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546 天河たちの力?

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魔物を倒しつつ、森の中をある程度進むと、開けた草原に出た。

『わかってると思うが、ここからは草原だ。魔物も変わるが、一番は向こうから丸見えだと言うことだ』
アルコン様がドワーフたちに忠告する。
〖私たちも警戒しますが、余程のことでもない限り手出しはしません。心して下さいね〗
エル様も忠告する。

『分かってます』
『警戒は怠りません』
『ところで、食用になる物は持ち帰りますが、それ以外はどうしますか?』
『あ~、ワームとか出そうだけどね』
『サーヤちゃんたち、見たら泣き叫びそうだよね』
『大人からしても、あまり気持ちいいもんじゃないからね』
ドワーフたち、サーヤ達のこともちゃんと気遣ってくれている。

『そうだな。今回は力試しだからな、倒した方がいいだろう。だが、たしかにモモとスイも···』
巨大なワームなど見たらサーヤたちと一緒になって···


  「ぴぎゃーっ」
    ぴゅいきゅい『『いやーんっ』』
    ぴゅきゅぴゅきゅーっ『『おとうしゃん、だめだめーっ』』

ちゅどーんっ!
『ううっ。ダメだ、見せられない』がくぅっ


〖アルコン、なぜ想像で落ち込んでるのですか〗
想像で落ち込むアルコン様に呆れるエル様。

『最強のドラゴンであるアルコン様の弱点はお子様たちなのですわね』
『ほっほ。ある意味、最強はモモとスイかもしれんのぉ』
『ほっほ。そうだの。アルコン様を膝まづかせられるのは、双子だけだろうしの』
リノ様、じぃじたち、言いたい放題だけど、その通り!

『うぅっ』
『アルコン様、分かります。私も鹿の子には勝てません。鹿の子は私の天使ですから』
イヒカ様、ちょっと違う?

〖まあ、だいぶ話が横道にそれましたが、出てきたら狩りましょう。素材はサーヤたちに見えないところで何とかしましょう〗
エル様、話を元に戻した。

『分かりました』
『出てきたら倒します』
『まあ、出来れば』
『美味しい肉に』
『いい素材』
『ブルとかいいよね』
ドワーフさんたちやる気満々。武器も広い場所で使えるものにチェンジ。この機会に色々試すのも目的だ。

『噂をすれば、群れが現れたようだな』
アルコン様が言うと

『素材だな』
『牛革だな』
『角や牙もだな』
『バカだね』
『牛肉だろ』
『後ろの方に高級なのもいるね』

ドワーフさんたち、目の色が変ったけど

〖数日の聖域暮らしですっかり師匠に毒されてますね〗
『だが、ホーンブルなど食える部分は少ないと思っていたが、あの牛スジとかいうのはトロトロで美味かったぞ』
『たしかに。あれは美味でしたのぉ』
『あれは口の中で蕩けましたの』
『私も、出来ればもう一度頂きたいですわ。ステーキも大変美味しゅうございました』
〖それは、私も異論はございません。ですが、師匠にかかると、ブルもバッファローも、ミノタウロスまで、牛ですからね。違いは上質であるかないか位で〗
『『『確かに···』』』


『はあっくしょいっ』
「おいちゃん?だいじぶ?」
『んー、誰かに噂でもされてるか?』ぐしっ


エル様たちが悠長にそんな話をしている間も

『どうする?せっかくだしな』
『全員一度、魔法だけでやってみるか?』
『そうだな。ある程度魔法で減らしてから』
『新しい武器を試そうかね』
『角は絶対に傷つけない』
『肉も皮も傷は最小限』

相手は立派な角を持ったホーンブルの群れ。あの角で突っ込まれれば本来なら一溜りもない。だが、ここにいる誰一人、そんなことにはならないと思っている。

『一撃必殺なら眉間を一発?』
『首をスパッと?』
『あとで武器を試すなら、わざと足を狙うか?』

『傷なし···あっ』
『なんだい?藍』
『何を思いついたんだい?』
『ふふふ···こんなのどうだい』こそこそ
『『···いいねぇ』』ニヤリ
天河たちは攻撃魔法を試すようだけど、藍たちは?

群れはまだこちらに気づいていない。今のうちに
『ジーニ様の教え通り、無詠唱でいくか』
『そうだな。イメージが大事だな』
『んじゃ、やるか』
『じゃあ、こっち半分まかせたよ』
『うちらはこっちだね』
『じゃあ、やるかね』

深呼吸して集中する天河さんたち
、それぞれ魔法の名前は心の中で
【ライトアロー】
天河は鋭い光の矢を眉間に打ち込む
【ストーンバレット】
天青は石の礫を極小サイズにして、やはり眉間に高速で打ち込む
【ウインドカッター】
天藍は風の刀で首を切り落とす

そして藍さんたちは
【【【ウォーターボール】】】

『これはまた、確かに傷はつかないですけれど』
〖中々にえげつないですね〗
『窒息とは考えたな』
『しかも顔だけを狙ってますからのぉ』
『中々に細かい魔力操作だのぉ。だがのぉ···』
『いかんせん、この方法は時間がかかるからの、ほれ』
『来ましたね。後ろから』

そう。藍たちは初歩魔法のウォーターボールで窒息させているのだ。だが、この方法は数が少ない相手には有効だが、何十頭もいる群れ相手には少々分が悪い。

だが、そこは織り込み済み
『妖精たち頼むよ』

『『『は~い』』』
『『『いくよ~』』』
『『『それ~っ』』』

妖精たちの力を借り、巨大なウォーターボールを作り出し、後ろから来た群れを丸ごと閉じ込めた!足掻くホーンブルたち。だが、しばらくすると

ばしゃっばしゃばしゃっ

水に包まれていたブルが次々と倒れた。そして、

『いたね、上位種』
『アーマーブルかね?』
『頑丈そうな鎧だね』
そう。群れの奥に控えていた上位種、まるで鎧を着たような皮膚をした先程のホーンブルより、一回り大きな牛が出てきた。

『どうせならバッファローがよかったけどね』
『まあまあ、美味しい肉に代わりはないよ。ついでに牛革』
『そうだね、じゃあ、狙い目は?』
上位種も、もはや美味しいお肉扱いでしかない。

『鎧の継ぎ目かね?』
『いや、むき出しの腹側じゃないかい?』
『喉はどうかね。やわらかそうじゃないかい?』
『『『全部試してみようかね』』』ニヤリ

そう言うなり藍さんが

『ゲンさんと凛さん直伝、飛びクナイ』シュババッ

『ぐおおおおっ』
痛みで叫びをあげる高級牛肉

『う~ん、動きを止めるには使えるけど、とどめを刺すまでにはいかないかね』

鎧の隙間、それは関節。そこに武器オタ『おい!』···マニ『おい!』···探求者『まあ、いいか』の、ゲンさんと、時代劇大好き『いいわよね、暗器(うっとり)』ぶるっ···凛さんのこだわり飛び苦無が刺さっている。

『でも、助かったよ。水の妖精少し力貸しとくれ』
『『は~いっ』』
ぐぐっ

先程の攻撃で水溜まりとなっていた水が、しゅるるっとツタのように形を変え、高級牛肉を拘束し、体を持ち上げ腹を見せると、

『良し』
ヒュンッドス!
蒼が長弓で威力のある矢が急所を一突き、高級牛肉が倒れた。

『じゃあ、こっちは、ゴーレム頼むね』
もう一匹の高級牛肉が、足元からいきなり現れたゴーレムに押さえつけたところを、
『よっと!』
碧が一気に走りより、オリハルコン製の短剣で喉を一突き!

ドーンッと倒れる高級牛肉

『うーん。私ら小さいからね、やっぱり自分が下敷きにならない倒し方を見つけないとね』
近接戦は体格的に不利になる場合がある。

『ん~でも、クナイは傷が増えるね。でも、これに電撃でも流せたら、一人でも倒せる魔物ふえそうだね』
『そうだね。今回みたいに常に連携とれるとは限らないしね』
自分たちで改善策を探る女衆。

あれ?そう言えば天河たちは?

『『おらよっと!』』どこんっ
『よっしゃーっ』スパッ
『『『牛革!!ガハハハッ』』』

アダマンタイト製のハンマーで高級牛革の足を砕き、そこをオルハリコン製の刀で首をスパッ!と、こちらも難なく倒していた。


それを見ていたエル様たちは
〖師匠、凛、やりすぎです〗
『いつの間にやら、色々仕込んでたようだな』
『これなら、大丈夫ではないですか?』
『里に帰ったら、こんなドワーフたちがたくさん増えそうだのぉ』
『魔物が全て食材と素材に見えておるの』
『私たち狩られないように気をつけます』
呆れ返っていた···


そして
「ふああ~」じゅるり
『サーヤ~?』
ぴゅいきゅい『『どうしたの~?』』
『『お口とおめ目が』』
『『『きらきら~』』』

「う!きょー、ぎゅーにきゅみょ、おまちゅりにょ、やかん!」

『今度は牛肉祭りか。それからサーヤ、やかんじゃなくて、予感だろ』
「しょーちょもゆー」
『そうとしか言わないだろ』
   
みゃあ『ゆすらちゃんたちに、しらせてくるにゃ!』
『きゃはは!肉祭りなのだ~』

聖域では肉祭り開催が決定していた。
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