上 下
106 / 681
連載

161 だ、だれ?

しおりを挟む

光が収まって、おめめが見えるようになってきました。まだしぱしぱする~と思いながら、手をつないだままのおいちゃんを見ると

「うぇ?」
目の前には知らない人が…どなたですか?訳が分からなくて固まるサーヤ。

『『ええ?』』
ぴゅいきゅい『『だれ~?』』
『おいちゃん、どこいっちゃったの~?』
『『あれ~?でもぉ』』
『このひと』
『サーヤと』
『おてて、つないでるよ?』
サーヤだけじゃなく、フゥ、クゥ、ちびっ子同盟も何が起こったのか分からない。おいちゃんがいたはずの所には別人がいた。

『ん?なんだなんだ?なんか体が軽いような?』
謎の人がまるでおいちゃんのような口調で声を出した。

「……」
サーヤは完全に固まったまま

『え~?ちょっとちょっとぉ、どういうことぉ?』
『これは、アルコン様と同じですか?』
『いや、確かに同じだろうが…同じだろうか?』
〖これはちょっと予想外ね〗
『もはや別人ですね』
ジーニ様たちも驚いている。

『なんだなんだ?みんなして何言ってんだ?』
おいちゃんみたいな人が不思議そうにしてます。

 
「ど、どちりゃしゃま?」
サーヤがおそるおそる聞きます。
『何言ってんだ?今、名前付けてくれたろ?』
何冗談言ってんだ?って知らない人が言ってます。
「お、おいちゃん?」
もう一同聞いてみます。
『おう!そうだぞ?当たり前だろ?』
何を言ってんだ?と言う顔のおいちゃんだと言う人。
でもサーヤは首をフリフリ
「おいちゃん、おいちゃんじゃにゃい」
『ん~?俺は俺だぞ?』
「ちやう。おいちゃんじゃ、にゃい」
『何言ってんだ?』
『ちやうのぉ~』うりゅう
おいちゃんは訳が分からず、サーヤも泣きそうだ。

〖あ~、えっと、ゲン?〗
『なんだ?ジーニ様』
『えっと~とりあえず、泉に顔を映してみたらどうかしらぁ~?』
『精霊樹の精様まで?』
見かねたジーニ様たちが声をかける。が、おいちゃんは動かない。痺れを切らしたようにアルコン様たちが
『いいから』
『映してこい』
『今すぐお願いします』
とおいちゃんを急かします。

『は、はぁ皆さんまで?なんなんだ?わかりました。サーヤ行ってくるな?』
サーヤはこくこく頷きながら手を離す。
おいちゃんが自分の姿を泉に映すと、

『ん?んんん?』

と顔やら体やらを触って確認し始めたかと思うと

『な、なんじゃこりゃー!』

と、絶叫したまま固まっちゃいました。

〖まぁ、無理もないわよね?〗
『あれは、もはや反則よねぇ~』
『我が若返っても見た目に変化はなかったしな。ただ、最盛期の頃に戻った感覚だ』
『と、いうことは、あれがゲン殿の最盛期の頃ということですか?』
『若返りましたね。20代半ばというところでしょうか?』
皆さん、落ち着きを取り戻してきて冷静に分析。やっぱり他人が慌てているのを見ると逆に自分たちは落ち着くようだ。

〖それにしてもあれじゃ、おいちゃんとは〗
『呼びにくいわねぇ~』
『見た目、お兄さんだな』
『せいぜい、若いお父さんでしょうか?』
『いっそ、サーヤにおいちゃん呼びはやめていただいた方が…』

そう、おいちゃんは若返っていた。それはもう思いっきり!
さっきまでは確かにおいちゃんでよかった!だが、今はどう見ても二十代位の細マッチョのお兄さん!
おいちゃんは固まったまま。サーヤは目がまん丸。口はパクパクしている。

『ジーニ様、サーヤにフォローを入れられた方がよろしいのでは?』
見かねたバートさんが提案するが、おいちゃんは放置でいいのか?
〖そ、そうね〗
ジーニ様はびっくりしたままのサーヤの元へ。やっぱり放置のかわいそうなおいちゃん。

〖サーヤ、大丈夫?〗
「じ、じーにしゃま。おいちゃんが、おいちゃんじゃ、にゃい」
完全に目が開ききっている。
〖そうねぇ。若返っちゃったわね~〗
「おいちゃんが、おいちゃんじゃ、にゃくちぇ、ぢゃいじょぶ?」うりゅ~
大っきなおめめにたちまち涙が…
〖あ~泣かないで。若返ったんだから、むしろ大丈夫じゃないかしら?ね?アルコン〗
先に激しく若返ったアルコン様も巻き込んだ!
『そうだな、我もざっと千年は若返った感じだからな。体はかなり楽だし。力も溢れている。むしろ、つい先日までこんなに衰えていたのに気づいていなかったのかと驚いたくらいだ。だから、大丈夫だぞ。心配するな。サーヤ』と、頭をなでる。
「わかっちゃ~。でみょ、おいちゃん、おこりゃにゃい?」うりゅうりゅ
その言葉が聞こえたのか、我に返ったおいちゃんが慌てて戻ってきて
『大丈夫だぞ!サーヤ。あまりに若返っちまったんで驚いただけだ!むしろ、これでもっとサーヤたちと一緒にいられるんだぞ!怒るどころか、めちゃくちゃ嬉しいぞ!』
「ほんちょ?」うりゅうりゅ
『ああ!ほんとだぞ。それに、多分だが、これは名前にも理由があると思うんだよな』
その言葉をジーニ様が肯定する。
〖そうね。サーヤはおじさんが元気でいてくれるように「ゲン」ってつけたのよね?〗 
「あい」ぐすっ。
サーヤが頷く。
〖きっと、その通りになったのよ。多分寿命もそうとう伸びたんじゃないかしら?〗
『良かったな。サーヤ。おじさんもずっと一緒にいられるようになったぞ』
ジーニ様は明るく言い、アルコン様はまだ心配そうにしているサーヤを撫でながら言う。
もーもーのおいちゃん改めゲンさんは
『ありがとな!サーヤ!一緒に色んなことしような!ほら、お前も喜べ~』
と、ほっぺを両手の平で挟んで、むにむにむに~とした。それでようやくサーヤもほっとしたのか
「あい!よりょちくにぇ~」と、元気よく答えた。ん?
「おいちゃん?おにいちゃん?」
なんて呼んだらいいんだろ?だって、
「おいちゃん、ちやう…」
〖あっ〗
『確かにな』
ジーニ様とアルコン様もおいちゃんの全身をしげしげと見ます。
『ん?そんなの今まで通り、おいちゃんでいいぞ!なんたってこの前ぽっくり寿命で逝ったばっかりのよぼよぼジジイだったんだぞ?兄ちゃんなんて言われてもこそばゆいだけだからな!わはははは!』
豪快に笑い飛ばしてるけど、内容は…
「ぽっきゅり…」
『よぼよぼ…』
〖ジジイ…〗
これほど、目の前の人には似合わない言葉はない…
『な?だから、おいちゃんでいいぞ』バチンっ
「あ、あい。わかっちゃ」
う~ん、おいちゃんにも
〖見えないわね〗
『まあ、いいんじゃないか?』
「しょだね~」
おいちゃんはおいちゃんだもんね!

『おし!それじゃ、サーヤ。俺はお前が頑張ってる間に畑を作る!種をくれ!』
「う?」
種?
『う?じゃねぇぞ。なんかな、魔法でできる気がすんだよ。色々と。ふふふふ』
「お、おいちゃん?」
おいちゃんがちょっと怖いです。
しおりを挟む
感想 1,692

あなたにおすすめの小説

もふもふ相棒と異世界で新生活!! 神の愛し子? そんなことは知りません!!

ありぽん
ファンタジー
[第3回次世代ファンタジーカップエントリー] 特別賞受賞 書籍化決定!! 応援くださった皆様、ありがとうございます!! 望月奏(中学1年生)は、ある日車に撥ねられそうになっていた子犬を庇い、命を落としてしまう。 そして気づけば奏の前には白く輝く玉がふわふわと浮いていて。光り輝く玉は何と神様。 神様によれば、今回奏が死んだのは、神様のせいだったらしく。 そこで奏は神様のお詫びとして、新しい世界で生きることに。 これは自分では規格外ではないと思っている奏が、規格外の力でもふもふ相棒と、 たくさんのもふもふ達と楽しく幸せに暮らす物語。

もふもふが溢れる異世界で幸せ加護持ち生活!

ありぽん
ファンタジー
いつも『もふもふが溢れる異世界で幸せ加護持ち生活!』をご愛読いただき、ありがとうございます。 10月21日、『もふもち』コミカライズの配信がスタートしました!! 江戸はち先生に可愛いジョーディ達を描いていただきました。 先生、ありがとうございます。 今後とも小説のジョーディ達、そしてコミカライズのジョーディ達を、よろしくお願いいたします。       ********* 小学3年生の如月啓太は、病気により小学校に通えないまま、病院で息を引き取った。 次に気が付いたとき、啓太の前に女神さま現れて、啓太自身の話を聞くことに。 そして啓太は別の世界の、マカリスター侯爵家次男、ジョーディ・マカリスターとして転生することが決まる。 すくすくそだった啓太改めジョーディは1歳に。 そしてジョーディには友達がいっぱい。でも友達は友達でも、人間の友達ではありません。 ダークウルフの子供にホワイトキャットの子供に。何故か魔獣の友達だらけ。 そんなジョーディの毎日は、父(ラディス)母(ルリエット)長男(マイケル)、そしてお友達魔獣達と一緒に、騒がしくも楽しく過ぎていきます。

小さな小さな花うさぎさん達に誘われて、異世界で今度こそ楽しく生きます!もふもふも来た!

ひより のどか
ファンタジー
気がついたら何かに追いかけられていた。必死に逃げる私を助けてくれたのは、お花?違う⋯小さな小さなうさぎさんたち? 突然森の中に放り出された女の子が、かわいいうさぎさん達や、妖精さんたちに助けられて成長していくお話。どんな出会いが待っているのか⋯? ☆。.:*・゜☆。.:*・゜ 『転生初日に妖精さんと双子のドラゴンと家族になりました。もふもふとも家族になります!』の、のどかです。初めて全く違うお話を書いてみることにしました。もう一作、『転生初日に~』の、おばあちゃんこと、凛さん(人間バージョン)を主役にしたお話『転生したおばあちゃん。同じ世界にいる孫のため、若返って冒険者になります!』も始めました。 よろしければ、そちらもよろしくお願いいたします。 *8/11より、なろう様、カクヨム様、ノベルアップ、ツギクルさんでも投稿始めました。アルファポリスさんが先行です。

小さいぼくは最強魔術師一族!目指せ!もふもふスローライフ!

ひより のどか
ファンタジー
ねぇたまと、妹と、もふもふな家族と幸せに暮らしていたフィリー。そんな日常が崩れ去った。 一見、まだ小さな子どもたち。実は国が支配したがる程の大きな力を持っていて? 主人公フィリーは、実は違う世界で生きた記憶を持っていて?前世の記憶を活かして魔法の世界で代活躍? 「ねぇたまたちは、ぼくがまもりゅのら!」 『わふっ』 もふもふな家族も一緒にたくましく楽しく生きてくぞ!

異世界でチート無双! いやいや神の使いのミスによる、僕の相棒もふもふの成長物語

ありぽん
ファンタジー
ある異世界で生きるアーベル。アーベルにはある秘密があった。何故か彼は地球での記憶をそのままに転生していたのだ。 彼の地球での一生は、仕事ばかりで家族を顧みず、そのせいで彼の周りからは人が離れていき。最後は1人きりで寿命を終えるという寂しいもので。 そのため新たな人生は、家族のために生きようと誓い、そしてできるならばまったりと暮らしたいと思っていた。   そんなマーベルは5歳の誕生日を迎え、神からの贈り物を授かるために教会へ。しかし同じ歳の子供達が、さまざまな素晴らしい力を授かる中、何故かアーベルが授かった力はあまりにも弱く。 だがアーベルはまったく気にならなかった。何故なら授かった力は、彼にとっては素晴らしい物だったからだ。 その力を使い、家族にもふもふ魔獣達を迎え、充実した生活を送っていたアーベル。 しかし変化の時は突然訪れた。そしてその変化により、彼ともふもふ魔獣達の理想としている生活から徐々に離れ始め? これはアーベルの成長物語、いやいや彼のもふもふ達の成長物語である。

エリアスとドラゴンともふもふは、今日も元気に遊んでいます!?

ありぽん
ファンタジー
 アルフォート家の3男、エリアス・アルフォート3歳は、毎日楽しく屋敷の広い広い庭を、お友達のぷるちゃん(スライム)とウルちゃん(ホワイトウルフ)と一緒に走り回っておりました。  そして4歳の誕生日の日。この日は庭でエリアスの誕生日パーティーが開かれていました。その時何処からかエリアスの事を呼ぶ声が。その声を前に聞いた事があるエリアスは、声のする庭の奥へ、ぷるちゃんとウルちゃんと3人進んで行きます。そこでエリアス達を待っていたものは?  剣と魔法そしてもふもふの溢れる世界で、繰り広げられるエリアスの大冒険。周りを巻き込みながら、今日もエリアスはやらかします! *エリアス本人登場は2話からとなります。

公爵家三男に転生しましたが・・・

キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが… 色々と本当に色々とありまして・・・ 転生しました。 前世は女性でしたが異世界では男! 記憶持ち葛藤をご覧下さい。 作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

超時空スキルを貰って、幼馴染の女の子と一緒に冒険者します。

烏帽子 博
ファンタジー
クリスは、孤児院で同い年のララと、院長のシスター メリジェーンと祝福の儀に臨んだ。 その瞬間クリスは、真っ白な空間に召喚されていた。 「クリス、あなたに超時空スキルを授けます。 あなたの思うように過ごしていいのよ」 真っ白なベールを纏って後光に包まれたその人は、それだけ言って消えていった。 その日クリスに司祭から告げられたスキルは「マジックポーチ」だった。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。