエル“の部屋のドアを開けた。

「おかえりー」

　ゴリラの“ミカエル“が夕食のカレーを煮込みながら言った。正確に言えばゴリラの着ぐるみを着た女性が、だ。いや、もっと正確に言えば、女性を自認する男性が、だ。

「もうちょっとで出来るからー」

　“ミカエル“と呼ばれているゴリラの着ぐるみを着た性自認が女性の、産まれて来た時は男性の本名寺本獅子男（19）は、“飛鳥さん“と出会った日に、“旅人“を“飛鳥さん“の部屋まで海辺の喫茶店【シナプる】から担いで運んだゴリラだ（なぜゴリラの着ぐるみを着てるのかを問うたら、着てるとよく濡れるから、だそうだ）。

　身長は2メートル近くあり、細身の体ながら力はすごい。部屋も“飛鳥さん“家と真逆で、ラブリーで女の子らしい、良い匂いのする部屋だ。そして何よりかわいい。男であることが信じられない程かわいい。

　なぜ“旅人“がこの部屋で“ミカエル“と同居することになったかというと、まあ、流れだね。うん、流れ。

「出来た～！食べよ食べよ～」

　“ミカエル“はそういうと、ゴリラの着ぐるみを脱ぎ、タンクトップに短パン姿になった。そしてカレーを皿によそい、部屋の中心にある丸いローテーブルに置いた。

「どうかな？“みっくん“？」

　“旅人“の本名は本間帝（ミカド）という。だから“みっくん“。

「俺、じゃがいも嫌いだっつったじゃん」

　“旅人“が口に入れたじゃがいもを“ミカエル“の顔に吐き出しながら言った。

「あっ！」

　“ミカエル“の頬に当たり太ももにじゃがいもが落ちた。

「ごめん・・・・」

　“ミカエル“はじゃがいもを拾い上げ、口に入れた。そしてカレーのついた太ももをじっと見つめて、

「舐めて」

　と“旅人“に言った。