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森を進み、平野を進み、やって来ました。

ザッパーン

『『『海だな』』』
『『『海だね』』』

海です。ザッパーン

〖まあ、ここまで順調だったんじゃないですか?〗
『そうだな。魔物はやはり素材にしか見えてなかったようだがな』
『そうですわね。アーミーアントも、キラーマンティスも、甲冑!酸袋!と、仰ってましたものね』
『藍たちに至っては、食材にならぬものは容赦なく、技や武器の試し打ちにしてましたしの』
『初めて魔物を気の毒に思ったのぉ』
『帰りましたら、エルク仲間にドワーフには近寄らぬように伝えます』

そう···。ここまでの道のりで倒した魔物はノリノリのドワーフたちにより

『『『ワハハ!素材だ!』』』
『『『わはは!肉だね!』』』

と、魔法やら武器やら、ここぞとばかりに試しまくり、狩りまくり、エル様はじめ、付き添ってきたみんなを呆れさせていた。

『海には何がいるんだ?』
『さあ?でも美味いもんだらけなんだろ?』
『ゲンが言ってたもんな』
『凛さんも言ってたよ』
『サーヤの大好物が沢山いるって』
『サーヤだけじゃなさそうだけどね』
うんうん。と頷く天河たち。

『俺たち色々持たされたもんな』
『投網だろ?釣竿に、銛、熊手に、箱眼鏡』
『練習もしたぞ。ゲンのやつ鬼だったよな』
『調理方法も聞いてきたよ』
『せっかく海行くなら獲ってすぐ食べる。海まで行って苦労した奴の特権だからってね』
『塩と醤油とバターと味噌もくれたしね。まあ、土産頼むとも言われたけどね』

和気あいあい、楽しそうなドワーフたち。そして、

『んじゃ、やるか。まずは土魔法で』

ばしゃばしゃばしゃばしゃっ

『おし!海の中に足場作ったぞ。後で戻すの忘れないようにしないとな』
『おっしゃ!まずは投網だな!』
『おりゃあーっいくぞーっ!』

ふぁっさーっ

『おお、中々綺麗に広がったじゃないか』
『何が入ってるかね?』
『まあ、とにかく引き上げてみようよ!』

『『『いくぞー!』』』
『『『おりゃーっ!』』』

ザッパーン!ビチビチビチッ

『おお!中々じゃないか?』
『大漁大漁!引け引け!』
『海の魚はよく分からんけどな!』
『まあまあ!とりあえず、いくつか焼いてみようよ。美味しそうだよね』
『それは後だよ。ひとまず、活きのいいやつ何匹か選んで、あとはゲンが作ってくれた拡張型クーラーボックスに突っ込むんだよ』
『あ、そうだったね。釣り用の生き餌選ばなきゃ!』

そう。ゲンはまず

『まずは投網で活きのいい魚を獲るんだ。それを今度はそれを餌にして大物を釣るんだよ』ニヤリ
『あらあらまあまあ、何が釣れるかしらね?マグロやカツオは釣れるのかしら?楽しみね』おほほ

と、天河たちに仕込んでいたのだ。

『おし!んじゃ、釣るか!』
『『おう!』』
『何が釣れるかね?』
『楽しみだね』
『大物が釣れるといいね!』

しばらくすると
『おっ来たな』
『こっちもだ』
『全員来たんじゃないか?』
『わはは!それ!』
『おお!でっかいね』
『いい土産ができたね!』
全員がぽんぽん、大物をつり上げる。中には見た目はマグロだが、電撃を放ってくるものもあった。
そして、天河に一際大きな当たりが来た時、異変が起こった。

『うおりゃーっ』
一本釣りよろしく、魚を海から引っこ抜くように釣り上げると、巨大魚を横取りしようと更に巨大な

『クラーケンだ!』
ザッパーンっ!

『てめえ!俺たちの獲物を横取りしようなんざ』
『許さねぇんだよ!』
『このタコ野郎』
『とにかく邪魔すんじゃないよ!』
『これでも喰らいな!』

【アイスニードル!】
ドスドスドスッ

『ギャアアアーッ』

ドワーフたちは自分たちの獲物を横取りしようとした巨大なクラーケンを

〖容赦ないですね〗
『見事な串刺しだな』
『見事に刺さってますわね』
『しかも凍っとるのぉ』
『冷凍クラーケンだの』
『私も気をつけないと···』

そう、ドワーフたちは自分たちの獲物を奪おうとしたクラーケンを許さない!睨みつけた途端、ぶっとい氷の槍?柱?で串刺し!みるみる凍っていく!

『おっしゃ!ざまぁみろ!』
『ガハハ!土産が増えたな!』
『ゲンに美味いもん作ってもらわないとな!』
『そうだね。でもまだだよ!凛さんに頼まれたやつとかね』
『サーヤちゃんの大好物だったね。カニ、エビ、アワビ、ウニあとなんだっけ?』
『絶対、サーヤちゃんだけじゃなくて、凛さんの好物入ってるよね』

『『『違いねぇ』』』
『『間違いないね』』
『『『『『『ガハハハハ!』』』』』』

この状況で豪快に笑うドワーフたち。
その通り。サーヤの大好物は海老さんです。あとは主においちゃんとおばあちゃん。サーヤにかこつけた!

〖あの状況で随分余裕ですね〗
『ほんとだな。ところで、気づいてるか?』
『ええ。来てますわね。かなり下から猛スピードで』
『天河たちはどう出ますかのぉ』
『ほっほ。エル様とリノ様に鍛えられたはずですからの』
『お手並み拝見ですな』

〖来ましたよ〗キリッ

ザッパーンっ!

『うおお!?なんじゃありゃ?』
『アンデッド!?』
『あれは、ボーンシャーク!?』

目の前に飛び上がったそれは、魚の形をした真っ黒な骨の怪物。目だけが真っ赤に光り、こちらを睨みつけている。

『う~ん、良くないね。あれ』
『どす黒いオーラだね』
『撒き散らされても困るよね』
『『『あんたら、やっちまいな』』』
奥さん方、仁王立ちして腕組みして、目を細めて命令。

『言われんでも分かってるよ』
『まずは、動けないようにしないとな』
『そうだな。じゃあまずは、よっ!とっ』
シャッ!シャッ!

そう言うなり、天青と天藍が釣竿を大きくひと振り、ボーンシャークに針を引っ掛け、

【【光の鎖】】
『ついでに』
『もういっちょ』
【【聖水の雨】】

釣り糸が光り輝く鎖となってボーンシャークに絡みついた。そして、聖水の雨を降らし、動きを鈍らせる。だが···

『キシャーッッ』
ズルズルズル

『うお!?』
『引きずられる!?』
ボーンシャークも激しくもがいて抵抗する。

『···仕方ないなぁ。手伝ってあげるよ』
『私も手伝いましょう』

ボコボコボコッ
ガシガシィ

ザザーっ

大地の力で足場が固定され、大地が作ったクレイマンが後ろから二人の腰を抱えて支えた。
水影は雨を激しくする。

『うお?大地様』
『水影様も』
『『ありがとよ』』

『···ここからは君たち次第だよ』
『そうですね。頑張って下さい』

『さて、あなたはどうする?天河』
『このままって訳にはいかない』
晴嵐と、月花は天河のところに。

『分かってるよ。矢で貫こうと思ってるんだけどな、あの雨の中、暴れる骨を避けて核を狙えるのか?と思ってな』
悩む天河に二人の精霊は

『ふ~ん、なら避けなければいい。ね?晴嵐』
『そうね。私たちが力を貸したげるから、そのまま骨ごといっちゃいなさい』
と、軽く言い放つ

『は、ははは。なるほど、簡単に言ってくれるな。だが、そうだな。いっちょ、頼むわ』

【ホーリーランス】

ビュンッ!バリバリバリッ!
晴嵐の風の力で速度を増した光の矢は、一直線に骨を砕いて核へ突き進み

カッッ!
月花の光の力を借りた矢が、ボーンシャークの核を砕く

『キシャーッ』
ぐしゃあ  バラバラバラ···

魚の骨がバラバラになって海に沈んでいった···

『ふぅ···何とかなったか』
『引きずり込まれるかと思ったな』
『まあ、倒せてよかったよ』
天河たちがほっとしていると

『うん。まあまあ?』
『そうね。今回は私たち精霊が力を貸したからね』
『···これからは自分たちと、妖精たちで何とかしないと』
『そうですね。まだまだ精進が必要ですね』
月花たち精霊たちからありがたいお言葉が···そして

〖そうですね。でもまあ、落ち着いて対処してましたし〗
『そうだな。精霊の力を借りたとはいえ、大して時間もかからなかったしな』
『ええ。合格点で良いのではないですか?』
『そうですのぉ。里に帰ってからも訓練は続けてもらうようだがのぉ』
『大丈夫なのではないですかの』
『そうですね』

エル様たちのお墨付きも何とか貰えたところで

『『『そ、そうですか?』』』
『『『精進します』』』バッ
天河たち、ビシッと姿勢を正してからお辞儀。いよいよ、里に帰る日が近づいたようです。

『···けど、その前に、えび』
『サーヤ、泣いちゃう』
大地と月花がみんなが忘れているであろうことを言うと

『そうだった!んじゃ、やるぞ!』
『『『『『おーっ!』』』』』


そしてその頃、やっぱり

「ふおおっ」キラキラじゅるり
『あらあらまあまあ、サーヤ、酷い顔ね』
『ぷっ。キラキラだらだら』
おばあちゃんと、みあが二人がかりでサーヤの口をふきふき。

「きょーは、えびーっ!」
『あらあらまあまあ、海鮮も追加されたわね』
『ぷっ。豪華バーベキュー大会に変更』

サーヤがやっぱり何かを感じ取っていた。



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