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第2章 “飛鳥さん”家

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 “旅人“が目を覚ますと、そこには見知らぬ天井があった。どこの天井だろう、と思案していると、

「起きた?」

 と聴き覚えのある声がした。“飛鳥さん“だ。“旅人“が寝ている布団のそばで、文庫本を読んでいる。

「こ、ここは・・・」

 “旅人“がそう言うと、“飛鳥さん“は私ん家、と文庫本を読みながらそっけなく言った。

「あ、あの・・・なぜ僕はここに・・・」

 “旅人“は記憶が曖昧で、“飛鳥さん“に殴られた事も覚えていなかった。だから“飛鳥さん“はぷすぷす笑いを溢しながら、ここに至った経緯を説明した。

「あ・・・そうか・・・ハットが落ちて・・・“飛鳥さん“に殴られてここに・・・」

(でもどうやって・・・“飛鳥さん“がおぶってここまで!?くそう!なぜ覚えていない!!)

 “旅人“が悔しがっていると、玄関のドアをバンバン叩く音がした。

(なんだ?一人暮らしじゃないのか?)

「ああ、今行くから」

 “飛鳥さん“はそう言うと文庫本を置いて立ち上がり、ドアを開けた。そこには2メートルを越すゴリラがウホウホ言いながら立っていた。

「あ、あんた家まで運んだのこいつ」

 “飛鳥さん“はゴリラの頭を撫でながら言った。そしてバナナを渡した。ゴリラはウホホと喜んだ。“飛鳥さん“はゴリラを見送り、ドアを閉めた。

「あんた5時間も気絶してたのよ」

 “飛鳥さん“が床に置かれた時計を見ながら言った。“旅人“も見ると、時刻は11時を回っていた。

「あ・・・もうこんな時間・・・」

 “旅人“が起き上がると、頭がクラクラ、顎がズキズキした。

「まだ起き上がるのは無理よ、寝てなさい」

 “飛鳥さん“はそう言うと“旅人“の禿げ上がったおでこをツンと突いた。“旅人“はまたベッドに横になった。

「で、でも・・・宿を探さないと」

 “旅人“がそう言うと、“飛鳥さん“は眉間に皺を寄せて

「あんた馬鹿?ここにあるじゃない」

 と言った。

「え・・・泊まっていいんですか?」

 “旅人“が股間にテントを張りながら言った。

「まあ、私のせいだしね、今日だけは」

 “旅人“はおっきした。だから布団の中で右手でその隆起を押さえて、悟られないようにした。



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