上 下
523 / 681
連載

517 サーヤだよ!ハクだよ!

しおりを挟む
ちびっこたちもようやく落ち着き、結葉様の罰も
『いや~ん、ご馳走食べたいわぁ。サーヤ~ぁ』
「めっ!だにょ!」
〖結葉!サーヤにお触りもダメよ!〗
『そんなぁ~ぁ』
と、決定したところで⋯

『ところで、エル様、あちらはどなたですかの』
『ずっと立ち竦まれておるようで気の毒ではありませんかのぉ』
じぃじと亀じぃがエル様に訪ねながら、ある方向を見ると、そこには

『い、いやいや⋯』
うんうん
みんなで仲良く頷くドワーフさんたちがいた。

〖ああ、すみません。戻って早々の騒ぎで、つい、うっかり〗にや

と、口では殊勝なことを言っているが、その顔は⋯

『あっ、しまった。すまんな、ドワーフたち。今親方たちを呼んで来よう。モモ、スイ、親方たちが今どこにいるか知っているか?』

エル様は確信犯的な感じがするが、
〖ふふ、何のことでしょう。ですが、こちらの様子を知って貰えたのでは無いですか?ふふ⋯〗

ぶるるっ

で、でも、アルコン様は双子を慰めるのに必死で、本気で忘れていたようで、素直に詫びている。

『い、いや、お気になさらず』
『そ、そうですよ。お気になさらず』
ドワーフさんたち、お顔がヒクヒクしてます。

『いや、そういう訳にはいくまい。モモ、スイ、親方たちがどこにいるか分かるか?』
ぴゅい『ずびっ。おやかた、めーめーしゃんのとこ』
きゅい『ずぴっ。おかみしゃん、きぬしゃんたちと、こうぼう』
ぴゅいきゅい『『さっきはいたよ』』
『さっき?』
ぴゅいきゅい『『だって』』
きゅい『ぼくたち』
ぴゅい『おむかえ』
ぴゅいきゅい『『いったから~』』
『そうか。確かに我らを出迎えてくれたものな。それまでのことしか分からぬな』
ぴゅいきゅい『『そうだよ~』』
モモとスイは、自分たちが迎えに行くまではそこにいたとアルコン様に教えました。

『ということは、二手に別れた方がいいか?』
『いえ、親方は今、羊毛を刈っているはずです。それを工房に運ぶはずでしょうから、羊たちの小屋に寄ってから一緒に工房に行けば良いかと』
アルコン様の問にギン様が答えます。
『そうか、あれはなかなかの重量だからな我も運ぶのを手伝おう』
『そうですね。私も手伝いましょう』
どうやらアルコン様とギン様が迎えに行ってくれるようだ。だが、

『もし良かったらよ、一緒に連れて行ってもらえないだろうか』
『せっかくだから色々見てみたいしな』
『羊毛刈ってるのも見たいしな』
『あっ!あれかい?親方のナイフがダメだったっていう!』
『そりゃあ、ぜひ見たいね!』
『そうだね!見なきゃいけないね!』
ドワーフさん達はもう、お上りさん状態!この機会にぜひ聖域を隅々まで見学したいと意気込んでいる。

あれ?そもそもどうしてドワーフさん達は連れられてこられたんだっけ?
〖ふふ。何故でしょうね?〗
ま、まあ、あとで分かるかな?

『では、行こうか』
『行きましょうか』

〖行きましょう♪〗
〖はい。お母様〗

『『え?』』
降って湧いたジーニ様とシア様の声。アルコン様とギン様が驚いて振り返ると、後ろにみんながゾロっと並んでいた。

『『は?』』
『なぜ、みんな行くんだ?』
『さ、さあ?』
アルコン様とギン様の疑問に答えたのは

〖あら、だってお客様をそのままに出来ないでしょう?〗
〖それに、医神が何が企んでるようですしね〗
〖おや。心外ですね。ふふ〗
〖〖どの口が言うんだか〗〗
ジーニ様とシア様。エル様が絶対何か企んでるから行くと、そして

「ぐしっ。おきゃくしゃみゃ、ごあんにゃい」

サーヤたちももちろん一緒。

『そうだな。親方たちのところに案内しないとな』
「あい。えぐっ。あちょ、さーやにょ、ぱんちゅ」
『そうだよな。今親方たちいないのサーヤのためだしな』
「あい。ありがたや。すびっ」 
『あらあらまあまあ。ありがたやって、拝むんじゃないんだから。ほら、お鼻ちーんして』
「あい。ちーんっ」
いつの間にやらサーヤと一緒においちゃんに抱っこされてたおばあちゃんが、ハンカチでサーヤのお鼻をちーんさせます。
『う~ん。ティッシュペーパー、早く作らないとまずいな』
『そうねぇ。今の紙じゃ鼻はかめないものねぇ。がんばってくださいな』
『おう』
おいちゃんの仕事は山積み。
そして、聞きなれない物の名前にドワーフさんたちの目がキラーンとしたことに気づいてない。

『相変わらず、うかつですわね』
『そうにゃね。もうロックオンされてるにゃ』
アイナ様とニャーニャもいつの間にやら復活。
『まあ、無事に戻ってくれてよかったですわ』
『ありがとうございますですわ。お姉様』
『リノ様ありがとうですにゃ』
『いいえ。可愛い妹たちが無事に戻って来てくれたのですもの』
麗しき姉妹愛⋯
『では、ニャーニャ、こちらのリボンを⋯ハアハア』
『嫌ですにゃ!シャーッ』
愛⋯
『お姉様⋯』はぁぁ
なぜ美しいままで終われないのか⋯

『おや?光の精霊王様じゃないかい?』
『久しぶりだね』
『元気そうだね』
『相変わらず』
『癖が強えな』
『変わらねぇな』
ドワーフさんたちも光の精霊王様に気づいたようで、挨拶してます。後半は挨拶なのかは疑問だが⋯

『ドワーフさんたちお久しぶりですわ。アイナとニャーニャがいつもお世話になってますわ。あ、それから、私もサーヤちゃんにお名前を頂きましたの。今はリノですわ。よろしくお願い致しますですわ』にこっ
『おや。そうなんだね』
『リノ様だね』
『キレイな名前じゃないか』
『良かったな』
『じゃあ、リノ様もパワーアップしたんだな』
『アイナ様とニャーニャと同じだろ?』

リノ様とドワーフさんたちも顔見知りだったんですね。和気あいあいとお話しながら歩きます。

『そういやよ、さっき愛し子様「さーや、にゃにょ」が?』
『ん?愛し子「さーや、にゃにょ」様?「しゃま、にゃい」え?』
ドワーフさんのお話に割って入ったのは、いつものごとく

「いとしご、ちやう。しゃまみょ、にゃいにゃい。しゃま、えりゃいちと、さーや、おこちゃま、えりゃくにゃい」
サーヤが愛し子も、様も違うと言ってます。

『『『え?』』』
『『『でも?』』』

「ぶー。さーや、にゃにょ!」
まったくもう!いつも言ってるのにぃ~

『あのね~、サーヤはサーヤって呼んで欲しいんだよ~。あっ、ぼくはハクだよ~。よろしくね~』

『『『え?』』』
『『『フェンリル様?』』』
ハクがいつも通り説明してくれたら、ハクまで様がついちゃいました。

『も~。ぼくもハクだよ~。ぼく、この頃、サーヤの気持ちがはっきり分かった気がするよ~』
「お~。はく、にゃかま」
『仲間だね~』
いつもサーヤの言葉を代弁してくれてるハク。今までは何となく分かってたつもりだったけど、イヒカ様に続いてドワーフさんたちにも言われて、サーヤの気持ちがとってもよく分かったようです。

『くすくす。あらあらまあまあ。そうね、様は大人の偉い人につけるんだものね。まあ、お子様でも付けた方がいい人もいるんだけども、サーヤにはまだ違いがわからなかったから、そう教えたんだけど』
サーヤに教えたのは、おばあちゃん。楽しそうです。

「さーや、えりゃくにゃい。おこちゃま。おやくだち、ちてにゃい」
『ぼくもお子様だよ~。それに偉いのはお父さんで、ぼくは偉くないよ~。様つけられるなら、みんなの役に立てて立派になってからだよね~』
「にぇ~♪」
『ね~♪』

しーん

『あらあらまあまあ。偉いわ。二人とも。そうよね、肩書きはあなた達の力じゃないものね。様は肩書きに見合った成果を見せてからよね』
「あい!」
『うん!』
「でみょ~」
『やっぱり~』
『「様(しゃま)は、いや~」』
『あらあらまあまあ』

しーん

『ハク⋯』
ギン様、息子ハクがこんな風に思っていたのかと感無量⋯

『わはは!気に入った!』
『そうだな!様はまだ先か』
『じゃあ、サーヤにハク』
『『『よろしくな!』』』
『じゃあ、私らはサーヤちゃんにハクちゃんかね』
『『そうだね』』

「あい!よりょちくにぇ!」
『ん~、ぼくも、ちゃん?まあ、いっか~。よろしくね~』

『『『よろしくね』』』

ドワーフさんたちとも無事に仲良くなれたようです。

『ん?ご主人、サーヤちゃんのパンツってなんにゃ?』
『あら?そう言えば先程仰ってましたわね?サーヤちゃんのパンツのために親方たちが今いないって』
『どういうことにゃ?』
『さあ?』

その答えは、

『うふふ。もうすぐ分かりますわ』


☆。.:*・゜☆。.:*・゜
今まで投稿してなかった、カクヨム様、ノベルアップ様で、手直しに更に少し手直ししたものを投稿はじめました。ツギクル様でも、ツギクル版として題名を少しだけいじって投稿はじめました。
よろしかったらそちらもお願いしますm(_ _)m
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

可愛いけど最強? 異世界でもふもふ友達と大冒険!

ありぽん
ファンタジー
[お知らせ] 書籍化決定!! 皆様、応援ありがとうございます!!      2023年03月20日頃出荷予定です!! 詳しくは今後の刊行予定をご覧ください。  施設で暮らす中学1年生の長瀬蓮。毎日施設の人間にいいように使われる蓮は、今日もいつものように、施設の雑用を押し付けられ。ようやく自分の部屋へ戻った時には、夜22時を過ぎていた。  そして自分お部屋へ戻り、宿題をやる前に少し休みたいと、ベッドに倒れ込んだ瞬間それは起こった。  強い光が蓮を包み込み、あまりの強い光に目をつぶる蓮。ようやく光が止んできたのが分かりそっと目を開けると…。そこは今まで蓮が居た自分の部屋ではなく、木々が生い茂る場所で。しかも何か体に違和感をおぼえ。  これは蓮が神様の手違いにより異世界に飛ばされ、そこで沢山の友達(もふもふ)と出会い、幸せに暮らす物語。 HOTランキングに載せていただきました。皆様ありがとうございます!! お気に入り登録2500ありがとうございます!!

転生美女は元おばあちゃん!同じ世界に転生した孫を守る為、エルフ姉妹ともふもふたちと冒険者になります!

ひより のどか
ファンタジー
目が覚めたら知らない世界に。しかもここはこの世界の神様達がいる天界らしい。そこで驚くべき話を聞かされる。 私は前の世界で孫を守って死に、この世界に転生したが、ある事情で長いこと眠っていたこと。 そして、可愛い孫も、なんと隣人までもがこの世界に転生し、今は地上で暮らしていること。 早く孫たちの元へ行きたいが、そうもいかない事情が⋯ 私は孫を守るため、孫に会うまでに強くなることを決意する。 『待っていて私のかわいい子⋯必ず、強くなって会いに行くから』 そのために私は⋯ 『地上に降りて冒険者になる!』 これは転生して若返ったおばあちゃんが、可愛い孫を今度こそ守るため、冒険者になって活躍するお話⋯ ☆。.:*・゜☆。.:*・゜ こちらは『転生初日に妖精さんと双子のドラゴンと家族になりました。もふもふとも家族になります!』のスピンオフとなります。おばあちゃんこと凛さんが主人公! が、こちらだけでも楽しんでいただけるように頑張ります。『転生初日に~』共々、よろしくお願いいたします。 また、全くの別のお話『小さな小さな花うさぎさん達に誘われて』というお話も始めました。 こちらも、よろしくお願いします。 *8/11より、なろう様、カクヨム様、ノベルアップ、ツギクルさんでも投稿始めました。アルファポリスさんが先行です。

もふもふ相棒と異世界で新生活!! 神の愛し子? そんなことは知りません!!

ありぽん
ファンタジー
[第3回次世代ファンタジーカップエントリー] 特別賞受賞 書籍化決定!! 応援くださった皆様、ありがとうございます!! 望月奏(中学1年生)は、ある日車に撥ねられそうになっていた子犬を庇い、命を落としてしまう。 そして気づけば奏の前には白く輝く玉がふわふわと浮いていて。光り輝く玉は何と神様。 神様によれば、今回奏が死んだのは、神様のせいだったらしく。 そこで奏は神様のお詫びとして、新しい世界で生きることに。 これは自分では規格外ではないと思っている奏が、規格外の力でもふもふ相棒と、 たくさんのもふもふ達と楽しく幸せに暮らす物語。

小さな小さな花うさぎさん達に誘われて、異世界で今度こそ楽しく生きます!もふもふも来た!

ひより のどか
ファンタジー
気がついたら何かに追いかけられていた。必死に逃げる私を助けてくれたのは、お花?違う⋯小さな小さなうさぎさんたち? 突然森の中に放り出された女の子が、かわいいうさぎさん達や、妖精さんたちに助けられて成長していくお話。どんな出会いが待っているのか⋯? ☆。.:*・゜☆。.:*・゜ 『転生初日に妖精さんと双子のドラゴンと家族になりました。もふもふとも家族になります!』の、のどかです。初めて全く違うお話を書いてみることにしました。もう一作、『転生初日に~』の、おばあちゃんこと、凛さん(人間バージョン)を主役にしたお話『転生したおばあちゃん。同じ世界にいる孫のため、若返って冒険者になります!』も始めました。 よろしければ、そちらもよろしくお願いいたします。 *8/11より、なろう様、カクヨム様、ノベルアップ、ツギクルさんでも投稿始めました。アルファポリスさんが先行です。

もふもふが溢れる異世界で幸せ加護持ち生活!

ありぽん
ファンタジー
いつも『もふもふが溢れる異世界で幸せ加護持ち生活!』をご愛読いただき、ありがとうございます。 10月21日、『もふもち』コミカライズの配信がスタートしました!! 江戸はち先生に可愛いジョーディ達を描いていただきました。 先生、ありがとうございます。 今後とも小説のジョーディ達、そしてコミカライズのジョーディ達を、よろしくお願いいたします。       ********* 小学3年生の如月啓太は、病気により小学校に通えないまま、病院で息を引き取った。 次に気が付いたとき、啓太の前に女神さま現れて、啓太自身の話を聞くことに。 そして啓太は別の世界の、マカリスター侯爵家次男、ジョーディ・マカリスターとして転生することが決まる。 すくすくそだった啓太改めジョーディは1歳に。 そしてジョーディには友達がいっぱい。でも友達は友達でも、人間の友達ではありません。 ダークウルフの子供にホワイトキャットの子供に。何故か魔獣の友達だらけ。 そんなジョーディの毎日は、父(ラディス)母(ルリエット)長男(マイケル)、そしてお友達魔獣達と一緒に、騒がしくも楽しく過ぎていきます。

小さいぼくは最強魔術師一族!目指せ!もふもふスローライフ!

ひより のどか
ファンタジー
ねぇたまと、妹と、もふもふな家族と幸せに暮らしていたフィリー。そんな日常が崩れ去った。 一見、まだ小さな子どもたち。実は国が支配したがる程の大きな力を持っていて? 主人公フィリーは、実は違う世界で生きた記憶を持っていて?前世の記憶を活かして魔法の世界で代活躍? 「ねぇたまたちは、ぼくがまもりゅのら!」 『わふっ』 もふもふな家族も一緒にたくましく楽しく生きてくぞ!

神獣に転生!?人を助けて死んだら異世界に転生する事になりました

Miki
ファンタジー
学校が終わりバイトに行く途中、子供を助けて代わりに死んでしまった。 実は、助けた子供は別の世界の神様でお詫びに自分の世界に転生させてくれると言う。 何か欲しい能力があるか聞かれたので希望をいい、いよいよ異世界に転生すると・・・・・・ 何故か神獣に転生していた! 始めて書いた小説なので、文章がおかしかったり誤字などあるかもしてませんがよろしくお願いいたします。 更新は、話が思いついたらするので早く更新できる時としばらく更新てきない時があります。ご了承ください。 人との接し方などコミュニケーションが苦手なので感想等は返信できる時とできない時があります。返信できなかった時はごめんなさいm(_ _)m なるべく返信できるように努力します。

転生したらチートすぎて逆に怖い

至宝里清
ファンタジー
前世は苦労性のお姉ちゃん 愛されることを望んでいた… 神様のミスで刺されて転生! 運命の番と出会って…? 貰った能力は努力次第でスーパーチート! 番と幸せになるために無双します! 溺愛する家族もだいすき! 恋愛です! 無事1章完結しました!

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。