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281 お話は終わらない

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    ハクのお母さんと、そのお父さんはどうやらとんでもない人達みたいです。

『それでの?そのとんでもない従姉妹を助けるために、小僧は否応なしにしょっちゅう一緒にいて、世話を焼いておったわけじゃ』

生暖かい目と、気の毒にと言う目がたくさんギン様に…

『くっ  目を離すと何するかわからなかったからな。仕方なくだ』
『お父さ~ん』
「ぎんしゃま~」
ギン様大変だったんだね~

『それでのぉ、あんまり小僧の方から自分のそばに寄ってくるもんじゃからのぉ。バカ娘も勘違いし始めたんじゃよ』

「うにゅ?」
勘違い?しかもバカ娘になった?
『何を勘違いするの~?』
ハクも、不思議だよね?

『うん。私、分かってきたわぁ』
〖奇遇ね。私もよ〗
何が?ちびっ子たちみんなで首を傾げます。

『小僧は自分のことが好きだから、いつも自分を追いかけてくるんだ。強い自分に憧れているに違いない。強い自分こそが次期森の主のパートナーとして相応しい。いや、むしろ自分の方が強いのだから自分が主に相応しい。だから、小僧を婿にもらってやろう。そもそも自分の父が主になるはずだったのだ。自分こそが正当な次期森の主だ。との』

「『うわぁ~』」
なにそれ~?

『そう思い込んだが最後、それまでと逆じゃよ。小僧の方が追いかけられてのぉ。自分以外が小僧に近づけないように、周りを蹴散らし、小僧を自分のモノのように扱いだしたんじゃよ。それはもう、小僧が気の毒でのぉ』
『挙句の果てに、この森の次期、主は自分だ。自分があんたたちを守ってやるんだから感謝しろ。従え。等と言い出しての。もう呆れて何も言えんかったわ』
そう言って涙を拭う真似までする亀じぃとじぃじ···

しーん·····
なぁに?それぇ?もしかしてハクのおかあさんて

「ごびょうき·····?」

しーん·····

あれぇ?しーん?なんか変なこと言ったかな?唇に指を当てて、頭をこてんってしたら

『ぶふっ!』
おいちゃんが吹き出しました。そしたら

〖ふふっ  あははは!違いないわ!〗
『ぷふっ  サーヤったら偉いわぁ』
『くくくっ   そうだな。確かに病気みたいだな』
ジーニ様に、結葉様に、アルコン様まで笑い出しちゃいました。

『ほっほ!確かにのぉ』
『あそこまで行くと確かにそう言うこともできるの。ほっほ』
あれぇ?間違っちゃった?

『じぃじ~、お母さんは、おバカっていう病気だったの?』

しーん·····

『『〖ぷふっっ〗』』
ジーニ様、結葉様、アルコン様はもう顔を背けて震えてます。
ハクは心配そうにじぃじ達を見ます。

『ん~、ちょっと違うんじゃよ。病気ではなく、病的なほど思い込みの強い性格というところかの?』
『そうじゃのぉ。命に関わる病気とかではないからの。ハクが心配してもどうにもならない事なんじゃ』
『じゃあ、ぼくここにいていい?』くぅん
『もちろんじゃよ。ハクはここでみんなと仲良くのびのび育ったらいいのじゃ』
『そうじゃよ。子供は元気に遊ぶのが大事じゃよ。そこから色々学ぶことがあるからのぉ』
『ほんと?』
『本当じゃよ』
『みんなでハクがここにいられるように守るからのぉ。安心おし』
『うん!』

そうだよ!サーヤもハク守るからね!むぎゅー。

『ジーニ様、ワシらが知ってるのはここまでですじゃ』
『ハクの母親どもがうるさくて泉の底に隠居してしまいましたからのぉ』

えっそれもハクのお母さんが原因!?

『あ~悪かった。私を助けるために矢面に立ってくれたばかりに。悪い事をした。すまん』
ギン様が頭を下げてます。

『いいんじゃよ。ワシらも守りきれんくて悪かったの』
『すまんかったのぉ』
じぃじたちもギン様に頭を下げてます。

『いや、まあ、そのお陰でハクが生まれたから悪い事ばかりではないさ』
『そう言って貰えると少し救われるの』
『そうじゃのぉ。それにハクは誰から見てもいい子じゃからのぉ』
『『守ってやらんとの(ぉ)』』
『ああ。その通りだ。守るさ』
大人たちが頼もしいです!

ハク、サーヤたちだって、みんなで守るからね!
むぎゅー。みんなもむぎゅー。
『ありがとう~』
むぎゅむぎゅーっ

〖それじゃ、その後はどうしたの?〗
『そうよぉ。なんでその勘違い女と結婚することになったのぉ?』
『ギンは逃げていたのだろう?』

あれ?そうだよね?

『おおよそ、予想がつくのぉ』
『そうだの。小僧も先代も優しすぎるからの』
『『森の皆のためじゃろ(ぉ)』』

え~?どういうこと?

〖はぁ~、私も想像できてきたわぁ〗
ジーニ様が眉間をもみもみしてます。
だから、どういうこと~?
「ぶー」
分かんない~。

『ふふ、サーヤ、あのねぇ?多分、森の皆に被害が出始めていたんだたと思うわよぉ』
〖それから世代交代による周囲の理解の違い…かしら?〗

「うにゅー?」
難しくて分からないよ~

『ギン、もうお前が説明するしかあるまい』
アルコン様がギン様にいいます。

『そうですね。じじぃ…じぃじと、亀じぃが隠居してしまったのは私のせいなのだ』

『お父さんの~?』
どういうこと?

『そうだ。あいつが好き勝手するのを、面と向かって止めてくれたのは、この二人だけだったのだ。それを面白くないと思ったあいつと、その父親がことあるごとに二人を攻撃しだしたのだ』

ええっ?ひどい
「じぃじたち、おけがちた?」
『大丈夫だった~?』
じぃじたちを見ると

『大丈夫じゃよ。小僧と先代が助けてくれていたからの』
『じゃがのぉ、いつも間に合うとは限らん。ある日、先代がワシらに頭を下げに来たんじゃよ』
『このままでは、いつか怪我ではすまなくなるかもしれない。身を隠してくれんかとな』
『わしらも他の森の者たちを巻き込むことを、恐れ始めていた時じゃったからのぉ。その言葉に従ったんじゃよ』

『え?それは初耳だぞ』
ギン様がびっくりしてます。

『お主には、地上がうるさくなったから隠居したとでも伝えてくれと言ったからの』
『先代もその通りに伝えたのじゃろのぉ』

『そうだったのか。ほんとにすまなかった』
ギン様がまた頭を下げてます。

なんで?ギン様とじぃじたち、何も悪くないのにぃ。なんで、じぃじたちが隠れたりギン様が辛い思いしなきゃいけないの?なんで~

「うぶぶー」

サーヤ、なんかぷんぷんむかむかしてきたよ
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